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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、事情を知る
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「そ、それは本当なんですか!?」
リョーマが帰ってくる数分前。その魔物の存在がギルドに伝わった。
場の雰囲気は暗くなる。Sランクの魔物は一匹でも街の一つや二つ壊滅させる力がある、言わば生ける災害なのだ。
「僕に、任せてください」
重い空気を破るように、一人の男が声を上げた。
「か、カインさん!?」
「カイン?」
ギルド職員、シル、他の冒険者がカインに驚きの声を上げた。
「僕は……守りたいんです。こんな僕を受け入れてくれたここの人を……シルを!」
「カイン……」
「だから、僕に任せてください!」
勇者パーティーを抜けたカインは弓使いから剣士になった。そして、カインの冒険者としての才能が開化したのだ。
カインの目には強い意志が宿っていた。
「はっ。お前だけには任せられねぇよ」
「ガントさん……」
先輩冒険者ガント。カインに剣士を勧めた人だ。
「なぁ、お前ら!期待のルーキーだけに任せるのか!」
ガントの一声で冒険者たちのやる気が一気に上昇した。
「ビビり逃げんなら今のうちだぜぇ!ただ、もう冒険者やるなよな!」
「そんな言葉聞いてビビり逃げる奴なんてここには居ねぇぞ!」
「皆さん……」
あぁ……なんて優しい人たちなんだろうか。僕は恵まれてる。こんな人たちと出会えるなんて。
「カイン」
「シル?」
「もう、一人じゃないんだよ」
「!!!」
そうだ。昔とは違う。弱い僕じゃない!
「皆さん、よろしくお願いします!」
「ふっ。さっさと終わらせるぞ!今日は期待のルーキーカインが奢るってよ!」
「え、えぇえ!!」
こんな状況でさえ、冒険者ギルドは騒がしく、だが優しい空間だった。
「もしものことがあるかもしれねぇから、ランクの低い奴らは街に残れ」
「で、でも!」
「そうですよ!俺にも!」
「この街を守れって言ってんだよ。はっきり言って俺らで食い止められる可能性は低い」
ガントらしからぬ言動に周囲は静かになっていった。
「そんときに、お前らが街の人を避難させろ。ま、心配は要らねぇよ!行くぞ、お前ら!」
そして、討伐隊が出て行って少し経った後、リョーマが街に着き、事情を知ることになった。
「いい感じの魔物が出てきたじゃねぇか」
~~~~
「この森にSランクがホントに出たんだろうな?」
「ほ、ホントだぞ!」
ガントさん、少しピリピリしてるな。
「………お前ら、構えろ」
「え?なんでですか?」
「あの女が見えるか?」
「わぁ……」
立ち姿を見ただけでも分かる。かなりの美女だ。でも、こんな夜中に森に?
森に入ってそこまで奥には来ていない。でも、おかしい。
「ガントさん、まさか?」
「あぁ……最悪だ。なんで言わなかったんだ、亜魔人だってよ」
亜魔人とは、神や天使、獣人族などの亜人とは異なり、霊などが人間のような姿をしていることを指す。
そして、亜魔人のほとんどは魔物と同じく人間を敵対視している。
「これは……Sランクの名が聞いて呆れるぜ。亜魔人は最低でもSランク冒険者が十人。それでも勝てるか分からないような奴だぞ」
亜魔人だなんて……。もう、おしまいだ。
「………!!悪運がひでぇな。あいつ、気付きやがったぜ」
手が震える。ただ見られてるだけなのに、なんという圧力だ。
「お前らは逃げろ」
「ガントさん、何を言ってるんですか?」
「そ、そうだ。俺が悪いのに、俺がお前らを巻き込んじまった……俺がやる」
みんな、怖くないのか?あんな奴を前にしても冒険者なのか?
………僕も冒険者だろ!命を掛けられないような腑抜けが冒険者なんて言えない!
「ガントさん。僕も残ります」
「……カインとシルは希望だ。俺らはいくらでもお前らの糧になる。だから、お前らは俺らの敵討ちしてくれや」
「で、でも!」
「カイン」
「シル?」
「今の私たちじゃ勝てない……」
シルの悔しそうな顔が僕に伝えてきた。
誰だって本望じゃない。僕だってそうだ。でも、僕が出るのはここじゃない。
「すみません。ガントさ……」
「ガハッ!!!」
「!!!!ガントさん!」
「ガント!」
Bランク冒険者、ガント。この街で一番強い冒険者。その肩書きがあるのにも関わらず、自分に傲ることなく街の人たちのための行動を優先してきた。
この街でガントを目の敵にする人間などは一人もいなかった。
井の中の蛙。この街の最強は亜魔人には勝てなかったのだ。
亜魔人から繰り出された拳はガントの骨を折るには充分だった。
「そ、そんな……」
リョーマが帰ってくる数分前。その魔物の存在がギルドに伝わった。
場の雰囲気は暗くなる。Sランクの魔物は一匹でも街の一つや二つ壊滅させる力がある、言わば生ける災害なのだ。
「僕に、任せてください」
重い空気を破るように、一人の男が声を上げた。
「か、カインさん!?」
「カイン?」
ギルド職員、シル、他の冒険者がカインに驚きの声を上げた。
「僕は……守りたいんです。こんな僕を受け入れてくれたここの人を……シルを!」
「カイン……」
「だから、僕に任せてください!」
勇者パーティーを抜けたカインは弓使いから剣士になった。そして、カインの冒険者としての才能が開化したのだ。
カインの目には強い意志が宿っていた。
「はっ。お前だけには任せられねぇよ」
「ガントさん……」
先輩冒険者ガント。カインに剣士を勧めた人だ。
「なぁ、お前ら!期待のルーキーだけに任せるのか!」
ガントの一声で冒険者たちのやる気が一気に上昇した。
「ビビり逃げんなら今のうちだぜぇ!ただ、もう冒険者やるなよな!」
「そんな言葉聞いてビビり逃げる奴なんてここには居ねぇぞ!」
「皆さん……」
あぁ……なんて優しい人たちなんだろうか。僕は恵まれてる。こんな人たちと出会えるなんて。
「カイン」
「シル?」
「もう、一人じゃないんだよ」
「!!!」
そうだ。昔とは違う。弱い僕じゃない!
「皆さん、よろしくお願いします!」
「ふっ。さっさと終わらせるぞ!今日は期待のルーキーカインが奢るってよ!」
「え、えぇえ!!」
こんな状況でさえ、冒険者ギルドは騒がしく、だが優しい空間だった。
「もしものことがあるかもしれねぇから、ランクの低い奴らは街に残れ」
「で、でも!」
「そうですよ!俺にも!」
「この街を守れって言ってんだよ。はっきり言って俺らで食い止められる可能性は低い」
ガントらしからぬ言動に周囲は静かになっていった。
「そんときに、お前らが街の人を避難させろ。ま、心配は要らねぇよ!行くぞ、お前ら!」
そして、討伐隊が出て行って少し経った後、リョーマが街に着き、事情を知ることになった。
「いい感じの魔物が出てきたじゃねぇか」
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「この森にSランクがホントに出たんだろうな?」
「ほ、ホントだぞ!」
ガントさん、少しピリピリしてるな。
「………お前ら、構えろ」
「え?なんでですか?」
「あの女が見えるか?」
「わぁ……」
立ち姿を見ただけでも分かる。かなりの美女だ。でも、こんな夜中に森に?
森に入ってそこまで奥には来ていない。でも、おかしい。
「ガントさん、まさか?」
「あぁ……最悪だ。なんで言わなかったんだ、亜魔人だってよ」
亜魔人とは、神や天使、獣人族などの亜人とは異なり、霊などが人間のような姿をしていることを指す。
そして、亜魔人のほとんどは魔物と同じく人間を敵対視している。
「これは……Sランクの名が聞いて呆れるぜ。亜魔人は最低でもSランク冒険者が十人。それでも勝てるか分からないような奴だぞ」
亜魔人だなんて……。もう、おしまいだ。
「………!!悪運がひでぇな。あいつ、気付きやがったぜ」
手が震える。ただ見られてるだけなのに、なんという圧力だ。
「お前らは逃げろ」
「ガントさん、何を言ってるんですか?」
「そ、そうだ。俺が悪いのに、俺がお前らを巻き込んじまった……俺がやる」
みんな、怖くないのか?あんな奴を前にしても冒険者なのか?
………僕も冒険者だろ!命を掛けられないような腑抜けが冒険者なんて言えない!
「ガントさん。僕も残ります」
「……カインとシルは希望だ。俺らはいくらでもお前らの糧になる。だから、お前らは俺らの敵討ちしてくれや」
「で、でも!」
「カイン」
「シル?」
「今の私たちじゃ勝てない……」
シルの悔しそうな顔が僕に伝えてきた。
誰だって本望じゃない。僕だってそうだ。でも、僕が出るのはここじゃない。
「すみません。ガントさ……」
「ガハッ!!!」
「!!!!ガントさん!」
「ガント!」
Bランク冒険者、ガント。この街で一番強い冒険者。その肩書きがあるのにも関わらず、自分に傲ることなく街の人たちのための行動を優先してきた。
この街でガントを目の敵にする人間などは一人もいなかった。
井の中の蛙。この街の最強は亜魔人には勝てなかったのだ。
亜魔人から繰り出された拳はガントの骨を折るには充分だった。
「そ、そんな……」
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