狐面

貝人

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  男は小さな村を見つける、猿の石像を祀っつさた小さな村。男は不思議そうに石像を見ている。

  男に気づいた村人は男に声をかける

「ここは猿神様の加護により守られている村ですじゃ」

「猿神様、ああだから猿の石像が祀ってあるのですか・・・それはそれは素敵な神様なんでしょうね」

 「ええまあ」

「ところで、あそこで白い袈裟を着た彼女は? 」

「あっ彼の子は何でもないんです、しっ白い着物が好きな子でして・・・」

「まるで死に装束みたいですね、左が前ですし」
  
  村人はギョッとした顔をして男を見る。

「旅人さん、何も見なかった事にしてください。ここで泊まって明日には出てってください」

「はい、わかりました」



  その日の晩村人達は娘を連れて、村の奥にある祠へ入っていく。男が気配を隠し着いて歩いてるとも知らずに。

「すまねえ・・・・すまねえ・・・・」

「私の身一つで、村の皆さんが助かるなら私は構いません」

  村人達は祠から娘を残し出て行く。

「ーー今年の贄はお前か」

「はい、私の命で村を又御守りください」

  娘は震えた声でそう言った。

「ーーああ、約束しよう」

  娘は来たるべき痛みに耐える為に目を瞑った。

「サヨウナラ」

  先ほどの猿神の声とは違う、男の声が聞こえた。

  娘が目を開けると、巨大な猿の化け物が倒れていた。

「下衆な妖だ、君大丈夫?  怪我はない?  まあ下衆は村人も同じか」

「あっ貴方!  なんて事を!  猿神様を殺してしまうなんて・・・・」

「自分の配下の猿に村を襲わせ、村人が困った所を救い定期的に生贄を要求する、こんなところだろうね。君が信じる信じないは別だけど」

「私どうしたら・・・村には戻れないし・・」

「別の村に迄なら連れて行くよ?  ああでもその前に」

  男は猿神の血を身体中に浴び、肉を食らった

「ひっ・・・・」

  娘は恐怖で腰を抜かした、猿神よりも怖かった。

「化け物・・・・」

  男は嬉しそうに笑った
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