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2章 奇妙な事件
21話 死線 (回想) 2
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~瑛翔視点~
「さて、次は君たちだ」
どうして……どうして……。
「なんで、庇ったの?」
今はこんな事、してる場合じゃない。戦わないといけない、守らないといけない……京雅のおかげで手に入れたこの力を役立てないといけない……でも、僕にはもう、そんな気力がない。
『なんで……命令………です、から、ね』
「…………そっか」
君とは色んな事を話したよ。君が僕の傍に来てから、僕にプライベートなんて存在しなかった、いつだって君は僕と一緒だった。急に現れた君に最初は困惑したけど、そんな生活も悪くなかった。
君は決して僕には心を開いてくれなかったけど、僕はあのたった数日で君の事を好きになれた。僕にとって君はもう……友達なんだ。
だから、たとえ命令だったからとは言え、君には死んで欲しくないんだ、僕のせいで君を死なせたくないんだ。もう……何かを失いたくないんだ。
「僕があなたの相手をしましょう」
未だに緊張してる。実感なんて湧かないけど、これは命が掛かったものだ。生半端な覚悟でこの場に立つなんて、しちゃいけない。だから僕も覚悟を決めないと………誰かを殺す覚悟を。
「また君か。まぁ、少しばかり遊んでやろう」
「リベルトさん……龍帝をよろしくお願いします」
僕はできる限り、爽やかな笑みを浮かべられた、と思う。僕はきっと死んでしまう。勝てないとは分かってるから。
「では始めようか」
「………」
最後ぐらい……カッコつけさせてくれよ。
~~~~
~リベルト視点~
「……………」
我は結局何も出来てない、あの頃から何も変わってない。ずっと下を見続け、自分は弱くないと思い込み、ぬるま湯につかり続けたあの頃から何も変わってない。
非力な自分。他者の力を借りなければ何も出来ない自分。逃げ道を探し続けることに躍起になっている自分。
「嫌いだ。不変が好きな自分が……」
我にできること……これしかない。どうか、許してくれ、リガル、ミリフィア様。
「リガル」
「………なんだよ」
声に覇気がない。それはそうだろうな。何も出来ぬとはそういうことだから。
「お前はそこを動くな、絶対に。どんな犠牲を払おうとも、ミリフィア様を守れ」
「でも…………いや、分かった」
「そう、それで良い」
我はリューテイの蘇生に全生命を掛ける。
体の余力全てを手のひらに……。
「グフッ……」
もう、吐き出せるものなんてない。今生きてること自体が奇跡だ。だが、無理矢理になら……力ずくにでもこの残りの血を全て生命エネルギーに変換すれば……リューテイぐらいなら助けられる。
もう我に残ってる役目はこれしかない。
「まったく……情けなく、不甲斐ない」
意識が徐々に薄れていく。それでも絶対に手を離していけない。
リューテイを治すために……この手を離せば全てが無に帰る。
「『生命変換』」
───プツン。
我の意識は完全に途切れた。
~~~~
~リガル視点~
もどかしい……。今の俺にはなんの力もない。だから……あいつに頼るしかない。
「ミリフィア様。俺の守備範囲からは絶対に出ないでください」
「…………えぇ」
瑛翔、か。戦闘経験はほぼ皆無だろう。動きがあまりにも単調すぎる。今はなんとかスピードと身体能力でそれを補ってはいるが、それもいずれ効かなくなる。
だが、俺があの戦闘に付いていけるのはせいぜい十秒程度。それ以上はただの足手まといになる。それがなんとも悔しい。京雅の言った通りだ。俺はあいつよりも弱い。
「行ってあげて……私は大丈夫よ?」
「いえ……俺にあの戦闘はあまりにもレベルが高すぎます」
「でも……私の子守りばかりでつまらないでしょう?」
こんな時でも平常か。今、自分たちがどんな局面に面しているのか、理解しているのか?そんな私情で簡単に動ける状況じゃない。何より、これは訓練でもなんでもない。生死を分ける死合。なんで、平和ボケしてるあいつが付いていけるのか、理解が出来ない。
「そんなこと、ありません」
少しずつ、瑛翔が劣勢になってきている。戦闘自体はルレインが遊んでいるとは言え、ほぼ五分五分だ。ただ、瑛翔の方が体力的に劣勢だ。もう五分と持たないだろう。
瑛翔が殺られれば、リベルトたちの番だ。そして最後には俺らが……。俺では奴に絶対に勝てない。そもそもリベルトの血操術が敗れた時点で俺に勝ち目はない。
だが、京雅と戦ってるあの変なヴァンパイアのせいでこの場から逃げる手段はない。つまり、この場で死ぬしかない、そういう運命だ。
俺は……何もしないまま無低このままに殺されなければならないのか?守るべきもののために何ができる?ただこの場で待つだけが俺に出来ることか?
この気持ち……このもどかしさ、悔しさが俺の心を蝕む限り……俺は死にきれないだろう。
前言撤回だ。俺は俺のために動く。勝手な私情でこの場を荒らす。
「………リベルト、すまない。ミリフィア様も、申し訳ございません」
「謝らないで。私はあなたの意見を尊重するわ」
「ありがとう……ございます」
どうせみんな死ぬ。なら……時間を稼ぐだけだ。
「『血鎧の完装』」
全身を分厚い血液の層で守り、片手に血液で生み出した長剣を持つ。
「行ってきます」
「えぇ……くれぐれも気を付けて……」
俺は無謀と知りながらも瑛翔とルレインの方へと駆け始めた。
~~~~~~~~~~~~~~
もとより更新が遅いので気づかないかもですが、実は自分、風邪にやられてまして、まったく小説が書けてませんでした。まぁ、話が構想よりかなり脱線してどう修復か考える時間としては、休んでる期間中も充分良い時間でしたね。
それで先程も書きましたが、話がかなり脱線してるので予定よりもかなり短くなるかなぁと。もしかしたら近々最終章に入れるかも、とも思ってます。あと、ヴァンパイアの設定や話の流れの細かいところなどはこれから京雅君に説明していただく予定です。
もう少しの間 (と言っても、更新遅いから短くはないけど) この作品をよろしくお願いします!
「さて、次は君たちだ」
どうして……どうして……。
「なんで、庇ったの?」
今はこんな事、してる場合じゃない。戦わないといけない、守らないといけない……京雅のおかげで手に入れたこの力を役立てないといけない……でも、僕にはもう、そんな気力がない。
『なんで……命令………です、から、ね』
「…………そっか」
君とは色んな事を話したよ。君が僕の傍に来てから、僕にプライベートなんて存在しなかった、いつだって君は僕と一緒だった。急に現れた君に最初は困惑したけど、そんな生活も悪くなかった。
君は決して僕には心を開いてくれなかったけど、僕はあのたった数日で君の事を好きになれた。僕にとって君はもう……友達なんだ。
だから、たとえ命令だったからとは言え、君には死んで欲しくないんだ、僕のせいで君を死なせたくないんだ。もう……何かを失いたくないんだ。
「僕があなたの相手をしましょう」
未だに緊張してる。実感なんて湧かないけど、これは命が掛かったものだ。生半端な覚悟でこの場に立つなんて、しちゃいけない。だから僕も覚悟を決めないと………誰かを殺す覚悟を。
「また君か。まぁ、少しばかり遊んでやろう」
「リベルトさん……龍帝をよろしくお願いします」
僕はできる限り、爽やかな笑みを浮かべられた、と思う。僕はきっと死んでしまう。勝てないとは分かってるから。
「では始めようか」
「………」
最後ぐらい……カッコつけさせてくれよ。
~~~~
~リベルト視点~
「……………」
我は結局何も出来てない、あの頃から何も変わってない。ずっと下を見続け、自分は弱くないと思い込み、ぬるま湯につかり続けたあの頃から何も変わってない。
非力な自分。他者の力を借りなければ何も出来ない自分。逃げ道を探し続けることに躍起になっている自分。
「嫌いだ。不変が好きな自分が……」
我にできること……これしかない。どうか、許してくれ、リガル、ミリフィア様。
「リガル」
「………なんだよ」
声に覇気がない。それはそうだろうな。何も出来ぬとはそういうことだから。
「お前はそこを動くな、絶対に。どんな犠牲を払おうとも、ミリフィア様を守れ」
「でも…………いや、分かった」
「そう、それで良い」
我はリューテイの蘇生に全生命を掛ける。
体の余力全てを手のひらに……。
「グフッ……」
もう、吐き出せるものなんてない。今生きてること自体が奇跡だ。だが、無理矢理になら……力ずくにでもこの残りの血を全て生命エネルギーに変換すれば……リューテイぐらいなら助けられる。
もう我に残ってる役目はこれしかない。
「まったく……情けなく、不甲斐ない」
意識が徐々に薄れていく。それでも絶対に手を離していけない。
リューテイを治すために……この手を離せば全てが無に帰る。
「『生命変換』」
───プツン。
我の意識は完全に途切れた。
~~~~
~リガル視点~
もどかしい……。今の俺にはなんの力もない。だから……あいつに頼るしかない。
「ミリフィア様。俺の守備範囲からは絶対に出ないでください」
「…………えぇ」
瑛翔、か。戦闘経験はほぼ皆無だろう。動きがあまりにも単調すぎる。今はなんとかスピードと身体能力でそれを補ってはいるが、それもいずれ効かなくなる。
だが、俺があの戦闘に付いていけるのはせいぜい十秒程度。それ以上はただの足手まといになる。それがなんとも悔しい。京雅の言った通りだ。俺はあいつよりも弱い。
「行ってあげて……私は大丈夫よ?」
「いえ……俺にあの戦闘はあまりにもレベルが高すぎます」
「でも……私の子守りばかりでつまらないでしょう?」
こんな時でも平常か。今、自分たちがどんな局面に面しているのか、理解しているのか?そんな私情で簡単に動ける状況じゃない。何より、これは訓練でもなんでもない。生死を分ける死合。なんで、平和ボケしてるあいつが付いていけるのか、理解が出来ない。
「そんなこと、ありません」
少しずつ、瑛翔が劣勢になってきている。戦闘自体はルレインが遊んでいるとは言え、ほぼ五分五分だ。ただ、瑛翔の方が体力的に劣勢だ。もう五分と持たないだろう。
瑛翔が殺られれば、リベルトたちの番だ。そして最後には俺らが……。俺では奴に絶対に勝てない。そもそもリベルトの血操術が敗れた時点で俺に勝ち目はない。
だが、京雅と戦ってるあの変なヴァンパイアのせいでこの場から逃げる手段はない。つまり、この場で死ぬしかない、そういう運命だ。
俺は……何もしないまま無低このままに殺されなければならないのか?守るべきもののために何ができる?ただこの場で待つだけが俺に出来ることか?
この気持ち……このもどかしさ、悔しさが俺の心を蝕む限り……俺は死にきれないだろう。
前言撤回だ。俺は俺のために動く。勝手な私情でこの場を荒らす。
「………リベルト、すまない。ミリフィア様も、申し訳ございません」
「謝らないで。私はあなたの意見を尊重するわ」
「ありがとう……ございます」
どうせみんな死ぬ。なら……時間を稼ぐだけだ。
「『血鎧の完装』」
全身を分厚い血液の層で守り、片手に血液で生み出した長剣を持つ。
「行ってきます」
「えぇ……くれぐれも気を付けて……」
俺は無謀と知りながらも瑛翔とルレインの方へと駆け始めた。
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もとより更新が遅いので気づかないかもですが、実は自分、風邪にやられてまして、まったく小説が書けてませんでした。まぁ、話が構想よりかなり脱線してどう修復か考える時間としては、休んでる期間中も充分良い時間でしたね。
それで先程も書きましたが、話がかなり脱線してるので予定よりもかなり短くなるかなぁと。もしかしたら近々最終章に入れるかも、とも思ってます。あと、ヴァンパイアの設定や話の流れの細かいところなどはこれから京雅君に説明していただく予定です。
もう少しの間 (と言っても、更新遅いから短くはないけど) この作品をよろしくお願いします!
応援ありがとうございます!
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