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29.暴霊の傷跡
17.四精激震
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ドロリと血が出てくる。唐突のことで理解できなかったが、ヨルムンガンドが倒れたらしい。
しかし、いきなり死ぬとは思えず、警戒態勢を解けない。
アシドが槍を持つ力を強めたまま、そろりそろりとヨルムンガンドに近づいた。もしかしたらまだ生きているかもしれない。
アストロは気付いていた。ヨルムンガンドが発していた威容な魔力が消え失せている。それが意味するところは両極端だ。死か強者か。
アシドが槍で小石を弾く正確に瞳に当たった。瞼がピクリとも動かない。衝撃によって、瞳の隙間からドロリと血が流れ出た。
鼻や口のみならず、目や耳からも血が出ている。
これは完全に死んでいる。
「死んだ?」
「ぽいわね」
コストイラが刀を収め、アストロは緊張を解いた。
『そ、そんな。よ、ヨルムンガンドが?』
『嘘だろ!? あの毒蛇に勝ちやがったのか?』
コストイラ達が空を見る。
そこには四人の少女がいた。きつく吊り上がった目と赤い髪を持つ少女。びくびくとした態度と茶系の髪を持つ少女。リーダー然とした態度と金の髪を持つ少女。半眼と白髪を持つ褐色の少女。
少女達が空を飛んでいる時点で普通ではない。翼が見えないため、有翼人種ではないのは確かだ。魔力を使って飛んでいる。
相当な実力者だ。
コストイラには分かる。四人は精霊だ。この地を統べ、この地を守護する精霊達だ。
『ロ、ア!!』
赤の精霊が咆哮とともに炎を噴き出し、勇者達を燃やそうとする。隣にいた精霊達も驚いている。
アシドが槍をくるくるとまわし、炎を撒き散らした。
金髪の少女と茶髪の少女が地に降り立った。金髪が宙に水球を出現させていく。その数を見る限り、精霊の中でも強者ということだろう。
精霊には力の限界がある。例えば水の精霊の総数が一万だとした時、水の精霊の総数で割った商がその精霊の力になる。
この世界で最も多くいる精霊は光。次いで、水、火、然、地、理、そして闇。逆に言えば、この順番に弱い。
見た目に惑わされてはいけない。コストイラが炎を纏いながら刀を抜く。
精霊四人がビクつく。コストイラは精霊界では有名すぎる。闇の精霊を師事した侍。精霊の中でも異質な存在すぎる闇の精霊は同胞からよく思われていない。それに関連してフラメテやコストイラもよく思われていない。
『え、え!?』
茶髪の少女が、魔力を纏う掌を地面にぶつけた。
金髪の少女が水球を放つ。水球を刀で弾く。一つ弾くたびに炎が弱まっていく。
「チ」
コストイラが舌打ちした時、地中から植物の蔦が飛び出してきた。シュルルルとコストイラの脚に纏わりつく。炎を纏う侍には一秒の拘束にもならない。
蔦は同時にアストロ達を襲う。彼女達はコストイラのように炎を纏っているわけではない。迫る蔦のすべてを手動で相手しなくてはいけない。
しかし、それにも限界がある。
ゾルゾルゾルとアストロの足元に蔦が巻き付いた。
「この程度!」
アストロが魔力を使って蔦を切ろうとする。
『ロ、ア!』
火の精霊が咆哮する。然の精霊が作った蔦に火が着く。精霊の炎は特殊なのか、連鎖的に爆発を起こしながら伝っていく。
ドガンとアストロに爆発した。
「アストロ!?」
アシドがアストロを心配し、走り出そうとした瞬間、魔力が打ち出された。火の精霊が目を見開く。焦りながら避けようとするが、間に合わなかった。
『ブッ!』
顔が跳ね上がり、煙を出している。土煙の中、アストロが魔力の発射口を火の精霊に向けていた。どうやら、片手でも命中させることができるようになったようだ。
地の精霊が火の精霊を支える。地の精霊の瞳に魔力が集まる。まさか魔眼か?
そう考えた時、足元の瓦礫が動いた。
しかし、いきなり死ぬとは思えず、警戒態勢を解けない。
アシドが槍を持つ力を強めたまま、そろりそろりとヨルムンガンドに近づいた。もしかしたらまだ生きているかもしれない。
アストロは気付いていた。ヨルムンガンドが発していた威容な魔力が消え失せている。それが意味するところは両極端だ。死か強者か。
アシドが槍で小石を弾く正確に瞳に当たった。瞼がピクリとも動かない。衝撃によって、瞳の隙間からドロリと血が流れ出た。
鼻や口のみならず、目や耳からも血が出ている。
これは完全に死んでいる。
「死んだ?」
「ぽいわね」
コストイラが刀を収め、アストロは緊張を解いた。
『そ、そんな。よ、ヨルムンガンドが?』
『嘘だろ!? あの毒蛇に勝ちやがったのか?』
コストイラ達が空を見る。
そこには四人の少女がいた。きつく吊り上がった目と赤い髪を持つ少女。びくびくとした態度と茶系の髪を持つ少女。リーダー然とした態度と金の髪を持つ少女。半眼と白髪を持つ褐色の少女。
少女達が空を飛んでいる時点で普通ではない。翼が見えないため、有翼人種ではないのは確かだ。魔力を使って飛んでいる。
相当な実力者だ。
コストイラには分かる。四人は精霊だ。この地を統べ、この地を守護する精霊達だ。
『ロ、ア!!』
赤の精霊が咆哮とともに炎を噴き出し、勇者達を燃やそうとする。隣にいた精霊達も驚いている。
アシドが槍をくるくるとまわし、炎を撒き散らした。
金髪の少女と茶髪の少女が地に降り立った。金髪が宙に水球を出現させていく。その数を見る限り、精霊の中でも強者ということだろう。
精霊には力の限界がある。例えば水の精霊の総数が一万だとした時、水の精霊の総数で割った商がその精霊の力になる。
この世界で最も多くいる精霊は光。次いで、水、火、然、地、理、そして闇。逆に言えば、この順番に弱い。
見た目に惑わされてはいけない。コストイラが炎を纏いながら刀を抜く。
精霊四人がビクつく。コストイラは精霊界では有名すぎる。闇の精霊を師事した侍。精霊の中でも異質な存在すぎる闇の精霊は同胞からよく思われていない。それに関連してフラメテやコストイラもよく思われていない。
『え、え!?』
茶髪の少女が、魔力を纏う掌を地面にぶつけた。
金髪の少女が水球を放つ。水球を刀で弾く。一つ弾くたびに炎が弱まっていく。
「チ」
コストイラが舌打ちした時、地中から植物の蔦が飛び出してきた。シュルルルとコストイラの脚に纏わりつく。炎を纏う侍には一秒の拘束にもならない。
蔦は同時にアストロ達を襲う。彼女達はコストイラのように炎を纏っているわけではない。迫る蔦のすべてを手動で相手しなくてはいけない。
しかし、それにも限界がある。
ゾルゾルゾルとアストロの足元に蔦が巻き付いた。
「この程度!」
アストロが魔力を使って蔦を切ろうとする。
『ロ、ア!』
火の精霊が咆哮する。然の精霊が作った蔦に火が着く。精霊の炎は特殊なのか、連鎖的に爆発を起こしながら伝っていく。
ドガンとアストロに爆発した。
「アストロ!?」
アシドがアストロを心配し、走り出そうとした瞬間、魔力が打ち出された。火の精霊が目を見開く。焦りながら避けようとするが、間に合わなかった。
『ブッ!』
顔が跳ね上がり、煙を出している。土煙の中、アストロが魔力の発射口を火の精霊に向けていた。どうやら、片手でも命中させることができるようになったようだ。
地の精霊が火の精霊を支える。地の精霊の瞳に魔力が集まる。まさか魔眼か?
そう考えた時、足元の瓦礫が動いた。
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