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10章:受け達の初夢
7話:とある夢魔はほくそ笑む(オリヴァー)
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彼は夜の尖塔の上にゆったりと腰を下ろし、機嫌のいい笑みを浮かべている。ゆらゆらと揺れるハート型の尻尾が彼の感情を表しているようだ。
「皆さん、煩悩まみれの夢を見ていますね。新年早々、ご馳走ばかりです」
それにしても、ちょっと胸焼けするような夢が多い。ファウスト、ルイーズ、クラウルの夢は特に濃厚な味わいだがやや変態性が強くて胸焼けがする。
ボリスの夢など血肉の味がする。
ディーンはそれでいいのか?
リッツは相変わらず過ぎて軽く味見しただけでご馳走様。
ハムレットとチェルルはもう好きにしたらいい。
キアランとリカルドは変則過ぎるだろう。
多分、ハリーくらいの夢が毎日食べても食べ飽きない。
ランバート、オスカル、グリフィス、ウェインの夢はデザートくらい甘い物だった。
「ちょっと手を貸したら美味しい夢を見るのですからね。これだから人間は面白い」
小さなコウモリの羽根をパタパタさせた彼は、よいしょと尖塔の上に軽やかに立つ。金の髪がサッと夜風に靡いた。
「まぁ、所詮は夢ですから。私は夢魔としてほんの少し味見をして回るだけ。後はお好きになさってください」
微笑みのまま呟いた夢魔は羽根を広げ、ふわりと夜空に身を躍らせた。
◇◆◇
キッチリと綺麗なままのベッドの上で目覚めたオリヴァーは、もの凄く妙な夢を思いだしていた。
ファウスト達の夢を夢魔として垣間見る夢という、妙な夢だった。
だが内容がただの夢とするにはリアルだった。ありそうな感じだったのだ。
そして自分は妙に体が軽く、元気でツヤツヤしているのだ。
「はて、よい睡眠だったのでしょうか? 妙な感じはいたしましたが」
何にしても今日は愛しい旦那様の家に行き、休暇中を過ごす事になっている。彼と過ごす時間は限られているから体調がいいのはいいことだ。
着替えて食堂で軽く食べていると、朝から一汗かいたようなファウストが入ってくる。
「おはようございます、ファウスト様」
「あぁ、おはよう」
「新年早々、早朝訓練ですか?」
「……どうも夢見が微妙でな」
「夢ですか?」
そう言えば、自分も妙な夢を見た。その中でファウストの見ている夢も覗き見したのだ。
「私も妙な夢を見たのですよ。ファウスト様もご出演頂きました」
「俺が?」
「はい。うさぎになったランバートの発情に触発されて、お盛んなファウスト様の夢」
ニパッと自分の夢の話をしたオリヴァーの目の前で、ファウストが盛大に飲みかけの水を拭きそうになった。咳き込む彼の背中をさすりながら、オリヴァーは首を傾げて見ている。
「どうなさいました?」
「いや、何でもない!」
「……さては、うさぎ耳ランバートを相手に昨日はお盛んだったのですか?」
「……まぁ、そんな感じだ」
誤魔化すようなファウストの言葉に、オリヴァーは楽しげに笑って「ほどほどに」と言って食堂を後にした。
夢魔が覗き見た彼らの夢、それに繋がるオリヴァーの夢。
これは何かの偶然か。
誰も知るよしもない事である。
「皆さん、煩悩まみれの夢を見ていますね。新年早々、ご馳走ばかりです」
それにしても、ちょっと胸焼けするような夢が多い。ファウスト、ルイーズ、クラウルの夢は特に濃厚な味わいだがやや変態性が強くて胸焼けがする。
ボリスの夢など血肉の味がする。
ディーンはそれでいいのか?
リッツは相変わらず過ぎて軽く味見しただけでご馳走様。
ハムレットとチェルルはもう好きにしたらいい。
キアランとリカルドは変則過ぎるだろう。
多分、ハリーくらいの夢が毎日食べても食べ飽きない。
ランバート、オスカル、グリフィス、ウェインの夢はデザートくらい甘い物だった。
「ちょっと手を貸したら美味しい夢を見るのですからね。これだから人間は面白い」
小さなコウモリの羽根をパタパタさせた彼は、よいしょと尖塔の上に軽やかに立つ。金の髪がサッと夜風に靡いた。
「まぁ、所詮は夢ですから。私は夢魔としてほんの少し味見をして回るだけ。後はお好きになさってください」
微笑みのまま呟いた夢魔は羽根を広げ、ふわりと夜空に身を躍らせた。
◇◆◇
キッチリと綺麗なままのベッドの上で目覚めたオリヴァーは、もの凄く妙な夢を思いだしていた。
ファウスト達の夢を夢魔として垣間見る夢という、妙な夢だった。
だが内容がただの夢とするにはリアルだった。ありそうな感じだったのだ。
そして自分は妙に体が軽く、元気でツヤツヤしているのだ。
「はて、よい睡眠だったのでしょうか? 妙な感じはいたしましたが」
何にしても今日は愛しい旦那様の家に行き、休暇中を過ごす事になっている。彼と過ごす時間は限られているから体調がいいのはいいことだ。
着替えて食堂で軽く食べていると、朝から一汗かいたようなファウストが入ってくる。
「おはようございます、ファウスト様」
「あぁ、おはよう」
「新年早々、早朝訓練ですか?」
「……どうも夢見が微妙でな」
「夢ですか?」
そう言えば、自分も妙な夢を見た。その中でファウストの見ている夢も覗き見したのだ。
「私も妙な夢を見たのですよ。ファウスト様もご出演頂きました」
「俺が?」
「はい。うさぎになったランバートの発情に触発されて、お盛んなファウスト様の夢」
ニパッと自分の夢の話をしたオリヴァーの目の前で、ファウストが盛大に飲みかけの水を拭きそうになった。咳き込む彼の背中をさすりながら、オリヴァーは首を傾げて見ている。
「どうなさいました?」
「いや、何でもない!」
「……さては、うさぎ耳ランバートを相手に昨日はお盛んだったのですか?」
「……まぁ、そんな感じだ」
誤魔化すようなファウストの言葉に、オリヴァーは楽しげに笑って「ほどほどに」と言って食堂を後にした。
夢魔が覗き見た彼らの夢、それに繋がるオリヴァーの夢。
これは何かの偶然か。
誰も知るよしもない事である。
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