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1章 クズ勇者の目標!?

クズ勇者、四天王と戦う 2

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「ファニ。どっかに行け」

『自分にも何か!』

「………俺はテメェに死んで欲しくない。だから、ここから消えろ」

『………!!』

  目を大きくして驚きを表したファニ。しかしリョーマは、そんなこと気にしていなかった。気にする余裕がなかった。

 気を抜いたら死ぬ。

『いやぁ、ここまで面倒だとは思わなかったよ。殺しがいがあると良いなぁ』

「御託はそこら辺にしろ。それよ──」

  リョーマがリギルを煽ろうとした時、既に視界から姿が消えていた。

「はっ!姿を消して背後を狙う。典型的なのは姿だけじゃなく、戦闘もなんだな!」

『えぇ……これ防ぐの?』

 ………クソッ、ギリギリまで反応できなかった。てか、こいつの攻撃を見切れたところで俺の体が言うことを聞かねぇし。それにこいつのスピードはかなりのものだ。一瞬でも気を緩めれば、待ってるのは死だけだ。

「その剣はお前の魔法で作ったのか?」

  魔族との距離を取り、息を整える。今のリョーマはあのぐらいの動きでも、相当体力を消耗する状況に陥っている。

『そうだよ。カッコイイでしょ?』

「あぁ。魔族の趣味の悪さが滲み出てるぜ」

 魔法で作るにしても、もう少し剣の形を整えろっての。

 てか、あれだけ装飾品があると、絶対に振りづらいだろ。

「どんな趣味してんだよ、今の魔族は……」

 やべ!心の声が漏れちまったぜ。

『良い趣味してると思うよね?そんな目で剣を見ないでくれよ、照れるだろ?』

「もう一度聞くが、お前が作ったってことで良いんだよな?」

『そうだよ。もしかして作って欲しいとか?』

 どの口がそんなこと言ってんだ?そんな剣、要らねぇよ。

 それに、見てるこっちが恥ずかしくなるぞ。今すぐその粗大ゴミをどっかに捨ててきやがれ。

「はぁ……ほら、かかってこいよ」

  掛かってこいと手で煽り、剣を構えた。

『そんな状態でそれだけ余裕があるなんて……』

「来ないのか?じゃあ、こっちから行ってやるよ!」

『いつの間に!』

  リギルが正面で剣を構えたと同時にリョーマの持つ聖剣がリギルの剣を弾いた。

  リギルは反射的に後退して体勢を整える。

  そして今度はリギルからリョーマとの間合いを詰めて剣同士が激しくぶつかり合い、その衝撃波により地面の砂が巻き上がった。

『くぅ……今のはなかなか……』

  吹き飛んだ魔族が口を開けるが、それを聞く者は居ない。

「イキんな、カスがッ!」

  リョーマの猛攻により、体勢を崩し始めたリギルは真っ向からリョーマの剣を受ける。

『なん、で……!そんな動けんのさ!』

  リョーマの剣撃を辛うじて受け止めたリギルは苦し紛れに口を開く。

「俺が勇者だからだ」

『勇者……だと?』

「聖剣を使ってるんだから、そうに決まってんだ?」

  その発言で動揺した魔族に出来た一瞬の隙を見逃さなかった。

  リョーマは、リギルの無防備な胴体に強烈な蹴りを浴びせ、そのまま脇腹に全力の一太刀を振るった。

『カハッ!』

  血しぶきを上げて、地面に倒れ込んだリギルに追い討ちを仕掛けようと近付くた。

  しかし、一歩進んだあとに何を思ったのか、突如距離を取った。

 ……勘だが、今仕掛けるのは良くない。まるで、ように一太刀を浴びせようとした。

 決め手となる一撃が両者の最大のチャンスとなる。

 最後の一撃ほど鋭く単調で脆い一撃は無い。

 決めての一撃は常に冷静に残忍に決める。

「最大の敵は自分の中に生まれる油断だからな」

  少しの間、倒れている魔族を眺め続けたリョーマ。その間も一切気を抜かず、睨み付けていた。

『いやぁ……痛いねぇ。てか、反撃しようと思ってたのに、なんで攻撃してこないのさ?』

 やっぱり、誘われていたんだ。あえて攻撃をくらおうとしていた。

 もし、なんの疑問もなく一太刀振るっていたら……。

「性根はしっかり魔族してやがるんだな」

  リョーマもリギルを睨み返して、また二人の間で睨み合いが始まった。
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