恋愛騎士物語3~最強騎士に愛されて~

凪瀬夜霧

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14章:王の戴冠

5話:恋人の夜

 王都コルリス・カステッルム到着から一週間ほど、ようやく色んな事が落ち着き始めた。
 帝国の騎士団、テクム達ラン・カレイユ近衛騎士団、そしてベリアンスが従えていた辺境騎士団が城隣接の宿舎に泊まることとなり、案外ギュウギュウになっている。その為、一部屋二人だ。
 それでも足りないので団長達は城の上級客室に泊まることとなったのだが、明らかにアルブレヒトの意図を感じる。
 それというのも、ランバートはファウストと同室、シウスはラウルと同室、クラウルはゼロスと同室だ。
 ちなみにエリオットはベリアンスの治療などもあるため、医務室隣接の仮眠室で寝泊まりをしている。

 現在は事務仕事の得意な者は教会の資料などを漁って売買された人々を探し出している。
 一つ安堵できたのは、こうした人を買った人物に真っ当な人間が意外と多かった事だ。
 まだ若い貴族などはここで人を買う事で現在の地位を安堵されていたらしく、気が進まないまでも孤児を雇い入れる感覚で買ったそうだ。
 イシュクイナによると、ラン・カレイユの女性は仕事の真摯な人が多く、真面目に仕事を頼まれればプロフェッショナルを目指す気質らしい。そして自国にいても女性の地位は低く、むしろしっかり給与と生活ができるなら場所は選ばないとのこと。
 また数人はこちらで奥方の地位に収まっている女性もいて、自国に帰る事を拒む人もいた。今までは女性側に戸籍がなかったことで内縁状態だったが、アルブレヒトが戸籍を与える事を約束すると互いに、「これで公に結婚ができる」と喜んだそうだ。

 少年を買った人物もいたが、そちらもどうやら愛し合っての事らしい。睦まじい恋人達のイチャラブを見せつけられたアルブレヒトは疲れた様子で一言「同性愛を認めるべきなのか……?」と本気で悩んでいた。

 だが、そうならなかった人も多い事は確かだ。奴隷のような労働環境で、体が弱れば使い捨て。または性的な虐待でボロボロにされた少年や女性もいた。
 そうした者をアルブレヒトは許さなかった。自身がそうした状況にあったからだろうか、悪質な者は捕らえられて既に地位も剥奪されて刑に服している。

 だが、何にしてもあれこれ落ち着いて、一週間後には簡易だが戴冠の儀式が行われる事となった。


 支度を整えて部屋に戻ると、ファウストは既に寛ぎモードだ。籐で出来た寝椅子にゆったり腰を下ろし、この国のワインを楽しんでいる。

「早いな、ファウスト」
「あぁ、お疲れ。俺は少し稽古を付ける程度で他は関わらないからな。ランバートこそ、仕事が多いだろ」
「そうでもないよ」

 笑って側に腰を下ろせば、スルリと手が体を撫でる。白い夜着は以前温泉地で着た浴衣のような形だが、素材はシルクだ。

「こんな所まで来て仕事に根詰めなくていいんだぞ?」
「とは言え暇だからさ。あぁ、そういえばここの厨房にお邪魔して、郷土料理を教えて貰った。スパイスの使い方が帝国とは違って上手いよ」
「勤勉過ぎるのも難点だな」

 苦笑したファウストの柔らかな瞳。それを見ていると、トクトクと心臓が音を立てるのを感じる。

 おそらく、アルブレヒトは意図を持ってこの部屋割りにしたのだろう。睦み合う事もなかった恋人達が存分に愛し合えるように。人の縁を見るあの人の目だ、誰と誰が恋人かなんて、すぐに分かっただろう。
 だからこそファウスト達の部屋をより守秘義務のある城にしてくれたのだ。

 厚い胸に片手を置き、そっと唇に触れる。労りではないキスで最初から誘った。やんわりと舌を絡め、絡められて誘い込んで、緩急をつけて吸うと徐々に深くなっていく。
 ファウストの体も熱を持ち始めたのが分かる。夜着の前を暴いて、しっとりとした肌に手の平で触れた。

「あまり煽ると、止められないぞ」
「いいよ、止めない」
「ランバート」
「何ヶ月も我慢させたし、我慢した。もう、戦場の只中じゃないし状況もとりあえず落ち着いた。だから、欲しい」

 胸の奥にある切なさに正直になれば、己の欲望なんて簡単に出てくる。ファウストと抱き合って、確かめるように触れて、もっと奥深くに彼を感じていたい。抱き合う事ばかりが愛を確かめる方法ではないけれど、そろそろ体も欲しいのだ。

 ファウストも同じだと分かる。柔らかく見つめていた瞳に欲情の熱が宿ったのが分かる。この人だって隊を率いる団長だという責任感と、戦場だという緊張感で欲情を抑えていたにすぎない。それらが薄れた今、求めるものは同じだと信じている。

「明日起きられないぞ」
「いいよ、それで。アルブレヒトさんも『これは本来君たちの仕事じゃない』って言っているし」
「あの人も……」

 困ったように眉根を寄せるファウストは、だがもう躊躇う事はない。ランバートの頬に手を這わせて、誘うように撫でる。ゾクリと肌が粟立ち、気持ちよく甘えた声が漏れた。

「欲しかったか?」
「勿論。ファウストは?」
「飢えてた」
「……うん、明日休む」

 なるほど、飢えていたときたか。これは貪られる覚悟もしなければならないな。
 苦笑するが、嫌じゃない。むしろ想像して、少し疼く。深い部分がキュンと痺れた気がする。
 寝椅子から僅かに体を起こしたファウストの上に、ランバートは向かい合って陣取った。太股の辺りに座り、絡まるようにたっぷりとキスをされる。指先が、舌先が触れる部分から甘く痺れて気持ちよくなってしまう。シルクの夜着は、簡単に下へと落ちた。

「ぁん……ふっ……」

 前戯だけでたまらなく心地よくなっていく自分にも、多少驚いた。ファウストとの夜は、まったく慣れていかない。それどころか触れられれば触れられるほどに弱くなって、溺れてしまいそうになる。

「あぁ……」

 首筋に唇が触れて、甘く吸われながら鎖骨へと滑り落ちていくと、ゾクゾクと背中にも快楽が走っていく。軽くしなる体を震わせていると、心地よい低い笑い声がした。

「もう、そんなに気持ちいいのか?」
「んっ、いいよ……久々だからか、凄く気持ちいい。溺れそう」
「濡れた目をして誘い込むな、ランバート。久しぶりは俺もだ、痛むぞ」
「……だよな」

 ファウストの下肢を見るに、中々に凶悪だ。ランバートを笑うが、この人だって我慢出来ない様子でいる。軽く触れれば熱く硬く、大きさだって通常時よりある。

「凶悪」
「先に抜くか?」
「ううん、そのままで欲しいけど……まずは楽しみたい」
「いいのか……」

 自身の下肢を見て多少恥ずかしそうにするファウストを見ると、なんだか可笑しくなってしまう。少年じゃあるまいし、いつも凶悪なのは変わりないのに。

 声を立てて笑って、首筋にだきついた。肌から香る甘い匂いに、いつもと違う石鹸の匂い。花の香油を使ったジェームダルの特産品だ。

「良い匂いがする」
「お前もだ。誘われているように思う」
「去る前に少し買おうか」
「いいぞ」

 まんまとアルブレヒトの商売に乗せられた気もするが、そこはあえて触れずにおこう。

「んぁ! あっ、指……んぅっ」

 クリクリと胸の間に指を滑り込ませたファウストが、まだ薄っぺらい乳首の辺りを捏ねくり回してくる。硬い指の腹がザラリと擦れる度、甘い痺れが走って声が抑えられなくなってしまう。

「胸も逞しくなったな。また筋力がついた」
「んぅ! それ、今言う事?」
「服の上からじゃ分からないからな。触って気付いた」
「はぁ……あぁ」
「感度もいいしな」

 くくっ、と喉元で笑い、熱い舌が舐め上げる。腰が浮いて、ヒクリと反応した昂ぶりからぷっくりと先走りが溢れてくる。この人好みに開発されてしまって、これだけで気持ちいいのが隠せない。
 ファウストもランバートがどうすれば気持ちいいのかなんて分かっている。焦れったいくらいに時間をかけて、強めに押し込んだり、吸い上げたりと煽り立ててくる。
 徐々に内股にも力が入り、もう片方も指で弄られ慎ましかったそこはぷっくりと赤く腫れぼったくなっていく。

「卑猥だな。けしからん」
「誰がしたんだよ」

 からかうみたいに言われると恥ずかしくて、顔を赤くして睨みながらランバートは反論する。これも、この人を喜ばせると知っているのに。

「俺だな」
「そうだよ」
「可愛い」
「……恥ずかしいよ」

 嬉しそうにあちこちにキスをする人に、今更ながら照れるのは本気で惚れ込んでいるからだろうか。バカみたいに遊んでいた時代は、こんなのまったく何とも思わなかったのに。

 所有の印が、あちこちに散らされていく。首は勿論の事、胸や腹にまで複数。残っても明日一日だろうそれを付けられるのが、最初はとても恥ずかしかった。あからさまに昨夜愛し合いましたよと、見せつけるようで。
 なのに今は、むしろ少し嬉しくすらある。愛される事に慣れていって、ランバートもファウストとこうしていることが嬉しいからだろうか。
 何より、関係は今更だからか。

「あんぅ! あっ、触ったら!」

 出てしまいそう。すっかり熱くなった昂ぶりを握り込まれ、鈴口を指でなぞられるとブルリとこれまで以上の快楽が熱く駆け巡る。一緒に、秘部の奥側がキュンと疼く。欲しいと強請るみたいに、窄まりが動いてしまう。

「一度抜いてやる。挿れてすぐにイクことになるぞ」
「縛って、いいけど……」
「痛むだろ。それに、我慢なんてする必要ない」

 ランバートの下から抜けたファウストが、床に膝をつく。そうして膝を開かせると、その間に体を滑り混ませた。見上げてくる黒い瞳がギラリと雄の光を宿している。これに魅入られると、全部を許してしまいかねないのに見てしまう。

「何度でもイカせてやる」

 あ、死亡フラグたったかもしれない。


 暗い室内はあっという間に濡れた音と声に支配された。
 握り込まれた昂ぶりを丁寧に口腔で攻め立てるファウストは、この行為がいたくお気に召したらしい。いつもよりもじっくりと時間をかけてランバートを狂わせていった。

「あっ! あっ……もう、無理! ファウスト!」

 腰が抜ける。頭が真っ白になっている。絡みつくように舌がそこここを舐め回し、喉奥まで使ってしゃぶられると白を通り越してブラックアウト寸前まできてしまう。
 ブルブル震える体をどうにか支えているのがやっとで、声が掠れて甘く鳴いている。

「んぅっ、あぅ、も……あぁ、出るからぁ!!」

 この人に登り詰めさせられると、余韻が長くて辛い。いつまでも気をやったまま、快楽にどっぷり漬け込まれてしまう。

「いいぞ」
「いや、口……」

 恥ずかしいから離して貰いたいけれど、今日はその気は無いらしい。逆に深く咥えられてしまって、そのまま窄められてランバートは嬌声を上げた。
 ビクッビクッと痙攣したまま吐き出す事が止められない。倒れ込んでしまって、力がまったく入らなかった。
 ファウストは吐き出される熱を全て受け止めて、更に舐め取っていく。イッている最中の刺激は更に強くて、ジクジク疼いてたまらない。腹の奥底が欲しくてたまらず、じっと熱く疼いている。

「長かったな」
「あぅ……はぁ……」
「自分でもしてただろ?」
「してた、けど……別物すぎる」

 それは、健康な男なのでそれなりに気分の時はあるし、明日などを考えるとサックリ自分で処理してしまう事もここ数ヶ月は常だった。その時頭にあるのはファウストの事で、彼との夜を思い出して追いかけて慰めたりもした。
 けれどやっぱり思い出でしかない。実際に触れる指の強さ、濡れた口腔の感触、肌の熱と香り。全部に蕩けさせられている。

「ランバート」
「んっ」

 触れあう舌が絡むだけで、ビクビクと弱い刺激が走る。たまらない心地よさと溢れる感情に身を委ねて、ランバートは濡れた瞳で見つめた。

「ベッド行くぞ」
「腰、立たないんだけど」
「問題無い」

 ニッと笑うファウストのお姫様抱っこに恥ずかしさを感じ、首にしがみつく。甘い匂いが増している。いつも、トロトロにランバートを魅了する匂いだ。
 優しく丁寧に下ろされ、すぐに上に陣取られる。見上げる黒い瞳が、とても満足そうだ。

「俺もしたいんだけど」
「それなら、上に乗るか? 俺の方に尻を向けて」
「あれ、すごく恥ずかしいんだけど」

 ファウストの顔の方に尻を向ける体位がわりと好きらしいのだが、ランバートとしては恥ずかしくてたまらない。合理的ではあると思う。ランバートはファウストの昂ぶりに触れる事ができるし、その間ファウストは後ろを解す事ができる。
 ただ、途中で気持ちよくなって途中でファウストを気持ちよくする事が出来なくなるのだが。

 ファウストがベッドに横になり、ランバートは言われた通りのファウストの上に跨がり彼の顔の方に尻を向ける。そうすると目の前にはファウストの逞しい昂ぶりがある。今日はどれだけ臨戦態勢なんだ、本当に凶器じゃないか。
 カリは高く張り、竿も筋が浮いて硬くそそりたっている。これを自らの中に招き入れるのかと思うと、躊躇いも多少ある。だがそれ以上に奥底が痺れてもいる。

 口に含み、口腔いっぱいに彼を感じている。舌で筋をくすぐり、形を確かめるように上下させて。当然おさまるわけもなく、残りは手で扱いた。

「熱烈だな」
「んっ、しっかり濡らしとかないと怪我しそうだし」
「では、こちらも準備は念入りだな」
「え? あうん!!」

 尻をグッと開かれ、ヌルリとした指がツプッと潜り込んでくる。何が恥ずかしいって、慣らしてもいないのに簡単に受け入れた事だ。

「欲しかったみたいだな、すんなり入った。それに、吸い付いてくる」
「あっ、はぁ……んぅぅ」

 節のある硬い指は根元まで入っているだろう。内壁を引っかけられ、痺れる。これに負けるのは癪で、ランバートは一生懸命にファウストの昂ぶりを舐め回し、口腔で愛撫した。でも、指が増えるともうダメだ。唇は離れ、声を出さないと狂いそうだ。

「はぁぁ! あっ、そこダメだっっ! んぅぅ」
「お前の方が吸い付いてくるんだぞ。硬くして、入口も物欲しげだ」

 自覚があるだけに恥ずかしい。ヒクついてファウストの指を深く咥え込もうとしている入口、硬い部分を押し上げられる度に腰が痺れて空腰を振る。トロトロに溢れる透明な蜜が、ファウストの胸元を汚している。

「もっ、欲しい……このままじゃ挿れられる前に狂うっ」
「痛むぞ」
「いぃっ、もっ、欲しいぃ」

 ゾワゾワ、ゾクゾクという疼きがずっと駆け上がってきて辛い。欲しくてたまらない。訳も分からなくなる前に、ちゃんと体中を埋めてもらいたい。

 指が抜けて、ファウストが上半身を上げる。ランバートと向かい合うようにされて、逞しい昂ぶりの上に抱き上げられてそのまま落とされる。

「あっ、あぁぁあぁぁぁ!!」

 飲み込む昂ぶりの熱さを全部で感じる。痛んだけれど、裂けたりはしない。焼けるような肉杭に貫かれながら、全身から汗が溢れた。

「お……く、届く! んぅぅぅ!」
「息吐け……くっ、狭い」
「ひぐぅ! あっ、あぁ……っっ」

 ズルズルっと抜けては埋まる肉棒の逞しさをはっきり感じる程に中は狭い。吸い付いて、欲している。先端を切っ先が抉ると、途端に中が激しく蠢き絞り上げるのを感じた。

「イッ! あぁぁぁぁぁんぅぅ!」
「くっ」

 キュゥと吸い付き、締め上げ、絞り上げていくのを感じた。それでもファウストは耐えている。ランバートも中で達しはしたが、昂ぶりからは透明な蜜をこぼすばかりだ。

「感度良すぎるぞ、ランバートっ」
「あぁ! はっ、あぁ、んぅぅ」

 ファウストの首に腕を回し、肩に額を押しつけていないと倒れてしまう。
 正面を向いて、欲望のままに舌を絡ませたまま下から突き上げられる。両手で尻を掴んで開くようにして動かされると自重もあって深い。イイ部分ばかりか、最奥まで先端が届いている。

「ずっと、イキっぱなしだ。これはっ、持っていかれる」

 腰を打ち付ける力が強く、そして早くなって目の前に星が飛ぶ。ただ喘ぐだけになったランバートは振り落とされないようにだけ必死だ。

「あぁん! もっ、イッたい!!」
「あぁ、イケ! 俺も……っ」

 激しくなる交わりを感じ取ったのか、内壁が搾り取るようにファウストを包み込んで奥へ奥へと誘い込んでいく。奥底が熱くて欲している。はしたないが、ランバートが求めているのは彼だけだ。

「はっ、あっ……あぁぁぁぁっっ!!」

 全身焼き切れそうな快楽が駆け上がるのと、限界まで硬くなっていた昂ぶりから白濁が溢れ出すのは同じ頃だった。
 目眩がするような刺激と、続く余韻に力が抜ける。ふっと、一瞬落ちたのかもしれない。息が吸えなくて、ファウストの肩に額を押し当てたまま動けなかった。
 中にも、熱い滴りを感じている。綺麗な眉根を寄せたまま、低い呻き声が聞こえている。色気を感じる声と、熱い腕がしっかりと抱きしめてくるのが心地よい。

「くっ、まずい……まだ収まりがつかない」

 たっぷりと吐き出したはずなのに、ファウストは萎えないままだ。一方のランバートは吐き出すだけ吐き出したらしい。
 それでも違う部分が収まらない。彼が入ったままの後孔が、まだ欲しそうに締め付けている。

「もう一回、欲しぃ」
「本当に腰が立たないぞ」
「いいよ、もうその状態。もっと、ファウストで満たして」

 潤んだ瞳で見つめて、やんわりと唇を重ねる。
 抜かないままベッドに押し倒されたランバートは、そのまま打ち付けられるとギュッと目を瞑って震えた。

「悪い」
「謝る必要はないだろ? 欲しいのは俺も同じ。ファウストで一杯になりたい」
「俺も、お前に満たされていたい」

 抱き込まれ、髪を、頬を撫でられる。短くなった髪は以前とはちがって体にまとわりついたりしない。
 何度も髪を撫でて、「似合う」と言ってくれるファウストがそこにもキスをくれる。大切なものに触れる手の優しさを、存分に感じていられて笑みが浮かんだ。

「愛してるよ、ファウスト」
「俺も愛している」

 確かめ合うように言葉を交わして、キスを交わして、体を交えて。幸せと深い快楽に溺れながら、ランバートは数ヶ月ぶりに身も心も満たされていくのを感じていた。
感想 18

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