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4章 衝突する勢力
27話 原因 9
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「うわぁ、また負けちゃったよ。みんな強すぎだよぉ」
「まさか俺が最下位じゃないとは……蒋はかなりババ抜きが苦手なのだな」
「アハハハ……二人の戦いは良くも悪くも接戦だったね」
「京雅さんはお上手ですよね。まったく感情が分かりませんもの」
「素直に喜べないな。逆に秋山はあんなに表情を変えて良く四位に入れたな」
「京雅さんに邪魔されなければ姫岡さんと良い勝負でしたのに」
「そうかもな。まぁ、愛衣もわかりやすい部分があるしな」
「ッ……!そ、そうですかね?私はかなりポーカーフェイスが得意だと自負してますよ?ほら、見てください」
「はは……。変顔はやめてくれ」
「もぉ……またそうやって揶揄うのですか!」
蒋とリベルトは二人でポーカーフェイスの訓練を始め、瑛翔は外野からただ京雅とミリフィア、美玲のやり取りをぼんやりと見つめていた。その表情はまるで我が子を見つめる親のような暖かい視線だった。
「どうだ、瑛翔よ。今俺はどんな感情だと思う?」
「楽しそうだね。口元がニヤついてるよ」
「あはは、セーヤ面白い!僕はどう?結構上手いでしょ!」
「良いね。静也より何倍も良いよ」
美玲もその空間に馴染み始め、六人の間に楽しい空間が訪れる。そこでふと京雅の脳裏にある言葉が蘇る。ふざけて言ったのか、それとも確証があって言ったのかは分からないが、少なくとも放置するワケにはいかない言葉。
京雅は五人が楽しく会話を展開する中、おもむろに立ち上がり、その言葉を発した人物……蒋の方を見下ろす。京雅の突発的な行動にその場に沈黙が流れみんなが京雅に注目する。
「蒋。ちょっと話したいことがあるんだ」
「ん?………あぁ。実は僕もあるんだ。奇遇だね」
蒋はそう言って腰を上げ、京雅に笑みを向けた。
「二階で話そう。すまないが少し席を外すぞ」
京雅はそれだけを言って蒋と共に二階に上がって行った。
~~~~
「それで何が聞きたいの?なんでも聞いてよ」
リベルトの部屋の前まで来た二人は向かい合うようにして話し始める。蒋は緊張感など微塵も感じさせないほど普段通りだった。
「……瞬間移動って言ってたよな?」
京雅が引っ掛かっていたのは蒋たちが美玲の家に入ってきた時、蒋が漏らした言葉だった。何も知らなければまず出てこない言葉だ。その上、またと言うからには一度見ている、と言うことにもなる。京雅は蒋の気まぐれかもしれないと思いつつもどうも気になって仕方がなかった。
「………うん。見たし、聞いたよ。キョーガの事とかエートの事とか、セーヤの事とかもね」
蒋はそう言うと寂しそうに笑って見せた。京雅はその表情を確実に認識していたが、それから目を逸らすように無表情を貫き、蒋の目から視線を外さない。
「どこまで聞いたんだ?」
「キョーガとエート、セーヤの三人が超能力者ってことだけ。まぁ、急にキョーガの容姿が変わったのを見て何かあると思ってたけど、まさか超能力者になってるなんて……びっくりだ」
「……そうか」
京雅はその後、それを知った経緯を聞いた。どうやら、京雅が街を疾走しているのを見た瑛翔がただ事じゃないと思い他の三人に連絡し、偶然美玲の家近くで合流。その時運悪くも京雅の瞬間移動が蒋に見られていたのだ。
ただ、瑛翔とリベルトがどうにか蒋を納得させ、最低限の情報だけで済んでいた。その事に安堵を感じると共に怒りや後悔も感じていた。深い事まで知られていないと言う安心もあったが、それ以上に蒋に今まで黙っていた事が、こんな形で知られてしまう事が悔しいのか、京雅は勢い良く頭を下げた。
「……すまない。本当はもっと早く、俺の口から言うべきだった……」
「そう言わないでよ。元はと言えば僕がエートに京雅が消えた理由を問い詰めたからだし、京雅は僕を守るためにあえて言わなかったんでしょ?」
「……あぁ」
「なら、僕は気にしない。今だって誤魔化さないで言ってくれたでしょ?」
京雅は顔を上げることが出来なかった。蒋を守ろうとした結果が、かえって蒋を傷付けていたと言う事実に京雅は怒りを抑えられなかった。その上蒋に慰められ、京雅はもう何が正しかったのか、それすらも分からなくなっていた。
「………じゃあさ、教えてよ。僕はもっとキョーガとかエート、セーヤの事をもっと知りたい。だから、今度はキョーガから教えて」
「…………蒋」
「僕たち、友達だろ?キョーガにそんな顔は似合わないぜ?」
茶化すようにそう笑ってみせる蒋。京雅はそんな蒋の顔を見て思わず笑みが零れた。心に残る後悔はまだ拭いきれていないが、それでもそれを紛らわすように、誤魔化すように京雅は蒋に言える範囲の事を言った。
密かに三人で特訓をしている事、実は他にも三人ほど超能力者がいる事、色んな超能力者と戦った事、自分が異世界転移した事などなど……。
「凄いなぁ。僕が知らない間にそんなことがあったんだね」
「大変だったが、まぁ……悪くはなかったな」
「じゃあ後は僕と秋山さんが超能力者になるだけだね」
「ははっ。そうだな、楽しみにしてる」
「じゃあそろそろ戻ろっか。このままじゃお菓子無くなっちゃうかもだし」
「そうだな。あと二回は蒋を負かしてやらないとな」
「言うねぇ、でも今度は負けないからね」
「まさか俺が最下位じゃないとは……蒋はかなりババ抜きが苦手なのだな」
「アハハハ……二人の戦いは良くも悪くも接戦だったね」
「京雅さんはお上手ですよね。まったく感情が分かりませんもの」
「素直に喜べないな。逆に秋山はあんなに表情を変えて良く四位に入れたな」
「京雅さんに邪魔されなければ姫岡さんと良い勝負でしたのに」
「そうかもな。まぁ、愛衣もわかりやすい部分があるしな」
「ッ……!そ、そうですかね?私はかなりポーカーフェイスが得意だと自負してますよ?ほら、見てください」
「はは……。変顔はやめてくれ」
「もぉ……またそうやって揶揄うのですか!」
蒋とリベルトは二人でポーカーフェイスの訓練を始め、瑛翔は外野からただ京雅とミリフィア、美玲のやり取りをぼんやりと見つめていた。その表情はまるで我が子を見つめる親のような暖かい視線だった。
「どうだ、瑛翔よ。今俺はどんな感情だと思う?」
「楽しそうだね。口元がニヤついてるよ」
「あはは、セーヤ面白い!僕はどう?結構上手いでしょ!」
「良いね。静也より何倍も良いよ」
美玲もその空間に馴染み始め、六人の間に楽しい空間が訪れる。そこでふと京雅の脳裏にある言葉が蘇る。ふざけて言ったのか、それとも確証があって言ったのかは分からないが、少なくとも放置するワケにはいかない言葉。
京雅は五人が楽しく会話を展開する中、おもむろに立ち上がり、その言葉を発した人物……蒋の方を見下ろす。京雅の突発的な行動にその場に沈黙が流れみんなが京雅に注目する。
「蒋。ちょっと話したいことがあるんだ」
「ん?………あぁ。実は僕もあるんだ。奇遇だね」
蒋はそう言って腰を上げ、京雅に笑みを向けた。
「二階で話そう。すまないが少し席を外すぞ」
京雅はそれだけを言って蒋と共に二階に上がって行った。
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「それで何が聞きたいの?なんでも聞いてよ」
リベルトの部屋の前まで来た二人は向かい合うようにして話し始める。蒋は緊張感など微塵も感じさせないほど普段通りだった。
「……瞬間移動って言ってたよな?」
京雅が引っ掛かっていたのは蒋たちが美玲の家に入ってきた時、蒋が漏らした言葉だった。何も知らなければまず出てこない言葉だ。その上、またと言うからには一度見ている、と言うことにもなる。京雅は蒋の気まぐれかもしれないと思いつつもどうも気になって仕方がなかった。
「………うん。見たし、聞いたよ。キョーガの事とかエートの事とか、セーヤの事とかもね」
蒋はそう言うと寂しそうに笑って見せた。京雅はその表情を確実に認識していたが、それから目を逸らすように無表情を貫き、蒋の目から視線を外さない。
「どこまで聞いたんだ?」
「キョーガとエート、セーヤの三人が超能力者ってことだけ。まぁ、急にキョーガの容姿が変わったのを見て何かあると思ってたけど、まさか超能力者になってるなんて……びっくりだ」
「……そうか」
京雅はその後、それを知った経緯を聞いた。どうやら、京雅が街を疾走しているのを見た瑛翔がただ事じゃないと思い他の三人に連絡し、偶然美玲の家近くで合流。その時運悪くも京雅の瞬間移動が蒋に見られていたのだ。
ただ、瑛翔とリベルトがどうにか蒋を納得させ、最低限の情報だけで済んでいた。その事に安堵を感じると共に怒りや後悔も感じていた。深い事まで知られていないと言う安心もあったが、それ以上に蒋に今まで黙っていた事が、こんな形で知られてしまう事が悔しいのか、京雅は勢い良く頭を下げた。
「……すまない。本当はもっと早く、俺の口から言うべきだった……」
「そう言わないでよ。元はと言えば僕がエートに京雅が消えた理由を問い詰めたからだし、京雅は僕を守るためにあえて言わなかったんでしょ?」
「……あぁ」
「なら、僕は気にしない。今だって誤魔化さないで言ってくれたでしょ?」
京雅は顔を上げることが出来なかった。蒋を守ろうとした結果が、かえって蒋を傷付けていたと言う事実に京雅は怒りを抑えられなかった。その上蒋に慰められ、京雅はもう何が正しかったのか、それすらも分からなくなっていた。
「………じゃあさ、教えてよ。僕はもっとキョーガとかエート、セーヤの事をもっと知りたい。だから、今度はキョーガから教えて」
「…………蒋」
「僕たち、友達だろ?キョーガにそんな顔は似合わないぜ?」
茶化すようにそう笑ってみせる蒋。京雅はそんな蒋の顔を見て思わず笑みが零れた。心に残る後悔はまだ拭いきれていないが、それでもそれを紛らわすように、誤魔化すように京雅は蒋に言える範囲の事を言った。
密かに三人で特訓をしている事、実は他にも三人ほど超能力者がいる事、色んな超能力者と戦った事、自分が異世界転移した事などなど……。
「凄いなぁ。僕が知らない間にそんなことがあったんだね」
「大変だったが、まぁ……悪くはなかったな」
「じゃあ後は僕と秋山さんが超能力者になるだけだね」
「ははっ。そうだな、楽しみにしてる」
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