ココアのおいしい冬の出会いは。

御歳 逢生

文字の大きさ
6 / 44
1杯目 2年目の春

3 身体測定

しおりを挟む

今日は身体測定の日。
3組はあともう少しかぁ。

小学校から欠かさず牛乳を飲んでいる。
そう、欠かさずだ。

満を持して今年も身長計に乗る。
どうだ。今年こそ、170はあるだろ、どうだ。
これで僕も高身長のなかまい、

「165.6cmねぇー。はい次ー。」


よっしゃー!0.3cmのびた。
うん、わかっていた。わかっていたさ。
0.3なんてかわらんだろぉーーー!!!

なぜに神は165cmしか伸びないようにし給おうたのか。
ま、期待はしていない。どうせチビのままだ。
うん、わかっているさ。うん。


「平岡ー!!何cmだったのー??」

うわっ!びっくりした。
今年一びっくりした。
なんだ黒ギャルか。

えっ、また黒ギャルに話しかけられた!?
ど、どういうこと!?
体操服だ!いい香りがする。
いかんいかん。何を思っているんだ僕は。


「ねー聞いてるー?何cmー?」


「165。」


「うん!大丈夫さ!」


大丈夫さ!グー!じゃないんだよ。


「あたしの身長聞きたいー?」


なぜにだぁーー!!僕よりも高いだろー!!
絶対170はあるだろ!
ま、でも、一応聞いとくか。

「な、何cm?」


「172cm!!去年より2cm高くなったのー!!」


「お、おう、それはよかったね。」


嫌味なのか、それはぁーーー!
なんでだぁ。なぜ僕は高くならないんだ!!


「体重も聞きたいー?」


「聞きたい。」

あ、やばい、つい即答してしまった。
絶対キモい奴だと思われた。


「えーっとねー、教えなーい!!」


なんじゃそれ~。
即答して恥ずかしいーーーー!!
なんで絡んでくるんだこの黒ギャルは~。


あ、体操服のところに名前が。
えーっと、入野?入野さんか。
初めて知った彼女の苗字。
名前、なんて言うんだろ。心のどこかでそう思っている自分がいた。



身体測定が終わり、お昼休みへ。
僕は昨日と同じ花壇のあるベンチへ行った。

黒ギャル、いや、入野さん、もういるじゃないか!?
てかなんでいるんだー!?

「あー!やっぱり来たね、平岡君!」
「今日も一緒に食べよー!」


「あ、うん。」

ベンチの隅っこにちょこんと座った。


「なんでそんなに遠いのー?もっとこっち来なよー」


「あ、うん、じゃぁ。」


もう少しだけ寄った。すると、

「もー。おいしょっと!」

隣に来た。近い。近すぎるよ!?
いい香りがする。昨日はあんまり緊張しすぎてわからなかったけど。

「今日もお弁当おいしそーだね!ちょっとちょーだいよー!」


「うん、まぁ、いいよ。」

ウインナーと卵焼きを取っていった。
ウインナーも取るのかー!?

「はい、代わりにあたしの焼きそばパン、一口あげるー!」


「あ、ありがと。」


また食べてしまった焼きそばパン。
彼女の食べかけの焼きそばパン。
変なこと考えるな。パンを食べただけ。そう、パンを食べただけなのである。

「入野さん。」


「なにー?」


「その、クラスの友達とかと食べないの?僕より仲いい人いっぱいいるんじゃないの?」

僕は聞いてしまった。昨日から気にはなっていた。
なんでこんなあまり関わりのない僕と一緒にご飯を食べているのかと。


「んー。なんて言えばいいかなー。」
「クラスの友達も一緒にいて楽しいしよく遊んだりもするけど。」
「今この時間、平岡君といると安心っていうのかな、のほほんとできるんだよねー。」
「語彙力皆無でw」

ど、どういう意味なんだろ。
もちろん友達としてってことだよね。
でも、
「僕みたいな陰キャと一緒にいると周りから変な目で見られるというか。僕、無口だし。」


「んー。そんなことないと思うよ。陰キャとか口数少ないとか、関係ない。」
「今、あたしは平岡君と一緒にお昼ご飯食べてる、この瞬間が好き。」
「平岡君は、いや?」

「い、嫌じゃない!!今まで学校の人と喋ったことなかったから。なんというか。とても嬉しかった、です。」

「にひひ!じゃーいいじゃん!今日からあたしと平岡君はもう友達ね!!」
「それにご飯交換し合った仲だしね!」


と、友達。
僕には程遠い言葉。
あ、あれ、なんで、溢れてくる。
なんだ?この溢れてくるものは。
止まれ、恥ずかしい、、、止まれよ!!


「遠慮しなくていいよ。あたしの前では枯れるまで泣きな。」

「ご、ごめん、ごめんなさい、、、ありがと。」


入野さんは何も言わずそばにいてくれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語

kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。 率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。 一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。 己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。 が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。 志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。 遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。 その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。 しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件

沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」 高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。 そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。 見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。 意外な共通点から意気投合する二人。 だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは―― > 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」 一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。 ……翌日、学校で再会するまでは。 実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!? オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...