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親友が私の婚約者の悪口を言ってきたので信じたのが間違いでした

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「レナードは悪い男よ」

親友のオリヴィア・シュナイダーがそう言ったのは今から2ヶ月前のことだ。

話を詳しく聞かせてもらったところ、私ことティアナ・ハイドリヒの婚約者であるレナード・エッカーマンは同時に3人の女と付き合っていて、そのいずれの女とも婚約をしているのだという。

最初は信じられなかった。
だけど、オリヴィアが知り合いから聞いたという話を詳しく聞けば聞くほど、レナードは他の女と浮気しているとしか思えなくなっていった。

だって、レナードの普段衣服に隠れていて見えない位置にある身体のほくろの位置だとか、アザなどをオリヴィアの知り合いが教えてくれたというんですもの。
そして、それは実際見事に当たっていた。

「わかったわ、オリヴィア…大事なことを教えてくれてありがとう」

私が礼を言うとオリヴィアは微笑んでこう言った。

「何言ってるの。当然じゃない。私たち親友でしょう?ティアナ」

「そうね。私、危うく悪い男と結婚してしまうところだったわ」

「早くに気がついてよかったわ」

「そうね」

そして私は親友の言う通りにレナードとの婚約を破棄してお別れをした。
レナードは最初何が何だかわからないと別れるのを嫌がった。だけど、私は断固として譲らずにきっぱりとお付き合いの継続をお断りした。

レナードは納得いかない顔で去っていった。


そして今、私は自分の元に全く意味不明の招待状が届いて混乱していた。

『結婚パーティーのご案内』

と書かれた煌びやかなカリグラフィーのカード。
その差出人の名前はレナード・エッカーマンとオリヴィア・シュナイダーの連名だった。

「オリヴィアと…レナードが…結婚…?」

騙されていたのだ、と気付いた時にはもう遅かった。オリヴィアはレナードを狙っていて、私と別れるように仕向けたのだ。そして私に婚約を破棄され傷心状態だったレナードに優しい言葉をかけて……

「こんなのあんまりだわ。親友だと思っていたのに」

しかもこの招待状を私に出す神経がわからなかった。

私はその招待状を破いて窓から放り投げた。
白い紙片が風に流されて飛び散った。




END
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