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11章:暗府団長刺傷事件
2話:白バラの君(クラウル)
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暗府の長として最も大事な仕事の一つに、顔つなぎがある。
暗府の隊員というのは国中を必要とあらば動き回り、新たな厄介ごとの情報を拾ったり調査したりしている。その為、万年人不足と言っても過言ではない。
その為足りない手を外部協力者に頼んでいる事がある。
地域の有力者や顔の広い人物、人の出入りの多い場所に協力を要請して情報を得ている。
見返りと言ってはなんだが、彼らの生活を守る事と厄介ごとの収拾をつける事は率先してやっている。あちらもそれで安全に商売ができるのだから、互いに利のある話しだ。
新年三日目、クラウルはこうした外部協力者の所を変装して回っている。
程よくくたびれたズボンとシャツにロングコートを着て、腰位置でベルトを締めて。
そうして回るのは下町関連の場所ばかり。最近ランバートが間に入ってくれた事と、下町の厄介事を騎士団が間に入って収めている事もあって協力してくれる人が多い。
そうした人と切れてしまわないように、定期的に顔を出して様子を聞き、他愛ない話をするのも仕事の一つだ。
物流のドン、フォックスと軽く酒を飲みながら会話をし、武器屋の老人とも酒を酌み交わす。他の者達とも少し飲みながら挨拶と感謝、そして今年も変わりなくとお願いをして回り、最後の花街に行く頃にはすっかり遅くなっていた。
下町の花街は西の花街に比べて活気がある。娼婦達も明るく、嫌々この仕事をしている様子はない。おそらく売られてきた女性というのが少ないからだろう。
その下町花街の中でも一番大きな娼館の女主人が、今日最後のお相手だ。
「ようこそおいでくださいました、クラウル様」
「ミス・クリスティーナ、ご無沙汰しております」
かくしゃくとした小柄な老女は、年齢にして相当なのはわかっている。だがそんなもの一切感じさせない毅然とした雰囲気がある。
若い頃はさぞ美しかっただろうと誰もが疑わない。
彼女は白くなった髪をきっちりと結い上げ、自らの足で危なげなく立ち上がり、クラウルの前に立っている。
「ご無沙汰くらいが丁度よいのですよ、クラウル様。立場ある貴方がしょっちゅうこのような場所に出入りしているとあっては、何かとよくない噂も立ちましょう」
「そのような事は無いと思うが」
「娼館にきて女を買わない殿方に、こちらは用はございませんよ」
ピシャリと言われ、クラウルは苦笑しか出てこなかった。
場所を奥の応接室へと移したクラウルの前に紅茶が出される。正直、一日中酒を飲んでいたから今日はもうお腹いっぱいになっていた。
「助かります」
「構いませんよ、どうせ他で散々飲まされてきたのでしょう。人の上に立つこともなかなかに難しい事は、身に染みてわかっているつもりです」
果物の砂糖漬けに、甘くないストレートの紅茶。これを摘まみながら、クラウルはクリスティーナと向き合った。
「そう言えば、アネットはどうしていますか?」
「元気にしておりました。昨年女の子が生まれ、今は子育てに奮闘している様子です」
「そう、よかったこと。娼婦が貴族の奥方になると聞いて、苦労も予想しておりましたが。そう、上手くやっているのですね」
厳しい表情の多いクリスティーナの目に、ふと優しい光が宿る。厳しい言葉をかけるが心配もしている。それがわかる表情に、クラウルも穏やかに微笑んだ。
「本当なら親代わりの貴方に子を見せたいと、昨日言っておりました」
「いけないと言ってくださいませ。あの子は今は貴族の奥方。その立場をわきまえなければ。過去を切り捨てても今を大事にしなければなりません」
「わかっていると、言っていました。貴方ならそう言うだろうと。子がもう少し大きくなったら肖像画を描いてもらうつもりなので、それが出来たら見せたいと言っていました。僭越ながら、俺が運ばせていただきます」
「そう」
素っ気ない言葉。だが彼女の瞳は柔らかく、とても嬉しそうだった。
「それで、最近の様子はどうですか?」
紅茶を一口飲み込み、話の流れとして問いかける。だが、返ってきたのは少し厳しい視線だった。
「少し、気がかりな事があります。建国祭くらいからこの辺を縄張りとしていた娘が二人ほど姿を消しました」
「え?」
思いもよらない報告にクラウルは目を丸くする。ここ最近、新年の当たりが悪い。これがもし続くようなら大きな事件になる。
それにしても、人が二人消えたのだ。どうしてもう少し早く彼女は騎士団に知らせなかったのか。
「何故、消えた時に知らせてくれなかったのです」
「流しの娘でね。二~三日姿を消すのはよくある事らしいのよ。私もこの辺を仕切ってはいますけれど、流しの子までは把握していません。この事だって、たまたま家の子が数人顔を見知っていたから分かった事ですよ」
流し。つまり、店に所属していないフリーの娼婦はそもそも特定の寝床を持っていない事も多い。客の家に転がり込むか、安宿を使うか。裏路地などを寝床にしている娘もいるくらいだ。
そうなると確かに、人知れず現れて消えて行く事もある。それが何か事件に巻き込まれたのか、自らの足でこの地を離れたのかも分からない。
「ただ、気になる事を言っていました」
「気になる事?」
クリスティーナは静かに紅茶を飲み、クラウルを見る。その目は意味深な光があった。
「消えた子が言っていたそうです。若いけれど、素敵な上客ができた。いつも優しくしてくれて、こんなに大事にしてくれるなんて初めて。いつも私に会うとき、白い薔薇を一輪くれるのよ、と」
「白い薔薇!」
ドクンと一つ、嫌な感じに心臓が鳴った。
娼婦、白い薔薇。この二つの符号で、クラウルは数年前の嫌な事件を思いだしていた。
おそらくクリスティーナも同じ事を思ったのだろう。瞳が暗くなっている。
「妙な死体が上がったとも、妙な人を見たとも聞きません。ですが、またあのような事件が起こっては娘達が怯えます。店に入っている娘達には注意をしましたが、流れの娘まではこちらも注意しきれません。何とかしてくださいますね?」
「明日、すぐに議題に上げる。早急に見回りの強化をしよう」
「ランバートに言って、近くのアパートを開放するよう迫りなさいな。あの子はこの辺の建物をいくつか持っていますから。そこにとりあえず、流しの娘を匿えば幾分把握しやすいでしょう」
ランバート、あいつこんな所にも根を張っているのか。やっぱり暗府に欲しい人材だったか?
そんな事を思いながらも、クラウルは翌日最初の朝議について考えながら娼館を出た。
外に出ると雪が降り始めていた。薄着の時によりにもよってと、クラウルはコートの前をたぐり寄せる。
嫌な事を聞いてしまった。しかも嫌な予感もする。これは過去の事件と何か関わっているのだろうか。
だが、過去の事件は終わったはずだ。犯人は既に死んでいるのだから。
そんな事を思いながら人通りの無くなった花街を歩く。そこで、何か影が動いてクラウルは足を止めた。
路地の奥、暗がりに誰かいる。目をこらしてみたクラウルは、倒れて雪に半分埋もれている女性に気付き足早に近づいていった。
薄いドレスは場末の、流しの女性が好んで着る露出の多いもの。薄い金色の髪は僅かに汚れて絡まっている。寒さに赤くなった肌が痛々しくて、クラウルはその女性に手を差し伸べた。
「大丈夫っ!」
気配が、なかった? 目の前で倒れている人に気を取られすぎていた? 雪が、僅かな音を消した?
ジワリと熱が背を伝う。気配が、背に張り付くくらい近い。僅かに首をそちらに向けると、剣呑とした暗い瞳がフードの隙間からこちらを見ていた。
「なっ、ぐっ!」
グリッと、柄まで刺さっているナイフが捻られる。痛みで頭がフッと浮いた。そして、急激に熱が奪われていく。刺された部分はこんなにも熱く感じるのに、体が震える。
目の前の人影が動く。クラウルを見下ろす人物に、クラウルは息を飲んだ。
嫌な予感ほど当たるものだ。
目の前に立った人物が手に剣を握る。それを動けないクラウルめがけて振り上げた。
「っ! なめるな!!」
後ろに張り付いている男を乱暴に振り払う。ナイフが、入ったのとは違う角度で抜けてより傷を広げたのがわかった。
だが目の前の剣を握る手を掴み、手刀で叩き落としたクラウルはそのままその人物を捻り上げた。
「兄さん!」
「バカ! 逃げろ!!」
女性の格好をした人物が組み敷かれながらも叫び、後ろから襲ってきたフードの男は逃げていく。
「っ!」
この傷で、この状況で、両方は無理だ。
クラウルはすぐにコートのベルトを外し、それで後ろ手に女装男を縛りあげる。細い体が為す術もなく縛りあげられた。
ここからどうするか。時間的に見回りは二時間後くらいか。それまでここにいたら、流石に凍死の危険がある。それにさっき逃がしたフードの男が仲間でも連れて戻ってきたら、流石に対処できない。
いや、仲間などなくてもこの傷で改めて武装した人物を相手にはできない。
「っ!」
視界が霞んで、体がふらつく。力が、入らなくなってきている。
ここにいてはまずい。クラウルは後ろ手に縛った男の紐を引き、来た道を戻った。ここから知っている者を頼るなら、一番近いのはミス・クリスティーナの店だ。
縛られた男は歩こうとはしない。だがまだ、クラウルの方が力がある。この男が非力過ぎるくらい痩せているのもある。
ずるずる引きずるように、クラウルは雪道を歩いた。その道にはボタボタと血が落ちる。点々ではなく、結構な量が落ちていく。
そうして出てきた娼館に辿り着く頃には、倒れる寸前だった。
ノッカーを握り、どうにか叩く。そうして出てきた警備の男を見たら、一気に気が抜けた。
「うわぁぁ! どうした旦那!」
「すま、ない……コイツを拘束、と……騎士団に、連絡を……」
これを伝えるのが精々だった。
▼ゼロス
「…………え?」
ランバートからクラウルが担ぎ込まれた事を聞かされたのは、もう日付が変わった頃だった。
心臓が、痛い。キュッと縮み上がって、ドクドクいっている。
どうして……何故? 誰が、あの人を……刺された? なんで……
「ゼロス、大丈夫か?」
「あ……ぁ。だい、じょうぶ……」
頭が回らない。理解が追いつかない。色んな事を飲み込めていない。
それでも大丈夫と言わなければ立つ事も出来ない気がした。
なにを情けない事を言っているんだ。こんな時こそしっかりしないといけないだろ。あの人を刺した危険人物を早く見つけて……
「とりあえず、処置室の前に行こう。きっとファウスト様達もいるから」
「だが、俺は詳しい会議とかに出られるような立場じゃ……」
「バカか! お前はクラウル様の恋人だろ!」
ランバートの一喝にすら反応しきれない。腕を引かれ、立ち上がって部屋を出て、階段を降りる足が震えていた。
処置室の前にはファウスト、シウス、オスカルがいる。全員がゼロスを見て、心配そうに近づいてきた。
「平気か、ゼロス」
「はい……ご心配お掛けして、申し訳……」
「そんな事言わなくていいんだよ、ゼロス」
「酷い顔色じゃ。とても大丈夫とは言えぬぞ」
ファウストが、オスカルが、シウスが案じてくれる。これすら今は耳を通り過ぎて留まってくれない。
頭の中が重くて鈍くて、全部に現実味がなくなっている。
「ファウスト様、クラウル様の様子は」
「あぁ。挨拶回りの帰りに刺されたようだ。女装した被疑者を捕まえていたが、どうもそいつが刺したわけじゃなさそうだ」
「詳しい話は聞けていないのですか?」
「最後に出た下町花街の店に辿り着いた時には相当出血があって、気を失ったまま運ばれてきたからな。傷は背中に一カ所、だが傷の中でナイフを掻き回した様子と、抜くときも歪に抜けた感じがあった。事件現場がすぐに分かるくらい血が落ちていた」
後ろ、から? 油断していたか、飲み過ぎたか。それでもあの人が不覚を取るとは思えない。それなら、もっと何か……何があったんだ。
「どうもその付近では娼婦の行方不明事件があったようで、関連を調べるが……なんにしても、クラウルの意識が戻らなければ進まない」
ファウストの言葉がすり抜けて、心臓が痛い。意識が戻らない……あの人が?
知らず、震えが止まらなくなっていた。震えている事すら認知できていなかった。隣りに立っているランバートが手を握ってくれなければ、自分の体が冷え切っている事すら気付かなかった。
「まだ、かかりそうですよね?」
「そうだな」
「この後、会議はどちらで?」
「状況の整理くらいだから、騎兵府執務室に」
「では、先にそこにいます。ゼロス、一緒に行こう」
「……え?」
「いいから」
ランバートが手を引く。それに逆らう力もない。
そうして連れてこられた騎兵府執務室のソファーに座って、いつの間にか温かいお茶が置かれていた。
「あ、りがとう」
「ゼロス、大丈夫だ。クラウル様が簡単にどうにかなるわけがない。今は落ち着かないかもしれないが、ちゃんと元通りになる」
「あぁ、分かっている、から」
「……分かってる顔をしていない。お前、顔色真っ青だぞ。頭も働いていないし、足元もおぼつかない」
そう、だっただろうか。それすらも分からない。
「俺も覚えがあるから心配してるんだ。お前、案外こういうの打たれ弱いだろ。極端な事を考えてるんじゃないかとか、心配なんだ」
「極端って……」
「一人で犯人捜しをしようとか」
犯人。そうだ、犯人が捕まっていない。あの人を刺した張本人は何処かにいるんだ。
殺してやる。
不意に浮かんだ底のない闇が口を開ける。そこに飲まれるような気がする。どうしてあの人がこんな怪我をして、そいつはのうのうと生きているんだ。おかしいだろ、そんなの。
「ゼロス!」
「……あ」
「いいか、犯人は絶対に捕まえる。いいか、殺すんじゃなくて捕まえるんだ」
「つか、まえる? どうして……だってそいつがクラウル様を!」
「だからだ。俺達は騎士団であって、殺す事が仕事じゃない。やむを得ない場合を除き、殺しちゃいけないんだ」
ランバートの真っ直ぐな目がゼロスを見据えている。強い力が肩を掴んでいる。なのに全部が現実から遠く感じる。
まだ何処かで、受け入れていないんだ。明日からも、いつもと変わらない日常があったはずなんだ。こんな日がくるなんて、想定していなかった。
やがて、ファウスト達が執務室に来る。そして、クラウルの処置が無事に終わって、今は処置室隣の部屋にいることを教えてくれた。
「ファウスト様、今回の一件俺が預かってはいけませんか?」
ランバートが申し出るのに、シウスは難色を示した。だがファウストはジッと考えている。
「ゼロスも入れる気か?」
「はい」
「犯人死亡では許されないぞ?」
「俺が責任もってゼロスを諫めます。だからどうか、こいつも」
「じゃが、ゼロスは今回の件あまりに近すぎる。感情に負ける」
「俺が止めます。このまま蚊帳の外に置いたら、それこそ整理つかないじゃないですか」
食い下がるランバートの言葉に、シウスは悩み出した。だがファウストが一つ頷いた。
「分かった。この件はランバートに預ける」
「ファウスト」
「俺達はやれるサポートをする。シウス、お前は暗府を抑えろ。クラウルの件が明日には伝わる。そうなれば奴等、暴走しかねないぞ」
「私に一番厄介な事を押しつけおって! あぁ、くそ! ネイサン呼んで奴を説得するのは骨なんじゃぞ」
そう言うとシウスはさっさと部屋を出ていく。おそらくネイサンに話をつけにいくのだろう。あの人も独特で、厄介な人らしいから。
「ゼロス、詳しい会議は明日にする。麻酔が切れればクラウルも目が覚めるだろうと言っていた。ついていてやれ」
「わかり、ました」
いまいち分かっていないまま、ゼロスは一礼してエリオットの所を訪ねる事にした。
怪我の状態は、正直よくなかったらしい。ナイフはしっかり深く刺さっていて、僅かに内臓に傷をつけていたらしい。その状態で傷の中でナイフを掻き回されたのだから、内臓も血管も相当なダメージだったらしい。失血死しなかったのは、強運だったからだろう。
ベッドに横たわり、点滴を受けている人を見て初めて、全てに現実味が出た。
そうしたら怖くて、その場から動けずにへたり込んだ。
何処かで、この人は死なないんだと思っていたのかもしれない。
大きな怪我もなく、上手く立ち回り、今までこんな大きな事もなかったし、ずっと強い人だから。
でも、違う。この人も人間で、生きているのだから死ぬこともあるわけで、こんな仕事をしているのだからいつその時が来るかなんて、分からなくて……
「っ!」
声が出ないまま、息苦しさに胸を握っていた。頬を伝った涙が落ちていっても、止め方がわからない。否、この涙を止めたら今度は息が止まるに違いない。
意識の戻らないままのクラウルを見つめたまま、ゼロスは必死に震える体を抱いて、呻くように泣いていた。
暗府の隊員というのは国中を必要とあらば動き回り、新たな厄介ごとの情報を拾ったり調査したりしている。その為、万年人不足と言っても過言ではない。
その為足りない手を外部協力者に頼んでいる事がある。
地域の有力者や顔の広い人物、人の出入りの多い場所に協力を要請して情報を得ている。
見返りと言ってはなんだが、彼らの生活を守る事と厄介ごとの収拾をつける事は率先してやっている。あちらもそれで安全に商売ができるのだから、互いに利のある話しだ。
新年三日目、クラウルはこうした外部協力者の所を変装して回っている。
程よくくたびれたズボンとシャツにロングコートを着て、腰位置でベルトを締めて。
そうして回るのは下町関連の場所ばかり。最近ランバートが間に入ってくれた事と、下町の厄介事を騎士団が間に入って収めている事もあって協力してくれる人が多い。
そうした人と切れてしまわないように、定期的に顔を出して様子を聞き、他愛ない話をするのも仕事の一つだ。
物流のドン、フォックスと軽く酒を飲みながら会話をし、武器屋の老人とも酒を酌み交わす。他の者達とも少し飲みながら挨拶と感謝、そして今年も変わりなくとお願いをして回り、最後の花街に行く頃にはすっかり遅くなっていた。
下町の花街は西の花街に比べて活気がある。娼婦達も明るく、嫌々この仕事をしている様子はない。おそらく売られてきた女性というのが少ないからだろう。
その下町花街の中でも一番大きな娼館の女主人が、今日最後のお相手だ。
「ようこそおいでくださいました、クラウル様」
「ミス・クリスティーナ、ご無沙汰しております」
かくしゃくとした小柄な老女は、年齢にして相当なのはわかっている。だがそんなもの一切感じさせない毅然とした雰囲気がある。
若い頃はさぞ美しかっただろうと誰もが疑わない。
彼女は白くなった髪をきっちりと結い上げ、自らの足で危なげなく立ち上がり、クラウルの前に立っている。
「ご無沙汰くらいが丁度よいのですよ、クラウル様。立場ある貴方がしょっちゅうこのような場所に出入りしているとあっては、何かとよくない噂も立ちましょう」
「そのような事は無いと思うが」
「娼館にきて女を買わない殿方に、こちらは用はございませんよ」
ピシャリと言われ、クラウルは苦笑しか出てこなかった。
場所を奥の応接室へと移したクラウルの前に紅茶が出される。正直、一日中酒を飲んでいたから今日はもうお腹いっぱいになっていた。
「助かります」
「構いませんよ、どうせ他で散々飲まされてきたのでしょう。人の上に立つこともなかなかに難しい事は、身に染みてわかっているつもりです」
果物の砂糖漬けに、甘くないストレートの紅茶。これを摘まみながら、クラウルはクリスティーナと向き合った。
「そう言えば、アネットはどうしていますか?」
「元気にしておりました。昨年女の子が生まれ、今は子育てに奮闘している様子です」
「そう、よかったこと。娼婦が貴族の奥方になると聞いて、苦労も予想しておりましたが。そう、上手くやっているのですね」
厳しい表情の多いクリスティーナの目に、ふと優しい光が宿る。厳しい言葉をかけるが心配もしている。それがわかる表情に、クラウルも穏やかに微笑んだ。
「本当なら親代わりの貴方に子を見せたいと、昨日言っておりました」
「いけないと言ってくださいませ。あの子は今は貴族の奥方。その立場をわきまえなければ。過去を切り捨てても今を大事にしなければなりません」
「わかっていると、言っていました。貴方ならそう言うだろうと。子がもう少し大きくなったら肖像画を描いてもらうつもりなので、それが出来たら見せたいと言っていました。僭越ながら、俺が運ばせていただきます」
「そう」
素っ気ない言葉。だが彼女の瞳は柔らかく、とても嬉しそうだった。
「それで、最近の様子はどうですか?」
紅茶を一口飲み込み、話の流れとして問いかける。だが、返ってきたのは少し厳しい視線だった。
「少し、気がかりな事があります。建国祭くらいからこの辺を縄張りとしていた娘が二人ほど姿を消しました」
「え?」
思いもよらない報告にクラウルは目を丸くする。ここ最近、新年の当たりが悪い。これがもし続くようなら大きな事件になる。
それにしても、人が二人消えたのだ。どうしてもう少し早く彼女は騎士団に知らせなかったのか。
「何故、消えた時に知らせてくれなかったのです」
「流しの娘でね。二~三日姿を消すのはよくある事らしいのよ。私もこの辺を仕切ってはいますけれど、流しの子までは把握していません。この事だって、たまたま家の子が数人顔を見知っていたから分かった事ですよ」
流し。つまり、店に所属していないフリーの娼婦はそもそも特定の寝床を持っていない事も多い。客の家に転がり込むか、安宿を使うか。裏路地などを寝床にしている娘もいるくらいだ。
そうなると確かに、人知れず現れて消えて行く事もある。それが何か事件に巻き込まれたのか、自らの足でこの地を離れたのかも分からない。
「ただ、気になる事を言っていました」
「気になる事?」
クリスティーナは静かに紅茶を飲み、クラウルを見る。その目は意味深な光があった。
「消えた子が言っていたそうです。若いけれど、素敵な上客ができた。いつも優しくしてくれて、こんなに大事にしてくれるなんて初めて。いつも私に会うとき、白い薔薇を一輪くれるのよ、と」
「白い薔薇!」
ドクンと一つ、嫌な感じに心臓が鳴った。
娼婦、白い薔薇。この二つの符号で、クラウルは数年前の嫌な事件を思いだしていた。
おそらくクリスティーナも同じ事を思ったのだろう。瞳が暗くなっている。
「妙な死体が上がったとも、妙な人を見たとも聞きません。ですが、またあのような事件が起こっては娘達が怯えます。店に入っている娘達には注意をしましたが、流れの娘まではこちらも注意しきれません。何とかしてくださいますね?」
「明日、すぐに議題に上げる。早急に見回りの強化をしよう」
「ランバートに言って、近くのアパートを開放するよう迫りなさいな。あの子はこの辺の建物をいくつか持っていますから。そこにとりあえず、流しの娘を匿えば幾分把握しやすいでしょう」
ランバート、あいつこんな所にも根を張っているのか。やっぱり暗府に欲しい人材だったか?
そんな事を思いながらも、クラウルは翌日最初の朝議について考えながら娼館を出た。
外に出ると雪が降り始めていた。薄着の時によりにもよってと、クラウルはコートの前をたぐり寄せる。
嫌な事を聞いてしまった。しかも嫌な予感もする。これは過去の事件と何か関わっているのだろうか。
だが、過去の事件は終わったはずだ。犯人は既に死んでいるのだから。
そんな事を思いながら人通りの無くなった花街を歩く。そこで、何か影が動いてクラウルは足を止めた。
路地の奥、暗がりに誰かいる。目をこらしてみたクラウルは、倒れて雪に半分埋もれている女性に気付き足早に近づいていった。
薄いドレスは場末の、流しの女性が好んで着る露出の多いもの。薄い金色の髪は僅かに汚れて絡まっている。寒さに赤くなった肌が痛々しくて、クラウルはその女性に手を差し伸べた。
「大丈夫っ!」
気配が、なかった? 目の前で倒れている人に気を取られすぎていた? 雪が、僅かな音を消した?
ジワリと熱が背を伝う。気配が、背に張り付くくらい近い。僅かに首をそちらに向けると、剣呑とした暗い瞳がフードの隙間からこちらを見ていた。
「なっ、ぐっ!」
グリッと、柄まで刺さっているナイフが捻られる。痛みで頭がフッと浮いた。そして、急激に熱が奪われていく。刺された部分はこんなにも熱く感じるのに、体が震える。
目の前の人影が動く。クラウルを見下ろす人物に、クラウルは息を飲んだ。
嫌な予感ほど当たるものだ。
目の前に立った人物が手に剣を握る。それを動けないクラウルめがけて振り上げた。
「っ! なめるな!!」
後ろに張り付いている男を乱暴に振り払う。ナイフが、入ったのとは違う角度で抜けてより傷を広げたのがわかった。
だが目の前の剣を握る手を掴み、手刀で叩き落としたクラウルはそのままその人物を捻り上げた。
「兄さん!」
「バカ! 逃げろ!!」
女性の格好をした人物が組み敷かれながらも叫び、後ろから襲ってきたフードの男は逃げていく。
「っ!」
この傷で、この状況で、両方は無理だ。
クラウルはすぐにコートのベルトを外し、それで後ろ手に女装男を縛りあげる。細い体が為す術もなく縛りあげられた。
ここからどうするか。時間的に見回りは二時間後くらいか。それまでここにいたら、流石に凍死の危険がある。それにさっき逃がしたフードの男が仲間でも連れて戻ってきたら、流石に対処できない。
いや、仲間などなくてもこの傷で改めて武装した人物を相手にはできない。
「っ!」
視界が霞んで、体がふらつく。力が、入らなくなってきている。
ここにいてはまずい。クラウルは後ろ手に縛った男の紐を引き、来た道を戻った。ここから知っている者を頼るなら、一番近いのはミス・クリスティーナの店だ。
縛られた男は歩こうとはしない。だがまだ、クラウルの方が力がある。この男が非力過ぎるくらい痩せているのもある。
ずるずる引きずるように、クラウルは雪道を歩いた。その道にはボタボタと血が落ちる。点々ではなく、結構な量が落ちていく。
そうして出てきた娼館に辿り着く頃には、倒れる寸前だった。
ノッカーを握り、どうにか叩く。そうして出てきた警備の男を見たら、一気に気が抜けた。
「うわぁぁ! どうした旦那!」
「すま、ない……コイツを拘束、と……騎士団に、連絡を……」
これを伝えるのが精々だった。
▼ゼロス
「…………え?」
ランバートからクラウルが担ぎ込まれた事を聞かされたのは、もう日付が変わった頃だった。
心臓が、痛い。キュッと縮み上がって、ドクドクいっている。
どうして……何故? 誰が、あの人を……刺された? なんで……
「ゼロス、大丈夫か?」
「あ……ぁ。だい、じょうぶ……」
頭が回らない。理解が追いつかない。色んな事を飲み込めていない。
それでも大丈夫と言わなければ立つ事も出来ない気がした。
なにを情けない事を言っているんだ。こんな時こそしっかりしないといけないだろ。あの人を刺した危険人物を早く見つけて……
「とりあえず、処置室の前に行こう。きっとファウスト様達もいるから」
「だが、俺は詳しい会議とかに出られるような立場じゃ……」
「バカか! お前はクラウル様の恋人だろ!」
ランバートの一喝にすら反応しきれない。腕を引かれ、立ち上がって部屋を出て、階段を降りる足が震えていた。
処置室の前にはファウスト、シウス、オスカルがいる。全員がゼロスを見て、心配そうに近づいてきた。
「平気か、ゼロス」
「はい……ご心配お掛けして、申し訳……」
「そんな事言わなくていいんだよ、ゼロス」
「酷い顔色じゃ。とても大丈夫とは言えぬぞ」
ファウストが、オスカルが、シウスが案じてくれる。これすら今は耳を通り過ぎて留まってくれない。
頭の中が重くて鈍くて、全部に現実味がなくなっている。
「ファウスト様、クラウル様の様子は」
「あぁ。挨拶回りの帰りに刺されたようだ。女装した被疑者を捕まえていたが、どうもそいつが刺したわけじゃなさそうだ」
「詳しい話は聞けていないのですか?」
「最後に出た下町花街の店に辿り着いた時には相当出血があって、気を失ったまま運ばれてきたからな。傷は背中に一カ所、だが傷の中でナイフを掻き回した様子と、抜くときも歪に抜けた感じがあった。事件現場がすぐに分かるくらい血が落ちていた」
後ろ、から? 油断していたか、飲み過ぎたか。それでもあの人が不覚を取るとは思えない。それなら、もっと何か……何があったんだ。
「どうもその付近では娼婦の行方不明事件があったようで、関連を調べるが……なんにしても、クラウルの意識が戻らなければ進まない」
ファウストの言葉がすり抜けて、心臓が痛い。意識が戻らない……あの人が?
知らず、震えが止まらなくなっていた。震えている事すら認知できていなかった。隣りに立っているランバートが手を握ってくれなければ、自分の体が冷え切っている事すら気付かなかった。
「まだ、かかりそうですよね?」
「そうだな」
「この後、会議はどちらで?」
「状況の整理くらいだから、騎兵府執務室に」
「では、先にそこにいます。ゼロス、一緒に行こう」
「……え?」
「いいから」
ランバートが手を引く。それに逆らう力もない。
そうして連れてこられた騎兵府執務室のソファーに座って、いつの間にか温かいお茶が置かれていた。
「あ、りがとう」
「ゼロス、大丈夫だ。クラウル様が簡単にどうにかなるわけがない。今は落ち着かないかもしれないが、ちゃんと元通りになる」
「あぁ、分かっている、から」
「……分かってる顔をしていない。お前、顔色真っ青だぞ。頭も働いていないし、足元もおぼつかない」
そう、だっただろうか。それすらも分からない。
「俺も覚えがあるから心配してるんだ。お前、案外こういうの打たれ弱いだろ。極端な事を考えてるんじゃないかとか、心配なんだ」
「極端って……」
「一人で犯人捜しをしようとか」
犯人。そうだ、犯人が捕まっていない。あの人を刺した張本人は何処かにいるんだ。
殺してやる。
不意に浮かんだ底のない闇が口を開ける。そこに飲まれるような気がする。どうしてあの人がこんな怪我をして、そいつはのうのうと生きているんだ。おかしいだろ、そんなの。
「ゼロス!」
「……あ」
「いいか、犯人は絶対に捕まえる。いいか、殺すんじゃなくて捕まえるんだ」
「つか、まえる? どうして……だってそいつがクラウル様を!」
「だからだ。俺達は騎士団であって、殺す事が仕事じゃない。やむを得ない場合を除き、殺しちゃいけないんだ」
ランバートの真っ直ぐな目がゼロスを見据えている。強い力が肩を掴んでいる。なのに全部が現実から遠く感じる。
まだ何処かで、受け入れていないんだ。明日からも、いつもと変わらない日常があったはずなんだ。こんな日がくるなんて、想定していなかった。
やがて、ファウスト達が執務室に来る。そして、クラウルの処置が無事に終わって、今は処置室隣の部屋にいることを教えてくれた。
「ファウスト様、今回の一件俺が預かってはいけませんか?」
ランバートが申し出るのに、シウスは難色を示した。だがファウストはジッと考えている。
「ゼロスも入れる気か?」
「はい」
「犯人死亡では許されないぞ?」
「俺が責任もってゼロスを諫めます。だからどうか、こいつも」
「じゃが、ゼロスは今回の件あまりに近すぎる。感情に負ける」
「俺が止めます。このまま蚊帳の外に置いたら、それこそ整理つかないじゃないですか」
食い下がるランバートの言葉に、シウスは悩み出した。だがファウストが一つ頷いた。
「分かった。この件はランバートに預ける」
「ファウスト」
「俺達はやれるサポートをする。シウス、お前は暗府を抑えろ。クラウルの件が明日には伝わる。そうなれば奴等、暴走しかねないぞ」
「私に一番厄介な事を押しつけおって! あぁ、くそ! ネイサン呼んで奴を説得するのは骨なんじゃぞ」
そう言うとシウスはさっさと部屋を出ていく。おそらくネイサンに話をつけにいくのだろう。あの人も独特で、厄介な人らしいから。
「ゼロス、詳しい会議は明日にする。麻酔が切れればクラウルも目が覚めるだろうと言っていた。ついていてやれ」
「わかり、ました」
いまいち分かっていないまま、ゼロスは一礼してエリオットの所を訪ねる事にした。
怪我の状態は、正直よくなかったらしい。ナイフはしっかり深く刺さっていて、僅かに内臓に傷をつけていたらしい。その状態で傷の中でナイフを掻き回されたのだから、内臓も血管も相当なダメージだったらしい。失血死しなかったのは、強運だったからだろう。
ベッドに横たわり、点滴を受けている人を見て初めて、全てに現実味が出た。
そうしたら怖くて、その場から動けずにへたり込んだ。
何処かで、この人は死なないんだと思っていたのかもしれない。
大きな怪我もなく、上手く立ち回り、今までこんな大きな事もなかったし、ずっと強い人だから。
でも、違う。この人も人間で、生きているのだから死ぬこともあるわけで、こんな仕事をしているのだからいつその時が来るかなんて、分からなくて……
「っ!」
声が出ないまま、息苦しさに胸を握っていた。頬を伝った涙が落ちていっても、止め方がわからない。否、この涙を止めたら今度は息が止まるに違いない。
意識の戻らないままのクラウルを見つめたまま、ゼロスは必死に震える体を抱いて、呻くように泣いていた。
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