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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、戦闘する 2
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「くっ……なんだこれ!?」
体から魔力が抜ける!いや、吸われているのか?!
「テメェ……何を、しやがった……!!」
魔力が無くなると魔無欠消症になり一時的に貧血状態のようになるが、魔無欠消症の場合は気絶してしまう。
「くぅ……っそが!」
『うっ!?』
「キャッ!」
リョーマは重力魔法とアパラージタを解除し、ソウゾウの魔剣を生成した。そしてすぐに、その魔剣を二人に目掛け投げた。
「ザコドラァ!!テメェは絶対にぶっ殺す!」
「私たちを倒せるかな?」
フィールの一太刀でリョーマの魔剣は消えた。
聖剣を両手で持ち右側に構えたフィールはいつリョーマに斬り掛かってもおかしくない雰囲気だった。
『全力でいきますよ』
竜の姿に戻り、戦闘態勢をとるファニ。
「己の身の程をわきまえろ!テメェらごときに魔法すら使う必要はねぇ」
リョーマ落ちていた木の枝を拾い二人を見据えた。
「来い。殺してやる」
少しの間睨みあったまま、どちらも動かなかった。
(隙がない……攻めようにもどうすれば……フィールさんも腰が引けてるというか、気押されてる)
俺が短気だと知ってこの態度か?せっかく抵抗する時間をやったのに。
「『!!!!』」
鋭い一撃が二人の頬を掠めた。
木の枝を振るった時の風圧のみで出血させたのだ。
「意外と手に馴染むぜ。さて、次はどこが……」
優越感に浸りながら、木の枝から二人の方を見ると、既に二人の姿は無く地面に踏み込んだあとのみが残っていた。
「やっとやる気になったか」
体勢を低くし木の枝を逆手に持った。
「俺の木の枝の餌食になりに来たのか?」
突如後ろに現れたフィールの攻撃を振り向く余裕すら見せ、涼しい顔で受け止めた。
「ファニちゃん!」
『受け取ってください!(ファイアボール)』
先程よりも数倍はあるファイアボールを無防備なリョーマの背中に放たれた。
「同士討ちって知ってか?」
リョーマは器用に木の枝を傾け、フィールの剣を木の枝の上で滑らせた。
すると、剣に体重を掛けていたフィールは前に倒れた。
「だが、避けるなんて俺がまるでこんなザコ魔法にビビってるみたいだしな」
フィールはただその場で倒れたまま呆然としていた。立ち上がるのが怖くなっていた。
腰が抜けていたのかもしれない。
「ほらよっと」
木の枝を回転させファイアボールの中心部に投げつけた。
すると、ファイアボールは小さな爆発を起こし、消滅した。
『えっ?』
あの程度ならば当たっても大丈夫だったな。にしても、俺の唯一の武器が無くなっちまったな。
魔法には核という魔力の形を維持するための物が存在する。
その核に的確に衝撃を与えると、魔力が魔法を形成できなくなり簡単に消滅してしまう。
「まぁ、素手でも充分か」
どう弄んでやろうか。
まだ全然戦う気があるリョーマとは対照的に、フィールとファニは戦意喪失していた。
こいつらはもうダメだな。しょうがない。救済をしてやるか。
魔剣を生成し、フィールの首に押し付けた。
「じゃあな。俺を恨むなよ」
フィールの首を切り落とそうと魔剣を振り上げ、そして振り下ろした。
しかし、リョーマの手には何も無かった。
「…………ファニか?」
『これは、効くんですね』
まさか俺の魔剣を消滅させるとはな。まぁ、魔力の消費はそこまでじゃねぇし良いか。
「番狂わせは好きじゃねぇんだわ」
あとあと面倒くさくなりそうなフィールから殺したかったが、まぁザコドラからで良いか。
「さて、どうするか………」
ファニに近づきながらそんなことを呟いた。だが、急にリョーマの視界はブレた。
体勢を崩し転びそうになっていたのだ。
「チッ」
そのまま転倒したリョーマ。立ち上がろうとすると、上に誰かが乗っていた。
「死に損ないが、面倒くせぇな!」
「こんなこと、もうやめよ!なんでこんな事するの!」
「退け!あとでちゃんと殺してやるから!」
「いや!答えてよ!なんでこんなことするの!」
リョーマに馬乗りになって問いただしているフィールは、今にも泣きそうだった。
「テメェの質問に答える義理はねぇ!」
妙だ。こいつ自体はあまり重くない。退かそうも思えばいつでも出来る。
なのに、なんで俺の体は動かせないんだ?
『リョーマ様。なぜ自分たちを拒絶するのですか』
「拒絶?俺はゴミと戯れる趣味はねぇ。テメェらが勝手にそう感じてただけだろ」
『じゃあなぜ、フィールさんを助けたのです?自分の願いを聞いてくれたのですか?』
「そんな事をした記憶はねぇ!ゴミが死のうが俺には関係ない」
『フィールさんの病気を肩代わりしたのは何故です?』
「…………んな事は知らねぇ」
「えっ?肩代わり?どういうこと?」
『リョーマ様はフィールさんの魔力を抜き、その過程で今度はリョーマ様が病気になってしまったのです』
体溜魔性障害は魔力が外に出なくなるもの。その原因は魔力が詰まりやすいところにある。
魔力が魔素という流れやすい状態ではなく、魔毒というドロドロした状態になってしまい、その結果、魔力が体内で溜まり続けるという状態になる。
フィールの魔力を体内に入れた時点で、その魔毒はリョーマの体を蝕むことになった。
「ご、ごめんリョーマ。そんなこととは知らないで、私……」
クッソやりずれぇな。これだから人間は嫌いだ。
「すまないと思うなら退け」
「ううん。退けない理由ができたよ。私はリョーマと一緒にこれからも旅をしたい」
体から魔力が抜ける!いや、吸われているのか?!
「テメェ……何を、しやがった……!!」
魔力が無くなると魔無欠消症になり一時的に貧血状態のようになるが、魔無欠消症の場合は気絶してしまう。
「くぅ……っそが!」
『うっ!?』
「キャッ!」
リョーマは重力魔法とアパラージタを解除し、ソウゾウの魔剣を生成した。そしてすぐに、その魔剣を二人に目掛け投げた。
「ザコドラァ!!テメェは絶対にぶっ殺す!」
「私たちを倒せるかな?」
フィールの一太刀でリョーマの魔剣は消えた。
聖剣を両手で持ち右側に構えたフィールはいつリョーマに斬り掛かってもおかしくない雰囲気だった。
『全力でいきますよ』
竜の姿に戻り、戦闘態勢をとるファニ。
「己の身の程をわきまえろ!テメェらごときに魔法すら使う必要はねぇ」
リョーマ落ちていた木の枝を拾い二人を見据えた。
「来い。殺してやる」
少しの間睨みあったまま、どちらも動かなかった。
(隙がない……攻めようにもどうすれば……フィールさんも腰が引けてるというか、気押されてる)
俺が短気だと知ってこの態度か?せっかく抵抗する時間をやったのに。
「『!!!!』」
鋭い一撃が二人の頬を掠めた。
木の枝を振るった時の風圧のみで出血させたのだ。
「意外と手に馴染むぜ。さて、次はどこが……」
優越感に浸りながら、木の枝から二人の方を見ると、既に二人の姿は無く地面に踏み込んだあとのみが残っていた。
「やっとやる気になったか」
体勢を低くし木の枝を逆手に持った。
「俺の木の枝の餌食になりに来たのか?」
突如後ろに現れたフィールの攻撃を振り向く余裕すら見せ、涼しい顔で受け止めた。
「ファニちゃん!」
『受け取ってください!(ファイアボール)』
先程よりも数倍はあるファイアボールを無防備なリョーマの背中に放たれた。
「同士討ちって知ってか?」
リョーマは器用に木の枝を傾け、フィールの剣を木の枝の上で滑らせた。
すると、剣に体重を掛けていたフィールは前に倒れた。
「だが、避けるなんて俺がまるでこんなザコ魔法にビビってるみたいだしな」
フィールはただその場で倒れたまま呆然としていた。立ち上がるのが怖くなっていた。
腰が抜けていたのかもしれない。
「ほらよっと」
木の枝を回転させファイアボールの中心部に投げつけた。
すると、ファイアボールは小さな爆発を起こし、消滅した。
『えっ?』
あの程度ならば当たっても大丈夫だったな。にしても、俺の唯一の武器が無くなっちまったな。
魔法には核という魔力の形を維持するための物が存在する。
その核に的確に衝撃を与えると、魔力が魔法を形成できなくなり簡単に消滅してしまう。
「まぁ、素手でも充分か」
どう弄んでやろうか。
まだ全然戦う気があるリョーマとは対照的に、フィールとファニは戦意喪失していた。
こいつらはもうダメだな。しょうがない。救済をしてやるか。
魔剣を生成し、フィールの首に押し付けた。
「じゃあな。俺を恨むなよ」
フィールの首を切り落とそうと魔剣を振り上げ、そして振り下ろした。
しかし、リョーマの手には何も無かった。
「…………ファニか?」
『これは、効くんですね』
まさか俺の魔剣を消滅させるとはな。まぁ、魔力の消費はそこまでじゃねぇし良いか。
「番狂わせは好きじゃねぇんだわ」
あとあと面倒くさくなりそうなフィールから殺したかったが、まぁザコドラからで良いか。
「さて、どうするか………」
ファニに近づきながらそんなことを呟いた。だが、急にリョーマの視界はブレた。
体勢を崩し転びそうになっていたのだ。
「チッ」
そのまま転倒したリョーマ。立ち上がろうとすると、上に誰かが乗っていた。
「死に損ないが、面倒くせぇな!」
「こんなこと、もうやめよ!なんでこんな事するの!」
「退け!あとでちゃんと殺してやるから!」
「いや!答えてよ!なんでこんなことするの!」
リョーマに馬乗りになって問いただしているフィールは、今にも泣きそうだった。
「テメェの質問に答える義理はねぇ!」
妙だ。こいつ自体はあまり重くない。退かそうも思えばいつでも出来る。
なのに、なんで俺の体は動かせないんだ?
『リョーマ様。なぜ自分たちを拒絶するのですか』
「拒絶?俺はゴミと戯れる趣味はねぇ。テメェらが勝手にそう感じてただけだろ」
『じゃあなぜ、フィールさんを助けたのです?自分の願いを聞いてくれたのですか?』
「そんな事をした記憶はねぇ!ゴミが死のうが俺には関係ない」
『フィールさんの病気を肩代わりしたのは何故です?』
「…………んな事は知らねぇ」
「えっ?肩代わり?どういうこと?」
『リョーマ様はフィールさんの魔力を抜き、その過程で今度はリョーマ様が病気になってしまったのです』
体溜魔性障害は魔力が外に出なくなるもの。その原因は魔力が詰まりやすいところにある。
魔力が魔素という流れやすい状態ではなく、魔毒というドロドロした状態になってしまい、その結果、魔力が体内で溜まり続けるという状態になる。
フィールの魔力を体内に入れた時点で、その魔毒はリョーマの体を蝕むことになった。
「ご、ごめんリョーマ。そんなこととは知らないで、私……」
クッソやりずれぇな。これだから人間は嫌いだ。
「すまないと思うなら退け」
「ううん。退けない理由ができたよ。私はリョーマと一緒にこれからも旅をしたい」
応援ありがとうございます!
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