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オタクな俺と優等生な幼馴染の日常

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彼女に初めて会ったのは12年前、その時俺は彼女に一目惚れした。
あれから12年後...
高校2年生になった俺、伊藤祐輝は今でも彼女に恋心を抱き続けている。
しかし、彼女と俺とでは決定的な違いがある。それは、優等生な彼女とは反対に俺は学校の誰もが認める超がつくほどのオタクなのだ。
春休み明けの始業式の後の廊下
「祐輝~」
「なんだよ駿斗」
「お前買ったか?100個限定特典付きの超激レアDVD」
「当たり前だろ。あれを逃すとかオタク失格だぜ」
「だよな、学園内最強のオタクであるお前がそんなミスする訳ないよな」
と、そんな駿斗と日常会話をしていると前から女子生徒が2人歩いて来る。
「あ、あれはまさか!学年でトップの成績でなおかつ、学園では男子生徒が毎日のように告白しに行くというほどの美少女、倉嶋桃じゃないか!」
「う、うん...」
「どうしたんだ?顔、青ざめてるぞ」
「い、いや なんでもない...」
と、駿斗とやり取りしていると、
「こんにちは、大嶋さん、祐輝くん」
「ひっ!」
「あの倉嶋桃が俺と祐輝に話しかけてきた!」
「こ、こんにちは...」
「何をそんなに驚いてるの?」
「な、なんでもないよ。そ、そうだ!この後駿斗と俺用事があるんだった。そ、それじゃまた明日な桃」
「え!ちょ、ちょっと待てよ祐輝~」
「変な人たち」
校門前
「はぁはぁ」
「なんだよ急に、せっかく倉嶋桃と話せる良い機会だったのによ」
「いや、すまん」
「あ~そっか、そういえばお前桃のこと好...」
「やーめーろー!」
「なんだよいきなり」
「その先を口にしたらお前のこれからのオタク人生を潰してやるからな」
「そ、それだけはー」
そう脅して駿斗の口を閉ざした。
帰り道
「なー祐輝~」
「なんだ?」
「なんで桃のことそんなに隠したがるんだ?」
「俺とあいつは生きてる世界が違うからだよ」
「でも幼馴染なんだろ?それならもっと親しくしても良いんじゃ...」
「向こうはそうして欲しいのかもしれないが俺が許さん。俺みたいな奴と一緒にいるところを見られたりしてみろ、あいつの評判が一気にガタ落ちだ」
「そんなに心配しなくても少し話すぐらいなら...」
「ダメだ。俺のせいで彼女に迷惑はかけられない」
「...」
その後俺と駿斗の間には長い沈黙が生まれた。
しかし、
「そうだ!良いこと思いついた!」
「今度はなんだ?」
「まぁまぁそんなに焦りなさんなって祐輝の旦那よ 俺に任せろ!」
「?」
そう言って駿斗は俺を置いて足早に帰ってしまった。
あれから数ヶ月が経ちクラスで席替えをすることになった。
「はーい!みなさん静かにー、
今回の席替えの進行は書記であるこの俺大嶋駿斗が務めまーす」
「あいつなんであんなに張り切ってるんだ?」
「さぁなあいつはよくわからん奴だからな」
「ほんと何がしたいのやら」
「今回はテストの順位で席が決まりました!順位の低い人は順位の高い人の隣になっていまーす!」
「うわっ まじかよ!」
「それじゃ倉嶋と隣なる可能性は俺にもあるじゃん」
「みなさんお静かに!今回ご指名がありまして今回のテストで1位だった倉嶋桃と隣になるのは、伊藤祐輝でーす!」
「え?」
「え?」
「えーーー!」
「なんだとーーーー!」
「ちょっと待てよ、俺がいつお前にそんな事お願いしたんだよ!」
「まぁまぁこの事はまたあとで個別で。とにかくこれは決定事項だから変えられませーん」
そんな事があり全員分の席が決まり席を移動させた。
「よ、よろしくね祐輝くん」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
「と、言うわけで明日からこの席でやるからよろしくー」
ハラハラドキドキな席替えを終え下校する生徒たち、俺は駿斗に呼び出され中庭に。
「勘弁してくれよ駿斗」
「ん?何が?」
「席のことだよ 俺はあんなことしろなんて言ってないだろ」
「あぁだってあれは俺が勝手にやったことだし」
「はぁ?」
「言ったろ俺に任せとけって」
「あの時の任せろってこの事かよ」
「どうだ?気に入ったか?」
「気に入ったも何も緊張しっぱなしだぜあれじゃあ」
「幼馴染ならもっと幼馴染っぽく接しろよな」
「...」
「とにかく俺が頑張ったんだからお前も頑張ってくれよな」
「わかったよ」
こうして倉嶋桃と隣り合わせで座る日々が始まった。
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