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1杯目 2年目の春
20 部活見学
しおりを挟むあれから将来について考えるようになった。
特にやりたいことはないし、大学に進学か、働くか。
あの両親に話すのは苦手だ。
目的もないのに大学に入るのかと言われそうだ。
小説かぁ。書いてみようかな。
書くだけなら別にいいじゃないか。
そういえば、文芸部に入ればいろいろと勉強になるかな。
人から教わろうとするのは少し気が引ける、ましてや小説なんて。
甘い考えかもしれない。だけど、やれるだけやってみる価値はある。
部活、見学だけでも行ってみようかな。
ー放課後。
たしか部室は図書準備室でやってるって聞いたような。
コンコンッ。
「失礼しまーす。」
「あれ、誰もいないのかな。」
「どうした?ここは文芸部の部室なんだが。」
振り返ると見たことのある顔が。
あの地雷系の先輩だ。
「あ、あの、すみません。見学しに来ました。」
「ほほー。文芸部に?」
「これまた珍しい。」
「君はたしか・・・図書委員の寝てた子か。まぁ入りたまえ。」
「あぁ、その節はすみませんでした・・・。」
「失礼します。」
「それで?なんで文芸部なんかに?」
「えぇーっと、小説を書いてみようかなと思って。何か役に立つかなと。」
「ふむ。なるほど。それで見学に来たというわけか。」
「あの!文芸部は先輩だけですか?」
「ほほー。私が先輩だと知ってたのか。」
「いや、他にも2人くらいはいるが今日は休みだ。」
「そうなんですね。普段はどんなことをしてるんですか?」
「そうだね・・・。人それぞれだけど、読書や小説を書く子もいるし、文芸コンクールに参加したり・・・。あとは、ビブリオバトルなんかもするかな。」
「ビブリオバトルって何ですか?」
「ビブリオバトルっていうのは、発表者がおすすめの本を紹介し合い、一番読みたくなった本を決める、というものだ。」
「そんなものがあるんですね。知りませんでした。」
「まぁたまにしかやらないけどね。活動はそんな感じかな。」
「なるほどです。ありがとうございます。」
「あの、先輩に質問なんですけど。」
「なにかねー。」
「安藤作品、かなり読まれていますよね?」
「んー。まぁそこそこにかな。」
「新刊は読まれましたか??」
「あぁ、もちろんだとも。何せミステリーの帝王の3年ぶりの新刊だからね。」
「ぼ、僕も好きなんです!!何が一番好きなんですか?」
「私かー。そうだな・・・。やはり猿川探偵シリーズかな。君もそうなんだろう?」
「はい!大好きです!!あれは名作です!」
「先輩は、その、小説は書かれるんですか?」
「書くよー。まぁ嗜む程度にはね。」
「よかったら教えていただけないでしょうか!?」
「小説の書き方を?私が?部活に入れば教えてあげてもいいかな。」
「ほんとですか!?それじゃ入ります!!」
「おぉマジで入るのか!それじゃまた明日来たまえ。2人にも紹介するよ。」
「あ、ありがとうございます!!」
「そういえば、君の名前は?」
「僕は2年の平岡 周祥です!」
「私は3年の福田 理乃だ。よろしく!後輩君。」
「よろしくお願いします!!」
勢いで話してしまって部活にも入ることになったけど、小説が書けるのか。
やるだけやってみよう。
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