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16章:特別な記念日を君に
1話:五月の提案(ゼロス)
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新人も少しばかり落ち着いてきた。リタイアしたのもいたし、頑張っているのもいる。まだ本隊の訓練に合流はできないまでも、ちょっとずつ成長していくのを週末のテストの度に知ることができる。
そんな五月の中頃、ゼロスはこっそりとランバート以外の同期を集めて秘密会議を開いていた。
「この時期に集まるって事は、例のイベントかな?」
トレヴァーに頼んで酒場の一室を借りた面々は、それぞれバラバラに宿舎なりを出て集まった。酒を片手にレイバンがにやりと笑い、他の面々も楽しそうな顔をする。
「そういうことだ。相変わらずあいつ、忘れてるからな」
「去年はジェームダル侵攻の真っ只中でそれどころじゃなかったからな」
「今年はその分も沢山祝ってあげたいね」
コンラッドは去年の今頃を思い出し、コナンは柔らかく笑う。その中でゼロスは一人、厳しい顔をしていた。
それというのも一つの案があり、その為に色々と動かさなければと気合いが入っていたからだ。
「どうしたんだ、ゼロス? 何か難しいのか?」
眉根が寄りそうなゼロスの様子に、ドゥーガルドが不安そうな顔をする。周囲も僅かに首を傾げている。ゼロスは「悪い癖が移った」と思いながら眉根を指で揉みながら、自分の中にある提案を口にした。
「難しいわけじゃないんだが、ちょっと気負っていたんだ」
「何かあるのか、ゼロス?」
コンラッドが真面目な顔でこちらを見る。それに、ゼロスは頷いた。
「今年のランバートの誕生日なんだが、俺に一つ提案があるんだ」
「提案?」
レイバンとハリーが顔を見合わせ、首を傾げる。いつもはプレゼントを用意して、飲み会をして、とにかく楽しくというのが定番になりつつある。
だが今年は意味が違う。それはここしばらくのランバートの様子を見て、願った事だった。
「実は……」
ゼロスの提案を聞いた面々の顔が、徐々に難しくなっていく。コンラッドは腕を組み、レイバンも難しい顔だ。チェスターとトレヴァーもそんな様子で、ゼロスは話しながらも不安が募った。
だが、やってやりたい。自分の指にはまる指輪を見る度に、この思いは強くなっていく。
「……ゼロスの気持ちは分かったし、俺も応援したい。けれどそうなると、話がかなり大きくなる。正直、勘の鋭いランバートにこっそり進められるかは分からないぞ」
「それに、そうなると団長達にも動いてもらわないといけない。何よりファウスト様が動かないと進まないのに、あの二人べったりだよ? どうするの?」
コンラッド、レイバンからの懸念はもっともなことだ。それについてはゼロスも大いに心配した。だがそれを考えても、してやりたいのだ。
「……僕は、してあげたい」
「コナン」
不意に上がった声に、皆の視線が集まる。コナンは真っ直ぐに全員を見て頷いた。
「難しいかもしれないし、大変だと思う。けれど僕は、してあげたい。僕はランバートに沢山お世話になってる。今の僕が幸せなのは、ランバートがいてくれたからなんだ。そうじゃなかったら、ルイーズ様は今いなかったかもしれない」
テーブルの上に置いた手をギュッと握ったコナンを見て、他の面々もまた頷いた。
「この間、素敵なお休みをもらっちゃったしね」
「そうだな。あの時の礼が出来ていないし」
「いつもなんだかんだで世話になってるんだよね」
「僕も、ランバートがいたから今こうして王都にいるんだ。そうじゃなかったら今もまだ、下を向いて小さくなって生きてたと思う」
ハリー、コンラッド、レイバン、クリフが笑って頷く。そうなると他の面々も異議なしだ。
「何よりゼロスが、返しきれない程の恩があるんじゃないの?」
からかうようなボリスの言葉だが、実際その通りなのでなんとも言えない顔をする。まさに、その時の恩を返したいのだ。
「最近、ランバート元気がないからね。やれるだけの事をしてあげたいのは俺も同じだよ」
苦笑するボリスに、他の面々も少し心配そうな顔をした。
ランバートに元気がない。それに気づいているのはきっと、ごく少数のメンバーだけだ。おそらくファウストは気づいていないだろうと思う。ランバートはファウストには特に弱さを見せないようにしているっぽいから。
けれどゼロスは知っている。順調な同期達を見るとき少しだけ、寂しそうな顔をすること。ゼロスが指輪をもらった時、心から祝福してくれたのと同時に寂しそうな顔をしたことを。
クラウルの話では、どうもファウストの実家で難しい事があるらしい。ファウスト自身あまり語らないので詳細は分からないが、二人は今一つの試練の中にあるようだ。
やはり、家同士が大きいと立ち塞がる問題も大きいのだろうか。それについて小貴族でしかないゼロスには分からないが、あの二人が悩むのだから簡単じゃないのだろう。
ならば友としてしてやれることは元気づける事しかない。大丈夫だと背中を支えてやることだけだ。
「団長達には俺から話をする。クラウル様を通して頼んであるから」
「じゃあ、その時には俺達でラウンジ誘うわ。ラウンジなら団長達も来ないし」
「頼む」
全員が頷いて、一致団結の乾杯をする。ここから秘密作戦の開始なのだ。
◇◆◇
ゼロスが団長達を集めたのは、同期達に話をした翌日の事だった。
クラウルの部屋に集まってもらった面々はとても疑問そうな顔をしている。クラウルがランバートには秘密のまま団長達を集めるというのも珍しければ、実はそれを頼んだのがゼロスというのも初めての事だった。
「どうしたのさ、ゼロス? なんだか難しい顔だよ?」
緊張に眉根が寄るゼロスをからかうようにオスカルが笑う。その隣ではエリオットが不安そうな顔をしている。
「この季節でランバートを外すならば、奴の誕生日であろ? 何故そのように難しい顔をする。何かあったのかえ?」
「いえ、問題は起こっていませんが。一つ俺から、皆さんに提案と……ファウスト様にお願いがあって集まってもらいました」
「俺?」
ファウストが驚いた顔をする。それに真剣な顔で頷いたゼロスは団長達を前に思い切り頭を下げた。
「ランバートの婚約式をしてやりたいのです。協力、お願いします!」
「婚約式?」
色んな人が顔を見合わせる中、ファウストだけは複雑そうな顔をする。それでもゼロスは引かないと、覚悟を決めてきたのだ。
「二人の間に何かしらの複雑な事情があることは察しています。プライベートな問題に親友程度の俺が立ち入るものではないかもしれません。ですが、最近のランバートは元気がないように見えます」
「元気がない?」
これにはファウストが驚いた顔をする。それに、ゼロスは頷いた。
「本当に一瞬ですが、疲れた顔をする事があります。それに俺の指輪を見るとき、一瞬寂しそうな顔をします」
「俺にはそんな顔は」
「ランバートも意地っ張りな奴だからの。お前には弱さを見せたくないのであろう」
シウスが頷く。そしてゼロスの方へと視線を向けた。
「具体的には何をするつもりだえ?」
「場所を用意して、そこで人前式のような形でお祝いがしたいと思っています」
「皆の前で指輪を渡してプロポーズ?」
「それは流石に恥ずかしいんだが……」
「では、人の目がなければプロポーズしてくれるのですか?」
ゼロスの追求にファウストはしばらく考え込む。そこを押したのはクラウルだった。
「ファウスト、お前が立場を確かにしてやらなければランバートは苦しいんじゃないか?」
「クラウル」
「俺も今になって思う所だ。色々とあったがゼロスとちゃんと、目に見える約束ができて良かったと思っている。俺自身も気合いが入った」
苦笑するクラウルの視線が一瞬、ゼロスへと向かう。それを受けて、ゼロスは恥ずかしく思いながらも頷いた。実際気持ちは落ち着いたと思う。信じられるようになった。
「お前の問題が簡単じゃ無いことは察している。だからこそ、ランバートの不安を取り除く事と、お前自身が頑張れるように確かな約束をしておくのは悪いことじゃない」
「……そうだな」
クラウルの言葉にファウストも頷く。そしてここまで静観していた面々も嬉しそうに笑った。
「問題は、ランバートに気づかれずに準備をすすめることじゃな」
「それについては俺達がどうにか。今日みたいに、あいつを誘ってみます」
「場所は?」
「俺が提供しよう。暗府が管理している屋敷だが、こういう事なら例外的に許そう。陛下にも伝えて許可を取る」
「あっ、それは僕がやる! そっちの方が無理がないしね」
トントンと進む話に、提案が現実になっていくのが分かる。ゼロスは嬉しく、頭を下げた。
「料理は?」
「レイバンがジェイクさんを巻き込むと言っていました」
「本当! ジェイクの本気の料理食べれるのは嬉しいな」
「問題は指輪じゃな」
視線がファウストへと向けられる。見られるファウストはふと、困った顔をした。
「指輪のサイズが分からない」
「それについては問題ないぞえ」
「え?」
シウスが得意満面の顔をする。そしてVサインを出した。
「奴の制服を作る時に、あちこち採寸した。勿論指のサイズも全てじゃ」
「ナイスだよシウス! 買いに行くのは僕が同行するよ。ファウストだけじゃ不安でしょ?」
「すまない、オスカル」
「任せて!」
楽しそうにする皆が話をとりまとめ、色んな事が決まる。こうしてランバートの人前婚約式はあれよあれよと話が進んでいくのだった。
そんな五月の中頃、ゼロスはこっそりとランバート以外の同期を集めて秘密会議を開いていた。
「この時期に集まるって事は、例のイベントかな?」
トレヴァーに頼んで酒場の一室を借りた面々は、それぞれバラバラに宿舎なりを出て集まった。酒を片手にレイバンがにやりと笑い、他の面々も楽しそうな顔をする。
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「去年はジェームダル侵攻の真っ只中でそれどころじゃなかったからな」
「今年はその分も沢山祝ってあげたいね」
コンラッドは去年の今頃を思い出し、コナンは柔らかく笑う。その中でゼロスは一人、厳しい顔をしていた。
それというのも一つの案があり、その為に色々と動かさなければと気合いが入っていたからだ。
「どうしたんだ、ゼロス? 何か難しいのか?」
眉根が寄りそうなゼロスの様子に、ドゥーガルドが不安そうな顔をする。周囲も僅かに首を傾げている。ゼロスは「悪い癖が移った」と思いながら眉根を指で揉みながら、自分の中にある提案を口にした。
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「何かあるのか、ゼロス?」
コンラッドが真面目な顔でこちらを見る。それに、ゼロスは頷いた。
「今年のランバートの誕生日なんだが、俺に一つ提案があるんだ」
「提案?」
レイバンとハリーが顔を見合わせ、首を傾げる。いつもはプレゼントを用意して、飲み会をして、とにかく楽しくというのが定番になりつつある。
だが今年は意味が違う。それはここしばらくのランバートの様子を見て、願った事だった。
「実は……」
ゼロスの提案を聞いた面々の顔が、徐々に難しくなっていく。コンラッドは腕を組み、レイバンも難しい顔だ。チェスターとトレヴァーもそんな様子で、ゼロスは話しながらも不安が募った。
だが、やってやりたい。自分の指にはまる指輪を見る度に、この思いは強くなっていく。
「……ゼロスの気持ちは分かったし、俺も応援したい。けれどそうなると、話がかなり大きくなる。正直、勘の鋭いランバートにこっそり進められるかは分からないぞ」
「それに、そうなると団長達にも動いてもらわないといけない。何よりファウスト様が動かないと進まないのに、あの二人べったりだよ? どうするの?」
コンラッド、レイバンからの懸念はもっともなことだ。それについてはゼロスも大いに心配した。だがそれを考えても、してやりたいのだ。
「……僕は、してあげたい」
「コナン」
不意に上がった声に、皆の視線が集まる。コナンは真っ直ぐに全員を見て頷いた。
「難しいかもしれないし、大変だと思う。けれど僕は、してあげたい。僕はランバートに沢山お世話になってる。今の僕が幸せなのは、ランバートがいてくれたからなんだ。そうじゃなかったら、ルイーズ様は今いなかったかもしれない」
テーブルの上に置いた手をギュッと握ったコナンを見て、他の面々もまた頷いた。
「この間、素敵なお休みをもらっちゃったしね」
「そうだな。あの時の礼が出来ていないし」
「いつもなんだかんだで世話になってるんだよね」
「僕も、ランバートがいたから今こうして王都にいるんだ。そうじゃなかったら今もまだ、下を向いて小さくなって生きてたと思う」
ハリー、コンラッド、レイバン、クリフが笑って頷く。そうなると他の面々も異議なしだ。
「何よりゼロスが、返しきれない程の恩があるんじゃないの?」
からかうようなボリスの言葉だが、実際その通りなのでなんとも言えない顔をする。まさに、その時の恩を返したいのだ。
「最近、ランバート元気がないからね。やれるだけの事をしてあげたいのは俺も同じだよ」
苦笑するボリスに、他の面々も少し心配そうな顔をした。
ランバートに元気がない。それに気づいているのはきっと、ごく少数のメンバーだけだ。おそらくファウストは気づいていないだろうと思う。ランバートはファウストには特に弱さを見せないようにしているっぽいから。
けれどゼロスは知っている。順調な同期達を見るとき少しだけ、寂しそうな顔をすること。ゼロスが指輪をもらった時、心から祝福してくれたのと同時に寂しそうな顔をしたことを。
クラウルの話では、どうもファウストの実家で難しい事があるらしい。ファウスト自身あまり語らないので詳細は分からないが、二人は今一つの試練の中にあるようだ。
やはり、家同士が大きいと立ち塞がる問題も大きいのだろうか。それについて小貴族でしかないゼロスには分からないが、あの二人が悩むのだから簡単じゃないのだろう。
ならば友としてしてやれることは元気づける事しかない。大丈夫だと背中を支えてやることだけだ。
「団長達には俺から話をする。クラウル様を通して頼んであるから」
「じゃあ、その時には俺達でラウンジ誘うわ。ラウンジなら団長達も来ないし」
「頼む」
全員が頷いて、一致団結の乾杯をする。ここから秘密作戦の開始なのだ。
◇◆◇
ゼロスが団長達を集めたのは、同期達に話をした翌日の事だった。
クラウルの部屋に集まってもらった面々はとても疑問そうな顔をしている。クラウルがランバートには秘密のまま団長達を集めるというのも珍しければ、実はそれを頼んだのがゼロスというのも初めての事だった。
「どうしたのさ、ゼロス? なんだか難しい顔だよ?」
緊張に眉根が寄るゼロスをからかうようにオスカルが笑う。その隣ではエリオットが不安そうな顔をしている。
「この季節でランバートを外すならば、奴の誕生日であろ? 何故そのように難しい顔をする。何かあったのかえ?」
「いえ、問題は起こっていませんが。一つ俺から、皆さんに提案と……ファウスト様にお願いがあって集まってもらいました」
「俺?」
ファウストが驚いた顔をする。それに真剣な顔で頷いたゼロスは団長達を前に思い切り頭を下げた。
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「婚約式?」
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「元気がない?」
これにはファウストが驚いた顔をする。それに、ゼロスは頷いた。
「本当に一瞬ですが、疲れた顔をする事があります。それに俺の指輪を見るとき、一瞬寂しそうな顔をします」
「俺にはそんな顔は」
「ランバートも意地っ張りな奴だからの。お前には弱さを見せたくないのであろう」
シウスが頷く。そしてゼロスの方へと視線を向けた。
「具体的には何をするつもりだえ?」
「場所を用意して、そこで人前式のような形でお祝いがしたいと思っています」
「皆の前で指輪を渡してプロポーズ?」
「それは流石に恥ずかしいんだが……」
「では、人の目がなければプロポーズしてくれるのですか?」
ゼロスの追求にファウストはしばらく考え込む。そこを押したのはクラウルだった。
「ファウスト、お前が立場を確かにしてやらなければランバートは苦しいんじゃないか?」
「クラウル」
「俺も今になって思う所だ。色々とあったがゼロスとちゃんと、目に見える約束ができて良かったと思っている。俺自身も気合いが入った」
苦笑するクラウルの視線が一瞬、ゼロスへと向かう。それを受けて、ゼロスは恥ずかしく思いながらも頷いた。実際気持ちは落ち着いたと思う。信じられるようになった。
「お前の問題が簡単じゃ無いことは察している。だからこそ、ランバートの不安を取り除く事と、お前自身が頑張れるように確かな約束をしておくのは悪いことじゃない」
「……そうだな」
クラウルの言葉にファウストも頷く。そしてここまで静観していた面々も嬉しそうに笑った。
「問題は、ランバートに気づかれずに準備をすすめることじゃな」
「それについては俺達がどうにか。今日みたいに、あいつを誘ってみます」
「場所は?」
「俺が提供しよう。暗府が管理している屋敷だが、こういう事なら例外的に許そう。陛下にも伝えて許可を取る」
「あっ、それは僕がやる! そっちの方が無理がないしね」
トントンと進む話に、提案が現実になっていくのが分かる。ゼロスは嬉しく、頭を下げた。
「料理は?」
「レイバンがジェイクさんを巻き込むと言っていました」
「本当! ジェイクの本気の料理食べれるのは嬉しいな」
「問題は指輪じゃな」
視線がファウストへと向けられる。見られるファウストはふと、困った顔をした。
「指輪のサイズが分からない」
「それについては問題ないぞえ」
「え?」
シウスが得意満面の顔をする。そしてVサインを出した。
「奴の制服を作る時に、あちこち採寸した。勿論指のサイズも全てじゃ」
「ナイスだよシウス! 買いに行くのは僕が同行するよ。ファウストだけじゃ不安でしょ?」
「すまない、オスカル」
「任せて!」
楽しそうにする皆が話をとりまとめ、色んな事が決まる。こうしてランバートの人前婚約式はあれよあれよと話が進んでいくのだった。
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