55 / 66
1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、神と戦う 2
しおりを挟む
「どう、なってやがる」
魔法陣から出された光が森全体を包み込んだ。
その光が収まる頃、リョーマはある異変に気がつく。
デカい魔力反応が現れやがった。それも十九もだ。
その中の一つには目の前に倒れる魔王のものも含まれていた。
魔力反応が出たということは生きていることを示す。つまり、魔王は生き返ったのだ。
「はっ。つまり、この森で倒した魔族が全員復活するわけか」
周囲を見渡すとザースにハザマ。四天王の幹部である魔族たちの魔力が戻っていた。
そして、魔王城の奥から一つ。シフルの魔力反応と思わしきものもある。
「全く。人間のために勇者を生み出したのに、魔物を助けるために使うなんて、本末転倒も良いところですよ、そう思いませんか?」
「やった張本人がよく言うぜ」
こいつら全員を一気に相手するためにはどうすれば良い?一体一体はそこまでだが、この数の魔族の連携と考えると、多少厳しいか?
「浮かない顔ですね。安心してください。魔物は現在気絶しています。起きるのに一日は掛かるでしょうね」
「そうかよ」
リョーマは少しばかり安堵した。だが、心を見透かされたと言う気持ち悪さと、この程度で怖気付いたと思われていると考えると、腸が煮えくり返る思いだった。
「テメェに一つ質問する」
リョーマが浮かない顔していたのはそれだけが原因ではないようだ。
「まさか戦闘中にも関わらずですか?」
「テメェは魔王軍をひっくるめて魔物を言うのか?」
フィールは幹部とかの上位種を魔族、それ以外を魔物と呼んでいた。
だが、俺の時代では魔王軍に所属する全ての魔物を魔族と呼ぶ。そして、魔王軍に所属する魔物を全て魔族と呼ぶきっかけを作ったのは……ミリアだ。
この違いはなんなんだ?百年でこうも変わるもんなのか?
「まぁ、細かくすれば幹部以上の魔物を魔族と呼びますが……なぜそんなことを?」
「俺の時代では魔王軍の魔物は全て魔族なんでね」
「おかしな言い方ですね。それではまるで、貴方がこの時代の人間では無いみたいですが?」
「んなことはどうでもいい。とりあえず、テメェを殺す」
リョーマは残りの魔力を全て絞り出して魔剣を生成した。
魔力がなくなっちまったか。視界がぼやけるし力が入りづれぇ。
リョーマは必要以上に魔剣を握る手に力を込めた。
そうでもしないと意識が無くなりそうだったのだ。
「神と戦うと言うことがどれほど愚かな行為か、その身をもって味わいますか?」
女神が両手を広げた途端、無数の小さな魔法陣が女神の後ろに展開された。
「この体、かなり馴染みますね。魔力の保持量もかなり……人間にしてはかなり強いですね。さすがは勇者」
女神は両腕を前に持っていき、指先をリョーマに向けた。
「『女神の粛清』」
白くうっすらと光を帯びた球体が魔法陣から現れた。
女神は片腕を下ろし、もう片方の腕をリョーマに向け、人差し指と親指だけを立て、残りの指は握られていた。
女神の顔には微かに口角が上がっており、片目を瞑り、まるで獲物を狙うかのような眼差しか浮かぶ。
そして、ただ一言。
「バーン」
その言葉を合図に周囲に浮遊する白い球体はリョーマ目掛け飛び出した。
魔法陣から出された光が森全体を包み込んだ。
その光が収まる頃、リョーマはある異変に気がつく。
デカい魔力反応が現れやがった。それも十九もだ。
その中の一つには目の前に倒れる魔王のものも含まれていた。
魔力反応が出たということは生きていることを示す。つまり、魔王は生き返ったのだ。
「はっ。つまり、この森で倒した魔族が全員復活するわけか」
周囲を見渡すとザースにハザマ。四天王の幹部である魔族たちの魔力が戻っていた。
そして、魔王城の奥から一つ。シフルの魔力反応と思わしきものもある。
「全く。人間のために勇者を生み出したのに、魔物を助けるために使うなんて、本末転倒も良いところですよ、そう思いませんか?」
「やった張本人がよく言うぜ」
こいつら全員を一気に相手するためにはどうすれば良い?一体一体はそこまでだが、この数の魔族の連携と考えると、多少厳しいか?
「浮かない顔ですね。安心してください。魔物は現在気絶しています。起きるのに一日は掛かるでしょうね」
「そうかよ」
リョーマは少しばかり安堵した。だが、心を見透かされたと言う気持ち悪さと、この程度で怖気付いたと思われていると考えると、腸が煮えくり返る思いだった。
「テメェに一つ質問する」
リョーマが浮かない顔していたのはそれだけが原因ではないようだ。
「まさか戦闘中にも関わらずですか?」
「テメェは魔王軍をひっくるめて魔物を言うのか?」
フィールは幹部とかの上位種を魔族、それ以外を魔物と呼んでいた。
だが、俺の時代では魔王軍に所属する全ての魔物を魔族と呼ぶ。そして、魔王軍に所属する魔物を全て魔族と呼ぶきっかけを作ったのは……ミリアだ。
この違いはなんなんだ?百年でこうも変わるもんなのか?
「まぁ、細かくすれば幹部以上の魔物を魔族と呼びますが……なぜそんなことを?」
「俺の時代では魔王軍の魔物は全て魔族なんでね」
「おかしな言い方ですね。それではまるで、貴方がこの時代の人間では無いみたいですが?」
「んなことはどうでもいい。とりあえず、テメェを殺す」
リョーマは残りの魔力を全て絞り出して魔剣を生成した。
魔力がなくなっちまったか。視界がぼやけるし力が入りづれぇ。
リョーマは必要以上に魔剣を握る手に力を込めた。
そうでもしないと意識が無くなりそうだったのだ。
「神と戦うと言うことがどれほど愚かな行為か、その身をもって味わいますか?」
女神が両手を広げた途端、無数の小さな魔法陣が女神の後ろに展開された。
「この体、かなり馴染みますね。魔力の保持量もかなり……人間にしてはかなり強いですね。さすがは勇者」
女神は両腕を前に持っていき、指先をリョーマに向けた。
「『女神の粛清』」
白くうっすらと光を帯びた球体が魔法陣から現れた。
女神は片腕を下ろし、もう片方の腕をリョーマに向け、人差し指と親指だけを立て、残りの指は握られていた。
女神の顔には微かに口角が上がっており、片目を瞑り、まるで獲物を狙うかのような眼差しか浮かぶ。
そして、ただ一言。
「バーン」
その言葉を合図に周囲に浮遊する白い球体はリョーマ目掛け飛び出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる