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序章 壊朽の果てに
第一話 死への願望
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僕はこの世界に生まれた。
生まれてしまった。
なぜだろう、この感じ、この感覚。
僕には幼い頃からの記憶がある。
この世に生まれ目を開いた時、なぜ産まれたんだろう、目の前にいるこいつらは誰だと、そう思った。
普通はこの世に生まれた喜びを感じるものなんだろうが、僕は違った。
生まれた瞬間に僕はこの感情を抱いた。
ー死にたい、絶望だ。
その感情が僕の全てを支配していた。
この先の人生、どう生きたものか、と幼い頃にはもう悟っていた。
幼心に感覚的に正しいものと誤っているものの区別がついていた。
それは体が少しずつ成長していくにつれ、ひしひしと脳裏に体に刻み込まれていった。
そして金というものを知った。なぜ金があるのか意味が分からなかった。
金がなかったら、食べたいものも食べれる欲しいものも得られる。
誰が作り出したんだこんなシステムは。金に縛られていることにさらに絶望した。
僕を生み出した親はというと。
父親は浮気をしている挙句の果てに金の使い方を知らない。仕事をしているのにそれはギャンブルへとつぎ込まれる。
母親はヒステリックで常に寝ているがブランドものに目がないのか、貧乏な生活なのに買い漁っている始末。
ケンカは日常的だった。
タバコ、酒、怒鳴り声、訳の分からない妄言。
それに力で解決しようとするので家のあちこちに穴が開いていた。
僕の周りにはまともな人間はいなかった。
俗にいう、親ガチャ失敗。
なぜこの親から生まれたんだ。どこにいても親に縛られていることにさらに絶望した。
いやこの世に生まれてきたこと自体間違っていたのだ。
壊れていく。だんだんと。そこに救いなどない。
絶望を悟っているにも関わらず、時間は流れてゆく残酷さ。
小学校、中学、高校と。
僕は何をしても上手くいかず中途半端だった。
勉強も人間関係も。
何をしても上手くいかない。
そして何をしていいのかわからず親の選んだ大学へ進んだ。
大学の費用も莫大な金がかかってるというのに、借金をしてまで親は行かせた。
生きている意味がわからない。
親とは絶対に話さなかった。
学校のみんなは楽しそうに家族のことを話している。
その家族と会話するという無意味な行動が不思議だった。
家族と話すと楽しいのか。なぜ?
それはすぐに理解できた。僕は生まれた瞬間から親を憎んでいたのだ。
この世に誕生させた親を、心底恨んで憎んでいたからだ。
大学卒業後はバイトをしながら一人暮らしをした。
とりあえず一人になりたかったのだ。逃げたかった。
でも、それは突然訪れたのだ。
金だ。借金だ。
親は自分たちの金では足らず奨学金も申請していたのだ。
その知らせを知った時からすでに不幸という海に深く深く沈んでいった。
押し寄せる莫大な借金が僕を追いかけてくる。
あなたのために奨学金を借りたなどと言われた。
あなたなんか生まれてこなければよかった。
お前のためにやったことだ。
などという、そんな薄っぺらい言葉はとうに聞き飽きていたしそこに怒りさえ覚えなかった。
バイト生活でこの莫大な借金を返済することは無理だと、目に見えて分かった。
すぐに就活に取り掛かった。
10社、20社、30社・・・案の定受かるはずもない。
と思っていたが1社内定をもらった。
そう誰もができるブラックな企業だ。
飲食店で24時間営業。シフトはまばら。
深夜も昼間もただひたすら働いた。
言われた通りに働いた。上司からの電話も時間を問わずかかってくる。
罵声は日常茶飯事。ワンオペ当たり前。
あぁなぜ生きているんだ僕は。
この世界は金と運でできているんだ。
なんて退屈な世界だ。
縛られている人生。金が無ければ成り立たない世界。
空っぽの世界で、何も秀でていない僕は、只々機械のように動く人形。
日に日に募る絶望。
死にたい思いがただひたすらコップに注がれ零れ落ちてゆく。
少し芽が出た喜怒哀楽の感情も一瞬で灰になる。
それは突然だった。
仕事の同僚の女性に告白された。
なぜか僕はそれを断らなかった。
何か変わるのかもという淡い期待もあったのだろう。
デートも食事も初めてで、生きているという感覚を覚えた。
それから彼女と同棲をした。
少し僕の人生に色が増えた、気がした。
しかし、僕に借金があると知った彼女は僕の前からいなくなった。
絶望が津波のように押し寄せる。
失った虚しさと借金の焦りとで体の中が以前よりも増して、より穴が開いた感覚だった。
繰り返してゆく絶望と死にたい感情。
実際包丁を手にしてみる。高いところの淵に立ってみる。駅のホームに立ってみる。
いろいろ試してみたが、人間の本能か、死ぬことはできなかった。
そろそろもういいだろう。
もう開放してくれ、この世界から、この体から、この人生から。
自分から死ねない。絶望だ。
惰性で過ごす無の人生。
この身が朽ち果てるまで続くのかと思うと、絶望しかなかった。
太陽が朝を告げ、月が夜を静かにする。
その途方もない繰り返し。
そこに楽しみも悲しみもない。
何もしたくない。金なんてどうでもいい。
あぁ、はやく死んで終わりたい。
いつもの日常。
仕事の深夜出勤の日。
自転車で仕事場に向かっている途中、それは突然起こった。
心臓が苦しい。い、息ができない!?
進んでいたペダルが止まり、倒れた。
これは、発作か。苦しい。
深夜だから周りには誰もいない。
あぁやっと死ねるのか。
意識が遠のいてゆく。だんだんと。だんだんと。
そして僕は。
壊れ果てた。
生まれてしまった。
なぜだろう、この感じ、この感覚。
僕には幼い頃からの記憶がある。
この世に生まれ目を開いた時、なぜ産まれたんだろう、目の前にいるこいつらは誰だと、そう思った。
普通はこの世に生まれた喜びを感じるものなんだろうが、僕は違った。
生まれた瞬間に僕はこの感情を抱いた。
ー死にたい、絶望だ。
その感情が僕の全てを支配していた。
この先の人生、どう生きたものか、と幼い頃にはもう悟っていた。
幼心に感覚的に正しいものと誤っているものの区別がついていた。
それは体が少しずつ成長していくにつれ、ひしひしと脳裏に体に刻み込まれていった。
そして金というものを知った。なぜ金があるのか意味が分からなかった。
金がなかったら、食べたいものも食べれる欲しいものも得られる。
誰が作り出したんだこんなシステムは。金に縛られていることにさらに絶望した。
僕を生み出した親はというと。
父親は浮気をしている挙句の果てに金の使い方を知らない。仕事をしているのにそれはギャンブルへとつぎ込まれる。
母親はヒステリックで常に寝ているがブランドものに目がないのか、貧乏な生活なのに買い漁っている始末。
ケンカは日常的だった。
タバコ、酒、怒鳴り声、訳の分からない妄言。
それに力で解決しようとするので家のあちこちに穴が開いていた。
僕の周りにはまともな人間はいなかった。
俗にいう、親ガチャ失敗。
なぜこの親から生まれたんだ。どこにいても親に縛られていることにさらに絶望した。
いやこの世に生まれてきたこと自体間違っていたのだ。
壊れていく。だんだんと。そこに救いなどない。
絶望を悟っているにも関わらず、時間は流れてゆく残酷さ。
小学校、中学、高校と。
僕は何をしても上手くいかず中途半端だった。
勉強も人間関係も。
何をしても上手くいかない。
そして何をしていいのかわからず親の選んだ大学へ進んだ。
大学の費用も莫大な金がかかってるというのに、借金をしてまで親は行かせた。
生きている意味がわからない。
親とは絶対に話さなかった。
学校のみんなは楽しそうに家族のことを話している。
その家族と会話するという無意味な行動が不思議だった。
家族と話すと楽しいのか。なぜ?
それはすぐに理解できた。僕は生まれた瞬間から親を憎んでいたのだ。
この世に誕生させた親を、心底恨んで憎んでいたからだ。
大学卒業後はバイトをしながら一人暮らしをした。
とりあえず一人になりたかったのだ。逃げたかった。
でも、それは突然訪れたのだ。
金だ。借金だ。
親は自分たちの金では足らず奨学金も申請していたのだ。
その知らせを知った時からすでに不幸という海に深く深く沈んでいった。
押し寄せる莫大な借金が僕を追いかけてくる。
あなたのために奨学金を借りたなどと言われた。
あなたなんか生まれてこなければよかった。
お前のためにやったことだ。
などという、そんな薄っぺらい言葉はとうに聞き飽きていたしそこに怒りさえ覚えなかった。
バイト生活でこの莫大な借金を返済することは無理だと、目に見えて分かった。
すぐに就活に取り掛かった。
10社、20社、30社・・・案の定受かるはずもない。
と思っていたが1社内定をもらった。
そう誰もができるブラックな企業だ。
飲食店で24時間営業。シフトはまばら。
深夜も昼間もただひたすら働いた。
言われた通りに働いた。上司からの電話も時間を問わずかかってくる。
罵声は日常茶飯事。ワンオペ当たり前。
あぁなぜ生きているんだ僕は。
この世界は金と運でできているんだ。
なんて退屈な世界だ。
縛られている人生。金が無ければ成り立たない世界。
空っぽの世界で、何も秀でていない僕は、只々機械のように動く人形。
日に日に募る絶望。
死にたい思いがただひたすらコップに注がれ零れ落ちてゆく。
少し芽が出た喜怒哀楽の感情も一瞬で灰になる。
それは突然だった。
仕事の同僚の女性に告白された。
なぜか僕はそれを断らなかった。
何か変わるのかもという淡い期待もあったのだろう。
デートも食事も初めてで、生きているという感覚を覚えた。
それから彼女と同棲をした。
少し僕の人生に色が増えた、気がした。
しかし、僕に借金があると知った彼女は僕の前からいなくなった。
絶望が津波のように押し寄せる。
失った虚しさと借金の焦りとで体の中が以前よりも増して、より穴が開いた感覚だった。
繰り返してゆく絶望と死にたい感情。
実際包丁を手にしてみる。高いところの淵に立ってみる。駅のホームに立ってみる。
いろいろ試してみたが、人間の本能か、死ぬことはできなかった。
そろそろもういいだろう。
もう開放してくれ、この世界から、この体から、この人生から。
自分から死ねない。絶望だ。
惰性で過ごす無の人生。
この身が朽ち果てるまで続くのかと思うと、絶望しかなかった。
太陽が朝を告げ、月が夜を静かにする。
その途方もない繰り返し。
そこに楽しみも悲しみもない。
何もしたくない。金なんてどうでもいい。
あぁ、はやく死んで終わりたい。
いつもの日常。
仕事の深夜出勤の日。
自転車で仕事場に向かっている途中、それは突然起こった。
心臓が苦しい。い、息ができない!?
進んでいたペダルが止まり、倒れた。
これは、発作か。苦しい。
深夜だから周りには誰もいない。
あぁやっと死ねるのか。
意識が遠のいてゆく。だんだんと。だんだんと。
そして僕は。
壊れ果てた。
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