妄想暴走田上君

すなたろう

文字の大きさ
1 / 1

モテ黒歴史の田上君

しおりを挟む
 高校2年で背が急に伸びた。それまでクラスで一番背が低かったのに、3年生の夏頃には、背の高い方から2番か3番目くらいになった。
 小さい頃から、すぐ咳こんで、皮膚も弱くて、みんなから憐れまれる存在だった。それが背が伸びただけでどうだ、小中学校が同じ女の子からは相手にされないままだけど、都会から引っ越してきた、ものすごく可愛い同級生の女の子から話しかけられた。
「私の彼氏になってくれる?」
「はい。」
 僕が、クラスの男子の憧れの存在の美花ちゃんの彼氏!だぞ!天地がひっくり返ったような衝撃を受けたのは、僕を馬鹿にしてきたクラスメイトよりも僕が一番だったと思う。
 
 その週末、美花ちゃんとデートしてフラれた。一生懸命かっこいい服を選んで着て行ったのにフラれた。デートプランを練って練って練りまくってデートに臨んだのに、美花ちゃんはお買い物がしたいと言って電車に乗って街まで行った。美花ちゃんはお店に入って、あれが良いな、これ欲しいな、と言っている間中、僕はどうして良いかわからなくて店の外で待ってたら、僕のところまで来てニコッと笑って、腕組んで、売り場まで引きずられて、『これ似合うと思う?』と聞かれて『似合うよ』と答えたのにフラれた。帰りに『田上君は違ったみたい』と言われたのは、腕を組まれた時に、美花ちゃんの柔らかい胸に僕の腕が当たってしまったからかと思って、落ち込んだ。わざとじゃなかったんだ、美花ちゃんごめんね。
 しかし、翌日教室でクラスの女子に、
「美花ちゃん、田上君とのデート、どうだった?」
と聞かれて、美花ちゃんは、
「ハズレ。そもそも私より腕も足も細い男の子ってなんだかね。それに私、今まで年上とばっかり付き合ってたから、同い年では無理みたい。」
と美花ちゃんは話し始めた。僕に聞こえているかなんて、全く気にせずに。
「え?年上って?」
「大学生とか、会社員とか。」
「すごい美花ちゃん。どういうきっかけでそういう人と仲良くなるの?」
「普通にバイト先の客だよ?」
「え?バイト?どんなバイト?学校が許可してくれたの?」
「まさか!キャバ認める学校なんて無いに決まってるじゃん。」
「キャバ?」
「年上だとちょっと触らせるだけで、バッグでもデパコスでもなんでも買ってくれるんだよ。手術代まで出してくれるのはおじさんだけだけどさ。」
その後、女子トークはどんどん進み、僕はどんどん落ち込み、クラスの男子は僕に優しくなった。クラスの女子は交代で、
「美花ちゃん、顔のお直ししてるし、田上君の方が、顔は可愛いからね。」
と慰めに来た。

 その後、都会の大学に進んだ。僕は可愛い女性が怖くて距離を取っていたら、真面目な麻衣さんと仲良くなった。麻衣さんは、頭が良くて、いろんなことを僕に教えてくれた。『あの人は自分の意見を自慢げに話すけど、どこかで聞いた話を繋ぎ合わせてるだけ。』『あの人は起業したけど、人の真似してるだけだから、勝算はないね。』僕が尊敬していた人たちを、分析して批判できる麻衣さんはすごいな、と思っていたら、そのうち僕にダメ出しをするようになった。将来のビジョンがなぜ描けないのか?なぜ大きな夢を見てそのための努力をしないのか?デートの誘いをなぜ僕からしないのか?そしてあっさりフラれた。僕は少しホッとした。そして、そのことに後ろめたさを感じた。

 僕なりに頑張って就職活動をして、小さな会社に入った。そこでは可愛い女性と真面目な女性には関わらないようにした。
 僕に仕事を教えてくれたのは、仕事のできるかっこいい梨衣菜さん。わかりやすく説明してくれて、間違えた時には厳しく叱ってくれて、三年後には男女の仲になった。きっかけは梨衣菜さんから、忘れ物を自宅まで届けて欲しいと連絡があり、慌てて梨衣菜さんのマンションまで届けると、お礼に美味しいワインを飲んでいけ、面白いドラマがあるけど一緒に見よう、お風呂も入る?そして寝室に呼ばれた。その後も何度も忘れ物を届けて、その度に同じパターンを繰り返していたら、突然会社が潰れて、社長が夜逃げした。債権者が詰めかけた。男性の社員が、
「社長と梨衣菜さんが、会社の金を持ち逃げしやがった。」
と罵った。
「社長と梨衣菜さん?」
「田上、お前くらいだよ知らないのは。梨衣菜さんはずっと社長の愛人だったんだ。お前は梨衣菜さんの寂しさを紛らわすための道具だったってわけ。」
僕は驚いた。梨衣菜さんのような仕事のできるかっこいい人が、何年も不倫して、寂しさを僕みたいな頼りない男で紛らわして、金を持って夜逃げするのか。
 僕は転職先を探し始めた。転職先で、はるこさんと出会った。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

真面目な王子様と私の話

谷絵 ちぐり
恋愛
 婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。  小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。  真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。 ※Rシーンはあっさりです。 ※別サイトにも掲載しています。

愛してないから、離婚しましょう 〜悪役令嬢の私が大嫌いとのことです〜

あさとよる
恋愛
親の命令で決められた結婚相手は、私のことが大嫌いだと豪語した美丈夫。勤め先が一緒の私達だけど、結婚したことを秘密にされ、以前よりも職場での当たりが増し、自宅では空気扱い。寝屋を共に過ごすことは皆無。そんな形式上だけの結婚なら、私は喜んで離婚してさしあげます。

処理中です...