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3章:雪中訓練
8話:王都デート(チェスター)
王都に戻ってきたチェスターはその夜、珍しい面々に囲まれて困っていた。
「ねぇ、チェスター。付いてる?」
「へ?」
「普通さ、恋人になりました。お礼がしたいって……デートなの?」
酒を飲みながら呆れ顔のレイバンに言われ、チェスターはキョトンとしながら頷く。これに、何故かレイバンは肩を落として溜息だ。
「レイバン、これが穢れのない人間と爛れきった俺達の違いだって」
「ランバート、自分で言って虚しくない?」
「?」
苦笑しながらランバートがレイバンの肩をポンポン叩き、レイバンは何やら恨み言っぽく言っている。
だが、チェスターとしては何の事だかさっぱりだ。
リカルドと気持ちを打ち明けあい、なんと恋人っぽくなった。
「お礼を」と言われて「デート」と返したものの、何せ経験のない事が多すぎてプランが浮かばない。色々考えても埒があかないため、こうして経験豊富そうな友人に相談ということだ。
「なぁ、ゼロス。俺、何か間違ったか?」
「いいんじゃないか、お前らしい。逆にがっついてる方が想像つかない」
「わんこ」
ゼロスの言葉にも疑問符を浮かべてしまうが、レイバンの「わんこ」には妙な納得があって困る。リカルドもよく犬を撫でるように頭を撫でるのだ。
「それで?」
「え?」
「デートの相談だろ?」
ランバートに言われて「あ!」と本題を思い出す。そして、真剣な顔で三人に向き直った。
「そうだよ、困ってるんだ。なんか、こう……考えるんだけど思い浮かばなくてさ」
「普段は何をしてるんだ?」
「……先生の部屋で本読んでるの眺めたり、話しかけて、たまに散歩」
「……犬?」
「レイバン!」
なんだよ皆して、犬じゃないんだから。
だが、本当に浮かばない。浮かれて王都に戻ってきたけれど、チェスターにはこれといった趣味がない。唯一あるとするとお酒なのだが、朝から飲むのはどうなんだろう。それに、デートで酔っ払いはどうなんだよ。
「まぁ、デートってならやっぱり食事は頑張っていいんじゃないか?」
言うと、レイバンはあれこれ美味しい食事処を教えてくれる。だが、何となく自分には似合わない気がしてしまう。背伸びをしているというか。
「あんま、堅苦しくないのがいい」
「ランチ? ディナー?」
「ランチ。ってか、夜前には帰ってくる予定」
「恋人初デート、しかも翌日も休みなのに!」
おずおずと頷くと、レイバンは額に手を当てて眉根を寄せている。隣ではランバートが、笑っていた。
「まぁ、いいか。それなら見た目もオシャレで美味しい店みつくろうよ」
言って、あれこれ店を書き出してくれる。野菜などが中心の店が多いとの事だ。やっぱり趣味が食べ歩きだけあって、いい店を知っている。
「どこ行くかは決まったのか?」
「……散歩?」
「一日?」
「だよな……」
でも、だからって思い浮かばないんだ。リカルドを連れて行きたい場所も分からない。
「先生に聞いてみろよ」
ランバートがチラリとこちらを見て言う。そして、妙に納得した。
そうだ、リカルドの意見を聞いていない。善は急げと立ち上がると、三人はそれぞれ笑っていた。
「わんこ」
「まぁ、チェスターらしいだろ」
「頑張ってこいよ、チェスター」
「? おう」
なんだか、生暖かい目で見守られている感じもするが、あまり気にしない事にした。気にした所で多分、分からないから。
早速という事で、そのままの足でチェスターはリカルドの部屋を訪ねた。ノックをすると声が返ってきて、ドアを開ける。室内ではリカルドが穏やかな様子で本を読んでいた。
「どうかしましたか?」
「あぁ、えっと。明日、出かける約束」
「あぁ。大丈夫、覚えていますよ」
「そうじゃなくて、あの。先生どこか行きたい所あるのかなって」
「……は?」
驚いたように薄赤い瞳がぱちぱちと瞬く。なんだかちょっと、恥ずかしいけれど。
「そういうのは普通、誘った方が決めるのでは?」
「いや、そうなんだけど。でも、興味の無い場所に行ってもつまらないだろうし」
「私は特に感じませんが。貴方の好きな所で構いませんよ」
「遠乗りとか、釣りとか、散歩とか……」
「……この季節のプランではありませんね」
やっぱりそうだ、冷静に返された。
だからこそ困ってしまったのだ。他にデートでどうしたらいいのか分からない。買い物したり遠乗りに行くというランバートや、食べ歩きが共通の趣味というレイバンとは違う。だからって引きこもって家でのんびりというゼロスとも違うのだ。
困り果てて室内を見回す。そしてふと、リカルドの手にしている本に目がいった。
「その本って、書庫にある絵画集? 先生、絵好き?」
「えぇ、そうですね。こうしたものを眺めているのは、比較的好きなほうです」
「それなら、美術館行こう!」
「は?」
今日二度目の驚き顔。少し思うのだが、リカルドはチェスターの前だと表情が多い気がする。大抵が呆れていたり、驚いていたりだけれど。
「チェスターは美術に興味があるのですか?」
「ないけど。でも、触れてこなかっただけだし。それに俺、無趣味だから逆に新鮮に色々楽しめると思う」
「興味のないものなのに?」
「これから興味を持てばいいんじゃない? 嫌いな訳じゃないし。それに、先生が教えてくれたらきっと好きになると思う」
そうだ、いい考えだ。無趣味って事はこれからだ。見て、いいなって思える物はあるはずなんだから。
リカルドは少し考えて、やがて静かに頷いた。
「分かりました。私も詳しい訳ではありませんが、行きましょう」
「やった!」
「そのかわり」
本を側のテーブルに置き、近づいてきたリカルドは静かに見下ろしている。なんだかちょっと、静かで怖い目だ。
「あの、せ……っ」
「明日は先生と呼ばないでください。興ざめですよ」
唇に綺麗な指先を当てられ、無言のまま黙るようにされる。響く声は低く静かで、なんだか腰の辺りがゾクゾクした。
「分かりましたね、チェスター?」
「うん、分かったよせ……リカルド」
返せば控えめな笑みが返ってきて、よしよしと頭を撫でられる。こういう時、ドキッとしてしまうんだ。
「では、明日」
「うん、おやすみ」
頷いたチェスターが屈託なく笑い、部屋を後にする。その背をほんの少し寂しげに見つめるリカルドには、気付かないままで。
翌日はとても天候が良く、少しいい普段着を着たチェスターと、大人な様子のリカルドは並んで大きな通りを進んでいた。
西地区の公園側には大きな美術館があり、独特の敷居の高さがある。
やや緊張しながら入ったチェスターの手を、リカルドは引いてゆっくり、館内を見て回った。
「あっ、この辺は俺でも分かる。童話や、建国記のシーンだ」
色々とある展示スペースの大きな部分を、建国の物語に題を取った絵画が並ぶ。他にも、童話になっている神話のワンシーンも多く見られた。
「この辺はそうしたものですね。神話、歴史に題を取った絵画が集められています」
手を引いたまま進み出るリカルドに並んで色々見て回る。そして、目にする絵にあれこれ感想が沸いてくる。
「あっ、この童話俺凄く読んだ」
「ん?」
それは一匹の猫が画面中央にいて、手に大慌てのネズミを捕まえ今にも食べてしまいそうな絵だった。猫は長靴を履いて、頭には羽根飾りをつけた帽子を被っている。コミカルにも見えるが、強かな表情で獲物を見つめる目が活き活きとして見える。
「なんか、レイバンみたい……」
「彼の属性は猫に似ていますからね。確かに、似ています」
やっぱあいつ、猫っぽいんだ。この、獲物を見る時の目なんて特に……苛められるだろうな。
そんな感想をふと抱いて、チェスターは苦笑した。
こうして見ると、なんだか絵画の中に知り合いがいるように見える。建国記の一場面なんて、ランバートとファウストにそっくりだ。
「これ、ランバートとファウスト様みたいだ」
それは、王が騎士に剣を授ける一場面。苦労の末に国を立ち上げた王が、長年支えてくれた騎士に剣を渡すのだ。
膝をついた騎士は建国記通り長くたゆたう金髪で、どこかランバートに雰囲気が似ている。凛として、緊張感がある。
その前に立って剣を授ける王は長い黒髪で、眼差しは堂々としている中に優しさがある。こんな目で時々、ファウストはランバートを見ているのだ。
「ヒッテルスバッハ家も、シュトライザー家も建国の王に仕えた名家。降嫁も一度ではないはずです。案外、似ているかもしれませんよ」
「うっひー、さすが」
「まぁ、たまたまモデルが似ていたとか、画家の好みがそのまま反映されているとか、様々な事が考えられますけれどね」
まぁ、そうだろうな。でも、ちょっと不思議な感じがした。
少し行けば森のシーン。日差しの注ぐ森の中、逃げる王の前に立つ美しい白髪の青年を見つける。
どこか、シウスにも似ている。長い白髪を自由に纏わせ、整った顔立ちに見守るような柔らかな瞳。色は薄い水色ではなく紫色だけれど、感じる空気は清廉だ。
そして側にはリカルドに面差しの似ている少年がいる。
「これが、聖ユーミル?」
「えぇ。傍らに立つのは彼の従者です」
「そんな人がいたんだ!」
「そうですよ」
リカルドは絵画の前で立ち止まり、悲しそうな視線で見上げている。
「従者は最後まで……聖ユーミルが死ぬまで側にいた青年です。けれど彼はその死が許せなかった。国の為に最後まで力を尽くした人の、あまりに理不尽で無残な死を受け入れられず、心を悪に染めてしまったのですよ」
そう言ったリカルドは、どこか寂しそうな顔をする。なんだか、遠くに行ってしまいそうだ。怖くなって強く手を握ると、小さくだが笑ったような気がした。
「悪霊となった従者を救ったのは、聖ユーミルです。神によって召し上げられたユーミルが、嘆き悲しみ憎しみを抱く従者に手を差し伸べて魂を浄化し、連れて行くのです。そして人々はその奇跡を見て聖ユーミルへの行いを恥じ、彼を祭るようになった」
その一場面も人気なのか、幾つか絵画がある。天から翼を背にしたユーミルが慈悲の目で従者に手を差し伸べ、従者は恐ろしい姿から浄化されて涙している。その底辺で人々が平伏していた。
「救われたのかな?」
「さぁ、どうなのでしょうね」
言ったリカルドが歩き出すのを、チェスターは追っていった。
神話の世界から、今度はもっと俗世に。何気ない風景だったり、日常だったり。重厚な色使いの神話世界からすると、こっちは色合いが明るく伸び伸びして見えた。
「俺、こっちのが好き。色が明るくて綺麗だ」
青空と、程よい木陰。草地に腰を下ろす人々なんて、そこに混ざりたくなる。
「確かに、こちらの方がチェスターには似合っていますね」
「せ……リカルドは嫌い?」
「いえ。こうした木陰で読書をしたいと思います」
「あっ、俺も思う。昼寝、気持ち良さそう」
その側に、読書をするリカルドがいると一番いい。そんな妄想をして、ちょっとだけ恥ずかしく赤くなった。
やがて違う一角にさしかかり、チェスターは終始赤い顔をすることになる。目の前には色々な肖像画などがあるが……裸婦が多いのだ。
「そんなに恥ずかしいのですか?」
疑問そうにリカルドに問われ、チェスターの方が焦ってしまう。
「リカルドは恥ずかしくないの?」
「まぁ、絵ですし。それに、これは美しく見えるように脚色を加えて描かれていますしね。実際の女性の体とはまた違います」
「先生は女性を知ってる!!」
驚きが大きすぎてついついいつもの呼び方が出てしまう。するとリカルドの綺麗な眉根が寄って、一つチョンと額を小突かれた。
「こら」
「……ごめん。でも」
「騎士団に来る前は普通の医者です。女性を診察する事だってあるでしょう」
「え、そっち?」
思わず見上げれば静かに頷いている。まったく悪びれる様子もなく。
「言ったではありませんか。私は恋情が分からないと。女性の肌など知りませんが、医者として女性の体というものは理解しています。絵の女性は美しく見えるように描かれていますが、寸法としては異なります」
「……びっくりした」
ほっと胸を撫で下ろせば、ほんの少しリカルドが笑った気がした。
美術館を出ると丁度昼時だった。レイバンに教えてもらった店の中で、この周辺の店を探すとすぐに気になる店を見つけた。小さな店だったけれど、温かい雰囲気があって落ち着ける。入ってもそれは同じで、優しそうな中年の女性がニコニコと迎えてくれた。
焼きたてのパンと、優しい味わいのクリームシチュー、サラダのセットに食後の小さなケーキとコーヒー。
柔らかく穏やかな時間にリカルドもほっとした顔をしている。なんとなく、笑っている気がする。今日はこんな顔を、沢山見る。
食後の腹ごなしにとのんびり公園を歩いていると、子供のはしゃぐ声がする。夏は気持ちのいい草地は、今は柔らかな雪が積もった子供達の遊び場になっている。
大小様々な雪だるまが出来上がるのを見ながら、チェスターはなんだか楽しい気持ちになっていた。
「楽しそうだな」
「貴方、あれだけ雪で酷い目にあったのに」
呆れ顔のリカルドも、何所かリラックスした顔をする。穏やかな気配に、ちょっと嬉しくなってチェスターは笑った。
「確かに死にかけたけど……でも、雪が怖いなんて思わないよ。リカルドは嫌いになった?」
問えば、ほんの少し考える素振りをしてから首を横に振る。そして、はしゃぐ子供達へと視線を向けた。
「雪は好きです。静かに時が流れてゆくので」
「あー、確かに雪の降る日って静かかも」
「雪は音を吸い込みます。それを除いても、空を見上げているだけでもどこか気持ちを落ち着けてくれる」
抑揚はなくても、穏やかなのは分かる。そこに嘘や無理がないことも。
「まぁ、冬は弱い者にとって厳しいのもまたその通りです」
「それも思い知った」
「それならばいいのですが」
ふぅ、と溜息。だが、嫌な感じはない。どこか案じている様子すらもあって、チェスターはのんびり公園を通り過ぎていく。
まだ日はあるが、二人は帰路につこうとしていた。
宿舎に戻り、リカルドを部屋に送り届けて自室に戻ろうかと背を向けた。
だがそれよりも前に、リカルドの手がドアを押して開かないようにしてしまう。
「はて?」と思い見上げると、ほんの少し濡れた瞳のリカルドが見下ろしていた。
「貴方は本当に、奥手なのか鈍いのか」
「え? あの、リカル……んぅ……」
擽るように顎をすくわれ、僅かに上向いた所で重なった唇は薄くても柔らかい。それだけでもゾクリとしているのに、舌が促すように伸びてきて無言のままに「口を開けろ」と命じてくる。
従ってほんの少し開いた唇から、するりと舌が潜り込み絡められていく。熱くて、触れる度にゾクゾクと背が震え、力が抜けていく。
どこか甘えた様な声が漏れていて、近く赤い瞳が静かにこちらを見つめていた。
「はぁ……ぁ、の……」
「キスの一つもせずにデートを終えようなんて、多少がっかりですよチェスター。それとも、こちらは考えていませんか?」
「え? あぁ、いや! 違うよ先生!」
「ほら、先生。私を恋人にしたいなら、改めなさい」
医者というよりは教師のような言われ方をされて、思わずアタフタしてしまう。心臓はバクバクと戦い前よりも強く鳴っていて、顔や首はとても熱い。ドアに背中を預けていないと崩れ落ちてしまいそうだった。
「チェスター、貴方が望むなら私はいつでも構いません。貴方を受け入れた時点で、拒絶もないのですから」
「あっ、うん。でも俺、まったく経験が……」
「私もありません。比較もできませんから安心してください」
「いや、安心って……」
「なんなら、貴方の友人にレクチャーして頂いては? 経験、豊富なようですよ」
「いぃ!!」
確かに経験豊富すぎる奴等が多いが……教えてもらうのこういうこと!
顔は真っ赤、腰抜け状態。男としてまさに据え膳なのだがそれすら気付かないチェスターは、もう一度体を近づけてくるリカルドを呆然と見上げた。
「では、おさらいです。デート終わりですよ」
「あぅ、うん」
そろそろと近づき、首に手を伸ばして、そっと触れてみる。改めて触れるリカルドの唇の心地よさに酔いしれそうだ。心臓はやっぱりバクバクしていて、腰骨の辺りはジワジワと痺れてくる。
「んぅ……」
心地いいのか、リカルドの長い睫毛がふるっと震えている。絡めた舌も優しい動きで触れてきて、夢見心地になっている。夢中になってしまう。
気付けば角度を変えて何度も求めていた。
「あっ……リカルド、俺……」
「求めますか?」
優しく問われ、浮いた頭が一瞬「欲しい」と訴える。
けれどまだ冷静な自分がどこかにいて、「お前、やり方知ってるか?」「痛いらしいぞ」「下手をしたら嫌われるぞ」と訴えていた。
「あの、今日はここまでで……」
「……わかりました」
あっさりと離れた体が寂しいと思えた。けれど、言ってしまった手前「やっぱり」とは言い出せない。なんだかモヤモヤしたままドアを開けた背中に、「ヘタレ」という一言が聞こえた気がした。
「ねぇ、チェスター。付いてる?」
「へ?」
「普通さ、恋人になりました。お礼がしたいって……デートなの?」
酒を飲みながら呆れ顔のレイバンに言われ、チェスターはキョトンとしながら頷く。これに、何故かレイバンは肩を落として溜息だ。
「レイバン、これが穢れのない人間と爛れきった俺達の違いだって」
「ランバート、自分で言って虚しくない?」
「?」
苦笑しながらランバートがレイバンの肩をポンポン叩き、レイバンは何やら恨み言っぽく言っている。
だが、チェスターとしては何の事だかさっぱりだ。
リカルドと気持ちを打ち明けあい、なんと恋人っぽくなった。
「お礼を」と言われて「デート」と返したものの、何せ経験のない事が多すぎてプランが浮かばない。色々考えても埒があかないため、こうして経験豊富そうな友人に相談ということだ。
「なぁ、ゼロス。俺、何か間違ったか?」
「いいんじゃないか、お前らしい。逆にがっついてる方が想像つかない」
「わんこ」
ゼロスの言葉にも疑問符を浮かべてしまうが、レイバンの「わんこ」には妙な納得があって困る。リカルドもよく犬を撫でるように頭を撫でるのだ。
「それで?」
「え?」
「デートの相談だろ?」
ランバートに言われて「あ!」と本題を思い出す。そして、真剣な顔で三人に向き直った。
「そうだよ、困ってるんだ。なんか、こう……考えるんだけど思い浮かばなくてさ」
「普段は何をしてるんだ?」
「……先生の部屋で本読んでるの眺めたり、話しかけて、たまに散歩」
「……犬?」
「レイバン!」
なんだよ皆して、犬じゃないんだから。
だが、本当に浮かばない。浮かれて王都に戻ってきたけれど、チェスターにはこれといった趣味がない。唯一あるとするとお酒なのだが、朝から飲むのはどうなんだろう。それに、デートで酔っ払いはどうなんだよ。
「まぁ、デートってならやっぱり食事は頑張っていいんじゃないか?」
言うと、レイバンはあれこれ美味しい食事処を教えてくれる。だが、何となく自分には似合わない気がしてしまう。背伸びをしているというか。
「あんま、堅苦しくないのがいい」
「ランチ? ディナー?」
「ランチ。ってか、夜前には帰ってくる予定」
「恋人初デート、しかも翌日も休みなのに!」
おずおずと頷くと、レイバンは額に手を当てて眉根を寄せている。隣ではランバートが、笑っていた。
「まぁ、いいか。それなら見た目もオシャレで美味しい店みつくろうよ」
言って、あれこれ店を書き出してくれる。野菜などが中心の店が多いとの事だ。やっぱり趣味が食べ歩きだけあって、いい店を知っている。
「どこ行くかは決まったのか?」
「……散歩?」
「一日?」
「だよな……」
でも、だからって思い浮かばないんだ。リカルドを連れて行きたい場所も分からない。
「先生に聞いてみろよ」
ランバートがチラリとこちらを見て言う。そして、妙に納得した。
そうだ、リカルドの意見を聞いていない。善は急げと立ち上がると、三人はそれぞれ笑っていた。
「わんこ」
「まぁ、チェスターらしいだろ」
「頑張ってこいよ、チェスター」
「? おう」
なんだか、生暖かい目で見守られている感じもするが、あまり気にしない事にした。気にした所で多分、分からないから。
早速という事で、そのままの足でチェスターはリカルドの部屋を訪ねた。ノックをすると声が返ってきて、ドアを開ける。室内ではリカルドが穏やかな様子で本を読んでいた。
「どうかしましたか?」
「あぁ、えっと。明日、出かける約束」
「あぁ。大丈夫、覚えていますよ」
「そうじゃなくて、あの。先生どこか行きたい所あるのかなって」
「……は?」
驚いたように薄赤い瞳がぱちぱちと瞬く。なんだかちょっと、恥ずかしいけれど。
「そういうのは普通、誘った方が決めるのでは?」
「いや、そうなんだけど。でも、興味の無い場所に行ってもつまらないだろうし」
「私は特に感じませんが。貴方の好きな所で構いませんよ」
「遠乗りとか、釣りとか、散歩とか……」
「……この季節のプランではありませんね」
やっぱりそうだ、冷静に返された。
だからこそ困ってしまったのだ。他にデートでどうしたらいいのか分からない。買い物したり遠乗りに行くというランバートや、食べ歩きが共通の趣味というレイバンとは違う。だからって引きこもって家でのんびりというゼロスとも違うのだ。
困り果てて室内を見回す。そしてふと、リカルドの手にしている本に目がいった。
「その本って、書庫にある絵画集? 先生、絵好き?」
「えぇ、そうですね。こうしたものを眺めているのは、比較的好きなほうです」
「それなら、美術館行こう!」
「は?」
今日二度目の驚き顔。少し思うのだが、リカルドはチェスターの前だと表情が多い気がする。大抵が呆れていたり、驚いていたりだけれど。
「チェスターは美術に興味があるのですか?」
「ないけど。でも、触れてこなかっただけだし。それに俺、無趣味だから逆に新鮮に色々楽しめると思う」
「興味のないものなのに?」
「これから興味を持てばいいんじゃない? 嫌いな訳じゃないし。それに、先生が教えてくれたらきっと好きになると思う」
そうだ、いい考えだ。無趣味って事はこれからだ。見て、いいなって思える物はあるはずなんだから。
リカルドは少し考えて、やがて静かに頷いた。
「分かりました。私も詳しい訳ではありませんが、行きましょう」
「やった!」
「そのかわり」
本を側のテーブルに置き、近づいてきたリカルドは静かに見下ろしている。なんだかちょっと、静かで怖い目だ。
「あの、せ……っ」
「明日は先生と呼ばないでください。興ざめですよ」
唇に綺麗な指先を当てられ、無言のまま黙るようにされる。響く声は低く静かで、なんだか腰の辺りがゾクゾクした。
「分かりましたね、チェスター?」
「うん、分かったよせ……リカルド」
返せば控えめな笑みが返ってきて、よしよしと頭を撫でられる。こういう時、ドキッとしてしまうんだ。
「では、明日」
「うん、おやすみ」
頷いたチェスターが屈託なく笑い、部屋を後にする。その背をほんの少し寂しげに見つめるリカルドには、気付かないままで。
翌日はとても天候が良く、少しいい普段着を着たチェスターと、大人な様子のリカルドは並んで大きな通りを進んでいた。
西地区の公園側には大きな美術館があり、独特の敷居の高さがある。
やや緊張しながら入ったチェスターの手を、リカルドは引いてゆっくり、館内を見て回った。
「あっ、この辺は俺でも分かる。童話や、建国記のシーンだ」
色々とある展示スペースの大きな部分を、建国の物語に題を取った絵画が並ぶ。他にも、童話になっている神話のワンシーンも多く見られた。
「この辺はそうしたものですね。神話、歴史に題を取った絵画が集められています」
手を引いたまま進み出るリカルドに並んで色々見て回る。そして、目にする絵にあれこれ感想が沸いてくる。
「あっ、この童話俺凄く読んだ」
「ん?」
それは一匹の猫が画面中央にいて、手に大慌てのネズミを捕まえ今にも食べてしまいそうな絵だった。猫は長靴を履いて、頭には羽根飾りをつけた帽子を被っている。コミカルにも見えるが、強かな表情で獲物を見つめる目が活き活きとして見える。
「なんか、レイバンみたい……」
「彼の属性は猫に似ていますからね。確かに、似ています」
やっぱあいつ、猫っぽいんだ。この、獲物を見る時の目なんて特に……苛められるだろうな。
そんな感想をふと抱いて、チェスターは苦笑した。
こうして見ると、なんだか絵画の中に知り合いがいるように見える。建国記の一場面なんて、ランバートとファウストにそっくりだ。
「これ、ランバートとファウスト様みたいだ」
それは、王が騎士に剣を授ける一場面。苦労の末に国を立ち上げた王が、長年支えてくれた騎士に剣を渡すのだ。
膝をついた騎士は建国記通り長くたゆたう金髪で、どこかランバートに雰囲気が似ている。凛として、緊張感がある。
その前に立って剣を授ける王は長い黒髪で、眼差しは堂々としている中に優しさがある。こんな目で時々、ファウストはランバートを見ているのだ。
「ヒッテルスバッハ家も、シュトライザー家も建国の王に仕えた名家。降嫁も一度ではないはずです。案外、似ているかもしれませんよ」
「うっひー、さすが」
「まぁ、たまたまモデルが似ていたとか、画家の好みがそのまま反映されているとか、様々な事が考えられますけれどね」
まぁ、そうだろうな。でも、ちょっと不思議な感じがした。
少し行けば森のシーン。日差しの注ぐ森の中、逃げる王の前に立つ美しい白髪の青年を見つける。
どこか、シウスにも似ている。長い白髪を自由に纏わせ、整った顔立ちに見守るような柔らかな瞳。色は薄い水色ではなく紫色だけれど、感じる空気は清廉だ。
そして側にはリカルドに面差しの似ている少年がいる。
「これが、聖ユーミル?」
「えぇ。傍らに立つのは彼の従者です」
「そんな人がいたんだ!」
「そうですよ」
リカルドは絵画の前で立ち止まり、悲しそうな視線で見上げている。
「従者は最後まで……聖ユーミルが死ぬまで側にいた青年です。けれど彼はその死が許せなかった。国の為に最後まで力を尽くした人の、あまりに理不尽で無残な死を受け入れられず、心を悪に染めてしまったのですよ」
そう言ったリカルドは、どこか寂しそうな顔をする。なんだか、遠くに行ってしまいそうだ。怖くなって強く手を握ると、小さくだが笑ったような気がした。
「悪霊となった従者を救ったのは、聖ユーミルです。神によって召し上げられたユーミルが、嘆き悲しみ憎しみを抱く従者に手を差し伸べて魂を浄化し、連れて行くのです。そして人々はその奇跡を見て聖ユーミルへの行いを恥じ、彼を祭るようになった」
その一場面も人気なのか、幾つか絵画がある。天から翼を背にしたユーミルが慈悲の目で従者に手を差し伸べ、従者は恐ろしい姿から浄化されて涙している。その底辺で人々が平伏していた。
「救われたのかな?」
「さぁ、どうなのでしょうね」
言ったリカルドが歩き出すのを、チェスターは追っていった。
神話の世界から、今度はもっと俗世に。何気ない風景だったり、日常だったり。重厚な色使いの神話世界からすると、こっちは色合いが明るく伸び伸びして見えた。
「俺、こっちのが好き。色が明るくて綺麗だ」
青空と、程よい木陰。草地に腰を下ろす人々なんて、そこに混ざりたくなる。
「確かに、こちらの方がチェスターには似合っていますね」
「せ……リカルドは嫌い?」
「いえ。こうした木陰で読書をしたいと思います」
「あっ、俺も思う。昼寝、気持ち良さそう」
その側に、読書をするリカルドがいると一番いい。そんな妄想をして、ちょっとだけ恥ずかしく赤くなった。
やがて違う一角にさしかかり、チェスターは終始赤い顔をすることになる。目の前には色々な肖像画などがあるが……裸婦が多いのだ。
「そんなに恥ずかしいのですか?」
疑問そうにリカルドに問われ、チェスターの方が焦ってしまう。
「リカルドは恥ずかしくないの?」
「まぁ、絵ですし。それに、これは美しく見えるように脚色を加えて描かれていますしね。実際の女性の体とはまた違います」
「先生は女性を知ってる!!」
驚きが大きすぎてついついいつもの呼び方が出てしまう。するとリカルドの綺麗な眉根が寄って、一つチョンと額を小突かれた。
「こら」
「……ごめん。でも」
「騎士団に来る前は普通の医者です。女性を診察する事だってあるでしょう」
「え、そっち?」
思わず見上げれば静かに頷いている。まったく悪びれる様子もなく。
「言ったではありませんか。私は恋情が分からないと。女性の肌など知りませんが、医者として女性の体というものは理解しています。絵の女性は美しく見えるように描かれていますが、寸法としては異なります」
「……びっくりした」
ほっと胸を撫で下ろせば、ほんの少しリカルドが笑った気がした。
美術館を出ると丁度昼時だった。レイバンに教えてもらった店の中で、この周辺の店を探すとすぐに気になる店を見つけた。小さな店だったけれど、温かい雰囲気があって落ち着ける。入ってもそれは同じで、優しそうな中年の女性がニコニコと迎えてくれた。
焼きたてのパンと、優しい味わいのクリームシチュー、サラダのセットに食後の小さなケーキとコーヒー。
柔らかく穏やかな時間にリカルドもほっとした顔をしている。なんとなく、笑っている気がする。今日はこんな顔を、沢山見る。
食後の腹ごなしにとのんびり公園を歩いていると、子供のはしゃぐ声がする。夏は気持ちのいい草地は、今は柔らかな雪が積もった子供達の遊び場になっている。
大小様々な雪だるまが出来上がるのを見ながら、チェスターはなんだか楽しい気持ちになっていた。
「楽しそうだな」
「貴方、あれだけ雪で酷い目にあったのに」
呆れ顔のリカルドも、何所かリラックスした顔をする。穏やかな気配に、ちょっと嬉しくなってチェスターは笑った。
「確かに死にかけたけど……でも、雪が怖いなんて思わないよ。リカルドは嫌いになった?」
問えば、ほんの少し考える素振りをしてから首を横に振る。そして、はしゃぐ子供達へと視線を向けた。
「雪は好きです。静かに時が流れてゆくので」
「あー、確かに雪の降る日って静かかも」
「雪は音を吸い込みます。それを除いても、空を見上げているだけでもどこか気持ちを落ち着けてくれる」
抑揚はなくても、穏やかなのは分かる。そこに嘘や無理がないことも。
「まぁ、冬は弱い者にとって厳しいのもまたその通りです」
「それも思い知った」
「それならばいいのですが」
ふぅ、と溜息。だが、嫌な感じはない。どこか案じている様子すらもあって、チェスターはのんびり公園を通り過ぎていく。
まだ日はあるが、二人は帰路につこうとしていた。
宿舎に戻り、リカルドを部屋に送り届けて自室に戻ろうかと背を向けた。
だがそれよりも前に、リカルドの手がドアを押して開かないようにしてしまう。
「はて?」と思い見上げると、ほんの少し濡れた瞳のリカルドが見下ろしていた。
「貴方は本当に、奥手なのか鈍いのか」
「え? あの、リカル……んぅ……」
擽るように顎をすくわれ、僅かに上向いた所で重なった唇は薄くても柔らかい。それだけでもゾクリとしているのに、舌が促すように伸びてきて無言のままに「口を開けろ」と命じてくる。
従ってほんの少し開いた唇から、するりと舌が潜り込み絡められていく。熱くて、触れる度にゾクゾクと背が震え、力が抜けていく。
どこか甘えた様な声が漏れていて、近く赤い瞳が静かにこちらを見つめていた。
「はぁ……ぁ、の……」
「キスの一つもせずにデートを終えようなんて、多少がっかりですよチェスター。それとも、こちらは考えていませんか?」
「え? あぁ、いや! 違うよ先生!」
「ほら、先生。私を恋人にしたいなら、改めなさい」
医者というよりは教師のような言われ方をされて、思わずアタフタしてしまう。心臓はバクバクと戦い前よりも強く鳴っていて、顔や首はとても熱い。ドアに背中を預けていないと崩れ落ちてしまいそうだった。
「チェスター、貴方が望むなら私はいつでも構いません。貴方を受け入れた時点で、拒絶もないのですから」
「あっ、うん。でも俺、まったく経験が……」
「私もありません。比較もできませんから安心してください」
「いや、安心って……」
「なんなら、貴方の友人にレクチャーして頂いては? 経験、豊富なようですよ」
「いぃ!!」
確かに経験豊富すぎる奴等が多いが……教えてもらうのこういうこと!
顔は真っ赤、腰抜け状態。男としてまさに据え膳なのだがそれすら気付かないチェスターは、もう一度体を近づけてくるリカルドを呆然と見上げた。
「では、おさらいです。デート終わりですよ」
「あぅ、うん」
そろそろと近づき、首に手を伸ばして、そっと触れてみる。改めて触れるリカルドの唇の心地よさに酔いしれそうだ。心臓はやっぱりバクバクしていて、腰骨の辺りはジワジワと痺れてくる。
「んぅ……」
心地いいのか、リカルドの長い睫毛がふるっと震えている。絡めた舌も優しい動きで触れてきて、夢見心地になっている。夢中になってしまう。
気付けば角度を変えて何度も求めていた。
「あっ……リカルド、俺……」
「求めますか?」
優しく問われ、浮いた頭が一瞬「欲しい」と訴える。
けれどまだ冷静な自分がどこかにいて、「お前、やり方知ってるか?」「痛いらしいぞ」「下手をしたら嫌われるぞ」と訴えていた。
「あの、今日はここまでで……」
「……わかりました」
あっさりと離れた体が寂しいと思えた。けれど、言ってしまった手前「やっぱり」とは言い出せない。なんだかモヤモヤしたままドアを開けた背中に、「ヘタレ」という一言が聞こえた気がした。
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