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2章 奇妙な事件
17話 決戦 1
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「ショー?誰だ?」
「口を開く暇は無い。準備しろ」
「準備?一体なんの──」
京雅たちの居るリビングの床に光り輝く魔法陣が浮かび上がる。その光り輝く巨大な魔法陣の上に更に赤く光る小さな魔法陣がリベルト、リガル、ミリフィア、瑛翔、京雅の足元に浮かび上がる。
「『広範囲転送陣』」
京雅の一言で赤く光る魔法陣の上に居た五人のみがホコリを立てて姿を消した。
~~~~
「………やぁ、待っていたよ」
「……………」
京雅たちの転移した先には赤を基調とした立派な椅子に座る男……高校の校長とその隣に静かに佇む大柄の男が居た。
まだ夜というのにはあまりにも早い時間なのに当たりは真っ暗だ。光源がないのに先が見える世界で、京雅は訝しげに椅子に座る人物に視線をやった。
「君の言いたいことは分かるよ。だがね、コッチとしても予想外だったのだよ」
「お前……なぜここに居る?」
「君にはずっと復讐したいと思っていた。あの日味わった苦痛、屈辱は決して忘れやしないさ」
椅子に座っていた男が自分の顔に手をかざす。そして、かざした手をどかした先には京雅の見知った顔が居た。
「ズザク……」
「やぁ……キョーガ」
ズザク・フィーミレッド。フィーミレッド家の当主にして歴代最強のヴァンパイア。
言葉の綾無く不老不死へと至った唯一のヴァンパイア、ズザク・フィーミレッド。
「君の使い魔は特別に殺しておいた。これで、戦う理由ができたろ?」
怪しく笑うズザクに対して京雅は恐ろしいほど感情のない顔で見つめていた。
京雅の視線の先には大柄の男が持つ、体をズタボロにされたシャウォの姿があった。
「コッチにはある……が、そっちにはねぇよな?」
瞬間。京雅の姿はその場から消えた。次の瞬間、強烈な風がその場を襲う。後ろにいたリベルトたちは咄嗟のことで後ろに吹き飛ばされてしまった。
「おやおや、これはなんの真似だ?」
「お前も少しは失うべきと思ったんだがな」
京雅の振るった拳は軽々とズザクの手のひらで止められていた。
拳を向けられた大柄の男はこの状況が当たり前かのようにその場に佇んでいた。その姿からは恐怖が一切感じられない。
「君がそんなに感情を昂ってくれるなんて……やった甲斐があったよ」
「そう……かよ」
京雅は強引にズザクから距離を取ると、リベルトたちが居る所まで下がった。
「お前らは作戦通りあの大柄の男を倒せ」
「…………不可能だ」
「不可能だと?珍しく弱気じゃねぇか」
リベルトだけではなかった。リガルもミリフィアも怯えているような表情を浮かべながら大柄の男を見ていた。
そんな中、珍しくリガルが口を開いた。
「アイツじゃないだ。アイツは側近じゃないんだ、首謀者……ボスなんだよ」
「……なるほど。まんまと罠に嵌ったってわけだ」
「口を開く暇は無い。準備しろ」
「準備?一体なんの──」
京雅たちの居るリビングの床に光り輝く魔法陣が浮かび上がる。その光り輝く巨大な魔法陣の上に更に赤く光る小さな魔法陣がリベルト、リガル、ミリフィア、瑛翔、京雅の足元に浮かび上がる。
「『広範囲転送陣』」
京雅の一言で赤く光る魔法陣の上に居た五人のみがホコリを立てて姿を消した。
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「………やぁ、待っていたよ」
「……………」
京雅たちの転移した先には赤を基調とした立派な椅子に座る男……高校の校長とその隣に静かに佇む大柄の男が居た。
まだ夜というのにはあまりにも早い時間なのに当たりは真っ暗だ。光源がないのに先が見える世界で、京雅は訝しげに椅子に座る人物に視線をやった。
「君の言いたいことは分かるよ。だがね、コッチとしても予想外だったのだよ」
「お前……なぜここに居る?」
「君にはずっと復讐したいと思っていた。あの日味わった苦痛、屈辱は決して忘れやしないさ」
椅子に座っていた男が自分の顔に手をかざす。そして、かざした手をどかした先には京雅の見知った顔が居た。
「ズザク……」
「やぁ……キョーガ」
ズザク・フィーミレッド。フィーミレッド家の当主にして歴代最強のヴァンパイア。
言葉の綾無く不老不死へと至った唯一のヴァンパイア、ズザク・フィーミレッド。
「君の使い魔は特別に殺しておいた。これで、戦う理由ができたろ?」
怪しく笑うズザクに対して京雅は恐ろしいほど感情のない顔で見つめていた。
京雅の視線の先には大柄の男が持つ、体をズタボロにされたシャウォの姿があった。
「コッチにはある……が、そっちにはねぇよな?」
瞬間。京雅の姿はその場から消えた。次の瞬間、強烈な風がその場を襲う。後ろにいたリベルトたちは咄嗟のことで後ろに吹き飛ばされてしまった。
「おやおや、これはなんの真似だ?」
「お前も少しは失うべきと思ったんだがな」
京雅の振るった拳は軽々とズザクの手のひらで止められていた。
拳を向けられた大柄の男はこの状況が当たり前かのようにその場に佇んでいた。その姿からは恐怖が一切感じられない。
「君がそんなに感情を昂ってくれるなんて……やった甲斐があったよ」
「そう……かよ」
京雅は強引にズザクから距離を取ると、リベルトたちが居る所まで下がった。
「お前らは作戦通りあの大柄の男を倒せ」
「…………不可能だ」
「不可能だと?珍しく弱気じゃねぇか」
リベルトだけではなかった。リガルもミリフィアも怯えているような表情を浮かべながら大柄の男を見ていた。
そんな中、珍しくリガルが口を開いた。
「アイツじゃないだ。アイツは側近じゃないんだ、首謀者……ボスなんだよ」
「……なるほど。まんまと罠に嵌ったってわけだ」
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