ココアのおいしい冬の出会いは。

御歳 逢生

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1杯目 2年目の春

13 GWとバイト①

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一睡もできなかった。
目の下にクマ、できてないかな。
それにしても、緊張するぅーーーーーー!!

9:30に集合だから、余裕をもって8時には出よう。
深呼吸しよ。あぁ大丈夫かな、どうしよ、迷惑かけたら。

そうこうしているうちに8時。

もう出なきゃ。忘れ物ないか。
服こんなので大丈夫か。
まぁいいや、早く出よ。

書店へ1時間かけて行った。

あぁ、また早く着いてしまった。
どうしよ、どこかで時間潰すか。

「あれ?平岡っちじゃん!」

「あっ、入野さん!は、早いね!」

「いや、それあたしのセリフなんですけど。」
「にひひひ~!早く来すぎでしょ!めっちゃやる気あんじゃん!」

「は、初めてだから。そ、その、緊張して・・・。」

「大丈夫だって。あたしがついてるから!」

「うん。」

「とりま店入ろー。」

「そ、そうだね。」

し、私服の入野さんだ。なんかやる気出てきたかも!!

「おはよーございまーっす!!」

「あー世楠ちゃん、おはよう!ゴールデンウィークなのに無理言っちゃってごめんねぇ。」

「いえいえ!大丈夫っすよー!」
「助っ人、連れてきたんで!!」

「ほう、これが世楠ちゃんの言っていた少年かぁ。」
「私は倉本くらもと 絵美子えみこ。ここの店長だよ!世楠ちゃんが無理言っちゃってごめんねぇ~。」

「ちょ、エミちゃん!?」

「ここでは店長とお呼び!!」

「あ、あの、平岡ひらおか 周祥ちかよしです!よろしくお願いします!!」

「うん!よろしく~!やっぱり学生さんは元気があっていいねぇ~。」
「仕事内容は世楠ちゃんから教わってね!」
「それじゃ!ゴールデンウィークよろしく~!」

「あ、エミちゃ~ん!」
「あたしが教えるのかぁ。まぁいっか!」

「じゃぁ平岡っち、あたしが手取り足取りちゃ~んと教えてあげるね!」

「よ、よろしくお願いします!!」

「うん!!にひひひ~!」


その後は入野さんに陳列作業やレジの接客を教えてもらい10時の開店を迎えた。

お客さんは思っていたより多く、さすがゴールデンウィークといった感じである。


「ありがとうございました!お次の方、こちらへどうぞ!」

あ、このお客さん、安藤先生の本買ってる。どんな人だろ。

開店から一度も顔を見ずに接客していたからなんとかレジも出来ていた。
けど、どんな人がこの本を買うのか気になる。

ふと僕は顔を上げた。

同じくらいの年かな。全身黒い、女の子。
これは俗にいう地雷系女子というやつか?
それにしても、ピアスが多い・・・。

「あの、まだですか?」

「す、すみません!?こちらどうぞ!」

「ども。」

「ありがとうございました!!」

ふぅ。初めて見るタイプに少し動揺してしまった。

「平岡っち、さっきの子見てたっしょ?」

「ひぇ??み、見てないよ!?」

「ふーん。」

「安藤先生の本買ってたからどんな人か気になっただけだよ。」

「どんな人だったの?」

「全身黒い女の子だったかな。」

「ふーん。それって地雷系かな、って見てんじゃーん!」

「誘導しないでよー!言わせたでしょ!?」

「まぁーねー。にひひひ~。」


こんな調子でからかわれながら、入野さんと一緒にバイトをがんばった。

なんだろ。
学校とは違う入野さん。
いろんな顔が見えてくる。
ゴールデンウィークの間、ずっと会えるのか。
そう思うと、なんだか明日もがんばれる気がした。
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