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第弐話 土御門
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土御門家本殿
土御門家現頭首土御門楼閣 (つちみかどろうかく)は一部始終を式鬼を介して観ていた。
「葛の葉め、厄介な呪いを仕込んでくれたものやな。
我等一族全てに呪いをかけるやなんて。オマケに思考制御つき。少しでも彼の子に悪意を放つ者には死やと。葛の葉が死して尚これだけの力とは驚きを隠せないねえ」
楼閣は溜息を吐きながら窓の外を見やる。
「葛の葉の護り子ねえ。どうしたものか、下手したら土御門家の大半が死ぬわ。幸いこの呪いに気づいているのはかけられた、禅師(ぜんじ)と恵理菜のみだが、恵理菜は自制が出来ないから護り子に関わらせたら、直ぐに死ぬやろなあ。はあ、禅師の元につけるか?いや、あの様子じゃ心が折れとるか」
延々と楼閣は思考を巡らせていた。
既に土御門家の影の者達は何人かが死んでいる、晴明を殺そうとした者や、一瞬でも憎しみを抱いた者が軒並み死んでいた。
「彼の英雄が居たら助けを乞いたい位だよ全く。魔物が溢れかえって対処に追われてるんに、ほんに難儀やわ。星を読んでも無駄やったしなあ」
ある一つの案が浮かぶ。ぽんと手を叩く
「そや!魔物退治でもやらそかな。護り子の力が日ノ本の助けになるんやったらええしな!護り子は戦い方や力を学べるやん!正にWIN WINやないか!」
「私が教師役してもええけどなあ、誰ぞ適任はおらんかなあ。誰ぞ誰ぞう~んああ朱夏がおったわ!朱夏にぜ~んぶ投げたら万事上手くいくわ!」
式鬼を作り、朱夏と呼ばれる者へ飛ばす。
数分すると、ドアが勢いよく開く
「及びですか!楼閣様!」
緋色の髪をポニーテールに纏めた、女が入ってくる。
「はやっ!もう来たんか!朱夏に頼みがあるんよ、ちょっと鍛えて強くして欲しいんやけど」
朱夏の眼が鋭くなる。
「それは・・・私が鍛える程の人何ですか?」
「朱夏や、才だけなら朱夏のライバルの蘆屋の子と変わらんよ。才だけならね、経験値は天と地の差があるんやけどね」
「ラッライバルなんて!私は思ってませんから!向こうが勝手に絡んでくるだけで!」
朱夏かは顔赤くし、身振り手振りで否定する。
「蘆屋の子は置いといて、どうや朱夏?やってくれるんか?何なら蘆屋の子に頼んでもええんやけど」
ニヤリと笑う楼閣
「私!私がやります!任せてください!蘆屋をコテンパンにするくらい強くしますから!」
朱夏はかなーりちょろっかった。
「いやいや、コテンパンにせんでも。禅師に話を聞きに行ってきい。住所やら力やら色々わかると思うで、ただ一つこれだけは約束しい、護り子に敵意、害意を向けたらあかん。土御門を滅ぼしたくはあらへんのやろ?」
「ほっ滅ぼす!?ってどんな人何ですか一体!」
楼閣の言葉に怯えて慌てふためく朱夏。
「う~ん護り子は護り子、それ以上でもそれ以下でも無いよ。護り子に対して悪感情を抱かんよう、御守りをあげるわ!これは肌身離さず持ってないとあかんで。これは頭首命令や。ええな?」
渡された御守りを強く握りながら朱夏は激しく頷く。楼閣の期待に応えるために気合を入れ直し
「はっ!頑張ります!」
それだけ言うと朱夏は勢いよく、ドアを開けて走り去っていく。
「ほんにもうせっかちなんやから。朱夏なら狐との相性も悪くない、私の術をかけたから護り子に悪感情を抱くはずもないし大丈夫やろうけど」
ふうと、ため息をつき残された問題の書類を見る。
最近急激に増えた魔物達の件だ。
「小鬼に活屍に大鬼もでとる。すんなりとはいかんのやろなあ」
日ノ本の今と未来を案じ窓から覗く朝日を見る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
土御門家 詰所
「禅師さーん!禅師さーん!何処ですかー!」
朱夏は禅師を探して詰所まで来ていた。
朱夏はその間ずっと大声を出していた。
「あ~うるせ、さっきからデカイ声で俺の名前を宣伝するんじゃねえよ勘違いされちまうだろ。朱夏の嬢ちゃんが俺に何のようだ?今俺ちょっと立て込んでだけど」
めんどくさそうにタバコを吸いながら答える禅師。
「あのですね!禅師さん、今日任務行ってましたよね!?その任務先の情報をください!」
「は?何でまた、あれには関わらない方が身の為だ。辞めとけ辞めとけ」
しっしっと手を振り朱夏を追い払おうとする禅師。
「何でですか!?私、楼閣様に任務を与えられたんです!だあからあ!その子の情報がいるんです!早く早く早く早く早く!時は金なりですよ!」
「あああ~俺はどうなっても知らねえぞ。俺はちゃんと止めたからな!この件に何で頭首様が朱夏の嬢ちゃんを行かせようとしてるのかわからんが、情報ならほれそこの棚の黒ファイルの中だ」
片手で棚を指す禅師。
「黒って!最重要人物のファイルじゃないですか!?何でそんなところに!?」
「そりゃまああれだ。あーファイルやるから静かに帰れ。俺は忙しいんだよ」
そう言うと禅師は詰所を出て行ってしまう、その行動が暗にこの件に自分は関わらないと明言してるかのように。
「禅師さん!ファイルありがとうございましたー!!」
大声で御礼を言う朱夏に後ろ姿で手を振って禅師は去って行った。
「よーし!ファイル読み込んだら実際にこの目で見てその人物を確認しなきゃ!絶対に蘆屋のバカより強くして、蘆屋より私が優秀な人間だと楼閣様に認めさせるんだ!」
朱夏はハイテンションだった。
土御門家現頭首土御門楼閣 (つちみかどろうかく)は一部始終を式鬼を介して観ていた。
「葛の葉め、厄介な呪いを仕込んでくれたものやな。
我等一族全てに呪いをかけるやなんて。オマケに思考制御つき。少しでも彼の子に悪意を放つ者には死やと。葛の葉が死して尚これだけの力とは驚きを隠せないねえ」
楼閣は溜息を吐きながら窓の外を見やる。
「葛の葉の護り子ねえ。どうしたものか、下手したら土御門家の大半が死ぬわ。幸いこの呪いに気づいているのはかけられた、禅師(ぜんじ)と恵理菜のみだが、恵理菜は自制が出来ないから護り子に関わらせたら、直ぐに死ぬやろなあ。はあ、禅師の元につけるか?いや、あの様子じゃ心が折れとるか」
延々と楼閣は思考を巡らせていた。
既に土御門家の影の者達は何人かが死んでいる、晴明を殺そうとした者や、一瞬でも憎しみを抱いた者が軒並み死んでいた。
「彼の英雄が居たら助けを乞いたい位だよ全く。魔物が溢れかえって対処に追われてるんに、ほんに難儀やわ。星を読んでも無駄やったしなあ」
ある一つの案が浮かぶ。ぽんと手を叩く
「そや!魔物退治でもやらそかな。護り子の力が日ノ本の助けになるんやったらええしな!護り子は戦い方や力を学べるやん!正にWIN WINやないか!」
「私が教師役してもええけどなあ、誰ぞ適任はおらんかなあ。誰ぞ誰ぞう~んああ朱夏がおったわ!朱夏にぜ~んぶ投げたら万事上手くいくわ!」
式鬼を作り、朱夏と呼ばれる者へ飛ばす。
数分すると、ドアが勢いよく開く
「及びですか!楼閣様!」
緋色の髪をポニーテールに纏めた、女が入ってくる。
「はやっ!もう来たんか!朱夏に頼みがあるんよ、ちょっと鍛えて強くして欲しいんやけど」
朱夏の眼が鋭くなる。
「それは・・・私が鍛える程の人何ですか?」
「朱夏や、才だけなら朱夏のライバルの蘆屋の子と変わらんよ。才だけならね、経験値は天と地の差があるんやけどね」
「ラッライバルなんて!私は思ってませんから!向こうが勝手に絡んでくるだけで!」
朱夏かは顔赤くし、身振り手振りで否定する。
「蘆屋の子は置いといて、どうや朱夏?やってくれるんか?何なら蘆屋の子に頼んでもええんやけど」
ニヤリと笑う楼閣
「私!私がやります!任せてください!蘆屋をコテンパンにするくらい強くしますから!」
朱夏はかなーりちょろっかった。
「いやいや、コテンパンにせんでも。禅師に話を聞きに行ってきい。住所やら力やら色々わかると思うで、ただ一つこれだけは約束しい、護り子に敵意、害意を向けたらあかん。土御門を滅ぼしたくはあらへんのやろ?」
「ほっ滅ぼす!?ってどんな人何ですか一体!」
楼閣の言葉に怯えて慌てふためく朱夏。
「う~ん護り子は護り子、それ以上でもそれ以下でも無いよ。護り子に対して悪感情を抱かんよう、御守りをあげるわ!これは肌身離さず持ってないとあかんで。これは頭首命令や。ええな?」
渡された御守りを強く握りながら朱夏は激しく頷く。楼閣の期待に応えるために気合を入れ直し
「はっ!頑張ります!」
それだけ言うと朱夏は勢いよく、ドアを開けて走り去っていく。
「ほんにもうせっかちなんやから。朱夏なら狐との相性も悪くない、私の術をかけたから護り子に悪感情を抱くはずもないし大丈夫やろうけど」
ふうと、ため息をつき残された問題の書類を見る。
最近急激に増えた魔物達の件だ。
「小鬼に活屍に大鬼もでとる。すんなりとはいかんのやろなあ」
日ノ本の今と未来を案じ窓から覗く朝日を見る。
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土御門家 詰所
「禅師さーん!禅師さーん!何処ですかー!」
朱夏は禅師を探して詰所まで来ていた。
朱夏はその間ずっと大声を出していた。
「あ~うるせ、さっきからデカイ声で俺の名前を宣伝するんじゃねえよ勘違いされちまうだろ。朱夏の嬢ちゃんが俺に何のようだ?今俺ちょっと立て込んでだけど」
めんどくさそうにタバコを吸いながら答える禅師。
「あのですね!禅師さん、今日任務行ってましたよね!?その任務先の情報をください!」
「は?何でまた、あれには関わらない方が身の為だ。辞めとけ辞めとけ」
しっしっと手を振り朱夏を追い払おうとする禅師。
「何でですか!?私、楼閣様に任務を与えられたんです!だあからあ!その子の情報がいるんです!早く早く早く早く早く!時は金なりですよ!」
「あああ~俺はどうなっても知らねえぞ。俺はちゃんと止めたからな!この件に何で頭首様が朱夏の嬢ちゃんを行かせようとしてるのかわからんが、情報ならほれそこの棚の黒ファイルの中だ」
片手で棚を指す禅師。
「黒って!最重要人物のファイルじゃないですか!?何でそんなところに!?」
「そりゃまああれだ。あーファイルやるから静かに帰れ。俺は忙しいんだよ」
そう言うと禅師は詰所を出て行ってしまう、その行動が暗にこの件に自分は関わらないと明言してるかのように。
「禅師さん!ファイルありがとうございましたー!!」
大声で御礼を言う朱夏に後ろ姿で手を振って禅師は去って行った。
「よーし!ファイル読み込んだら実際にこの目で見てその人物を確認しなきゃ!絶対に蘆屋のバカより強くして、蘆屋より私が優秀な人間だと楼閣様に認めさせるんだ!」
朱夏はハイテンションだった。
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