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3章:雪中訓練
1話:ジェームダルへの道
ラウルの記憶喪失事件から数日、騎兵府宿舎にシウスとクラウル、そして何故かリカルドが集まって今後の方針が話し合われた。
「雪中実地訓練、ですか」
提案された内容に、ランバートは冷静に答えた。これに、ファウストは静かに頷く。
「何処かでやらなければと思っていたことだ。特に今回、先行するお前達には必要な事だろう」
「ラン・カレイユへと渡るのですよね? 雪中訓練が必要とは思えませんが」
「その予定が、変更になりそうなんだ」
クラウルの深刻そうな顔を見る限り、どうも状況は良くないらしい。ランバートも覚悟しなければならなかった。
「既にラン・カレイユの情勢は持ちこたえられない。春には危険だ。今現在も彼の国の支配権はジェームダルへと移りつつある。その状態で帝国から直接ラン・カレイユへと入るのはマークされてしまう」
ランバート達先行隊はラン・カレイユ経由でジェームダルへと入る予定でいる。敵対はしていないが、直接帝国からジェームダルへと入る事は厳しいからだ。
今回は隠密行動。帝国の人間という部分をできるだけ薄くしなければ敵国内で動きが取れなくなる。
「では、ラン・カレイユへと入る前にワンクッション置こうと?」
「それについては私の方から話そう。方向としてはそれで間違いない」
クラウルに代わり、シウスが前に出る。そして国の東側の地図を広げた。
「帝国側からラン・カレイユへと入れぬなら、方法は一つ。東の大森林地帯を抜けてクシュナート王国へと行くしかない」
指さす先はエル達が住んでいた東の大森林地帯の更に奥、北の勇クシュナート。丁度森林地帯を抜けてすぐが王都のはずだ。
「彼の国は帝国とは同盟国であり、陛下とも親交がある。そして、ラン・カレイユを隣国に持つ者同士じゃ。ここがジェームダルに支配されれば両国にとって穏やかではない。対処したいという気持ちはどちらも同じじゃ」
「協力を受けてくれたのですか?」
「そういうことじゃ。昨年末に打診したところ、協力は惜しまないと国王直々の書簡が届いた。ラン・カレイユの問題をクシュナート王もまた懸念していたということじゃ」
そんな話が密かに行われていたとは知らなかった。
ランバート自身はクシュナートという国に行った事はない。一般的には大陸公用語が使われるが、同時に古代ウル語が使われている。ノーラントと同じだ。
「クシュナート王は王子の時代から我等が陛下と親睦があってな、互いに留学しあっていたくらいじゃ。時代がカール四世に代わった時も、他の隣国は若い王と足元を見たのに対し彼の王だけは真っ先に祝賀と同盟を申し入れてきたくらいじゃ。私も何度か伺ったが、気持ちの良い相手じゃよ」
シウスがこのように言うのなら、きっと評価通りかそれ以上の相手だろう。ならばそこは問題無い。問題があるとすれば……
「東の大森林を、冬期に進まなければならないのですか」
「それじゃよ。本来ならば二月と思っていた予定を遅らせたのもその為じゃ。あの森は二月が一番積雪が多い。森に住んでいてもその期間は特に注意せねばならぬ。もっと言えば、三月でも危険じゃ」
「その為の雪中訓練、ですね」
妙に納得のいったランバートは、それでも明るい顔はできなかった。
雪や寒さはバカにできない。足元が悪く思うように進めず、急な吹雪にでもあえば視界すらない。もっと言えばこの地方の雪は水分が少なく夜間の冷え込みが強い。これが強風に晒されれば風に乗って凍った雪が横殴りに飛んでくる。地吹雪というやつだ。
これらは王都近郊に住んでいるとまず経験がない。王都も雪はふるがまだ南になる。更に人の手が加わってそのような状態で放置されることがないのだ。
東の大森林はほぼ未開。雪の降る前は道もあるが、今は雪の下だろう。迷えば命も危なくなる。
「シウス様、俺達はそれほど深い雪もほぼ未経験ですし、更に言えば道も不案内です」
「その点は問題無い。頼もしい奴等に案内を頼んだ所快く受けてくれた。何よりも頼りになる故、クシュナートまでの道は安心せよ。ただ、いざという時の身の守り方や対処方などは学ぶ必要がある。故に、此度の雪中訓練となったのだ」
「頼もしい案内」と言われて思い当たる人物が数人いる。思う通りの人物達ならば本当に頼もしい。
だが問題はこちらの不慣れか。行軍が遅くなるどころか、身の守り方も知らないのでは辿り着く前に怪我人や死人が出る。
「北からのルートもあるにはあるが、潮が悪い。王都から出航して一度外海に出て大陸をグルリじゃ。西を回るルートを通っても徒歩の方がずっと早い」
「確かにそうですね」
王都は内湾の穏やかな海に面している。ジェームダルもそうなのだが、そこから北となれば内湾を出て一度外海へと向かわなければならない。冬、外海は潮が荒い。余程陸路の方が安全ではあるだろう。
「今回の雪中訓練は雪山で行う。峰にロッジがあるからそこを拠点とする。食料も最低限、狩りを行いながら雪道の歩行とビバークの方法、吹雪などにも慣れてもらう。後は連帯の取り方を確認してくれ。行軍予定の者は勿論、ラウル、そしてチェルルも参加させる」
「彼もですか?」
驚いて問えばファウストは静かに頷く。これは既に伝えられた内容なのだという。
「行軍の仲間には事前に奴の事を話しておけよ。ハリーとコンラッド、ゼロスはおそらく気付いているだろうが、一応な」
「分かりました」
色々と面倒な事になるだろう。そうは思うが、こうなれば仕方がない。それに気付いているだろう。何より行軍が始まってからゴタゴタが起こるよりはずっといいだろう。
とりあえず、今日は彼らを自室に呼んでの秘密の話になりそうだった。
その夜、ランバートの部屋は随分と賑やかな事になっていた。
今回の先行作戦に参加するのは、ラウル、ゼロス、コンラッド、レイバン、クリフ、チェスター、ドゥーガルド、ハリー、ランバート、ボリス。そして外部からチェルル。以上十一名の予定だ。
騎士団組に、今回の雪中訓練に同行するウェインと、医師として同行するリカルドを加えたメンバーがランバートの部屋にいる。そして、ジェームダルのテロリストが全員生きている事を伝えた。
「……え? 今更知らないと思ってたの?」
「……だよな」
ハリーのキョトンとした顔にランバートは苦笑する。数人、ドゥーガルドなどは本当に知らなかったらしく驚いていたが、大概は鋭い面々だ。分かっていただろう。
「一応は伝えておくように言われたんだよ」
「まぁ、確かにな。それにしても、そんな経緯だったのか」
ゼロスは複雑な顔をする。それはコンラッドも同じで、同情的な目をしていた。
「確かに同情的な背景ではあるけれどさ。それで『じゃあ許そう』って話になるかはまた別だよね」
レイバンが少し冷たい目で言う。彼のこうした表情は珍しい感じがある。
「沢山仲間が死んだ。それを目にして、許せるほど俺は寛大じゃない」
「レイバン、硬いよ。利用するって考えれば少し妥協できるでしょ」
これはボリスの意見だ。彼も納得した顔はしていない。だが発言通りの考えをする事にしたらしい。
「このまま行けば間違いなくぶつかる。その囚われた王子様を探し出せば戦況を大きく変えられるかもしれないんでしょ? その為に動く」
「ボリスって、時々俺より血の色緑」
レイバンにそう言われたボリスは嫌な顔をする。だがこれはランバートも思う事だった。
「僕は、チェルル達の気持ちが分かるよ」
そう言ったのはラウルだった。キュッと手を握る姿は少し痛そうな気がした。
「もしも突然シウスが死んだと伝えられて、実は死んでないがお前が協力しなければ殺す。探しても見つからない。そんな状況になってしまったら……いけないと思っても従うと思う。気持ちがどれほど死んでも」
「「…………」」
大半が黙り込む。恋人を持つ人物はそれぞれの大切な相手を思い浮かべたのだろう。
そういうランバートもまた、ファウストを思い出していた。そんな事は万が一にもないだろうが、もしもファウストが囚われてしまったら。自分の行動によっては殺すと言われたら……。
「……ったく、仕方ないなぁ」
ボリスがガリガリと頭をかきながら溜息をつく。そして、キッと強い目で回りを見た。
「諸悪の根源ぶちのめしてやる」
「おっ、ボリス男らしい!」
「あったりまえでしょ!」
はやし立てる言葉に笑ったボリスもまた、ニヤリと笑みを見せた。
「さて、今回の訓練は雪中訓練だけど……ランバート、ハリー、コンラッドは大丈夫だよね? ラウルも」
「勿論です、ウェイン様。俺これでも北育ちだし」
むしろ活き活きした様子のハリーが笑うが、レイバンは嫌な顔をする。
「俺、寒いの嫌い。室内猫なんだよね」
とは言うが、訓練とつけば行くしかない。何よりこれから森越えだ。
「東の森はこの季節は雪深いです。エルでも命を落とす事があるほどに」
不意にリカルドが口を挟む。その視線は少し、悲しそうだった。
「リカルド先生?」
「私達が暮らしていたのは、宰相閣下よりもずっと奥深く。だからこそ、分かります。森は等しく人に恩恵を与え、等しく死を与える。耐えられなければ死ぬのみです。それはエルも同じ。寒さに凍えて命を落とす子供は多くいました」
不安そうなチェスターの声は耳に入っていないようで、リカルドは独り言のように呟く。
ランバートは視線を地図に戻した。東の大森林地帯。馬も使えないこの過酷な環境の中、効率よく突っ切ったとしても五日はかかるだろう。これは夏換算。冬ならばきっと、倍はかかる。
不意に不安も過ぎる。だが、それを口にはしない。正体のないものに心を乱される時間は、きっとないのだから。
「雪中実地訓練、ですか」
提案された内容に、ランバートは冷静に答えた。これに、ファウストは静かに頷く。
「何処かでやらなければと思っていたことだ。特に今回、先行するお前達には必要な事だろう」
「ラン・カレイユへと渡るのですよね? 雪中訓練が必要とは思えませんが」
「その予定が、変更になりそうなんだ」
クラウルの深刻そうな顔を見る限り、どうも状況は良くないらしい。ランバートも覚悟しなければならなかった。
「既にラン・カレイユの情勢は持ちこたえられない。春には危険だ。今現在も彼の国の支配権はジェームダルへと移りつつある。その状態で帝国から直接ラン・カレイユへと入るのはマークされてしまう」
ランバート達先行隊はラン・カレイユ経由でジェームダルへと入る予定でいる。敵対はしていないが、直接帝国からジェームダルへと入る事は厳しいからだ。
今回は隠密行動。帝国の人間という部分をできるだけ薄くしなければ敵国内で動きが取れなくなる。
「では、ラン・カレイユへと入る前にワンクッション置こうと?」
「それについては私の方から話そう。方向としてはそれで間違いない」
クラウルに代わり、シウスが前に出る。そして国の東側の地図を広げた。
「帝国側からラン・カレイユへと入れぬなら、方法は一つ。東の大森林地帯を抜けてクシュナート王国へと行くしかない」
指さす先はエル達が住んでいた東の大森林地帯の更に奥、北の勇クシュナート。丁度森林地帯を抜けてすぐが王都のはずだ。
「彼の国は帝国とは同盟国であり、陛下とも親交がある。そして、ラン・カレイユを隣国に持つ者同士じゃ。ここがジェームダルに支配されれば両国にとって穏やかではない。対処したいという気持ちはどちらも同じじゃ」
「協力を受けてくれたのですか?」
「そういうことじゃ。昨年末に打診したところ、協力は惜しまないと国王直々の書簡が届いた。ラン・カレイユの問題をクシュナート王もまた懸念していたということじゃ」
そんな話が密かに行われていたとは知らなかった。
ランバート自身はクシュナートという国に行った事はない。一般的には大陸公用語が使われるが、同時に古代ウル語が使われている。ノーラントと同じだ。
「クシュナート王は王子の時代から我等が陛下と親睦があってな、互いに留学しあっていたくらいじゃ。時代がカール四世に代わった時も、他の隣国は若い王と足元を見たのに対し彼の王だけは真っ先に祝賀と同盟を申し入れてきたくらいじゃ。私も何度か伺ったが、気持ちの良い相手じゃよ」
シウスがこのように言うのなら、きっと評価通りかそれ以上の相手だろう。ならばそこは問題無い。問題があるとすれば……
「東の大森林を、冬期に進まなければならないのですか」
「それじゃよ。本来ならば二月と思っていた予定を遅らせたのもその為じゃ。あの森は二月が一番積雪が多い。森に住んでいてもその期間は特に注意せねばならぬ。もっと言えば、三月でも危険じゃ」
「その為の雪中訓練、ですね」
妙に納得のいったランバートは、それでも明るい顔はできなかった。
雪や寒さはバカにできない。足元が悪く思うように進めず、急な吹雪にでもあえば視界すらない。もっと言えばこの地方の雪は水分が少なく夜間の冷え込みが強い。これが強風に晒されれば風に乗って凍った雪が横殴りに飛んでくる。地吹雪というやつだ。
これらは王都近郊に住んでいるとまず経験がない。王都も雪はふるがまだ南になる。更に人の手が加わってそのような状態で放置されることがないのだ。
東の大森林はほぼ未開。雪の降る前は道もあるが、今は雪の下だろう。迷えば命も危なくなる。
「シウス様、俺達はそれほど深い雪もほぼ未経験ですし、更に言えば道も不案内です」
「その点は問題無い。頼もしい奴等に案内を頼んだ所快く受けてくれた。何よりも頼りになる故、クシュナートまでの道は安心せよ。ただ、いざという時の身の守り方や対処方などは学ぶ必要がある。故に、此度の雪中訓練となったのだ」
「頼もしい案内」と言われて思い当たる人物が数人いる。思う通りの人物達ならば本当に頼もしい。
だが問題はこちらの不慣れか。行軍が遅くなるどころか、身の守り方も知らないのでは辿り着く前に怪我人や死人が出る。
「北からのルートもあるにはあるが、潮が悪い。王都から出航して一度外海に出て大陸をグルリじゃ。西を回るルートを通っても徒歩の方がずっと早い」
「確かにそうですね」
王都は内湾の穏やかな海に面している。ジェームダルもそうなのだが、そこから北となれば内湾を出て一度外海へと向かわなければならない。冬、外海は潮が荒い。余程陸路の方が安全ではあるだろう。
「今回の雪中訓練は雪山で行う。峰にロッジがあるからそこを拠点とする。食料も最低限、狩りを行いながら雪道の歩行とビバークの方法、吹雪などにも慣れてもらう。後は連帯の取り方を確認してくれ。行軍予定の者は勿論、ラウル、そしてチェルルも参加させる」
「彼もですか?」
驚いて問えばファウストは静かに頷く。これは既に伝えられた内容なのだという。
「行軍の仲間には事前に奴の事を話しておけよ。ハリーとコンラッド、ゼロスはおそらく気付いているだろうが、一応な」
「分かりました」
色々と面倒な事になるだろう。そうは思うが、こうなれば仕方がない。それに気付いているだろう。何より行軍が始まってからゴタゴタが起こるよりはずっといいだろう。
とりあえず、今日は彼らを自室に呼んでの秘密の話になりそうだった。
その夜、ランバートの部屋は随分と賑やかな事になっていた。
今回の先行作戦に参加するのは、ラウル、ゼロス、コンラッド、レイバン、クリフ、チェスター、ドゥーガルド、ハリー、ランバート、ボリス。そして外部からチェルル。以上十一名の予定だ。
騎士団組に、今回の雪中訓練に同行するウェインと、医師として同行するリカルドを加えたメンバーがランバートの部屋にいる。そして、ジェームダルのテロリストが全員生きている事を伝えた。
「……え? 今更知らないと思ってたの?」
「……だよな」
ハリーのキョトンとした顔にランバートは苦笑する。数人、ドゥーガルドなどは本当に知らなかったらしく驚いていたが、大概は鋭い面々だ。分かっていただろう。
「一応は伝えておくように言われたんだよ」
「まぁ、確かにな。それにしても、そんな経緯だったのか」
ゼロスは複雑な顔をする。それはコンラッドも同じで、同情的な目をしていた。
「確かに同情的な背景ではあるけれどさ。それで『じゃあ許そう』って話になるかはまた別だよね」
レイバンが少し冷たい目で言う。彼のこうした表情は珍しい感じがある。
「沢山仲間が死んだ。それを目にして、許せるほど俺は寛大じゃない」
「レイバン、硬いよ。利用するって考えれば少し妥協できるでしょ」
これはボリスの意見だ。彼も納得した顔はしていない。だが発言通りの考えをする事にしたらしい。
「このまま行けば間違いなくぶつかる。その囚われた王子様を探し出せば戦況を大きく変えられるかもしれないんでしょ? その為に動く」
「ボリスって、時々俺より血の色緑」
レイバンにそう言われたボリスは嫌な顔をする。だがこれはランバートも思う事だった。
「僕は、チェルル達の気持ちが分かるよ」
そう言ったのはラウルだった。キュッと手を握る姿は少し痛そうな気がした。
「もしも突然シウスが死んだと伝えられて、実は死んでないがお前が協力しなければ殺す。探しても見つからない。そんな状況になってしまったら……いけないと思っても従うと思う。気持ちがどれほど死んでも」
「「…………」」
大半が黙り込む。恋人を持つ人物はそれぞれの大切な相手を思い浮かべたのだろう。
そういうランバートもまた、ファウストを思い出していた。そんな事は万が一にもないだろうが、もしもファウストが囚われてしまったら。自分の行動によっては殺すと言われたら……。
「……ったく、仕方ないなぁ」
ボリスがガリガリと頭をかきながら溜息をつく。そして、キッと強い目で回りを見た。
「諸悪の根源ぶちのめしてやる」
「おっ、ボリス男らしい!」
「あったりまえでしょ!」
はやし立てる言葉に笑ったボリスもまた、ニヤリと笑みを見せた。
「さて、今回の訓練は雪中訓練だけど……ランバート、ハリー、コンラッドは大丈夫だよね? ラウルも」
「勿論です、ウェイン様。俺これでも北育ちだし」
むしろ活き活きした様子のハリーが笑うが、レイバンは嫌な顔をする。
「俺、寒いの嫌い。室内猫なんだよね」
とは言うが、訓練とつけば行くしかない。何よりこれから森越えだ。
「東の森はこの季節は雪深いです。エルでも命を落とす事があるほどに」
不意にリカルドが口を挟む。その視線は少し、悲しそうだった。
「リカルド先生?」
「私達が暮らしていたのは、宰相閣下よりもずっと奥深く。だからこそ、分かります。森は等しく人に恩恵を与え、等しく死を与える。耐えられなければ死ぬのみです。それはエルも同じ。寒さに凍えて命を落とす子供は多くいました」
不安そうなチェスターの声は耳に入っていないようで、リカルドは独り言のように呟く。
ランバートは視線を地図に戻した。東の大森林地帯。馬も使えないこの過酷な環境の中、効率よく突っ切ったとしても五日はかかるだろう。これは夏換算。冬ならばきっと、倍はかかる。
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