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【クラウル×ゼロス】ゼロスの結婚狂想曲
おまけ1:暗府の見解
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クラウルの結婚式ということもあり、暗府から数人が会場準備にきてくれたのだが……。
「あの、暗府の先輩達? どうして皆そんな変装してるんですか?」
会場設営の責任者でもあるランバートが戸惑いの声を上げるのも無理はない。暗府の面々はラウル以外、何故かスタッフらしく変装している。
ネイサンは老執事風だ。グレーの混じる白髪に顎髭、メイクで皺も表現している。近くで見ないと分からないレベルだ。
同じくリュークスは従者になっている。髪を撫でつけ折り目正しく。普段のチャラさはどこにもない。
極めつけはカーティスだ。完璧なメイドを演じている。
というか、この人達は上司の結婚式を祝いにきたんじゃないのか?
「ボスの結婚式だから、お手伝いしたいからこの格好なんだよん」
「ですね。先程お会いした時は随分緩んだ顔をしていましたし」
「あんな浮かれたボス、見た事ないよな」
まぁ、言わんとしている事は分かった。ランバートもそれは感じたのだ。
結婚式当日の準備の為、クラウルにはどうしても一足早く帰ってきてもらいたかったのだが、その間の彼はもの凄く緩んだ顔をしていた。余程旅行が楽しかったらしく、なかなか表情が戻らない。戻ったとしてもまだ幸せ一杯な感じだった。
「カーティス、リュークス、先に二人で二階のベッドメイキングをしてきなさい。滞りなくね」
「サイドボードにいい香油仕込んどきますよ」
「シーツも皺一つないようにしないと」
なんて、下世話な事を言いながらルンルンと出て行くカーティスとリュークスを見守り、ランバートは苦笑した。
「それにしても、少し意外です」
「ん?」
「暗府の皆さんがゼロスを受け入れている事です。良かったんですか?」
「何がだい?」
「クラウル様に見合わないとか、そういうのなかったんですか?」
ちなみにランバートの時はあった。全部を実力でねじ伏せたが。
問われたネイサンはキョトッとした顔をして、次には大いに笑った。
「ないよ、そんなの」
「ネイサン先輩は特にクラウル様の信者のような感じもありますが」
「確かにボスの信者ではあるけれどね。それと恋人は別物。むしろゼロスは凄いと思うよ。あの人の隣に立とうという気持ちがあるんだから」
その言葉だけで、何となく察する事が出来た。
「ボスは神様。ですか?」
「まぁ、近いかな。そこまで距離を置いていないけれど、やっぱりね」
一般隊員と団長の間にある溝はだいぶ埋まってきているが、根本にはあるのだろう。それを感じるのは何となく、寂しい気がした。
「何より、あの人の夜の相手なんて絶対に無理だし」
「え?」
「ある意味拷問だからね。仕事に真面目すぎる人が手に入れた手練手管で貪られるんだよ? 快楽だって行き過ぎれば地獄。あの人のテクで開発されたら全身性感帯の万年発情期になりそうで怖いし」
「あ…………ははっ」
ちょっとなりかけていると、ゼロス本人も気にしていた。やっぱりそういう事なのかと乾いた笑みが浮かぶ思いだ。
「ゼロスは偉いね。そういうのをちゃんと受け入れているし」
「まぁ……」
「何より、あの人にあんな浮かれた蕩け顔させるなんて、普通はできないものだよ」
目を細め、少し寂しげに言うネイサンを見つめるランバートは複雑な思いだった。
暗府は常に気を張っている。だから本来は気の抜けた顔などしていない。クラウルは最たるものだろう。
そんな人の気持ちを穏やかに緩ませられる。それだけで愛情の深さが分かるものだ。
「最高の結婚式にしてあげましょう」
「ん? ふふっ、そうだね」
楽しげに笑うネイサンもまた、ランバートと同じくどこかホッとした顔をするのだった。
END
「あの、暗府の先輩達? どうして皆そんな変装してるんですか?」
会場設営の責任者でもあるランバートが戸惑いの声を上げるのも無理はない。暗府の面々はラウル以外、何故かスタッフらしく変装している。
ネイサンは老執事風だ。グレーの混じる白髪に顎髭、メイクで皺も表現している。近くで見ないと分からないレベルだ。
同じくリュークスは従者になっている。髪を撫でつけ折り目正しく。普段のチャラさはどこにもない。
極めつけはカーティスだ。完璧なメイドを演じている。
というか、この人達は上司の結婚式を祝いにきたんじゃないのか?
「ボスの結婚式だから、お手伝いしたいからこの格好なんだよん」
「ですね。先程お会いした時は随分緩んだ顔をしていましたし」
「あんな浮かれたボス、見た事ないよな」
まぁ、言わんとしている事は分かった。ランバートもそれは感じたのだ。
結婚式当日の準備の為、クラウルにはどうしても一足早く帰ってきてもらいたかったのだが、その間の彼はもの凄く緩んだ顔をしていた。余程旅行が楽しかったらしく、なかなか表情が戻らない。戻ったとしてもまだ幸せ一杯な感じだった。
「カーティス、リュークス、先に二人で二階のベッドメイキングをしてきなさい。滞りなくね」
「サイドボードにいい香油仕込んどきますよ」
「シーツも皺一つないようにしないと」
なんて、下世話な事を言いながらルンルンと出て行くカーティスとリュークスを見守り、ランバートは苦笑した。
「それにしても、少し意外です」
「ん?」
「暗府の皆さんがゼロスを受け入れている事です。良かったんですか?」
「何がだい?」
「クラウル様に見合わないとか、そういうのなかったんですか?」
ちなみにランバートの時はあった。全部を実力でねじ伏せたが。
問われたネイサンはキョトッとした顔をして、次には大いに笑った。
「ないよ、そんなの」
「ネイサン先輩は特にクラウル様の信者のような感じもありますが」
「確かにボスの信者ではあるけれどね。それと恋人は別物。むしろゼロスは凄いと思うよ。あの人の隣に立とうという気持ちがあるんだから」
その言葉だけで、何となく察する事が出来た。
「ボスは神様。ですか?」
「まぁ、近いかな。そこまで距離を置いていないけれど、やっぱりね」
一般隊員と団長の間にある溝はだいぶ埋まってきているが、根本にはあるのだろう。それを感じるのは何となく、寂しい気がした。
「何より、あの人の夜の相手なんて絶対に無理だし」
「え?」
「ある意味拷問だからね。仕事に真面目すぎる人が手に入れた手練手管で貪られるんだよ? 快楽だって行き過ぎれば地獄。あの人のテクで開発されたら全身性感帯の万年発情期になりそうで怖いし」
「あ…………ははっ」
ちょっとなりかけていると、ゼロス本人も気にしていた。やっぱりそういう事なのかと乾いた笑みが浮かぶ思いだ。
「ゼロスは偉いね。そういうのをちゃんと受け入れているし」
「まぁ……」
「何より、あの人にあんな浮かれた蕩け顔させるなんて、普通はできないものだよ」
目を細め、少し寂しげに言うネイサンを見つめるランバートは複雑な思いだった。
暗府は常に気を張っている。だから本来は気の抜けた顔などしていない。クラウルは最たるものだろう。
そんな人の気持ちを穏やかに緩ませられる。それだけで愛情の深さが分かるものだ。
「最高の結婚式にしてあげましょう」
「ん? ふふっ、そうだね」
楽しげに笑うネイサンもまた、ランバートと同じくどこかホッとした顔をするのだった。
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