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2章 奇妙な事件
8話 誤解 1
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「疲れたぁ……ちょっと寝てるから」
「あぁ。イビキかくなよ」
今は朝の七時。約六時間、二人は街を散策したり京雅の探知などで犯人を探していた。が、特に変な点はなくいつも通りだった。
部屋に戻ってきてから京雅は自分のベッドの上に座り込んでずっと考え事をしていた。
瑛翔はと言うと、今はすっかり気持ちよさそうな顔を浮かべて寝ていた。
「…………そうか。確かに……これに賭けるか」
京雅はおもむろにに立ち上がり、音を立てないようにゆっくりとドアを開ける。
「この時間帯ならもしかするかもしれない」
京雅は急ぎ足で玄関の所に無造作に落ちているコートを拾う。
「『付与術·(隠密)(気配遮断)』」
魔法の付与されたそのコートを京雅は羽織り勢いよく玄関から外へと出た。
外は既に太陽が登っていた。京雅はコートに付いているフードを深々と被り駆け足で家の敷地外へと出る。
「『探知·異種混血』」
道路に出た京雅は少しばかり歩いて、道端にある電柱の影に隠れるように壁に背中を預けて寄りかかった。
現在、京雅の脳内にはこの街の地理が事細かく脳内に刻まれていく。
その最中で一瞬顔を顰めるもののすぐさまいつもの無表情へと戻る。
「ん………?五つだと……?」
京雅の脳内には街内に分散して光る五つの光が映った。
二つはここからかなり離れた繁華街を堂々と歩いている。また、もう二つの反応は一箇所に固まって動かない。そして、一つの反応は京雅の通う学校付近にあった。
「マジか……面白くなりそうだな。『瞬間転移』」
宙にホコリを舞い上がらせて京雅の姿はそこから一瞬にして消えた。
~~~
「お前、こんなところで何してんだ?」
「っ………!!!」
京雅の転移先は家と家にある道……いわゆる路地裏だ。
その路地裏に入った京雅は後ろ姿のその人物を見据えたまま仁王立ちをした。
「あ、あなた……誰、ですか?」
震えた上擦った声でその人物はゆっくりと京雅の方を見た。
建物の影で良く顔が見えないものの、身長としては京雅よりも頭一つ分ほど小さい。
「…………ビンゴ」
「えっ?」
京雅の意味深な呟きに奥に居る人物は呆気にとられていた。
その間に京雅はその場から一瞬にして姿を消した。
「お前……ヴァンパイアだろ?」
「っ………!」
不意に背後から声がして、その人物は体をビクつかせた。
「まぁ、殺人を実際に実行ったのは残りの誰かだろうが」
「ッ………」
その人物は再び体をビクつかせた。その反応を見て京雅の中ではある事実が覆らぬ確信へと変わる。
「………お前、他人に害を加えたことないだろ?」
「………」
その人物は一切口を開かずにその場に留まる。このままでは埒が明がないと判断した京雅は強行手段をとる。
「難しいことは言わない……『事実を話せ』。わかったな?」
「………はい」
とても透き通った無機質な声がその場に響く。
「俺はこれから三つの質問をする。お前は質問にだけ答えろ。まず一つ目だ。お前はヴァンパイアか?」
京雅は家の塀に背中をくっ付けると、腕と足を軽く組んで、その人物を横目に見た。
「はい。私はヴァンパイアです」
「次……この世界に来た目的は?」
「私たちの王を殺めた人物を探しに来ました」
「殺めた……なるほどな。じゃあ、最後……お前の仲間は何人だ?」
「二人です。現在、王を殺めた人物とその補佐を捜索中です」
「なるほど。大体は理解した。協力感謝する」
京雅はそう言うと、指をパチンと鳴らした。
「っ……!」
我に返ったように目の前の人物は体をビクつかせた。
「お前らじゃないようだな。もう用済みだ」
京雅はその人物の横を通り過ぎようとした時、前方から物凄いスピードで何かが飛んできた。それを京雅は首を横に倒して紙一重で避ける。
「………ん?」
京雅の頬には擦り傷のものが突如としてうまれ、血が頬を伝って垂れる。
京雅は先程まで隣にいた人物の安否を確認しようとするも、既にそこには誰も居なかった。
「良くも……良くもやってくれたな、この外道が!!キサマにはプライドというものがないのか!」
その叫びで京雅は前に視線をやった。そこには三つの人影らしきものがあり、そのうちの一人は先程京雅の隣に居た人物を大事そうに抱きながら、鬼の形相で京雅の方を睨んでいた。
「出会い頭に攻撃するだけじゃ飽き足らずそこまで敵意を向けて来るか………いいぜ、やってるよ」
そうボヤく京雅の瞳には既に光が入ってはいなかった。そして、光の一切ない無機質な瞳が目の前の三人を捉える。
「あぁ。イビキかくなよ」
今は朝の七時。約六時間、二人は街を散策したり京雅の探知などで犯人を探していた。が、特に変な点はなくいつも通りだった。
部屋に戻ってきてから京雅は自分のベッドの上に座り込んでずっと考え事をしていた。
瑛翔はと言うと、今はすっかり気持ちよさそうな顔を浮かべて寝ていた。
「…………そうか。確かに……これに賭けるか」
京雅はおもむろにに立ち上がり、音を立てないようにゆっくりとドアを開ける。
「この時間帯ならもしかするかもしれない」
京雅は急ぎ足で玄関の所に無造作に落ちているコートを拾う。
「『付与術·(隠密)(気配遮断)』」
魔法の付与されたそのコートを京雅は羽織り勢いよく玄関から外へと出た。
外は既に太陽が登っていた。京雅はコートに付いているフードを深々と被り駆け足で家の敷地外へと出る。
「『探知·異種混血』」
道路に出た京雅は少しばかり歩いて、道端にある電柱の影に隠れるように壁に背中を預けて寄りかかった。
現在、京雅の脳内にはこの街の地理が事細かく脳内に刻まれていく。
その最中で一瞬顔を顰めるもののすぐさまいつもの無表情へと戻る。
「ん………?五つだと……?」
京雅の脳内には街内に分散して光る五つの光が映った。
二つはここからかなり離れた繁華街を堂々と歩いている。また、もう二つの反応は一箇所に固まって動かない。そして、一つの反応は京雅の通う学校付近にあった。
「マジか……面白くなりそうだな。『瞬間転移』」
宙にホコリを舞い上がらせて京雅の姿はそこから一瞬にして消えた。
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「お前、こんなところで何してんだ?」
「っ………!!!」
京雅の転移先は家と家にある道……いわゆる路地裏だ。
その路地裏に入った京雅は後ろ姿のその人物を見据えたまま仁王立ちをした。
「あ、あなた……誰、ですか?」
震えた上擦った声でその人物はゆっくりと京雅の方を見た。
建物の影で良く顔が見えないものの、身長としては京雅よりも頭一つ分ほど小さい。
「…………ビンゴ」
「えっ?」
京雅の意味深な呟きに奥に居る人物は呆気にとられていた。
その間に京雅はその場から一瞬にして姿を消した。
「お前……ヴァンパイアだろ?」
「っ………!」
不意に背後から声がして、その人物は体をビクつかせた。
「まぁ、殺人を実際に実行ったのは残りの誰かだろうが」
「ッ………」
その人物は再び体をビクつかせた。その反応を見て京雅の中ではある事実が覆らぬ確信へと変わる。
「………お前、他人に害を加えたことないだろ?」
「………」
その人物は一切口を開かずにその場に留まる。このままでは埒が明がないと判断した京雅は強行手段をとる。
「難しいことは言わない……『事実を話せ』。わかったな?」
「………はい」
とても透き通った無機質な声がその場に響く。
「俺はこれから三つの質問をする。お前は質問にだけ答えろ。まず一つ目だ。お前はヴァンパイアか?」
京雅は家の塀に背中をくっ付けると、腕と足を軽く組んで、その人物を横目に見た。
「はい。私はヴァンパイアです」
「次……この世界に来た目的は?」
「私たちの王を殺めた人物を探しに来ました」
「殺めた……なるほどな。じゃあ、最後……お前の仲間は何人だ?」
「二人です。現在、王を殺めた人物とその補佐を捜索中です」
「なるほど。大体は理解した。協力感謝する」
京雅はそう言うと、指をパチンと鳴らした。
「っ……!」
我に返ったように目の前の人物は体をビクつかせた。
「お前らじゃないようだな。もう用済みだ」
京雅はその人物の横を通り過ぎようとした時、前方から物凄いスピードで何かが飛んできた。それを京雅は首を横に倒して紙一重で避ける。
「………ん?」
京雅の頬には擦り傷のものが突如としてうまれ、血が頬を伝って垂れる。
京雅は先程まで隣にいた人物の安否を確認しようとするも、既にそこには誰も居なかった。
「良くも……良くもやってくれたな、この外道が!!キサマにはプライドというものがないのか!」
その叫びで京雅は前に視線をやった。そこには三つの人影らしきものがあり、そのうちの一人は先程京雅の隣に居た人物を大事そうに抱きながら、鬼の形相で京雅の方を睨んでいた。
「出会い頭に攻撃するだけじゃ飽き足らずそこまで敵意を向けて来るか………いいぜ、やってるよ」
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