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私は子供が嫌いだ
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今日は仕事が休みだったから公園に行ってみた。
公園に着くと、ベンチに一人の小学生が座っていた
小学生が?
「君、小学生?」
「そうですけど。何か?」
小学生は落ち着いた素振りで話した。
「いや、小学生が平日昼間から公園で何してるのかなって。学校は?」
「抜け出してきました」
「えぇっ!抜け出した?授業放棄して?」
「はい」
彼女は表情一つ変えずに答えた。
「本当に勝手に学校を休んだんだよね?」
「そうだと言ってますよね。同じ事何回も聞くとか、社会人としてどうなんです?あなたには関係の無い話です」
少し心に刺さる言葉を小学生に言われてしまった。
「関係が無くても一度僕に話してみてよ。答えてあげることぐらいできると思うし」
彼女は嫌そうな表情をしている。
「なんで話さないといけないんです?別に誰かに話して気が楽になんてなりませんし」
「そんなの話してみないと分からないでしょ」
「それじゃあ名前を教えて下さい」
名前?
「佐藤だけど。一応僕にも名前教えて?」
「じゃあ、ネオで」
「ネオ?」
「ゲームのアカウント名ですよ。他人に本名明かすほどセキュリティガバガバじゃないです」
「別に君の本名知った所で何もないけど」
「用心するに越した事はないでしょう。でもどうしてそこまでして私の学校をサボる理由を聞きたいんです?」
嘘をつこうかと思ったが本当のことを言うことにした。
「ちょっと心残りがあってね。君みたいな人をほっとけないんだ。それと、もしよければ家族構成教えてもらえる?」
「話せば満足するんですよね? 」
僕は頷いた。
「もしここで変な事したりしたら叫びますよ。周りの人は事案と捉えるはずです」
「なかなかな事考えるね…」
「録音もしてますよ。まずは家族構成なんですけど、21歳のお兄さんと18歳のお姉さんと私が一緒に暮らしてます。ちなみに両親は私が物心つく前に他界してます」
「年齢差凄いね」
「はい。多分ですけど私は養子だと思うんです。年齢的にそうじゃないとおかしいので。今はお兄さんが大学に通いながらバイトしていて大変そうです」
「それは大変だね…」
「学校に行かない理由でしたよね。私、子供が嫌いなんです。私含めた子供が」
「どうして子供が嫌いなの?」
「単純に子供の素直さが苦手なのもあります。去年、私はいじめられていました。いじめには耐えられたし、先生にその事を話すといじめっ子を怒ってくれました。たまにいるクソ教師じゃなくて良かったです」
彼女は少し顔を歪めた。
「でもそのあと、考えちゃったんです。どうして生きているのかって。周りの人が何故笑顔でいれるのか、希望を持っていられるのか不思議で。私だけが周りと違って孤立していきました。そこから徐々に病んで引きこもりになりました。もしかしたらその時、軽度から中度の鬱病になってたかもしれないです」
すぐそこにある橋を指差して彼女は言った。
「存在意義意義が分からなくなって一度死のうかと思いましたよ。でもそんな事をする勇気がなくて、とりあえずお兄さんとお姉さんに相談したんです。お兄さんは、「辛いなら元気になるまで学校に行く必要はないよ」と慰めてくれて、お姉さんは優しく抱きしめてくれました」
彼女はこちらに向き直って聴いてきた。
「どうしたんです?まさか小学五年生がこんな悩みを抱えていると思っていなくて驚いています?」
「そりゃあ驚くよ。だってそんな悩みを持つのは中学から高校生が多い訳だし。少なくとも僕の知り合いには小学生で病む人なんていなかったよ」
「そうなんですかね。話を戻しますけど、そのあと私はお姉さんに良くしてもらってました。大好きなゲームに熱中して少し気が楽になりました。そしてある日またあの時の悩みを思い出してしまったんです。また泣きたくなったのでお姉さんの所に行ってお姉さんに抱きついて泣いていました。そしたら、一枚の紙が目につきました。お姉さんの大学の合否が書いてある紙です。それも不合格の通知で。お姉さんは受験よりも私を優先していた事を思い知ってお姉さんに甘えられなくなりました」
「そうなんだ…」
「私、思ったんです。優しい人にとって子供の涙はナイフ同然だと。私は今までお世話になった優しい人に無意識で刃物を向けていた事に気がついたんです」
「…」
「学校に行くのはしんどくて、でも心配をかけたくない。なので、先生に私が学校を抜け出している事を黙認してもらってます。先生には、いじめがトラウマで一度学校から離れて慣れようとしていると伝えています」
どう慰めたらいいのか分からない。
まさか小学生がこんな事を考えているとは。
僕はこの年齢になってもそんな事は考えなかった。
「私、やっぱりクズですね。相手のことも考えず大切な人にナイフを向けて。お姉さんが受験に受からなかったのは私のせいですし」
そう言う彼女の目からは涙が溢れていた。
子供が嫌い。
この気持ちが分かった気がした。
彼女は涙を拭って言った。
「取り乱してすいません。思い出すとやっぱり辛くて」
「泣きたい時はおもいっきり泣いた方がいいよ。泣くと気が少し楽になるよ。それに、心のデトックス効果があったり、マンガンが低下したりするよ」
「なんですかその科学的な知識出して"僕、頭のいい理系"ですよアピール」
彼女はそう言って笑った。
やっぱり、子供の泣き顔は見たくない。
子供には笑顔でいてほしい。
「僕は根っからの文系だよ」
「じゃああなたの心残りって奴教えて下さいよ」
「僕は元々国語教師を目指してたんだ。国語が得意で子供が好きだからね」
「そうなんですか」
「中学三年生の時に、中学二年生の友達がいたんだ。その子とはご近所さんで小さい頃から仲良しだった。ある日その子が自殺しようとしてたんだ。それを止めようと話を聞いて励まそうとしたんだけど…ダメだった。最後に、今までありがとうとだけ言い残して飛び降りた。自分がどうにかすれば救えたかもしれない命。そう考えると、国語教師になるべき人間じゃないなって思って」
「大変なんですね。自殺って一番周りの人に影響を与えると思うんです。自分で止められたんじゃないかって自分を責めたりして。私が言いたいのは、自殺は自殺した本人の意思な訳ですしあなたは悪くないと思います」
まさか小学生に励まされるとは思わなかった。
「励ましてくれてありがとう。元気が出たよ。国語教師になるのを諦めたのにはもう一つ理由があってね。子供が怖かったんだ。純粋で素直な子供が。僕にもそんな頃があったはずなのにね」
「子供が好きだけど怖いてすか。子供なんてそんな物ですよ。まだまだ未熟者なので、これから色々なことを学んでいくんです。純粋さはまだ知らない事があるだけで問題は無いですよ。私だって未熟です。それに、私に純粋さはあまり無いですよ。信頼した人にしか本当の事を話せてません」
「じゃあ、今までの話って?」
「秘密です」
そう言って彼女は笑った。
公園に着くと、ベンチに一人の小学生が座っていた
小学生が?
「君、小学生?」
「そうですけど。何か?」
小学生は落ち着いた素振りで話した。
「いや、小学生が平日昼間から公園で何してるのかなって。学校は?」
「抜け出してきました」
「えぇっ!抜け出した?授業放棄して?」
「はい」
彼女は表情一つ変えずに答えた。
「本当に勝手に学校を休んだんだよね?」
「そうだと言ってますよね。同じ事何回も聞くとか、社会人としてどうなんです?あなたには関係の無い話です」
少し心に刺さる言葉を小学生に言われてしまった。
「関係が無くても一度僕に話してみてよ。答えてあげることぐらいできると思うし」
彼女は嫌そうな表情をしている。
「なんで話さないといけないんです?別に誰かに話して気が楽になんてなりませんし」
「そんなの話してみないと分からないでしょ」
「それじゃあ名前を教えて下さい」
名前?
「佐藤だけど。一応僕にも名前教えて?」
「じゃあ、ネオで」
「ネオ?」
「ゲームのアカウント名ですよ。他人に本名明かすほどセキュリティガバガバじゃないです」
「別に君の本名知った所で何もないけど」
「用心するに越した事はないでしょう。でもどうしてそこまでして私の学校をサボる理由を聞きたいんです?」
嘘をつこうかと思ったが本当のことを言うことにした。
「ちょっと心残りがあってね。君みたいな人をほっとけないんだ。それと、もしよければ家族構成教えてもらえる?」
「話せば満足するんですよね? 」
僕は頷いた。
「もしここで変な事したりしたら叫びますよ。周りの人は事案と捉えるはずです」
「なかなかな事考えるね…」
「録音もしてますよ。まずは家族構成なんですけど、21歳のお兄さんと18歳のお姉さんと私が一緒に暮らしてます。ちなみに両親は私が物心つく前に他界してます」
「年齢差凄いね」
「はい。多分ですけど私は養子だと思うんです。年齢的にそうじゃないとおかしいので。今はお兄さんが大学に通いながらバイトしていて大変そうです」
「それは大変だね…」
「学校に行かない理由でしたよね。私、子供が嫌いなんです。私含めた子供が」
「どうして子供が嫌いなの?」
「単純に子供の素直さが苦手なのもあります。去年、私はいじめられていました。いじめには耐えられたし、先生にその事を話すといじめっ子を怒ってくれました。たまにいるクソ教師じゃなくて良かったです」
彼女は少し顔を歪めた。
「でもそのあと、考えちゃったんです。どうして生きているのかって。周りの人が何故笑顔でいれるのか、希望を持っていられるのか不思議で。私だけが周りと違って孤立していきました。そこから徐々に病んで引きこもりになりました。もしかしたらその時、軽度から中度の鬱病になってたかもしれないです」
すぐそこにある橋を指差して彼女は言った。
「存在意義意義が分からなくなって一度死のうかと思いましたよ。でもそんな事をする勇気がなくて、とりあえずお兄さんとお姉さんに相談したんです。お兄さんは、「辛いなら元気になるまで学校に行く必要はないよ」と慰めてくれて、お姉さんは優しく抱きしめてくれました」
彼女はこちらに向き直って聴いてきた。
「どうしたんです?まさか小学五年生がこんな悩みを抱えていると思っていなくて驚いています?」
「そりゃあ驚くよ。だってそんな悩みを持つのは中学から高校生が多い訳だし。少なくとも僕の知り合いには小学生で病む人なんていなかったよ」
「そうなんですかね。話を戻しますけど、そのあと私はお姉さんに良くしてもらってました。大好きなゲームに熱中して少し気が楽になりました。そしてある日またあの時の悩みを思い出してしまったんです。また泣きたくなったのでお姉さんの所に行ってお姉さんに抱きついて泣いていました。そしたら、一枚の紙が目につきました。お姉さんの大学の合否が書いてある紙です。それも不合格の通知で。お姉さんは受験よりも私を優先していた事を思い知ってお姉さんに甘えられなくなりました」
「そうなんだ…」
「私、思ったんです。優しい人にとって子供の涙はナイフ同然だと。私は今までお世話になった優しい人に無意識で刃物を向けていた事に気がついたんです」
「…」
「学校に行くのはしんどくて、でも心配をかけたくない。なので、先生に私が学校を抜け出している事を黙認してもらってます。先生には、いじめがトラウマで一度学校から離れて慣れようとしていると伝えています」
どう慰めたらいいのか分からない。
まさか小学生がこんな事を考えているとは。
僕はこの年齢になってもそんな事は考えなかった。
「私、やっぱりクズですね。相手のことも考えず大切な人にナイフを向けて。お姉さんが受験に受からなかったのは私のせいですし」
そう言う彼女の目からは涙が溢れていた。
子供が嫌い。
この気持ちが分かった気がした。
彼女は涙を拭って言った。
「取り乱してすいません。思い出すとやっぱり辛くて」
「泣きたい時はおもいっきり泣いた方がいいよ。泣くと気が少し楽になるよ。それに、心のデトックス効果があったり、マンガンが低下したりするよ」
「なんですかその科学的な知識出して"僕、頭のいい理系"ですよアピール」
彼女はそう言って笑った。
やっぱり、子供の泣き顔は見たくない。
子供には笑顔でいてほしい。
「僕は根っからの文系だよ」
「じゃああなたの心残りって奴教えて下さいよ」
「僕は元々国語教師を目指してたんだ。国語が得意で子供が好きだからね」
「そうなんですか」
「中学三年生の時に、中学二年生の友達がいたんだ。その子とはご近所さんで小さい頃から仲良しだった。ある日その子が自殺しようとしてたんだ。それを止めようと話を聞いて励まそうとしたんだけど…ダメだった。最後に、今までありがとうとだけ言い残して飛び降りた。自分がどうにかすれば救えたかもしれない命。そう考えると、国語教師になるべき人間じゃないなって思って」
「大変なんですね。自殺って一番周りの人に影響を与えると思うんです。自分で止められたんじゃないかって自分を責めたりして。私が言いたいのは、自殺は自殺した本人の意思な訳ですしあなたは悪くないと思います」
まさか小学生に励まされるとは思わなかった。
「励ましてくれてありがとう。元気が出たよ。国語教師になるのを諦めたのにはもう一つ理由があってね。子供が怖かったんだ。純粋で素直な子供が。僕にもそんな頃があったはずなのにね」
「子供が好きだけど怖いてすか。子供なんてそんな物ですよ。まだまだ未熟者なので、これから色々なことを学んでいくんです。純粋さはまだ知らない事があるだけで問題は無いですよ。私だって未熟です。それに、私に純粋さはあまり無いですよ。信頼した人にしか本当の事を話せてません」
「じゃあ、今までの話って?」
「秘密です」
そう言って彼女は笑った。
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