トンデモ公爵とブラコン令嬢の契約婚

すなたろう

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学生寮エレオノーラの部屋

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 皆が回廊からいなくなってしばらくしてから、寮に戻ったエレオノーラのもとに、オーダが訪ねてきた。
「エレオノーラ様、私、先ほど談話室でご挨拶したオーダでございます。もしよろしかったら、少しお話ししたいのですが。」
『フレデリク様のスパイ来たー』と思ったエレオノーラだったが、兄の交際相手のオーダと話したかったので、いそいそと、
「こんにちは。どうぞ、お入りになってください。」
とオーダを自室に招き入れた。
「お邪魔します。わぁ、きれいになさっているのですね。」
「いえ、殺風景でお恥ずかしいです。あの、先ほどお渡しした焼き菓子がオーダ様のお口には届かなかったようですが、よろしかったら、残りがこんなにございます。今度こそご試食くださいませ。」
と、お茶をいれて、作り過ぎた焼き菓子を並べた。
「ありがとうございます。美味しいわ。お茶もお菓子も。アルヌルフから、自分より賢いと、いつもエレオノーラ様の自慢を聞いているのよ。素敵な兄妹ね。私は男爵家の娘で兄二人、弟二人の五人兄弟。ここの寮も三人部屋なの。五人兄弟も三人部屋も、おしゃべりしたりケンカしたり毎日楽しいですけどね。この学院に入学して一年と少しの間に、侯爵家と伯爵家のご令嬢のお部屋へ、お茶に呼ばれて行きましたが、どちらのご令嬢とも打ち解けられずそれっきり。侍女がおられて、ご令嬢は身の回りのことは何もされておられないご様子でしたけれど、エレオノーラ様が何でもご自分でされていると伺い、勝手に親しみを感じていましたの。」
「ありがとうございます。私、何も知らなくて、見よう見まねで皆様と合わせるようにしているところで、この前やっとできた友達に、貴族の方との付き合い方を直してもらっているところです。入学以来こちらから声を掛けるのが怖くて誰にも話しかけなかったのに、この前うっかりお声がけしてしまったのが、公爵様と侯爵家ご令息だったというマヌケぶりで。」
「まあ、フレデリク様とカール様ですね。」
オーダは、どうやってフレデリクの話に持っていこうか頭を悩ませていたら、エレオノーラの方から話を振ってくれたので、ホッとした。
「この学院の中では、爵位は構わずに、ということになっておりますので、問題ないのですよ。それに、そのフレデリク様が、エレオノーラ様のことを大変好ましく思っておられるご様子ですの。」
エレオノーラは、兄とオーダの話を聞きたかったのに、自ら公爵の話に振ってしまって、がっくり。
「皆がおそれおおくて話しかけないのに、いきなり話しかけてきた無礼な女が珍しかっただけでございましょう。ところで、オーダ様は、兄とはどういうなれ初めですの?」
と、アルヌルフとオーダの話に無理やりもっていく。
「アルヌルフと私ですか?アルヌルフはあの美貌で、どこに行っても令嬢から騒がれるので、自然と令息方から妬まれ、私も男兄弟に囲まれて育ったものですから令嬢方の意にそまない大雑把な言動をしてしまい、お互い辛い目に合いまして、慰めあって仲良くなりましたの。そういえば今日、フレデリク様と初めてお話をしましたけれど、あまり身分を意識されていないように感じました。エレオノーラ様はどう思われました?」
と、オーダはまたフレデリク案件に話を戻し、
「エレオノーラ様のことを、本を読んで作物を育てるなんて素晴らしいご令嬢だと、手放しで褒めておられましたよ、フレデリク様が。」
エレオノーラは、オーダに負けてなるものかと、
「それは私がツェリェ領のため、懸命に勉強しているからです。アルヌルフ兄様は、オーダ様と共に、立派にツェリェ領を治めることでしょう。そこに私も微力ながらご協力いたしたく存じます。」
と、一気にオーダに自分を売り込む方向に転換してみた。
「オーダ様から見て、アル兄様の一番の魅力は何ですか?」
オーダは、エレオノーラにフレデリクを売り込むのは手強いと諦めた。そしてアルヌルフの魅力を考えながら、
「そうね。アルヌルフのあの綺麗な顔で、バカバカしいことを言うのがギャップ萌えと申しますか、加えて、優しくて頭がキレるときたら、好きにならずにおられましょうか。」
オーダが恥ずかしそうに言ったことに、エレオノーラは、
「アル兄様がバカバカしいことを言う?ギャップ萌え??」
びっくりして復唱するエレオノーラに、オーダは重ねて、
「悩みごとでもあるのかと心配したら、くだらないことを思い出して笑うのを我慢していたり。でも私に困りごとがあると、すぐ気づいて助けてくれるの。それがまたスマートなのよね。」
「くだらないことを思い出して笑うのを我慢?」
「あの顔で笑い話好きなんて、心をわしづかみされちゃったのよね。一緒にいると、二人してずっと笑ってるのよ。」
エレオノーラの驚きに気づかず、オーダはアルヌルフの魅力を語り続けた。
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