ココアのおいしい冬の出会いは。

御歳 逢生

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1杯目 2年目の春

1 ふたたび

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冬が終わり、春がやってきた。

通学路の木々は桃色の衣をまとい、華やいでいる。


春の香りがする。

少し寒いけど、透き通る風と眩い日差し。


ーこの季節が、好きだ。


今日から僕は高校2年生。

そして、正面玄関に張り出されるクラス替えのボード。

そこに群がる生徒たち。


ー友達がいればあんなに楽しくできるのかな。


群れが少しずつなくなってゆく。

そろそろ見れるかな。


僕は、また、3組か。


学年は変わっても教室は変わらない。

教室に行き、自分の席を確かめる。


一番後ろの窓際の席。


同じ教室、同じ席。変わり映えのしない光景。

今年も暇な1年か。


朝のホームルームが始まった。

今年の担任は現国の烏丸(からすま)か。

それにしても隣の席は空席か。


それは突然の出来事だった。

教室の扉が空いた。

見た光景、見た瞬間、これは、デジャブだ。

窓から、扉から光が飛び込んでくる。


ーあぁ、きれいな人だ。


ん?あれ?あの人は、、、あの時の、助けてくれた黒ギャル。


「すみま~ん、遅れちゃいました~!」


そう言えば同じ学校って言っていたか。

それにしても同じクラスだったとは。


「入学式早々遅刻する奴があるかー、とりあえず、えぇーと、あっ、窓際の空いている席だ、座れー。」

「はぁーい!」


え、えぇーーーー!僕の隣の席??ど、どういうことだ??何が起こっている??


「隣、よろしくね~!ってあれ、どっかで見たことあるような・・・。」

「あっ、思い出した!クリスマスの時の!偶然だね!よろ~!」


は、話しかけられてしまった!?こういう時なんて答えれば??


「う、うん、よろしくお願いします。」


コミュ障なのが情けない!?

って僕のこと、覚えててくれたんだ。

近くで見るとほんとに美人だ。

あ、あの時のお礼、言わなきゃ!!

「そ、その、あの時は助かりました。ありがとうございました。」


「うん!てか、なんで敬語~!うちら同学年だし~タメ語でいいよ~!にひひぃ~。」


「は、はい。」


笑った顔、なんてかわいいんだ。

やばい、鼓動が。胸の鼓動がうるさい!?

ホームルームが終わっても授業中でも、全然集中できない。

気づいたら、目が、彼女を追っている。

こんなこと、今までになかった。

なんなんだ、これは。胸の中で鼓動が、心臓が爆音で鳴ってる。


家に帰ろう。寝れば治るはず。うん、落ち着け、僕。


そして僕は、初めて塾を休んだ。
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