鷹にように華やかに

与倉 透

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 品子と鷹華は、大掃除をしていた。鷹華来てからというものその器量の良さから品子の生活水準がぐっと上がったように思える。客の目につかない店の奥や、生活のための空間なお世辞にもキレイなものとは言えなかった。徐々に整理を進めていき長い間手付かずだった何度も片付け始めた。
「品子さんこれなに?」鷹華がもっていたのは、ほこりまみれのスケッチブックだった。
 品子はすぐに思い出した。今まで納戸の奥に仕舞い込んでいたのが嘘のようだ。「一緒に見ようか」
二人で腰をおろして肩をくっつけてスケッチブックを開く。
 それは品子のデザイン画だった。色々な服が書かれている。きらびやかなものから礼服のような落ち着いたもの、中には奇抜なものまで。
「昔は、服を作る人になりたかったの」
「今はもう作りたくないの?」
「売るほうが向いてるのよ。それに、なんだか自分が思い描いているものが違う気がして」
「そうかな。こんなに可愛いのに」鷹華が見ていたページは、華やかな和装のデザインが描かれていた。

 その夜、品子は一人で、自分のデザイン画を見返してみた。以前までは違和感しか感じなかったが、その理由がはっきりとわかった。店で売ろうとしていたからだ。年齢層がまるで違っていた。
 自分が描いているものは、女学生時代に憧れているものが原点だった。大人の御婦人方が買い求めるものではない。そこで思い至った。店で売ることはできないが、直ぐ側に似合う人がいる。知り合いの職人に絵を見せてみても良いかもしれない。
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