7 / 65
1章 超能力者の存在
6話 脅し
しおりを挟む
「良かった。もしかしたら、また逃げられるんじゃないかと思ってたよ」
自分の席で空を見つめながら黄昏ていると、後ろから声がした。
京雅は、振り返りもせず、空を見続けた。
「御託は求めてない。話ってなんだ?」
外人イケメンの方を一切見ようとせず口を開く。
その京雅の姿に外人イケメンは特に気にすることなく、ニコニコとしていた。
「お互いに嘘を付くのは無しにしよう。僕たちの間に誤魔化しは要らないよ、凡人君」
「………要件だけを早く言えよ」
京雅はゆっくりと椅子から立ち上がると、ドス黒いオーラを纏いながら鋭い眼光で外人イケメンの方を睨みつけた。
「っ………!!」
その姿を見た外人イケメンは反射的に京雅との距離を大きく取る。
先程まで浮かべていた余裕を感じさせる笑みは既になく、警戒を顕にしている。
「まずは自己紹介といこうぜ、瑛翔」
悪役のような笑みを浮かべ、外人イケメン……瑛翔と呼ばれた男をバカにするかのような、見下すような目を向ける。
「な、なんで……僕の名を?」
更に警戒の色を増しながら、そう尋ねてくる。
その質問を待ってたとばかりに京雅は勢いよく食い付いた。
「それが俺の超能力……超眼さ」
「なっ!?」
本当は、異世界では定番のステータス確認を応用し、自分以外の人間の個人情報も見えるようにしただけだ。
「次はこっちが質問する番だ」
京雅はわざと瑛翔の方へ一歩近づく。
それに合わせ瑛翔も後退りをしていく。
「お前は俺の敵か?」
「………どういう意味だい?」
「とぼけやがってよ」
「一体、何を……ッ!!」
その返答を聞いた京雅は一瞬にして瑛翔との距離を詰め、瑛翔の思考が追いつく頃には首を絞められていた。
「黙って吐け。答え次第でテメェは死ぬからな。慎重に答えろ」
「本、当に知ら……知らない」
苦しそうにしながらもハッキリと知らないと答えた。
京雅は上目で瑛翔の目を睨む。
「そ、そもそも………僕以、外の超能、力……者には、初、めてあっ、た、ん………だ」
顔の血の気が引いていくなか、必死に藻掻きながらも、ただ自分の意見を突き通す。
「…………」
「ぷはっ!はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」
無言で瑛翔の首から手を離した。
瑛翔は力無く床に座り込み、辛そうにしながら呼吸を整える。
「つまり、テメェに知り合いは居ねぇんだな?」
「…………あぁ、もちろんさ。僕以外の超能力者が居ることを知って好奇心で君に近付いたんだ。でも、君にとって超能力は誇らしいものではないみたいだね」
呼吸を整えた瑛翔はゆっくりと口を開いた。
そして机に手を乗せて、ゆっくりと立ち上がる。あんな事をされた後だと言うのに、瑛翔は平然としていた。
逆に先程まで見せていた警戒などは全くなく、なぜか清々しい様子さえ見せていた。
「出来れば超能力について色々と話し合いたかったんだよ」
スボンに付いたホコリを払いながら京雅を教室に残していた本来の要件を述べる。
京雅は近くの机に腰掛け、瑛翔を見つめる。
その時、瑛翔は違和感を覚えた。本来なら立っている瑛翔が京雅を見下ろしているハズなのに、瑛翔は自分が見下ろされているように錯覚したからだ。
その事に気がついた瑛翔は自嘲気味に笑みを浮かべた。
「ハハッ。どうやら君には助けすら必要無いようだね。助けが必要なのは僕の方だ」
「……………」
無言のまま瑛翔を見上ろしている京雅の目には一種の呆れのようなものが含まれていた。
「僕の超能力は超スピードさ。最速で時速九百キロ……だいたい亜音速まで出せる。そこで疑問があるんだけど、聞いても良いかな?」
「…………疑問だと?」
鋭い眼光で瑛翔を睨みつける。
「僕の超スピードが見えたのは君の超眼のおかげだと思う。じゃあ、超スピードで走る僕を止められたのはなんでだい?あのスピードで生身の人間が当たれば確実に死ぬだろはずだろう?」
「…………」
京雅は考えた。確かに、普通の人間なら手を出しただけで超スピードを止めることなど不可能だ。
だが、京雅のような超人からすれば、あの程度では痛みすら感じない。
だが、それをそのまま言えば、怪しまれるのは火を見るよりも明らかだ。
「どうかしたのかい?」
「………三複合超能力者」
「とら……え?」
京雅の口から咄嗟に出たそのウソに瑛翔は困惑を隠せなかった。
「俺は三つの超能力を扱える。だから勝手にそう呼んでるだけだ」
「三つも!?そんなの有り得ない……」
「そんな事知らねぇよ。けどまぁ……お前と話して確信したよ」
座っていた机から降りると、空の方を見つめる。
どこか遠くを見据えるその姿に瑛翔は魅入る。
「俺らの他にも居るぞ、人の面をした怪物がな」
空から視線を外した京雅は、険しい顔を見せながら瑛翔の顔を見つめた。
自分の席で空を見つめながら黄昏ていると、後ろから声がした。
京雅は、振り返りもせず、空を見続けた。
「御託は求めてない。話ってなんだ?」
外人イケメンの方を一切見ようとせず口を開く。
その京雅の姿に外人イケメンは特に気にすることなく、ニコニコとしていた。
「お互いに嘘を付くのは無しにしよう。僕たちの間に誤魔化しは要らないよ、凡人君」
「………要件だけを早く言えよ」
京雅はゆっくりと椅子から立ち上がると、ドス黒いオーラを纏いながら鋭い眼光で外人イケメンの方を睨みつけた。
「っ………!!」
その姿を見た外人イケメンは反射的に京雅との距離を大きく取る。
先程まで浮かべていた余裕を感じさせる笑みは既になく、警戒を顕にしている。
「まずは自己紹介といこうぜ、瑛翔」
悪役のような笑みを浮かべ、外人イケメン……瑛翔と呼ばれた男をバカにするかのような、見下すような目を向ける。
「な、なんで……僕の名を?」
更に警戒の色を増しながら、そう尋ねてくる。
その質問を待ってたとばかりに京雅は勢いよく食い付いた。
「それが俺の超能力……超眼さ」
「なっ!?」
本当は、異世界では定番のステータス確認を応用し、自分以外の人間の個人情報も見えるようにしただけだ。
「次はこっちが質問する番だ」
京雅はわざと瑛翔の方へ一歩近づく。
それに合わせ瑛翔も後退りをしていく。
「お前は俺の敵か?」
「………どういう意味だい?」
「とぼけやがってよ」
「一体、何を……ッ!!」
その返答を聞いた京雅は一瞬にして瑛翔との距離を詰め、瑛翔の思考が追いつく頃には首を絞められていた。
「黙って吐け。答え次第でテメェは死ぬからな。慎重に答えろ」
「本、当に知ら……知らない」
苦しそうにしながらもハッキリと知らないと答えた。
京雅は上目で瑛翔の目を睨む。
「そ、そもそも………僕以、外の超能、力……者には、初、めてあっ、た、ん………だ」
顔の血の気が引いていくなか、必死に藻掻きながらも、ただ自分の意見を突き通す。
「…………」
「ぷはっ!はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」
無言で瑛翔の首から手を離した。
瑛翔は力無く床に座り込み、辛そうにしながら呼吸を整える。
「つまり、テメェに知り合いは居ねぇんだな?」
「…………あぁ、もちろんさ。僕以外の超能力者が居ることを知って好奇心で君に近付いたんだ。でも、君にとって超能力は誇らしいものではないみたいだね」
呼吸を整えた瑛翔はゆっくりと口を開いた。
そして机に手を乗せて、ゆっくりと立ち上がる。あんな事をされた後だと言うのに、瑛翔は平然としていた。
逆に先程まで見せていた警戒などは全くなく、なぜか清々しい様子さえ見せていた。
「出来れば超能力について色々と話し合いたかったんだよ」
スボンに付いたホコリを払いながら京雅を教室に残していた本来の要件を述べる。
京雅は近くの机に腰掛け、瑛翔を見つめる。
その時、瑛翔は違和感を覚えた。本来なら立っている瑛翔が京雅を見下ろしているハズなのに、瑛翔は自分が見下ろされているように錯覚したからだ。
その事に気がついた瑛翔は自嘲気味に笑みを浮かべた。
「ハハッ。どうやら君には助けすら必要無いようだね。助けが必要なのは僕の方だ」
「……………」
無言のまま瑛翔を見上ろしている京雅の目には一種の呆れのようなものが含まれていた。
「僕の超能力は超スピードさ。最速で時速九百キロ……だいたい亜音速まで出せる。そこで疑問があるんだけど、聞いても良いかな?」
「…………疑問だと?」
鋭い眼光で瑛翔を睨みつける。
「僕の超スピードが見えたのは君の超眼のおかげだと思う。じゃあ、超スピードで走る僕を止められたのはなんでだい?あのスピードで生身の人間が当たれば確実に死ぬだろはずだろう?」
「…………」
京雅は考えた。確かに、普通の人間なら手を出しただけで超スピードを止めることなど不可能だ。
だが、京雅のような超人からすれば、あの程度では痛みすら感じない。
だが、それをそのまま言えば、怪しまれるのは火を見るよりも明らかだ。
「どうかしたのかい?」
「………三複合超能力者」
「とら……え?」
京雅の口から咄嗟に出たそのウソに瑛翔は困惑を隠せなかった。
「俺は三つの超能力を扱える。だから勝手にそう呼んでるだけだ」
「三つも!?そんなの有り得ない……」
「そんな事知らねぇよ。けどまぁ……お前と話して確信したよ」
座っていた机から降りると、空の方を見つめる。
どこか遠くを見据えるその姿に瑛翔は魅入る。
「俺らの他にも居るぞ、人の面をした怪物がな」
空から視線を外した京雅は、険しい顔を見せながら瑛翔の顔を見つめた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる