6 / 57
再び中庭にて
しおりを挟む
翌日、エレオノーラが中庭で本を読んでいると、フレデリクとカールがやって来た。
「エレオノーラ殿、やっぱり中庭におられましたね。」
と、フレデリクが嬉しそうに話しかける。
「フレデリク様、カール様、こんにちは。昨日は大変ためになるお話をありがとうございました。」
とエレオノーラは、心を込めて礼を言う。
「エレオノーラ殿に、良い話がありますよ。」
と、フレデリクが言うと、エレオノーラが、
「何ですか?」
と身を乗り出す。それを見ているカールが、『なるほど、エレオノーラ殿の、令嬢らしからぬこの反応の良さがフレデリクのお気に召したんだな、きっと。」と、一人で納得。その横でフレデリクが得意げに、
「昨日ベルク先生に、『学院内で有志数名相手に講義をして欲しい』と手紙を送ったところ、その場で手紙を届けた従者に『いつでも』とお返事をいただきました。エレオノーラ殿、ベルク先生の講義を、明日にでもいかがですか?」
「まぁ!本当にベルク先生から直接教えてもらえるんですね!嬉しい!」
と、目をキラキラさせてフレデリクを見つめるエレオノーラ。
「今もベルク先生の別の本を読んでいました。明日までに、図書室にあるベルク先生の本を全て読んで、質問したいことを、まとめておきたいわ。」
と言うエレオノーラに、カールが、
「エレオノーラ殿、ベルク先生には、これから何度でも教えていただけますので、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。ね、フレデリク?」
「そう、ベルク先生の教え子をどんどん増やしたいと考えています。私達はベルク先生と、もう一人ヴィーレ先生という剣の先生に、子供の頃から指導していただきました。ベルク先生とヴィーレ先生は、素晴らしい先生方でね」
とフレデリクが言うとカールが続けて、
「ベルク先生とヴィーレ先生から、知識と剣だけでなく心も鍛えていただきました。」
「そう、学院入学まで、ベルク先生から、知識をどう生かすか、立場が逆だとどう見えるかを訓練され、ヴィーレ先生からは、剣の練習だけではなく、野営や塹壕掘りまで教えてもらいました。」
「野営、きつかったですね、ヴィーレ先生の教え子の騎士3名と、一週間のピクニック気分だったのに、実は本当の戦争を想定した訓練で、初日の夕方から泣きそうになったのを覚えています。」
カールが思い出話を始めると、フレデリクもまた、
「雨が降ってきて、これで休憩できると喜んだら、戦争は雨風関係ないんだよと言われて、疲れて、寒くて。あの経験は忘れられません。」
エレオノーラは、
「そうだったんですね。兄と私の先生は、両親と退役軍人のおじさんたちで、のんびりしたものでした。兄は中央学院の授業で苦労しているわね、きっと。」
「いえ、アルヌルフは、家臣にわざと負けてもらってきた令息たちよりは、よほど強いですよ。そしてなかなか負けません。私もすんなり勝たせてもらえませんし。」
アルヌルフの心配をするエレオノーラをフレデリクが安心させる。
「良かった、兄はなんとか頑張っているのね、ホッとしました。屋敷に泊まっていた商人たちが、珍しい武術を教えてくれたのも役に立っているのかしら。」
「珍しい武術とは、どんな武術ですか?」
と、カールが聞く。
「素手で闘ったり、長い棒で闘ったりするんです。面白かったですよ。他には、火薬で鉛の玉を飛ばす火器の飛ばし方も伺いましたが、実物を触ることはかないませんでした。」
エレオノーラの答えに、フレデリクとカールは顔を見合わせた。フレデリクは、
「ツェリェ伯の屋敷には、いろいろな人が泊まるのですね。危ない目には合いませんでしたか?」
「はい、なにしろ盗まれるような物が無い家なのです。私たち家族は、軍を退役したおじさんたちに囲まれていましたし、怖い目に合ったことはなかったです。」
「そうですか。ツェリェ伯のお屋敷に遊びに行かせてもらえませんか。」
フレデリクが聞くと、
「ぜひ、お待ちしています。私、ツェリェを保養地に出来ないかと考えています。遊びに来られた際、アドバイスなどいただければ嬉しいです。」
「ぜひ近いうちに行かせていただきましょう。」
カールも行く気満々になっていた。
「エレオノーラ殿、やっぱり中庭におられましたね。」
と、フレデリクが嬉しそうに話しかける。
「フレデリク様、カール様、こんにちは。昨日は大変ためになるお話をありがとうございました。」
とエレオノーラは、心を込めて礼を言う。
「エレオノーラ殿に、良い話がありますよ。」
と、フレデリクが言うと、エレオノーラが、
「何ですか?」
と身を乗り出す。それを見ているカールが、『なるほど、エレオノーラ殿の、令嬢らしからぬこの反応の良さがフレデリクのお気に召したんだな、きっと。」と、一人で納得。その横でフレデリクが得意げに、
「昨日ベルク先生に、『学院内で有志数名相手に講義をして欲しい』と手紙を送ったところ、その場で手紙を届けた従者に『いつでも』とお返事をいただきました。エレオノーラ殿、ベルク先生の講義を、明日にでもいかがですか?」
「まぁ!本当にベルク先生から直接教えてもらえるんですね!嬉しい!」
と、目をキラキラさせてフレデリクを見つめるエレオノーラ。
「今もベルク先生の別の本を読んでいました。明日までに、図書室にあるベルク先生の本を全て読んで、質問したいことを、まとめておきたいわ。」
と言うエレオノーラに、カールが、
「エレオノーラ殿、ベルク先生には、これから何度でも教えていただけますので、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。ね、フレデリク?」
「そう、ベルク先生の教え子をどんどん増やしたいと考えています。私達はベルク先生と、もう一人ヴィーレ先生という剣の先生に、子供の頃から指導していただきました。ベルク先生とヴィーレ先生は、素晴らしい先生方でね」
とフレデリクが言うとカールが続けて、
「ベルク先生とヴィーレ先生から、知識と剣だけでなく心も鍛えていただきました。」
「そう、学院入学まで、ベルク先生から、知識をどう生かすか、立場が逆だとどう見えるかを訓練され、ヴィーレ先生からは、剣の練習だけではなく、野営や塹壕掘りまで教えてもらいました。」
「野営、きつかったですね、ヴィーレ先生の教え子の騎士3名と、一週間のピクニック気分だったのに、実は本当の戦争を想定した訓練で、初日の夕方から泣きそうになったのを覚えています。」
カールが思い出話を始めると、フレデリクもまた、
「雨が降ってきて、これで休憩できると喜んだら、戦争は雨風関係ないんだよと言われて、疲れて、寒くて。あの経験は忘れられません。」
エレオノーラは、
「そうだったんですね。兄と私の先生は、両親と退役軍人のおじさんたちで、のんびりしたものでした。兄は中央学院の授業で苦労しているわね、きっと。」
「いえ、アルヌルフは、家臣にわざと負けてもらってきた令息たちよりは、よほど強いですよ。そしてなかなか負けません。私もすんなり勝たせてもらえませんし。」
アルヌルフの心配をするエレオノーラをフレデリクが安心させる。
「良かった、兄はなんとか頑張っているのね、ホッとしました。屋敷に泊まっていた商人たちが、珍しい武術を教えてくれたのも役に立っているのかしら。」
「珍しい武術とは、どんな武術ですか?」
と、カールが聞く。
「素手で闘ったり、長い棒で闘ったりするんです。面白かったですよ。他には、火薬で鉛の玉を飛ばす火器の飛ばし方も伺いましたが、実物を触ることはかないませんでした。」
エレオノーラの答えに、フレデリクとカールは顔を見合わせた。フレデリクは、
「ツェリェ伯の屋敷には、いろいろな人が泊まるのですね。危ない目には合いませんでしたか?」
「はい、なにしろ盗まれるような物が無い家なのです。私たち家族は、軍を退役したおじさんたちに囲まれていましたし、怖い目に合ったことはなかったです。」
「そうですか。ツェリェ伯のお屋敷に遊びに行かせてもらえませんか。」
フレデリクが聞くと、
「ぜひ、お待ちしています。私、ツェリェを保養地に出来ないかと考えています。遊びに来られた際、アドバイスなどいただければ嬉しいです。」
「ぜひ近いうちに行かせていただきましょう。」
カールも行く気満々になっていた。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
敏腕SEの優しすぎる独占愛
春咲さゆ
恋愛
仕事も恋愛も、兎に角どん底の毎日だった。
あの日、あの雨の夜、貴方に出逢うまでは。
「終わらせてくれたら良かったのに」
人生のどん底にいた、26歳OL。
木崎 茉莉 ~kisaki matsuri~
×
「泣いたらいいよ。傍にいるから」
雨の日に現れた、30歳システムエンジニア。
藤堂 柊真 ~Todo Syuma~
雨の夜の出会いがもたらした
最高の溺愛ストーリー。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる