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妻の名は・・・
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『キヨコ』・・・それが、私の妻の名だ。
キヨコは・・・もうすぐ死ぬ。
今日、死ぬかもしれない。明日、死ぬかもしれない。
少なくとも、死を免れることは出来ない。
あの日・・・突然、キヨコが倒れてしまったあの日から、そのように運命づけられてしまったのだ。
原因不明の病だった。
一度は通院して回復したものの、すぐにまた倒れてしまった。
その病は、キヨコの命を少しずつ削り取っていく類のものだった。
外見からはまったくわからず、体力的に衰弱しているわけでもない。
担当の医師の説明によると、血栓のようなものが次から次へと発生し、血液の流れを悪くしているらしい。血栓の発生を抑える治療法はなく、血栓の発生が自然に止まるまで、なんとか薬物治療でしのぎ切るしかないが、血栓が発生するスピードが早くなっているらしい。残念ながら・・・医師は表情を変えずに・・・「いつお亡くなりになってもおかしくありません」と、宣告された。
キヨコは、入院することになった・・・血栓の発生が自然に止まるまで、もしくは・・・まで。
私は、二日に一回のペースで、キヨコの身の周りの世話のために病院に通うことにした。
辞表を握りしめながら、キヨコの入院の期間がわからないが、しばらくの間、定時で退社できないかどうかを職場の上司と相談した。
上司は、気の毒そうな顔をしながら、「会社のことは気にしなくていいから、しっかり、奥さんのサポートをしてくれ。」と、快諾してくれた。
しかし、私は知っている・・・実際のところ、私という存在は、この会社にとって無用の長物なのだということを。
だから、こんな簡単に・・・まあ、それは私の考えすぎなのかもしれない。
私は、ありがたくその言葉に甘え、定時退社のみならず、場合によっては有給休暇を取得したり、早退させてもらった。もちろん、そうした場合は、病院に行かない日に残業することで相殺するようにした。
キヨコが入院してから二カ月ほどたったある日・・・。
その日は休日だった。
休日は、できるだけキヨコと一緒に過ごすようにしている。
とはいえ、ほんの一時間か二時間くらいである。
キヨコは、私と長時間過ごすことを嫌がっているからだ。
理由は、なんとなく察しがついた。
私の表情を見るのが、嫌なのだ。
私は、意識しているわけではないが、憐れむような目つきでキヨコを見てしまっているのだろう。そんな目つきで見られると、気が滅入ってしまうからだと思う。
だから、無理に明るく振る舞える数時間だけ、キヨコと過ごすようにしている。
その日は、気持ちのいい天気で、絶好の散歩日和だった。
しかし、病院に向かう私の足取りは重い。
いつもそうだ・・・死にゆくキヨコを見るのが、つらくてしょうがない。
キヨコは、いつも笑顔で私のことを迎えてくれる。
病気でつらそうな顔など一切しない。
本人曰く、「痛みはまったくなく、少しだるいだけ」なのだそうだ。
変わらぬ笑顔ではあるが、その顔は昔に比べ、間違いなく青白い。
どことなく幽霊を思わせる顔を見ていると、キヨコの行く末を痛感させられ、ひどくつらい気持ちになるのだ。
私は、キヨコの病室の前に立つと、いつもの儀式を行った。
威勢よく右手で自分の右頬、左頬と叩き、その右手を自分に向ける。
そうすると、自分の心の中に巣食う弱い心が、ヒューッと私の中から飛び出していくような気がするのだ。そして、左手の親指と人差し指でしっかりと自分の口角を押し上げる。
(よしッ、これで、数時間だけ・・・明るい気持ちでいられる。)
「調子はどうだい?」
明るい声で、キヨコに声をかけながら、私は病室に入った。
キヨコは、ベッドに腰かけていた。
「今日は、なんて神頼みしたの?」
キヨコは、私が来るたびに「パンッ、パンッ」と威勢の良い柏手が聞こえるので、私が神頼みをしているのだと勘違いしているのだ。
初めの頃は、真面目に「キヨコの全快」などと答えていたものだが、キヨコの反応を見るうちに真面目に答えるのを止めてしまった。
「・・・おととい、キヨコ様に生えた角がなくなっていますようにって。」
「なによ、それ? わたし、おととい、怒ったっけ?」
「いや、怒らなくてもキミには角が生えるんだ。キミは気づいていなかったかもしれないが、結婚した時から定期的に角が生えては抜け、生えては抜けを繰り返していたんだよ。きっと、角は何かのシンボルで・・・。」
「ふふふ、もういいわ。
あなたって、本当に・・・想像力が豊かって言うか・・・くだらないことばかり思いつくのね。」
と、呆れるような顔をしたあと、弾けるような笑顔を浮かべ、
「まあ、そこがあなたの良いところなんだけどね。」
ほんのり紅くなった笑顔は、まぶしかった。
血色はいつもより良く・・・いや、元気な頃のキヨコの顔色そのものだった。
「今日は、ものすごく調子がいいの。全然、だるくないし・・・。
ねえ、お願いがあるの。わたし、外に出て、散歩したい。」
私は、キヨコの外出許可の手続きを行い、キヨコと共に病院の近くにある公園に向かった。キヨコは、体力の維持と気分転換のため、定期的に看護師とこの公園で散歩をしているらしい。
キヨコは、体調が本当に良いのだろう、軽い足取りで私の先をどんどん歩いていく。私はキヨコに置いていかれないよう、後につづく。
「今日は、本当に調子が良さそうだね?」
「うん、きっと、今の状態・・・風前の灯ってやつね。」
「ば・・・馬鹿なことを・・・。」
「うふふ、冗談よ・・・じょうだん・・・。」
「・・・。」
私は、呆然として立ち止まってしまった。
キヨコは、自分の悪ふざけが度を越してしまったことに気づいたのか、私の目を見ずに私の手を取ると、私を近くのベンチに座らせた。
そして、自分も私の隣に座ると、伏し目がちに話し始めた。
「こんなこと言うと、怒られちゃうかもしれないけど・・・わたし、もう十分生きたよ。あなたを残して、先に逝くのがちょっと申し訳ないかな・・・ごめん、変なこと言って。
でもね、残されて悲しみながら余生を過ごすよりかは、先に逝ったほうが幸せかもって思っちゃったりもする。勝手ね、わたしって・・・。」
キヨコは、ここまで話すと、寂し気に微笑み、空を見上げた。
青すぎる空だった。キヨコは、そんな空をまぶしそうに見上げながら、しばらく考え込んでいるようだった。何かを思いついたのか、キヨコは軽くうなずくと、私の目をじっと見つめた。その目は、何かの決意を秘めたような目つきだった。
私が「ごくり」と唾を飲み込んだ時、キヨコは口を開いた。
「実は・・・わたし、本当はもう・・・一回死んでるんだ。」
「えっ?」
「やだっ、そんな顔しないでよ・・・あはは。」
キヨコは、ハトが豆鉄砲を食ったような顔をしている私がおかしいのだろう、私の顔を見ながらニヤニヤしていたが、すぐに笑うのを止め、真面目な顔で話を続けた。
「でもね、嘘じゃないんだよ。証明しろって言われても証明できないけどさ。
わたしね、実は別の世界からやって来たの。」
「えっ・・・別の世界って・・・本当に大丈夫かい? キヨコ・・・。」
「もうっ、大丈夫よ。妄想なんかじゃないよ。
わたしは、別の世界で事故に遭って、この世界にやって来たの。
といってもね、気がついたら、この世界にいた。
この世界のわたしの家のベッドで寝てた・・・。
あれっ? 事故に遭って、確か・・・死んだはずじゃって感じ。」
「ふーん・・・。」
私は、キヨコが私のことをからかっているのだと思った。
キヨコは、私のことを想像力豊かなくだらない人間だと思っているが、私から言わさせてもらえば、どっちもどっち、キヨコもまた、くだらない人間、いや・・・くだらないことを連発する人間なのだ。
だからこそ、私たち二人は、今までくだらない・・・いやいや、幸せな結婚生活を送ってこれたのだと思う。
「ふーんって・・・わたしの話、信じてないでしょ!
まあ、いいわ。信じられないのはわかってる。
わたしも信じられなかったんだから。
ただね、わたし、鏡に映った自分の顔を見て驚いた。だって、本当にわたしなんだもん。別の世界のわたしが、この世界のわたしになった。中身が入れ替わったのかもしれないし、上書きされたのかもしれない。そう思うと、この世界のわたしに申し訳ないのよね。」
キヨコは、その時の出来事を思い出しているのか、遠い目つきで空を仰いだ。
私は、やはり、キヨコの話を真に受けることが出来なかった。
キヨコ自身、「信じられないのはわかってる」と言っていたし、とりあえず、聞き流すことにした。
「ふーん・・・。」
「もうっ、少しは信じてよ!
ただね、わたしは別の世界の人間なんだけど、この世界とわたしの世界、まったく同じなんだよね。
異世界転生とかってさ、だいたい元の世界とまったく違う世界に行っちゃうはずなのに・・・まったく同じなんだよ。なんか・・・拍子抜けしちゃった。
少しは期待したんだけどな・・・あっ、でもね、一つだけ違いがあった。すごく小さな違いだったけど。」
キヨコは、興が乗って来たのか、やや興奮気味に話すようになってきた。
やはり、体調が良いのだろう、作り話をつくるため、脳がフル回転しているのだ。
それはそれで良いことなのかもしれないが、しかし、どこまでこの話につき合えばいいのだろう・・・と、私は思った。
「ふーん・・・。」
「もうっ、つまらないわね。少しは興味を持ってよ!
異世界転生したはずなのに、この世界は、まったく平凡な現実世界だった。
特に変わったイベントみたいなのは起きなかったし、起きたのは・・・あなたとの結婚、幸せな結婚生活・・・そして、これから起きるわたしの最期。」
「キヨコ・・・。」
私は、悲し気な顔をしたキヨコを見ながら、少し後悔していた。
キヨコの作り話が、こんな方向に向かうとはちっとも思わなかった。
そして、私もまた、逃れられない現実を突きつけられたような気がした。
キヨコは、そんな私の手を軽く握りしめ、話を続けた。
「キヨコ・・・か。
それ、この世界のわたしの名前。本当のわたしの名前じゃないんだ。
わたしの本当の名前は○○○。
せめて・・・あなたに本当の名前で呼ばれたかったな。」
キヨコは、寂し気な顔で私のことを見つめていた。
その顔を見ていると、この件に関しては、作り話ではないような気がした。
しかし、私には、キヨコの言う本当の名前が良く聞き取れなかった。
普通に『キヨコ』と聞こえたが、私の発音とは少し異なる感じがした。
『キヨコ』ではないのであれば、『キウコ』か『キユコ』なのかもしれない。
「ごめん、もう一回言ってくれるかな?」
「○ウコ・・・。」
キヨコは微笑みながら、もう一回、ゆっくりと発音してくれた。
しかし、やはり、私にはよく聞き取れない。
「えっと・・・キウコ?」
「違う、違う・・・けど、しょうがないね。
たぶん、ここの世界の人たちには発音できないと思う。」
「?」
発音できない・・・キヨコは、いったい何を言っているのだろう。
キヨコの本当の名前・・・これもまた、作り話なのだろうか?
だが、キヨコの寂し気な顔を見る限り、作り話とは到底思えなかった。
それに、名前をうまく聞き取れなかったことも不可解だった。
「ごめん。変な思いさせちゃったね。もう、帰ろう・・・。」
キヨコは、私が深く考え込んでいることに気づいたのだろう、そう声をかけると、私の手を取り、立ち上がった。
私たち二人は、互いに肩を寄せ合い、無言のまま、病室に戻った。
病室に戻ってから、私はキヨコに言った。
「ねえ、キヨコ。さっきの名前の件だけど・・・。紙にカタカナで書いてよ。
なんだか気になっちゃってさ・・・。」
「うん・・・。」
キヨコは、メモ帳とボールペンを取ると、本当の名前を書いて私に寄こした。
そこには、『キョウコ』と書かれていた。
なぜかはわからないが、『ヨ』が小さく書かれていた。
「『キヨウコ』か・・・。」
「ううん、違う。これは○ウコって読むの。」
「?」
やはり、私にはうまく聞き取れなかった。
どうしても『キウコ』か『キユコ』としか聞こえなかった。
「ごめんね、あなた。もう、忘れて。変なこと言っちゃって・・・ごめんね。」
しかし、私は、なんとかキヨコの最後の願いを叶えたかった。
うまく、キヨコの本当の名前を呼ぶことが出来るかはわからないが・・・。
「そうだ! もう一度、本当の名前を言ってくれ。
こいつに録音して、何度も聴き直して、何度も発音して、キミの本当の名前を呼べるようになるからさ。」
私は、ズボンの後ろポケットからスマートフォンを取り出し、音声メモのアプリを起動すると、キヨコの方に向けた。
「ありがとう。その気持ちだけで、もう十分よ。」
「いやいや、次に来るときには、キミのことを本当の名前で呼びたいんだ!」
私は家に帰ると、早速、メモを見ながら、音声を聴きながら、キヨコの本当の名前『キョウコ』の発音練習を始めた。
しかし、『キヨコ』の本当の名前『〇ウコ』の〇の部分がどうしても聴き取れなかった。『〇ウ』の箇所が、『キヨ』もしくは『キオ』、『キユ』としか聴こえないのだ。何度も繰り返し聴き、『キユ』ではなく、『キヨ』か『キオ』に近い発音であることがわかった。
『キヨコ』でないことは確定しているので、『キオコ』が近いのだろう。しかし、音声と聴き比べると『キオコ』ではないようだ。
発音される言葉は三文字なのは間違いない。
頭は『キ』、最後は『コ』であることも間違いない。
問題は、真ん中の言葉だった。私には『ウ』もしくは『オ』としか聴き取れなかった。両方を合わせた『オゥ』なのかもしれない。
『キオゥコ』の発音は、かなり近く感じるものの、間延びした感じがするし、キヨコの音声の発音とはまるで違った。
(困ったな・・・降参するつもりはないが、まったく発音できない。
一度、発音の仕方から教えてもらわないとダメそうだ。
明日の仕事を早く切り上げて、病院に押しかけるか・・・。)
そう決心すると、私はベッドに潜り込んだ。
目をつむり、頭の中で『キョウコ』の発音方法について考え込んでいるうちに、いつの間にか眠り込んでいた。
誰かの息遣いを感じた。
特にニオイは感じなかったが、心地よい春風を思わせる息遣いだった。
ゆっくりと目を開くと、そこにはキヨコがいた・・・。
キヨコは、私の顔を覗き込むように見つめていた。
「ごめんなさい、あなた。起こしちゃった?」
暗闇の中、なぜ見えるのかわからなかったが、キヨコは寝間着のままだった。
「なんで・・・ここに? ダメだろ、病院を抜け出しちゃ・・・。」
「うふふ、そんなはずないでしょ!
わたしね、もうダメみたい・・・あなたの顔を最後に見たいと思ったらね、ここにいたの。きっと、神様が導いてくれたのね。わたし、無神論者だけど・・・。」
私は、特に驚きもしなかった。
なるほど、よく見ると、キヨコの体は、ぼんやりと白く光っている。
そういう奇跡がよくあるという話は、いろいろと聞いたことがある。
まさか、自分の身に起こるとは思ってもいなかったが・・・。
「そうか、無神論者に対しても、神様は情けをかけてくれるんだね。
わざわざ会いに来てくれてありがとう、『キョウコ』。」
「えっ、今・・・なんて言ったの?」
「『キョウコ』って・・・キミの本当の名前だろ? って・・・。
あれっ、あんなに何度も練習しても、まったく言えなかったはずなのに・・・。
なんで?」
私は、自分の口を押さえた。
これも、神様が起こしてくれた奇跡に違いない。
神様は、もう一人の無神論者に対しても、情けをかけてくれたようだった。
「あなたに言えるはずがないの・・・。
だって、この世界には小さい『ヨ』がないんだもん・・・。」
「『キョウコ』か・・・美しい響きだ。
キミの異世界転生の話、あれは本当の話だったんだね・・・。」
キョウコは、弾けるような笑顔を浮かべると、こくんと頷いた。
「ありがとう、あなた。最後に本当の名前で呼んでくれて・・・。
わたし、本当に幸せだった。
つまらない異世界転生だったけど、あなたに出会えて、本当に良かった。
もう、わたし、行かなくちゃ・・・あなた・・・今までありがとう。」
キョウコは、私の顔を両手で包み込むと、その柔らかい唇を私の唇に押し当てた。
キョウコの生命が、私の中に流れてくるのを感じた。
キョウコの姿が、だんだんと薄れてく・・・。
「待って・・・『キョウコ』!」
自分の声で目を覚ました。まだ、深夜だった。
私は、自分の胸に手を添えた。キョウコの温もりを感じた・・・。
「ボクのほうこそ、今までありがとう・・・キョウコ。」
電話が慟哭するかのように鳴り響いた・・・私の心の内を代弁するかのように。
キヨコは・・・もうすぐ死ぬ。
今日、死ぬかもしれない。明日、死ぬかもしれない。
少なくとも、死を免れることは出来ない。
あの日・・・突然、キヨコが倒れてしまったあの日から、そのように運命づけられてしまったのだ。
原因不明の病だった。
一度は通院して回復したものの、すぐにまた倒れてしまった。
その病は、キヨコの命を少しずつ削り取っていく類のものだった。
外見からはまったくわからず、体力的に衰弱しているわけでもない。
担当の医師の説明によると、血栓のようなものが次から次へと発生し、血液の流れを悪くしているらしい。血栓の発生を抑える治療法はなく、血栓の発生が自然に止まるまで、なんとか薬物治療でしのぎ切るしかないが、血栓が発生するスピードが早くなっているらしい。残念ながら・・・医師は表情を変えずに・・・「いつお亡くなりになってもおかしくありません」と、宣告された。
キヨコは、入院することになった・・・血栓の発生が自然に止まるまで、もしくは・・・まで。
私は、二日に一回のペースで、キヨコの身の周りの世話のために病院に通うことにした。
辞表を握りしめながら、キヨコの入院の期間がわからないが、しばらくの間、定時で退社できないかどうかを職場の上司と相談した。
上司は、気の毒そうな顔をしながら、「会社のことは気にしなくていいから、しっかり、奥さんのサポートをしてくれ。」と、快諾してくれた。
しかし、私は知っている・・・実際のところ、私という存在は、この会社にとって無用の長物なのだということを。
だから、こんな簡単に・・・まあ、それは私の考えすぎなのかもしれない。
私は、ありがたくその言葉に甘え、定時退社のみならず、場合によっては有給休暇を取得したり、早退させてもらった。もちろん、そうした場合は、病院に行かない日に残業することで相殺するようにした。
キヨコが入院してから二カ月ほどたったある日・・・。
その日は休日だった。
休日は、できるだけキヨコと一緒に過ごすようにしている。
とはいえ、ほんの一時間か二時間くらいである。
キヨコは、私と長時間過ごすことを嫌がっているからだ。
理由は、なんとなく察しがついた。
私の表情を見るのが、嫌なのだ。
私は、意識しているわけではないが、憐れむような目つきでキヨコを見てしまっているのだろう。そんな目つきで見られると、気が滅入ってしまうからだと思う。
だから、無理に明るく振る舞える数時間だけ、キヨコと過ごすようにしている。
その日は、気持ちのいい天気で、絶好の散歩日和だった。
しかし、病院に向かう私の足取りは重い。
いつもそうだ・・・死にゆくキヨコを見るのが、つらくてしょうがない。
キヨコは、いつも笑顔で私のことを迎えてくれる。
病気でつらそうな顔など一切しない。
本人曰く、「痛みはまったくなく、少しだるいだけ」なのだそうだ。
変わらぬ笑顔ではあるが、その顔は昔に比べ、間違いなく青白い。
どことなく幽霊を思わせる顔を見ていると、キヨコの行く末を痛感させられ、ひどくつらい気持ちになるのだ。
私は、キヨコの病室の前に立つと、いつもの儀式を行った。
威勢よく右手で自分の右頬、左頬と叩き、その右手を自分に向ける。
そうすると、自分の心の中に巣食う弱い心が、ヒューッと私の中から飛び出していくような気がするのだ。そして、左手の親指と人差し指でしっかりと自分の口角を押し上げる。
(よしッ、これで、数時間だけ・・・明るい気持ちでいられる。)
「調子はどうだい?」
明るい声で、キヨコに声をかけながら、私は病室に入った。
キヨコは、ベッドに腰かけていた。
「今日は、なんて神頼みしたの?」
キヨコは、私が来るたびに「パンッ、パンッ」と威勢の良い柏手が聞こえるので、私が神頼みをしているのだと勘違いしているのだ。
初めの頃は、真面目に「キヨコの全快」などと答えていたものだが、キヨコの反応を見るうちに真面目に答えるのを止めてしまった。
「・・・おととい、キヨコ様に生えた角がなくなっていますようにって。」
「なによ、それ? わたし、おととい、怒ったっけ?」
「いや、怒らなくてもキミには角が生えるんだ。キミは気づいていなかったかもしれないが、結婚した時から定期的に角が生えては抜け、生えては抜けを繰り返していたんだよ。きっと、角は何かのシンボルで・・・。」
「ふふふ、もういいわ。
あなたって、本当に・・・想像力が豊かって言うか・・・くだらないことばかり思いつくのね。」
と、呆れるような顔をしたあと、弾けるような笑顔を浮かべ、
「まあ、そこがあなたの良いところなんだけどね。」
ほんのり紅くなった笑顔は、まぶしかった。
血色はいつもより良く・・・いや、元気な頃のキヨコの顔色そのものだった。
「今日は、ものすごく調子がいいの。全然、だるくないし・・・。
ねえ、お願いがあるの。わたし、外に出て、散歩したい。」
私は、キヨコの外出許可の手続きを行い、キヨコと共に病院の近くにある公園に向かった。キヨコは、体力の維持と気分転換のため、定期的に看護師とこの公園で散歩をしているらしい。
キヨコは、体調が本当に良いのだろう、軽い足取りで私の先をどんどん歩いていく。私はキヨコに置いていかれないよう、後につづく。
「今日は、本当に調子が良さそうだね?」
「うん、きっと、今の状態・・・風前の灯ってやつね。」
「ば・・・馬鹿なことを・・・。」
「うふふ、冗談よ・・・じょうだん・・・。」
「・・・。」
私は、呆然として立ち止まってしまった。
キヨコは、自分の悪ふざけが度を越してしまったことに気づいたのか、私の目を見ずに私の手を取ると、私を近くのベンチに座らせた。
そして、自分も私の隣に座ると、伏し目がちに話し始めた。
「こんなこと言うと、怒られちゃうかもしれないけど・・・わたし、もう十分生きたよ。あなたを残して、先に逝くのがちょっと申し訳ないかな・・・ごめん、変なこと言って。
でもね、残されて悲しみながら余生を過ごすよりかは、先に逝ったほうが幸せかもって思っちゃったりもする。勝手ね、わたしって・・・。」
キヨコは、ここまで話すと、寂し気に微笑み、空を見上げた。
青すぎる空だった。キヨコは、そんな空をまぶしそうに見上げながら、しばらく考え込んでいるようだった。何かを思いついたのか、キヨコは軽くうなずくと、私の目をじっと見つめた。その目は、何かの決意を秘めたような目つきだった。
私が「ごくり」と唾を飲み込んだ時、キヨコは口を開いた。
「実は・・・わたし、本当はもう・・・一回死んでるんだ。」
「えっ?」
「やだっ、そんな顔しないでよ・・・あはは。」
キヨコは、ハトが豆鉄砲を食ったような顔をしている私がおかしいのだろう、私の顔を見ながらニヤニヤしていたが、すぐに笑うのを止め、真面目な顔で話を続けた。
「でもね、嘘じゃないんだよ。証明しろって言われても証明できないけどさ。
わたしね、実は別の世界からやって来たの。」
「えっ・・・別の世界って・・・本当に大丈夫かい? キヨコ・・・。」
「もうっ、大丈夫よ。妄想なんかじゃないよ。
わたしは、別の世界で事故に遭って、この世界にやって来たの。
といってもね、気がついたら、この世界にいた。
この世界のわたしの家のベッドで寝てた・・・。
あれっ? 事故に遭って、確か・・・死んだはずじゃって感じ。」
「ふーん・・・。」
私は、キヨコが私のことをからかっているのだと思った。
キヨコは、私のことを想像力豊かなくだらない人間だと思っているが、私から言わさせてもらえば、どっちもどっち、キヨコもまた、くだらない人間、いや・・・くだらないことを連発する人間なのだ。
だからこそ、私たち二人は、今までくだらない・・・いやいや、幸せな結婚生活を送ってこれたのだと思う。
「ふーんって・・・わたしの話、信じてないでしょ!
まあ、いいわ。信じられないのはわかってる。
わたしも信じられなかったんだから。
ただね、わたし、鏡に映った自分の顔を見て驚いた。だって、本当にわたしなんだもん。別の世界のわたしが、この世界のわたしになった。中身が入れ替わったのかもしれないし、上書きされたのかもしれない。そう思うと、この世界のわたしに申し訳ないのよね。」
キヨコは、その時の出来事を思い出しているのか、遠い目つきで空を仰いだ。
私は、やはり、キヨコの話を真に受けることが出来なかった。
キヨコ自身、「信じられないのはわかってる」と言っていたし、とりあえず、聞き流すことにした。
「ふーん・・・。」
「もうっ、少しは信じてよ!
ただね、わたしは別の世界の人間なんだけど、この世界とわたしの世界、まったく同じなんだよね。
異世界転生とかってさ、だいたい元の世界とまったく違う世界に行っちゃうはずなのに・・・まったく同じなんだよ。なんか・・・拍子抜けしちゃった。
少しは期待したんだけどな・・・あっ、でもね、一つだけ違いがあった。すごく小さな違いだったけど。」
キヨコは、興が乗って来たのか、やや興奮気味に話すようになってきた。
やはり、体調が良いのだろう、作り話をつくるため、脳がフル回転しているのだ。
それはそれで良いことなのかもしれないが、しかし、どこまでこの話につき合えばいいのだろう・・・と、私は思った。
「ふーん・・・。」
「もうっ、つまらないわね。少しは興味を持ってよ!
異世界転生したはずなのに、この世界は、まったく平凡な現実世界だった。
特に変わったイベントみたいなのは起きなかったし、起きたのは・・・あなたとの結婚、幸せな結婚生活・・・そして、これから起きるわたしの最期。」
「キヨコ・・・。」
私は、悲し気な顔をしたキヨコを見ながら、少し後悔していた。
キヨコの作り話が、こんな方向に向かうとはちっとも思わなかった。
そして、私もまた、逃れられない現実を突きつけられたような気がした。
キヨコは、そんな私の手を軽く握りしめ、話を続けた。
「キヨコ・・・か。
それ、この世界のわたしの名前。本当のわたしの名前じゃないんだ。
わたしの本当の名前は○○○。
せめて・・・あなたに本当の名前で呼ばれたかったな。」
キヨコは、寂し気な顔で私のことを見つめていた。
その顔を見ていると、この件に関しては、作り話ではないような気がした。
しかし、私には、キヨコの言う本当の名前が良く聞き取れなかった。
普通に『キヨコ』と聞こえたが、私の発音とは少し異なる感じがした。
『キヨコ』ではないのであれば、『キウコ』か『キユコ』なのかもしれない。
「ごめん、もう一回言ってくれるかな?」
「○ウコ・・・。」
キヨコは微笑みながら、もう一回、ゆっくりと発音してくれた。
しかし、やはり、私にはよく聞き取れない。
「えっと・・・キウコ?」
「違う、違う・・・けど、しょうがないね。
たぶん、ここの世界の人たちには発音できないと思う。」
「?」
発音できない・・・キヨコは、いったい何を言っているのだろう。
キヨコの本当の名前・・・これもまた、作り話なのだろうか?
だが、キヨコの寂し気な顔を見る限り、作り話とは到底思えなかった。
それに、名前をうまく聞き取れなかったことも不可解だった。
「ごめん。変な思いさせちゃったね。もう、帰ろう・・・。」
キヨコは、私が深く考え込んでいることに気づいたのだろう、そう声をかけると、私の手を取り、立ち上がった。
私たち二人は、互いに肩を寄せ合い、無言のまま、病室に戻った。
病室に戻ってから、私はキヨコに言った。
「ねえ、キヨコ。さっきの名前の件だけど・・・。紙にカタカナで書いてよ。
なんだか気になっちゃってさ・・・。」
「うん・・・。」
キヨコは、メモ帳とボールペンを取ると、本当の名前を書いて私に寄こした。
そこには、『キョウコ』と書かれていた。
なぜかはわからないが、『ヨ』が小さく書かれていた。
「『キヨウコ』か・・・。」
「ううん、違う。これは○ウコって読むの。」
「?」
やはり、私にはうまく聞き取れなかった。
どうしても『キウコ』か『キユコ』としか聞こえなかった。
「ごめんね、あなた。もう、忘れて。変なこと言っちゃって・・・ごめんね。」
しかし、私は、なんとかキヨコの最後の願いを叶えたかった。
うまく、キヨコの本当の名前を呼ぶことが出来るかはわからないが・・・。
「そうだ! もう一度、本当の名前を言ってくれ。
こいつに録音して、何度も聴き直して、何度も発音して、キミの本当の名前を呼べるようになるからさ。」
私は、ズボンの後ろポケットからスマートフォンを取り出し、音声メモのアプリを起動すると、キヨコの方に向けた。
「ありがとう。その気持ちだけで、もう十分よ。」
「いやいや、次に来るときには、キミのことを本当の名前で呼びたいんだ!」
私は家に帰ると、早速、メモを見ながら、音声を聴きながら、キヨコの本当の名前『キョウコ』の発音練習を始めた。
しかし、『キヨコ』の本当の名前『〇ウコ』の〇の部分がどうしても聴き取れなかった。『〇ウ』の箇所が、『キヨ』もしくは『キオ』、『キユ』としか聴こえないのだ。何度も繰り返し聴き、『キユ』ではなく、『キヨ』か『キオ』に近い発音であることがわかった。
『キヨコ』でないことは確定しているので、『キオコ』が近いのだろう。しかし、音声と聴き比べると『キオコ』ではないようだ。
発音される言葉は三文字なのは間違いない。
頭は『キ』、最後は『コ』であることも間違いない。
問題は、真ん中の言葉だった。私には『ウ』もしくは『オ』としか聴き取れなかった。両方を合わせた『オゥ』なのかもしれない。
『キオゥコ』の発音は、かなり近く感じるものの、間延びした感じがするし、キヨコの音声の発音とはまるで違った。
(困ったな・・・降参するつもりはないが、まったく発音できない。
一度、発音の仕方から教えてもらわないとダメそうだ。
明日の仕事を早く切り上げて、病院に押しかけるか・・・。)
そう決心すると、私はベッドに潜り込んだ。
目をつむり、頭の中で『キョウコ』の発音方法について考え込んでいるうちに、いつの間にか眠り込んでいた。
誰かの息遣いを感じた。
特にニオイは感じなかったが、心地よい春風を思わせる息遣いだった。
ゆっくりと目を開くと、そこにはキヨコがいた・・・。
キヨコは、私の顔を覗き込むように見つめていた。
「ごめんなさい、あなた。起こしちゃった?」
暗闇の中、なぜ見えるのかわからなかったが、キヨコは寝間着のままだった。
「なんで・・・ここに? ダメだろ、病院を抜け出しちゃ・・・。」
「うふふ、そんなはずないでしょ!
わたしね、もうダメみたい・・・あなたの顔を最後に見たいと思ったらね、ここにいたの。きっと、神様が導いてくれたのね。わたし、無神論者だけど・・・。」
私は、特に驚きもしなかった。
なるほど、よく見ると、キヨコの体は、ぼんやりと白く光っている。
そういう奇跡がよくあるという話は、いろいろと聞いたことがある。
まさか、自分の身に起こるとは思ってもいなかったが・・・。
「そうか、無神論者に対しても、神様は情けをかけてくれるんだね。
わざわざ会いに来てくれてありがとう、『キョウコ』。」
「えっ、今・・・なんて言ったの?」
「『キョウコ』って・・・キミの本当の名前だろ? って・・・。
あれっ、あんなに何度も練習しても、まったく言えなかったはずなのに・・・。
なんで?」
私は、自分の口を押さえた。
これも、神様が起こしてくれた奇跡に違いない。
神様は、もう一人の無神論者に対しても、情けをかけてくれたようだった。
「あなたに言えるはずがないの・・・。
だって、この世界には小さい『ヨ』がないんだもん・・・。」
「『キョウコ』か・・・美しい響きだ。
キミの異世界転生の話、あれは本当の話だったんだね・・・。」
キョウコは、弾けるような笑顔を浮かべると、こくんと頷いた。
「ありがとう、あなた。最後に本当の名前で呼んでくれて・・・。
わたし、本当に幸せだった。
つまらない異世界転生だったけど、あなたに出会えて、本当に良かった。
もう、わたし、行かなくちゃ・・・あなた・・・今までありがとう。」
キョウコは、私の顔を両手で包み込むと、その柔らかい唇を私の唇に押し当てた。
キョウコの生命が、私の中に流れてくるのを感じた。
キョウコの姿が、だんだんと薄れてく・・・。
「待って・・・『キョウコ』!」
自分の声で目を覚ました。まだ、深夜だった。
私は、自分の胸に手を添えた。キョウコの温もりを感じた・・・。
「ボクのほうこそ、今までありがとう・・・キョウコ。」
電話が慟哭するかのように鳴り響いた・・・私の心の内を代弁するかのように。
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