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月曜日
「魔法の使えなくなった魔法少女は」(6)
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「バイト? ああ、原付とか呼ばれてたやつのことですか。その必要はないですよー。ギャンブルが出来るところに連れて行ってください。大型が買える位のお金を持って帰ってきます」
「ゴミ」
今度は強めに手刀を振り下ろす。俺の手も痛かった。中学の頃に「殴ってる先生の手も痛いんですよ!」と言っていたヒステリックなババアの気持ちが今になって分かった気がする。あの時はすみませんでした。授業中にガム噛んだだけでそこまで怒るとは思わなかったんです。それにしても原付は知らないのに大型を知っているのか、魔法少女。
「いったいですよー。それにアホは良いですけど、ゴミは酷いです」
「それはすまん。けど、こういうのは働いて返すものなんだよ」
人間界の流儀ってやつですかーと涙目で頭をさする。こいつ、泣きそうな時が一番可愛いな。
「そうだ。とっておきのバイト先があるんだが、今から行かないか?」
「今からですかー……。そうですね、分かりました。行きましょう」
「おっす、お二人さん。デートとは見せつけてくれるじゃないの」
コンビニの制服姿の白雪先輩がふざけたことを言っている。酔ってなくてもこれだから彼氏が出来ないのではないだろうか。
「全然違いますよ。ほら、昨日働いて返させるって言ったじゃないですか。此処で働かせようかと」
「言ってたっけ? アタシ酔っている時のこと、いまいち覚えてないんだよね。でも、そっかー、魔法少女ちゃんが来るなら楽しくなりそうじゃない」
覚えてるじゃない。ナナは白雪先輩に抱き寄せられて、撫でられたり、揉まれたりされるがままになっている。いつ懐いたのやら。
「店長は?」
「裏に居るよん」
へい、と投げやりに返事をして、バックヤードに入る。そこから半身と手を出してナナを招く。白雪先輩が名残惜しそうにしているが無視。
「ちょっとびっくりするぞ」
「何がですか?」
ぎいっと扉を軋ませながら二人で倉庫兼休憩室に這入る。
「あらっ、安芸津ちゃんじゃなーい。今日はシフト入ってないわよねえ……あらあらあら誰かしらそのお人形さんみたいな子は! はっ! 彼女が出来たからワタシに紹介しようってワケ!?」
一九〇越えの巨体をくねくねと揺らしながら、猫なで声で話し掛けてくる。はて、店長も俺とともに二週間連続で出勤した筈だが、どこにそんな元気が。
「そんなんじゃなくて、ここで働かせようかと」
「うんっ、オッケー」
右手で青くなった髭を擦りながら、左手で親指を立てる。
早いな。即断即決、男らしいぜ。
「ああー……。ええ、良いんですか? 面接とかしなくても」
やっとナナが口を開く。思ったよりは動揺していないな。
「良いのよ。それだけ可愛かったら何でもオッケー」
「ああ、えっと有難うございます……?」
そうでもないみたいだ。何か借りてきた猫みたいに大人しくなってる。
「それじゃ履歴書だけでも書いておこうかしら。座っていいわよ」
「しっ、失礼します」
休憩室の二脚しかないパイプ椅子に座るナナ。俺は立ちっぱなしか。
「えーっと。貴方名前は何ていうのかしら」
「安芸津ナナって言います」
ほお。淀みなく偽名が出てくるとは。それとも、俺が思ってるより気に入ってんのかな、その名前。なんか罪悪感。
「住所は?」
「彰彦さんと同じです」
「あらあらあら?」
手持無沙汰になって商品の段ボールに凭れていた俺に、店長が疑惑の視線を向ける。ワイドショー好きのおばさんか。
「従妹ですからね。やましいことは無いですよ」
「従妹って結婚できるわよねえ」
なーに言ってんだこいつ。いや、目上の人だけど。むしろ恩人ではあるけども、それはそれ。
「楽しそうなことしてるねー」
売り物の缶チューハイを片手に白雪先輩が乱入してくる。四人も入ったらこの休憩室は窮屈でしょうがない……。
「もうっ、花白ちゃん。レジ無人にしないでって言ってるでしょ」
「誰も来ないんだし良いじゃない」
売り物を勝手に飲んでることには文句言わないんだ。まあ、お金払っているしなぁ、この人。売り上げの何%かはこの人だし。それでもどうかと思うけど。
「というか、安芸津ナナ? 拾ってきた知らない子みたいな言い方してなかったっけ?」
ぐう。よく覚えてるじゃないか。拾ってきたとは言ってないけど。
「いやー、それはどうですかねぇ……」
「アタシに嘘ついたのかなー、彰彦ちゃん」
近い近い。寄るな酒臭い。
「……っぷ。あはははは!」
いきなり大声を出して笑い始めるナナ。ついに壊れたか?
「おお。そうしてる方が可愛いじゃん、魔法少女ちゃん」
「ええっ。この子魔法少女なの? あらやだ。憧れてた魔法少女にこんな形で会えるなんて!」
カオスな会話してんな。何だこのコンビニ。
相変わらずナナは腹を抱えて笑っているし、その様子を店長と花白先輩は見て和んでいるし。
「ゴミ」
今度は強めに手刀を振り下ろす。俺の手も痛かった。中学の頃に「殴ってる先生の手も痛いんですよ!」と言っていたヒステリックなババアの気持ちが今になって分かった気がする。あの時はすみませんでした。授業中にガム噛んだだけでそこまで怒るとは思わなかったんです。それにしても原付は知らないのに大型を知っているのか、魔法少女。
「いったいですよー。それにアホは良いですけど、ゴミは酷いです」
「それはすまん。けど、こういうのは働いて返すものなんだよ」
人間界の流儀ってやつですかーと涙目で頭をさする。こいつ、泣きそうな時が一番可愛いな。
「そうだ。とっておきのバイト先があるんだが、今から行かないか?」
「今からですかー……。そうですね、分かりました。行きましょう」
「おっす、お二人さん。デートとは見せつけてくれるじゃないの」
コンビニの制服姿の白雪先輩がふざけたことを言っている。酔ってなくてもこれだから彼氏が出来ないのではないだろうか。
「全然違いますよ。ほら、昨日働いて返させるって言ったじゃないですか。此処で働かせようかと」
「言ってたっけ? アタシ酔っている時のこと、いまいち覚えてないんだよね。でも、そっかー、魔法少女ちゃんが来るなら楽しくなりそうじゃない」
覚えてるじゃない。ナナは白雪先輩に抱き寄せられて、撫でられたり、揉まれたりされるがままになっている。いつ懐いたのやら。
「店長は?」
「裏に居るよん」
へい、と投げやりに返事をして、バックヤードに入る。そこから半身と手を出してナナを招く。白雪先輩が名残惜しそうにしているが無視。
「ちょっとびっくりするぞ」
「何がですか?」
ぎいっと扉を軋ませながら二人で倉庫兼休憩室に這入る。
「あらっ、安芸津ちゃんじゃなーい。今日はシフト入ってないわよねえ……あらあらあら誰かしらそのお人形さんみたいな子は! はっ! 彼女が出来たからワタシに紹介しようってワケ!?」
一九〇越えの巨体をくねくねと揺らしながら、猫なで声で話し掛けてくる。はて、店長も俺とともに二週間連続で出勤した筈だが、どこにそんな元気が。
「そんなんじゃなくて、ここで働かせようかと」
「うんっ、オッケー」
右手で青くなった髭を擦りながら、左手で親指を立てる。
早いな。即断即決、男らしいぜ。
「ああー……。ええ、良いんですか? 面接とかしなくても」
やっとナナが口を開く。思ったよりは動揺していないな。
「良いのよ。それだけ可愛かったら何でもオッケー」
「ああ、えっと有難うございます……?」
そうでもないみたいだ。何か借りてきた猫みたいに大人しくなってる。
「それじゃ履歴書だけでも書いておこうかしら。座っていいわよ」
「しっ、失礼します」
休憩室の二脚しかないパイプ椅子に座るナナ。俺は立ちっぱなしか。
「えーっと。貴方名前は何ていうのかしら」
「安芸津ナナって言います」
ほお。淀みなく偽名が出てくるとは。それとも、俺が思ってるより気に入ってんのかな、その名前。なんか罪悪感。
「住所は?」
「彰彦さんと同じです」
「あらあらあら?」
手持無沙汰になって商品の段ボールに凭れていた俺に、店長が疑惑の視線を向ける。ワイドショー好きのおばさんか。
「従妹ですからね。やましいことは無いですよ」
「従妹って結婚できるわよねえ」
なーに言ってんだこいつ。いや、目上の人だけど。むしろ恩人ではあるけども、それはそれ。
「楽しそうなことしてるねー」
売り物の缶チューハイを片手に白雪先輩が乱入してくる。四人も入ったらこの休憩室は窮屈でしょうがない……。
「もうっ、花白ちゃん。レジ無人にしないでって言ってるでしょ」
「誰も来ないんだし良いじゃない」
売り物を勝手に飲んでることには文句言わないんだ。まあ、お金払っているしなぁ、この人。売り上げの何%かはこの人だし。それでもどうかと思うけど。
「というか、安芸津ナナ? 拾ってきた知らない子みたいな言い方してなかったっけ?」
ぐう。よく覚えてるじゃないか。拾ってきたとは言ってないけど。
「いやー、それはどうですかねぇ……」
「アタシに嘘ついたのかなー、彰彦ちゃん」
近い近い。寄るな酒臭い。
「……っぷ。あはははは!」
いきなり大声を出して笑い始めるナナ。ついに壊れたか?
「おお。そうしてる方が可愛いじゃん、魔法少女ちゃん」
「ええっ。この子魔法少女なの? あらやだ。憧れてた魔法少女にこんな形で会えるなんて!」
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相変わらずナナは腹を抱えて笑っているし、その様子を店長と花白先輩は見て和んでいるし。
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