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最終章:最強騎士に愛されて
1話:春を僅かに過ぎた日に
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サバルドの一件も片付き、新人の受け入れと訓練も無事に開始されて久しく、ランバートは少し忙しく、でも穏やかな毎日を送っている。
執務室の窓から見える外の景色は花から新緑へと移ろうとしている。頃はもうすぐ六月だ。
「ランバート、少しいいか?」
「ん?」
新人の合同訓練を視察しているはずのファウストが、お昼を少し前に戻ってきた。特に変わった事はなさそうだが、ならばこの時間に戻ってこないだろう。正午の鐘が鳴るまでは訓練のはずだ。
「どうしましたか?」
「オスカルから式の招待客についてリストを持たされてな。仕事中だってのに」
「あぁ、なるほど」
手に紙二枚を持たされたファウストが小さく愚痴るが、表情は和やかなものだ。
それというのも二人の結婚式が本格的に決まり、話はもう寸前まで動いていた。
当初の予定では五月くらいのはずだった。だが、丁度四月の終わりにメロディとルカの結婚式が行われ、あまり日が開かないということで両家で話し合いが行われ延期となった。
べつに会場を決めていたとか、教会を予約したとかそんな事までは話が及んでいない。出席者をどうするか、くらいの頃だ。
そしてそうなると上の方から物言いがついた。
カールとデイジー、揃って出席したいと言うのだ。そして当然のように団長も出席希望。国の重鎮であり親のジョシュアを始め、ヒッテルスバッハ勢揃い。そしてシュトライザー家は勿論、リーヴァイまでマクファーレン領から来るという。それにランバートの同期もとなると、外での式がほぼ不可能な状態になった。リッツも友人で来る。
当人を差し置いて結婚式は城の大聖堂で行われる事となり、そうなると面白そうだとお祭り好きなコーネリウスが動いて式を取り持つのがランスロットとなった。次の教皇候補と呼ばれる若く美しい枢機卿が、もの凄く私的な結婚式を取り持つのだ。しかも当人は単純に面白がっている。
更に披露宴のパーティーまで城を解放し、全ての設営を近衛府が気合いを入れて行うことになった。
もう、どうにでもしてくれ。
ファウストから受け取ったリストを一通りチェックして、ランバートは頷く。何の問題もない。
「リーヴァイ様には早めに招待状を出したんだよな?」
「あぁ、遠いからな。早めに王都に入って家に泊まる事になっている」
「豪快な方だよな、リーヴァイ様も」
つい数ヶ月前に改めて会った老人は、老人という枠組みから少し飛び抜けた印象のある方だった。
マクファーレンの現当主であり、ファウスト達の祖父にあたるリーヴァイと初めて会ったのは、ファウストのお家騒動の真っ只中だった。
とはいえ互いにそれどころではなく、挨拶を交わしはしたが私的な話などはないままだ。
あの一件で左腕を深く傷つけられて、リーヴァイの指先は痺れと麻痺が残り、強く物を握れない。それでも当人はまったく気に留めていないのか元気で明るく、「腕は振れるぞ!」と言って左手でバシバシランバートの背中を叩いて大笑いしていた。
強い人だ。そして、ファウストの肉体的な要素はこちらの遺伝なのだろうと分かった。
「衣装は母上が二人分仕立ててる。次の休みに試着させろって言ってたよ」
「あぁ、聞いている。同じタイミングで指輪も出来るはずだ。引き取りに行こう」
「本当! うわ、楽しみ。でも、試着して当日までは箱の中な」
「あぁ」
「婚礼衣装は私が仕立てる!」と、シルヴィアは譲らなかった。だから以前トレヴァーに貸してもらったヴェールを母に見せ、そのまま預けてある。当日もこれを使いたいと申し出ると、彼女は目を輝かせて「こんな一級品をどうしたの!」と喜んでくれた。
そこで経緯を話すとシルヴィアは早速キアランの母に連絡をして、直接会ったらしい。ちなみにキアランの母親は感激のあまり翌日熱を出したとか。申し訳ない。
そんなこんなで婚礼衣装を作るのに頭の先からつま先まで採寸をされ、生地を選び、母が最初からデザインを描いた完全なオーダーの服を作っている。
ここにリッツが更に絡み、サバルドの絹織物を使ったらしい。大貴族の採算度外視という本気がいっそ恐ろしいランバートだった。
指輪も順調に作られている。デザインと石は選んであるが、職人の手が空かずに少し遅れが出ていた。だがそれを大きく上回る延期となったため平気だと伝えると、店もほっとしたようだった。
何にしても準備は当人達を置き去りに進んでいく。これでいいのか? という疑問もありはするが、心配はしていない。皆がある意味その道のプロだ。何より祝われているのはよく分かる。照れくさく、でも幸せな時間になっていくのだろう。
◆◇◆
ランバート個人はもう一つ大事な事がある。部屋の引っ越しだ。
結婚したら相手の部屋に引っ越す。二人で一つの部屋を使う事になる。
今回は二人で話し合い、ファウストの部屋にランバートが引っ越すのだが……物が多くなってしまった。
現在は物の整理をしている……のだが、物が捨てられない。
どれも二人で選んだものだったりする。あとは贈り物だ。そういう物には思い出があり、なかなか捨てられない。物がなくなったからって思い出がなくなる訳じゃないのは承知しているのだが。
「う~ん……」
いっそ、持ち込みきれない物は実家におしつけようか。思った所でドアがノックされ、ラウルがひょっこりと顔を出した。
「ランバート、整理進んでる?」
「手伝いにきましたよ」
「夜食も持ってきた」
「ラウル、エリオット様、ゼロス」
いわゆる団長を彼氏(旦那)に持つ面々が笑いながら入ってくる。そして部屋の有様に苦笑した。
「物持ちになりましたね」
「二人部屋の時はこんなになかったのにね」
「お前、整理進んだのか?」
「全然。なんかどれも思い入れがあって、整理が付かなくてさ。いっそ実家に送ろうかと思ってたんだ」
それに、入ってきた三人が苦笑した。
「あぁ、これ」
ゼロスがふと箱を見つけて手に取る。それは小さな箱で、中はボタンカフスだ。しっかりと使った跡の見えるそれも、ランバートの大事な物だ。
「懐かしいな、俺たちがお前の誕生日に贈ったものだ」
「ほんと、懐かしいよな」
思えばあの日、ちゃんと自分の誕生日を認識した。その後も忘れていて、当日や近くなって彼らに祝って貰って思い出すのだが、それでも自分が何日に生まれたのかは分かった。
「使ってるじゃないか」
嬉しそうに笑うゼロスにランバートも笑う。
「使えって言ったのお前等だろ?」
「あぁ」
「ちなみに、これも残ってるぞ」
言って取り出したのはあの時第五師団から渡された薄い本の詰め合わせだ。まぁ、いくつかは手元にない。現在その一部は恋人とどのように夜を過ごしていいか分からない隊員のバイブルとなっている。そんなつもりはなかったが、チェスターに貸した物がトレヴァーに渡ったりしているらしい。
「それは捨てていいだろ。おかずなんていらないし」
「贈り物って捨てられない質なんだよな」
「いや、エロ本持って嫁ぐってどうなんだよ」
呆れ顔のゼロスの側で薄い本を開いたラウルとエリオットが、こっそりと顔を赤くしている。この人達も相変わらず恥ずかしいらしい。
「編み物の道具もあるね」
小さな裁縫箱の中にあるのはいつぞやの編み物の道具だ。一年目の聖リマの日、シルヴィアから突如送られてきた毛糸は流石にない。だがその時の道具は今も使う事がある。
「懐かしいな。これで一緒にマフラー編んだよね」
「あぁ」
「ファウスト様、今も冬になるとあの時のマフラーしてるよね」
「編み直そうかって言うんだけど、このままでいいって言うんだ。少し伸びてきてるのに」
一年目の聖リマの日。お世話になっている人や恋人に感謝の気持ちを物に乗せて伝える日。あの時、ランバートはファウストに手編みのマフラーを贈った。あの時はまだ付き合ってなんていなかったが、日頃の感謝を込めて作ったのだ。
あれから五年の歳月が流れた。親しい上司と部下から、恋人、そして伴侶になろうとしている。でもあの時の思い出を、ファウストもランバートも大事に手元に置いているのだ。
「私達が贈ったティーセットも、随分使ってくれたのですね」
「今も愛用しています。本当に、有り難うございます」
二十歳の誕生日、エリオットとオスカルは揃いのティーセットをくれた。それは今もランバートの愛用品だ。そればかりではない、シウスがくれたペンは今もっとも酷使されている。それでも丈夫で書きやすく、そして壊れていない。
クラウルがくれた投げナイフは何度となくランバートを救ってくれた。うち数本はダメにしてしまったが、今も現役で残っているものもある。
「この投げナイフ……」
「クラウル様が俺の誕生日にくれた物だよ」
「だからあの人は、刃物を贈り物にするのは止めろってあれほど……」
「落ち着けってゼロス! お前と付き合う前だし、実際俺の命を助けてくれたんだし」
革のホルダーに入ったナイフのセットを見てジトリとした目をするゼロスを宥めるランバートの顔に笑みが浮かぶ。それを、三人が見て微笑んだ。
「整理、時間がかかってしまいますね」
「でも、色々と幸せです」
「捨てられないよね、全部」
「大事な思い出だからな。まぁ、整理がつけられるまでは実家でもいいんだろ?」
「やっぱりそうなるよな」
半ば整理を諦めたランバートは、それでも部屋に残す物と残さない物に分ける。服を少し実家に送りつけ、ラグなどの少し大きな家具はそのまま部屋に置くことにした。次にここを使う人に残すつもりだ。
「あっ、画材まだあったんだね」
クローゼットの下に置いてある箱を開けたラウルが嬉しそうに言う。ゼロスもエリオットも覚えがあるから、それを見て温かく笑った。
「シウスの誕生日に、特別な贈り物をしたい」
シウスとラウルが結婚して初めて迎えた誕生日、ラウルは肖像画をランバートに依頼した。母も父も既に他界しているシウスに家族の肖像画を贈りたい。そう願ったラウルに、ランバートは快く話を受けた。
シウスとラウルの肖像、それを囲むシウスの両親の肖像は生前のものを模写した。そしてシウス達の後ろには今の仲間が立ったのだ。
受け取ってくれた時、シウスは涙を零して笑ってくれた。あの時の事をランバートは忘れていない。一度は手放した絵という趣味が誰かを幸せにできる。それを思い出した瞬間だった。
あの絵は今もシウスの私室を飾っている。ラウルに聞くと、あの絵を見ている時はとても優しい顔をしているそうだ。
「本当に、思い出だらけですね」
「はい」
騎士団にきて五年、沢山大変な事もあったが、こんなにもかけがえのない思い出が出来た。母の無茶な要求できて、生きている実感を得るために無茶もしたランバートは、今多くを手にしている。簡単に手放せないものたちを抱え込み、慈しんで。
本当に、幸せ者だ。
▼ファウスト
ファウストもランバートと同じく、自室の整理をしていた。だが、あまり整理する物もない。元々あまり物を持たない方だし、今ある物はランバートがくれた物や、一緒に買ってこれからも使う予定のものだ。
だが、一つずつ思い出のある物を手に取ると思い出される。それがくすぐったくも嬉しくて、自然と笑みが浮かんでいた。
「ファウスト、やってる?」
「手伝いに来たぞ」
ノックもなくいきなりドアが開いて声がして、ファウストは驚きながら振り向く。そこにはオスカルとシウス、そしてクラウルがいた。
「相変わらずあまり物がないな」
「ほんとだよね。これ、片付けいるの?」
「お前は少し物が多すぎるわ、オスカル。あれこれ細々と」
「えー、クラウルだって多いし。僕だけじゃないよ」
そんな事を言いながら当然のように入ってくる彼らを、ファウストも苦笑しながら出迎えた。
「順調かえ?」
「あぁ、それなりにな。処分するものは処分したし、これといって家具の買い換えもない。まぁ、ランバートが物の多い奴だからな。それらを仕舞うのに整理していただけだ」
「ランバートも物が捨てられない方なのか?」
「私的な物はわりと簡単に捨てるんだがな。誰かから貰った物や思い入れのある物はどうしても捨てられないらしい」
だがそれも、ファウストはいい事だと思える。騎士団にきて、ランバートには大切なものが増えた証だ。
「ってかさ、ファウスト服整理したんだね。前はここ、黒、グレー、紺ばっかだったのに今じゃそれなりにカラフル」
「ランバートに怒られて、あいつに見立ててもらってるからな」
白やキャラメル色、深いグリーンなんかも増えた。アウターは明るめが多い気がする。
「まぁ、そういうことなら飲もうよ」
「オスカル、お前最初からそれが目的だっただろ」
「細かい事はなしじゃ。よいではないか、独身は短いものぞ」
「お前等、嫁はどうした」
「今頃ランバートの部屋で片付けの手伝いしてるよ」
「嫁会なんだそうだ」
クラウルまで苦笑している。こいつが一番キャラ変わったな。
まぁ、賑やかなのは悪くない。ファウストは片付けの手を止め、ラグの上に腰を下ろした。
「それにしてもさ、色んな事があったよね」
「そうだな」
「でもさ、こうなるのはなんとなく最初から分かってたよね」
「そうさな。堅物ファウストが入団間もないランバートを自分のベッドに入れておったからな」
思えばそれが最初だった。今では懐かしい話だ。
あの時は団長としてのケジメだと自らに言い聞かせ、部下から恋人を作らないと頑なに誓っていた。この部屋には師団長すら滅多に入れなかった。なのに、入団一ヶ月もたっていなかったランバートをここに泊めたのだ。事件後で、罪悪感があったとはいえ。
「頑固だったよねぇ。でも、何だかんだとランバートはファウストの部屋に入り浸ったよね」
「アレも上手かったんだよ。それに俺も心地よかった」
一度許せばその後も。風邪を引いて看病されたこともあるし、逆もある。一緒にこの部屋で酒を飲んだ事もある。あいつの誕生日もこの部屋だった。
「実際どうだったんだ?」
「ん? 何がだ?」
「最初の頃からランバートを受け入れていたように俺も思ったが、そのつもりはなかったのか?」
「……どうだろうな。あの当時の俺はそんなつもりはなかったんだが……今にして思えば好きだったんだろう」
「その割に拗らせたよね」
「そうじゃぞ、面倒くさい。あんなに腹が立ったのは久しぶりじゃったわ」
「その節は世話になった」
ジロリとシウスに睨まれて、ファウストは大人しく頭を下げた。この件に関してはまったくもって頭が上がらない。お節介で有り難い友人のお陰で今がある。
実家で持ち上がったお見合い話を断る為に、ランバートに恋人のフリをしてもらった。そしてその場で、彼から泣きながら告白をされ、同時に別れを言われた。
訳がわからなかったし、何の間違いかと思った。だが……よく分からない衝動と同時に恐怖が強かった。
失う恐ろしさに耐えきれない。大切な者を失う時、自らもまた壊れてしまうような気がした。そしてランバートは間違いなくそこに入っていた。
抗ったのだろう、この関係に「恋人」という言葉を与えてしまえば失う恐怖を身のうちに宿す。今更抵抗しても遅いというのに、かっこ悪く足掻いて、それでランバートを傷つけた。
今も、失う事は怖い。だが、それ以上に「失わせない」という思いが強い。ランバートがいるならもっと強くあれる。あいつが背中をドンと押すから、ファウストは何も心配せずに前へ進める。
「……今は、幸せかえ?」
「あぁ、とても」
「ならば、世話を焼いた価値もあるというものじゃ」
そう言って笑うシウスの気の抜けた顔を、ファウストは沢山の感謝を込めて見ていた。
執務室の窓から見える外の景色は花から新緑へと移ろうとしている。頃はもうすぐ六月だ。
「ランバート、少しいいか?」
「ん?」
新人の合同訓練を視察しているはずのファウストが、お昼を少し前に戻ってきた。特に変わった事はなさそうだが、ならばこの時間に戻ってこないだろう。正午の鐘が鳴るまでは訓練のはずだ。
「どうしましたか?」
「オスカルから式の招待客についてリストを持たされてな。仕事中だってのに」
「あぁ、なるほど」
手に紙二枚を持たされたファウストが小さく愚痴るが、表情は和やかなものだ。
それというのも二人の結婚式が本格的に決まり、話はもう寸前まで動いていた。
当初の予定では五月くらいのはずだった。だが、丁度四月の終わりにメロディとルカの結婚式が行われ、あまり日が開かないということで両家で話し合いが行われ延期となった。
べつに会場を決めていたとか、教会を予約したとかそんな事までは話が及んでいない。出席者をどうするか、くらいの頃だ。
そしてそうなると上の方から物言いがついた。
カールとデイジー、揃って出席したいと言うのだ。そして当然のように団長も出席希望。国の重鎮であり親のジョシュアを始め、ヒッテルスバッハ勢揃い。そしてシュトライザー家は勿論、リーヴァイまでマクファーレン領から来るという。それにランバートの同期もとなると、外での式がほぼ不可能な状態になった。リッツも友人で来る。
当人を差し置いて結婚式は城の大聖堂で行われる事となり、そうなると面白そうだとお祭り好きなコーネリウスが動いて式を取り持つのがランスロットとなった。次の教皇候補と呼ばれる若く美しい枢機卿が、もの凄く私的な結婚式を取り持つのだ。しかも当人は単純に面白がっている。
更に披露宴のパーティーまで城を解放し、全ての設営を近衛府が気合いを入れて行うことになった。
もう、どうにでもしてくれ。
ファウストから受け取ったリストを一通りチェックして、ランバートは頷く。何の問題もない。
「リーヴァイ様には早めに招待状を出したんだよな?」
「あぁ、遠いからな。早めに王都に入って家に泊まる事になっている」
「豪快な方だよな、リーヴァイ様も」
つい数ヶ月前に改めて会った老人は、老人という枠組みから少し飛び抜けた印象のある方だった。
マクファーレンの現当主であり、ファウスト達の祖父にあたるリーヴァイと初めて会ったのは、ファウストのお家騒動の真っ只中だった。
とはいえ互いにそれどころではなく、挨拶を交わしはしたが私的な話などはないままだ。
あの一件で左腕を深く傷つけられて、リーヴァイの指先は痺れと麻痺が残り、強く物を握れない。それでも当人はまったく気に留めていないのか元気で明るく、「腕は振れるぞ!」と言って左手でバシバシランバートの背中を叩いて大笑いしていた。
強い人だ。そして、ファウストの肉体的な要素はこちらの遺伝なのだろうと分かった。
「衣装は母上が二人分仕立ててる。次の休みに試着させろって言ってたよ」
「あぁ、聞いている。同じタイミングで指輪も出来るはずだ。引き取りに行こう」
「本当! うわ、楽しみ。でも、試着して当日までは箱の中な」
「あぁ」
「婚礼衣装は私が仕立てる!」と、シルヴィアは譲らなかった。だから以前トレヴァーに貸してもらったヴェールを母に見せ、そのまま預けてある。当日もこれを使いたいと申し出ると、彼女は目を輝かせて「こんな一級品をどうしたの!」と喜んでくれた。
そこで経緯を話すとシルヴィアは早速キアランの母に連絡をして、直接会ったらしい。ちなみにキアランの母親は感激のあまり翌日熱を出したとか。申し訳ない。
そんなこんなで婚礼衣装を作るのに頭の先からつま先まで採寸をされ、生地を選び、母が最初からデザインを描いた完全なオーダーの服を作っている。
ここにリッツが更に絡み、サバルドの絹織物を使ったらしい。大貴族の採算度外視という本気がいっそ恐ろしいランバートだった。
指輪も順調に作られている。デザインと石は選んであるが、職人の手が空かずに少し遅れが出ていた。だがそれを大きく上回る延期となったため平気だと伝えると、店もほっとしたようだった。
何にしても準備は当人達を置き去りに進んでいく。これでいいのか? という疑問もありはするが、心配はしていない。皆がある意味その道のプロだ。何より祝われているのはよく分かる。照れくさく、でも幸せな時間になっていくのだろう。
◆◇◆
ランバート個人はもう一つ大事な事がある。部屋の引っ越しだ。
結婚したら相手の部屋に引っ越す。二人で一つの部屋を使う事になる。
今回は二人で話し合い、ファウストの部屋にランバートが引っ越すのだが……物が多くなってしまった。
現在は物の整理をしている……のだが、物が捨てられない。
どれも二人で選んだものだったりする。あとは贈り物だ。そういう物には思い出があり、なかなか捨てられない。物がなくなったからって思い出がなくなる訳じゃないのは承知しているのだが。
「う~ん……」
いっそ、持ち込みきれない物は実家におしつけようか。思った所でドアがノックされ、ラウルがひょっこりと顔を出した。
「ランバート、整理進んでる?」
「手伝いにきましたよ」
「夜食も持ってきた」
「ラウル、エリオット様、ゼロス」
いわゆる団長を彼氏(旦那)に持つ面々が笑いながら入ってくる。そして部屋の有様に苦笑した。
「物持ちになりましたね」
「二人部屋の時はこんなになかったのにね」
「お前、整理進んだのか?」
「全然。なんかどれも思い入れがあって、整理が付かなくてさ。いっそ実家に送ろうかと思ってたんだ」
それに、入ってきた三人が苦笑した。
「あぁ、これ」
ゼロスがふと箱を見つけて手に取る。それは小さな箱で、中はボタンカフスだ。しっかりと使った跡の見えるそれも、ランバートの大事な物だ。
「懐かしいな、俺たちがお前の誕生日に贈ったものだ」
「ほんと、懐かしいよな」
思えばあの日、ちゃんと自分の誕生日を認識した。その後も忘れていて、当日や近くなって彼らに祝って貰って思い出すのだが、それでも自分が何日に生まれたのかは分かった。
「使ってるじゃないか」
嬉しそうに笑うゼロスにランバートも笑う。
「使えって言ったのお前等だろ?」
「あぁ」
「ちなみに、これも残ってるぞ」
言って取り出したのはあの時第五師団から渡された薄い本の詰め合わせだ。まぁ、いくつかは手元にない。現在その一部は恋人とどのように夜を過ごしていいか分からない隊員のバイブルとなっている。そんなつもりはなかったが、チェスターに貸した物がトレヴァーに渡ったりしているらしい。
「それは捨てていいだろ。おかずなんていらないし」
「贈り物って捨てられない質なんだよな」
「いや、エロ本持って嫁ぐってどうなんだよ」
呆れ顔のゼロスの側で薄い本を開いたラウルとエリオットが、こっそりと顔を赤くしている。この人達も相変わらず恥ずかしいらしい。
「編み物の道具もあるね」
小さな裁縫箱の中にあるのはいつぞやの編み物の道具だ。一年目の聖リマの日、シルヴィアから突如送られてきた毛糸は流石にない。だがその時の道具は今も使う事がある。
「懐かしいな。これで一緒にマフラー編んだよね」
「あぁ」
「ファウスト様、今も冬になるとあの時のマフラーしてるよね」
「編み直そうかって言うんだけど、このままでいいって言うんだ。少し伸びてきてるのに」
一年目の聖リマの日。お世話になっている人や恋人に感謝の気持ちを物に乗せて伝える日。あの時、ランバートはファウストに手編みのマフラーを贈った。あの時はまだ付き合ってなんていなかったが、日頃の感謝を込めて作ったのだ。
あれから五年の歳月が流れた。親しい上司と部下から、恋人、そして伴侶になろうとしている。でもあの時の思い出を、ファウストもランバートも大事に手元に置いているのだ。
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「今も愛用しています。本当に、有り難うございます」
二十歳の誕生日、エリオットとオスカルは揃いのティーセットをくれた。それは今もランバートの愛用品だ。そればかりではない、シウスがくれたペンは今もっとも酷使されている。それでも丈夫で書きやすく、そして壊れていない。
クラウルがくれた投げナイフは何度となくランバートを救ってくれた。うち数本はダメにしてしまったが、今も現役で残っているものもある。
「この投げナイフ……」
「クラウル様が俺の誕生日にくれた物だよ」
「だからあの人は、刃物を贈り物にするのは止めろってあれほど……」
「落ち着けってゼロス! お前と付き合う前だし、実際俺の命を助けてくれたんだし」
革のホルダーに入ったナイフのセットを見てジトリとした目をするゼロスを宥めるランバートの顔に笑みが浮かぶ。それを、三人が見て微笑んだ。
「整理、時間がかかってしまいますね」
「でも、色々と幸せです」
「捨てられないよね、全部」
「大事な思い出だからな。まぁ、整理がつけられるまでは実家でもいいんだろ?」
「やっぱりそうなるよな」
半ば整理を諦めたランバートは、それでも部屋に残す物と残さない物に分ける。服を少し実家に送りつけ、ラグなどの少し大きな家具はそのまま部屋に置くことにした。次にここを使う人に残すつもりだ。
「あっ、画材まだあったんだね」
クローゼットの下に置いてある箱を開けたラウルが嬉しそうに言う。ゼロスもエリオットも覚えがあるから、それを見て温かく笑った。
「シウスの誕生日に、特別な贈り物をしたい」
シウスとラウルが結婚して初めて迎えた誕生日、ラウルは肖像画をランバートに依頼した。母も父も既に他界しているシウスに家族の肖像画を贈りたい。そう願ったラウルに、ランバートは快く話を受けた。
シウスとラウルの肖像、それを囲むシウスの両親の肖像は生前のものを模写した。そしてシウス達の後ろには今の仲間が立ったのだ。
受け取ってくれた時、シウスは涙を零して笑ってくれた。あの時の事をランバートは忘れていない。一度は手放した絵という趣味が誰かを幸せにできる。それを思い出した瞬間だった。
あの絵は今もシウスの私室を飾っている。ラウルに聞くと、あの絵を見ている時はとても優しい顔をしているそうだ。
「本当に、思い出だらけですね」
「はい」
騎士団にきて五年、沢山大変な事もあったが、こんなにもかけがえのない思い出が出来た。母の無茶な要求できて、生きている実感を得るために無茶もしたランバートは、今多くを手にしている。簡単に手放せないものたちを抱え込み、慈しんで。
本当に、幸せ者だ。
▼ファウスト
ファウストもランバートと同じく、自室の整理をしていた。だが、あまり整理する物もない。元々あまり物を持たない方だし、今ある物はランバートがくれた物や、一緒に買ってこれからも使う予定のものだ。
だが、一つずつ思い出のある物を手に取ると思い出される。それがくすぐったくも嬉しくて、自然と笑みが浮かんでいた。
「ファウスト、やってる?」
「手伝いに来たぞ」
ノックもなくいきなりドアが開いて声がして、ファウストは驚きながら振り向く。そこにはオスカルとシウス、そしてクラウルがいた。
「相変わらずあまり物がないな」
「ほんとだよね。これ、片付けいるの?」
「お前は少し物が多すぎるわ、オスカル。あれこれ細々と」
「えー、クラウルだって多いし。僕だけじゃないよ」
そんな事を言いながら当然のように入ってくる彼らを、ファウストも苦笑しながら出迎えた。
「順調かえ?」
「あぁ、それなりにな。処分するものは処分したし、これといって家具の買い換えもない。まぁ、ランバートが物の多い奴だからな。それらを仕舞うのに整理していただけだ」
「ランバートも物が捨てられない方なのか?」
「私的な物はわりと簡単に捨てるんだがな。誰かから貰った物や思い入れのある物はどうしても捨てられないらしい」
だがそれも、ファウストはいい事だと思える。騎士団にきて、ランバートには大切なものが増えた証だ。
「ってかさ、ファウスト服整理したんだね。前はここ、黒、グレー、紺ばっかだったのに今じゃそれなりにカラフル」
「ランバートに怒られて、あいつに見立ててもらってるからな」
白やキャラメル色、深いグリーンなんかも増えた。アウターは明るめが多い気がする。
「まぁ、そういうことなら飲もうよ」
「オスカル、お前最初からそれが目的だっただろ」
「細かい事はなしじゃ。よいではないか、独身は短いものぞ」
「お前等、嫁はどうした」
「今頃ランバートの部屋で片付けの手伝いしてるよ」
「嫁会なんだそうだ」
クラウルまで苦笑している。こいつが一番キャラ変わったな。
まぁ、賑やかなのは悪くない。ファウストは片付けの手を止め、ラグの上に腰を下ろした。
「それにしてもさ、色んな事があったよね」
「そうだな」
「でもさ、こうなるのはなんとなく最初から分かってたよね」
「そうさな。堅物ファウストが入団間もないランバートを自分のベッドに入れておったからな」
思えばそれが最初だった。今では懐かしい話だ。
あの時は団長としてのケジメだと自らに言い聞かせ、部下から恋人を作らないと頑なに誓っていた。この部屋には師団長すら滅多に入れなかった。なのに、入団一ヶ月もたっていなかったランバートをここに泊めたのだ。事件後で、罪悪感があったとはいえ。
「頑固だったよねぇ。でも、何だかんだとランバートはファウストの部屋に入り浸ったよね」
「アレも上手かったんだよ。それに俺も心地よかった」
一度許せばその後も。風邪を引いて看病されたこともあるし、逆もある。一緒にこの部屋で酒を飲んだ事もある。あいつの誕生日もこの部屋だった。
「実際どうだったんだ?」
「ん? 何がだ?」
「最初の頃からランバートを受け入れていたように俺も思ったが、そのつもりはなかったのか?」
「……どうだろうな。あの当時の俺はそんなつもりはなかったんだが……今にして思えば好きだったんだろう」
「その割に拗らせたよね」
「そうじゃぞ、面倒くさい。あんなに腹が立ったのは久しぶりじゃったわ」
「その節は世話になった」
ジロリとシウスに睨まれて、ファウストは大人しく頭を下げた。この件に関してはまったくもって頭が上がらない。お節介で有り難い友人のお陰で今がある。
実家で持ち上がったお見合い話を断る為に、ランバートに恋人のフリをしてもらった。そしてその場で、彼から泣きながら告白をされ、同時に別れを言われた。
訳がわからなかったし、何の間違いかと思った。だが……よく分からない衝動と同時に恐怖が強かった。
失う恐ろしさに耐えきれない。大切な者を失う時、自らもまた壊れてしまうような気がした。そしてランバートは間違いなくそこに入っていた。
抗ったのだろう、この関係に「恋人」という言葉を与えてしまえば失う恐怖を身のうちに宿す。今更抵抗しても遅いというのに、かっこ悪く足掻いて、それでランバートを傷つけた。
今も、失う事は怖い。だが、それ以上に「失わせない」という思いが強い。ランバートがいるならもっと強くあれる。あいつが背中をドンと押すから、ファウストは何も心配せずに前へ進める。
「……今は、幸せかえ?」
「あぁ、とても」
「ならば、世話を焼いた価値もあるというものじゃ」
そう言って笑うシウスの気の抜けた顔を、ファウストは沢山の感謝を込めて見ていた。
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辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
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※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
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