小さき文官は強大な騎士を手に入れる

朝子

文字の大きさ
9 / 10

09.【番外編】文官と騎士、一人遊びの次の日 *

しおりを挟む
 リーヴァイが夜勤後の仮眠から目を覚ましたのは、そろそろ夕刻になろうかという頃のこと。
 さすがにまだルカは帰っていないか、と広い寝室を見渡す。夜勤明けの次の日は休みと決まっているが、ルカの明日の仕事はさて、どうだったか。
 寝台を下りながら風呂場に向かい、寝汗を流す。身体を拭いている時に、外から馬車の音が聞こえてきた。ルカだ。昨夜から恋焦がれたルカが帰ってきた。
 ゆるい普段着を身に着けてホールへと向かうと、ちょうどルカが執事にいざなわれ入ってきた所で。

「おかえりなさい、ルカ」
「……リーヴァイ……」

 ルカは潤んだ瞳で出迎えのリーヴァイを見つめる。
 それは、多分、二人にしかわからない感情の揺れというやつで、ルカは他人には変わらぬ無表情で「今日は軽く食べてきたから、夜食はいらないよ。明日は午後からの登城になるから、朝食も用意しなくて大丈夫だ。昼を食べたら出かける予定だよ」そんなことを淡々と伝える。
 じゃあ、下がっていいよ。おつかれさま。
 そんな言葉を聞いてリーヴァイはルカをエスコートするために、背中にそっと手を置いた。性的な接触でもないのに、ルカはほんの少しだけびくりと動く。
 その動きに気づかないふりをして、リーヴァイはルカを寝室まで連れて行く。寝室に入り、鍵をかけて……。

「ちょっと、湯をつかってくるから……リーヴァイ、待っててくれるか……?」

 うつむき気味のルカのまつげの長さに、リーヴァイは高鳴る動悸をとめられないままに「はい、どうぞごゆっくり」なんて言うのだから。
 本当はそのままでもいいんですよ、と言ってやりたいが、そういうわけにもいかないだろう。ルカにはルカの事情があるのだ。
 そう思い、寝台にゆるく腰掛けたリーヴァイはルカを待つ。
 ふ、と、ルカのディルドコレクションの棚を見ると、珍しく鍵が刺さったままだった。
 リーヴァイの喉がなる。昨夜、久しぶりにコレクションを使ったということだ。そのうえで、今朝あった時に「リーヴァイがいなくて、気持ちも……身体も、両方、何か欠けたようで寂しかった。今夜、欠けた部分を埋めてもらえるだろうか」そんなことを言ってでかけたルカ。
 それは、贅を尽くして集めてきた慣れ親しんだディルドよりも、リーヴァイの方が良いということで……。

「はーー……勃っちまった……下穿きがきつい……」

 少し落ち着こうと深呼吸をしたときのこと。
 風呂場から、細く高い声が聞こえる。特に助けを呼ぶような緊急時ではなさそうだが、それでもそんな声が出るようなことが風呂場で……?
 自分の目の前でこれから行われるなら理解できるが、自分のいない風呂場で?

 リーヴァイは立ち上がり、風呂場の扉に顔を寄せた。

「……は、あぁ、あ、……ん…………リーヴァイ……」

 扉を一枚隔てたところでなぜかルカがあえいでいる。自分の名前を呼びながら。なぜ。どうして。意味がわからないながらも、リーヴァイは思わず扉をコンコンと叩いた。

「ルカ、……大丈夫ですか? なんか、声が……」
「……リーヴァイ……助けて……」
「え?! 失礼します!」

 あえいでいると勝手に解釈して来てしまったが、まさか助けを求められるような事態に陥っていたとは……!
 リーヴァイは己の妄想を深く反省しながら、風呂場へと続く扉を勢いよくあけた。倒れていたらどうしよう。血を流していたら、吐いていたら……瞬時に頭の中を色々な良くないことが目まぐるしくめぐり、いや、大丈夫だ、何があっても良いように騎士たるもの心構えはいつでもできている、などと思ったが。

「……ルカ……?」
「……リーヴァイ……、たすけてよ……」

 肌着もつけずに、全裸のまま右腕を後ろに回して自身の後孔を広げるルカ。
 その姿はどんな美しい神よりも、リーヴァイの目には美しくうつり……ではなく。

「はい、ええと、何を助ければ……よろしいでしょう……」
「あの、っ……! 後ろを、きれいにしてたんだけど、やってるうちに……気持ちよくなっちゃって……もうちょっと奥……弄りたいんだけど……! 届かないよ、リーヴァイ、……っ! たすけて!」
「は、はい、承知しました!」

 いや。
 待て。
 思わず階級制度に則って、良い返事をし、助けようかと反射的に身体は動いたが一体何を助けろというのだ。
 だいたいこれからリーヴァイとルカはそういうことをするはずで……? そのためにリーヴァイは、馬並みと言われる自分の陰茎をはしたなくも勃たせた状態でルカを待っていたはずだが……?
 上気し、潤んだ瞳でリーヴァイを見上げながら尻をゆらゆらと揺らすルカ。今にも涙がこぼれそうで、本当に助けて欲しいのだろうが……。

「もう、ルカ、……あなた、これから何をしようとしていたか、忘れました……?」

 小柄で細いルカを片手で持ち上げた。自分の指がどこか良いところをかすったらしく、耳元で「ああっ」と声がする。

「大丈夫、助けます。でもそれはここではなく寝台で。いいですか」
「ん、うん、いい、いいよ、早く……そのおっきくて太い指で奥まで……!」
「……くっ」

 リーヴァイにしてはいささか乱暴に、ルカを寝台に落とした。
 この人をどこまで気持ちよくしてやろう。そんなことばかりが頭を駆け巡るリーヴァイの瞳は普段以上にギラギラしていたことだろう。


◇◇◇◇


 本当は、すぐにリーヴァイと一緒に寝台に飛び込んであの大きな唇を味わいたかった。
 分厚い舌を吸って、自分の口の中を舐め回してほしかった。

 だけど、自分の身体は一日仕事をしてきたわけで、その上後ろもきれいにしておかないとすんなりとコトには及べないだろう、と、ルカは聡明な頭で考えたのだ。
 それ自体は間違ってはいなかった。
 計算を間違えていたのは、ルカは後ろを弄ると自分の指でも余裕で気持ちよくなれるという部分だ。
 きれいにしなくては、と熱を入れて開いて流したりしているうちに、どんどん自分の気持ち良い部分を弄ってしまう。止めなくては、と思うのに、そこで止められるぐらいなら、今まで一人で散々自身の身体を開発してきたりしていないだろうが! という言葉すら頭に浮かんでくる。
 扉を一枚隔てた向こう側には、自分よりも太い指を持つリーヴァイが控えている。リーヴァイのあの太くて長い指でもっと奥まで弄ってほしい。もう自分だけでは無理だ。
 そこまで考えてリーヴァイは、助けを求めた。

 リーヴァイはすぐに来てくれた。
 さすが優秀な騎士。優秀で、優しくて、ルカのことが大好きな、リーヴァイだ。

 抱え上げられて寝台へと仰向けに放り出された。
 この少しの乱暴さに、ルカはゾクゾクしてしまう。いつもいつも自分を壊れ物のように大事に扱うリーヴァイが、ほんの少し乱暴にしてくるとき、それはリーヴァイの理性がギリギリのところにあるということで……。

「ど、どうするの、リーヴァイ……」
「ルカは、奥まで、この指を入れてほしいんでしょう?」

 リーヴァイは香油を塗りながら、指の長さをルカに見せつけるようにしてきた。

「そ、そう、それ早く……」
「しますよ。でも、私もしたいことがあるので」
「なに、したいこと、んあぅっ……!」

 指が入る。
 さっきまでルカが弄っていた場所に、太くて長い指が。二本慎重な動きで入れながら「ここまで広げちゃったんですか。私にやらせてくれたらよかったものを」そうつぶやきながら、リーヴァイはゆっくりゆっくりと指を動かしていく。

「んんんんっ……! もどかしい、りーゔぁい、もっとぎゅってはやく、……!」
「ちょっと待って……」

 ルカの細く長い両脚を肩に乗せるようにして、リーヴァイは後孔に指を入れたまま、大きく口を開いた。

「待って、君、りーゔぁい、なに、あああああああああああああああっ! あああああ、や、やだすごい! あああああ!」

 後ろを優しくいじられながら、ルカの小さな陰茎と陰嚢はまとめてリーヴァイの口の中へとおさめられた。吸い、舐めて、唾液でべとべとにしながら、形を確かめるように、味わうようにねっとりと舌を這わせる。
 ルカは想定以上の気持ちよさを与えられて完全に混乱してしまった。

「ちょっと、待って、それ……! ちが、ちがう、前で、前でイッちゃう、精液でちゃう、でちゃうから! リーヴァイ」
「ろうぞ」

 多分、どうぞ、と答えたリーヴァイは更に刺激を強くする。
 自分の陰嚢がきゅっと上に上がる感覚がする。これ以上勃ちあがれないルカの小さな陰茎は、ふるふると震えながら先走りをこぼし続ける。が、それも全てリーヴァイが吸い取ってしまう。

「や、やだ、後ろも、後ろも……!」

 ルカは懇願する。どっちも気持ちよくなりたい。貪欲に、正直に、自分の気持を告げると、リーヴァイは指を三本へと増やしてくれた。少しだけ指を曲げて腹側を押すように刺激する。
 もちろん、口も休まず、ルカにはもはや快楽しかなく……。

「や、ああ、んんんんぁ、っりーゔぁ、い、ごめ、ああああ、でるっ……!」

 ルカはそう叫ぶと腰を震わせて精液を出す。
 ああ、出てしまったと思うまもなく、リーヴァイは更に吸い付いてくるのだから……。

「ああああ、やああ、ああ、出たばっかりだから、出た、ばっかりんんんんん……! す、吸わないで、なんか他の、他のなにか、出ちゃいそうになるっ……! それよりもう入れて、リーヴァイの、おっきいの、早く、早くお願い……!」

 涙目どころか涙を流して、ルカは懇願する。
 ルカは知らないが、リーヴァイだって意地悪したいわけではないし我慢は限界にきているのだ。リーヴァイは今朝方行った簡素な自慰では全く満足できていない。だから、お願いされれば待たせるつもりもなく突っ込みたい。
 ルカだって、同じだ。昨晩行ったディルドでの一人遊びでは何かが足りなかった。それは考えるまでもなく、リーヴァイが足りないとわかってる。

 ルカは、リーヴァイに向かって腕をのばす。
 抱きしめて、そして、挿入してほしい。

 リーヴァイはそのお願いを正確に汲み取ると、ルカの身体を抱きしめるようにしながら、大きな陰茎をゆっくりと挿入しはじめたのだった。
 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

帰宅

pAp1Ko
BL
遊んでばかりいた養子の長男と実子の双子の次男たち。 双子を庇い、拐われた長男のその後のおはなし。 書きたいところだけ書いた。作者が読みたいだけです。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

処理中です...