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異世界崩壊編 前編
186話 討伐数が水増しされている件
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-バンボゥ国 南端-
以前訪れたときは美しい街並みが広がっていたが、今は見る影も無い。
周囲は跡形も無く破壊され廃墟が広がっていて驚く。
凄く発展した街並みだったが戦力的にはオスロウ国やギュノス国に劣るのだろうか?
それともハスタと言う魔人の力が強大なのだろうか。
転送して直ぐ近くに見慣れたキャンプが立てられサクラとクリス君と合流する。
何とそこには、以前別れたアニマ国のシャルが一緒に居た。
シャルが飛び付いて来て頻りに頬を擦り付けて来る。
マーキングの類なのか、しがみ付く様に全身で全身を擦り付けて来る。
懐かれているのは嬉しいけれどクリス君は多少引いていた。
サクラに関してはイヤラシイ妄想をしている様な表情で無性にムカツク。
それにしても他のギルドメンバーの姿が見えない。
街の捜索に出かけているのだろうか。
サクラの話では、数時間前に戦闘が有ったらしく首謀者の死霊使いは捕縛した様だ。
その後、エウルゥ率いる魔法騎士がアニマ国に輸送して行ったらしい。
エウルゥも居たのか。
・・・あ、そう言えば忘れる所だった!
私はアイテムストレージから強化完成した【真・童子切安綱】を手渡す。
サクラは鞘から刀を抜き放ち七色に輝く刀身を眺め、その美しさに見とれる。
「これは凄いでござるな・・・伝説の武器に引けを取らないかも知れないでござる。江戸時代の金持ち侍が新しい刀を手に入れた時に闇討ちと言う形で試し斬りをしたいと思う気持ちが分かるでござる。」
「おいおい。」
何か怪しい笑みを浮かべ、危ない事を言っているネカマが居る。
少し怖いぞ・・・
まぁ対モンスターの事で辻斬りとかしないと思うけど、いつの間にか犯罪者印とか付いてたらドン引きである。
しかし同じ刀を使う者として、その美しい刀の切れ味を試したいと思う気落ちは理解が出来る。
シャルはアニマ国の戦士を辞めたらしく、私達に同行したいと申し出て来た。
私とサクラは少し返答に困る。
シャルはそこそこ強いがクリス君程では無い、レイドボス戦に参加しても命を落とす可能性が高い。
私達が困っているとクリス君が丁寧に説明を始める。
この世界の誕生したあらましから現在の状況。
そして、良い方向でも悪い方向でもこの世界ごと自分もシャルも必ず消滅する事を分かり易く話す。
話を聞いてシャルが落ち込むかと思ったが、全く落ち込む事無く寧ろ気合が入った表情に変わる。
「どうせ死ぬなら、好きな人の傍で死にたい!だからシノブに着いて行く!盾位にはなれる!」
かなり説得をしたがシャルの強情さは筋金入りで説得に応じる気は無い様だ。
コダ国に向かったまま帰還しないミカさん達の事も気掛りだし、仕方無くシャルを仲間に加える事となった。
正式にギルドメンバーに入るにはギルドマスターの許可が必要となる。
「深紅の薔薇」への加入は残念ながらこの場では出来無い。
「よし、シノブ殿行くでござるよ。」
「うん、クリス君もシャルも準備は大丈夫?」
「大丈夫です。」
「また砂漠を越えるのはシンドイですね。」
転送装置の事を知らないシャルは徒歩で向かうと思ったらしくゲンナリした表情だ。
私はシャルの手を握り転送装置を起動させて一瞬でコダ国まで転送する。
サクラとクリスも追って転送し4人同時にコダ国の砂漠へと到着した。
・
・
・
-コダ国 東部-
赤く染まった空が砂漠の砂の色を変えて、不気味な風景となっている。
砂漠地帯は気温が高く自然に汗が滲み出て来る。
私は素早く砂漠専用の靴【砂漠の具足】に履き替える。
忍者装束には不釣り合いな組み合わせだが動き易さは各段に良くなる。
「ええ!?何!?暑い!ここ・・・砂漠!?」
一瞬で転送が完了しコダ国の東部へと到着する。
そして初めて転送を体験したシャルは非常に良い反応をしてくれた。
クリス君もだったが、この反応を見るのは微笑ましいと言うか面白い。
私とサクラがニヤニヤしていると、それに気付いたクリス君がアタフタしているシャルを肩をポンポンと叩き落ち着かせる。
周囲を確認するとコダ国も戦闘の跡が見受けられ半壊状態だ。
冒険者のキャンプが其処かしこに見受けられ街には戦闘の跡が色濃く見受けられる。
それにしても、皆は何処に行ったんだろうか?戦闘に巻き込まれて戻って来れなくなったんだろうか。
「シノブ殿!これを!」
サクラが転送装置に触れて見せる。何故か起動しない様で触れても光る事が無い。
この場所の転送装置が壊れているのか此方からは起動出来無い。
なるほど、この場所が一方通行になっていて皆戻って来れなかったみたいだ。
私達は取り敢えず労働組合へ向かう事になった。
労働組合に顔を出すと、懐かしい顔ぶれに取り囲まれる。
何せ1ヶ月近くお世話になった街だ、労働組合に滞在する冒険者には顔見知りが多い。
皆怪我をしている様で、至る所に包帯を巻いていた。
「伝説のディワームハンターじゃねぇか!久しぶりだな!それに蜃気楼の街から生還した女侍殿もか!」
「この人があの伝説の!」
「ディワームを絶滅危惧種にした最強の狩人!?こんなに若い嬢ちゃんが!?」
「おう!久しぶりだな!シノブ、元気してたか?」
「シノブって・・・ディワームを3000匹倒したって言う最強の忍者。お会い出来て光栄です!」
「その名前は勘弁してください。」
私達は顔見知りの冒険者に一斉に囲まれる。
・・・話に尾ヒレが付いている気がする。
あんな巨大ミミズは絶滅しても生態系が崩れる事など無いから問題無いだろ。
しかも討伐数が勝手に盛られてるし、大体300匹程度で絶滅なんかしないでしょう。
どうせすぐ再発生する。
冒険者達の話では2日前に子供姿の魔人が現れ、複数の巨大モンスターを放って姿を消したらしい。
この国の防衛力自体は高くないが蜃気楼の街の噂で強い冒険者の数が多く集まっており、国の兵士と冒険者達が全てのモンスターを討伐し都市の防衛を出来たらしい。
なんでも結婚前の王女殿下が先陣に立とうとして投獄されたとの事だ。
そして更に危うく脱獄を許しかけたと噂になっていたらしい。
あのお転婆姫はどうやら健在の様だ。
労働組合の受付けの女性がミカさんから伝言を頼まれており、砂漠で複数の巨大モンスターが出現したらしく討伐に向かったそうだ。
伝言では、労働組合で待つようにと伝えられていたが魔人ハスタが出現したらマズイとサクラが言い、私達はティオニムを人数分借りて砂漠へと歩を進めた。
以前訪れたときは美しい街並みが広がっていたが、今は見る影も無い。
周囲は跡形も無く破壊され廃墟が広がっていて驚く。
凄く発展した街並みだったが戦力的にはオスロウ国やギュノス国に劣るのだろうか?
それともハスタと言う魔人の力が強大なのだろうか。
転送して直ぐ近くに見慣れたキャンプが立てられサクラとクリス君と合流する。
何とそこには、以前別れたアニマ国のシャルが一緒に居た。
シャルが飛び付いて来て頻りに頬を擦り付けて来る。
マーキングの類なのか、しがみ付く様に全身で全身を擦り付けて来る。
懐かれているのは嬉しいけれどクリス君は多少引いていた。
サクラに関してはイヤラシイ妄想をしている様な表情で無性にムカツク。
それにしても他のギルドメンバーの姿が見えない。
街の捜索に出かけているのだろうか。
サクラの話では、数時間前に戦闘が有ったらしく首謀者の死霊使いは捕縛した様だ。
その後、エウルゥ率いる魔法騎士がアニマ国に輸送して行ったらしい。
エウルゥも居たのか。
・・・あ、そう言えば忘れる所だった!
私はアイテムストレージから強化完成した【真・童子切安綱】を手渡す。
サクラは鞘から刀を抜き放ち七色に輝く刀身を眺め、その美しさに見とれる。
「これは凄いでござるな・・・伝説の武器に引けを取らないかも知れないでござる。江戸時代の金持ち侍が新しい刀を手に入れた時に闇討ちと言う形で試し斬りをしたいと思う気持ちが分かるでござる。」
「おいおい。」
何か怪しい笑みを浮かべ、危ない事を言っているネカマが居る。
少し怖いぞ・・・
まぁ対モンスターの事で辻斬りとかしないと思うけど、いつの間にか犯罪者印とか付いてたらドン引きである。
しかし同じ刀を使う者として、その美しい刀の切れ味を試したいと思う気落ちは理解が出来る。
シャルはアニマ国の戦士を辞めたらしく、私達に同行したいと申し出て来た。
私とサクラは少し返答に困る。
シャルはそこそこ強いがクリス君程では無い、レイドボス戦に参加しても命を落とす可能性が高い。
私達が困っているとクリス君が丁寧に説明を始める。
この世界の誕生したあらましから現在の状況。
そして、良い方向でも悪い方向でもこの世界ごと自分もシャルも必ず消滅する事を分かり易く話す。
話を聞いてシャルが落ち込むかと思ったが、全く落ち込む事無く寧ろ気合が入った表情に変わる。
「どうせ死ぬなら、好きな人の傍で死にたい!だからシノブに着いて行く!盾位にはなれる!」
かなり説得をしたがシャルの強情さは筋金入りで説得に応じる気は無い様だ。
コダ国に向かったまま帰還しないミカさん達の事も気掛りだし、仕方無くシャルを仲間に加える事となった。
正式にギルドメンバーに入るにはギルドマスターの許可が必要となる。
「深紅の薔薇」への加入は残念ながらこの場では出来無い。
「よし、シノブ殿行くでござるよ。」
「うん、クリス君もシャルも準備は大丈夫?」
「大丈夫です。」
「また砂漠を越えるのはシンドイですね。」
転送装置の事を知らないシャルは徒歩で向かうと思ったらしくゲンナリした表情だ。
私はシャルの手を握り転送装置を起動させて一瞬でコダ国まで転送する。
サクラとクリスも追って転送し4人同時にコダ国の砂漠へと到着した。
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-コダ国 東部-
赤く染まった空が砂漠の砂の色を変えて、不気味な風景となっている。
砂漠地帯は気温が高く自然に汗が滲み出て来る。
私は素早く砂漠専用の靴【砂漠の具足】に履き替える。
忍者装束には不釣り合いな組み合わせだが動き易さは各段に良くなる。
「ええ!?何!?暑い!ここ・・・砂漠!?」
一瞬で転送が完了しコダ国の東部へと到着する。
そして初めて転送を体験したシャルは非常に良い反応をしてくれた。
クリス君もだったが、この反応を見るのは微笑ましいと言うか面白い。
私とサクラがニヤニヤしていると、それに気付いたクリス君がアタフタしているシャルを肩をポンポンと叩き落ち着かせる。
周囲を確認するとコダ国も戦闘の跡が見受けられ半壊状態だ。
冒険者のキャンプが其処かしこに見受けられ街には戦闘の跡が色濃く見受けられる。
それにしても、皆は何処に行ったんだろうか?戦闘に巻き込まれて戻って来れなくなったんだろうか。
「シノブ殿!これを!」
サクラが転送装置に触れて見せる。何故か起動しない様で触れても光る事が無い。
この場所の転送装置が壊れているのか此方からは起動出来無い。
なるほど、この場所が一方通行になっていて皆戻って来れなかったみたいだ。
私達は取り敢えず労働組合へ向かう事になった。
労働組合に顔を出すと、懐かしい顔ぶれに取り囲まれる。
何せ1ヶ月近くお世話になった街だ、労働組合に滞在する冒険者には顔見知りが多い。
皆怪我をしている様で、至る所に包帯を巻いていた。
「伝説のディワームハンターじゃねぇか!久しぶりだな!それに蜃気楼の街から生還した女侍殿もか!」
「この人があの伝説の!」
「ディワームを絶滅危惧種にした最強の狩人!?こんなに若い嬢ちゃんが!?」
「おう!久しぶりだな!シノブ、元気してたか?」
「シノブって・・・ディワームを3000匹倒したって言う最強の忍者。お会い出来て光栄です!」
「その名前は勘弁してください。」
私達は顔見知りの冒険者に一斉に囲まれる。
・・・話に尾ヒレが付いている気がする。
あんな巨大ミミズは絶滅しても生態系が崩れる事など無いから問題無いだろ。
しかも討伐数が勝手に盛られてるし、大体300匹程度で絶滅なんかしないでしょう。
どうせすぐ再発生する。
冒険者達の話では2日前に子供姿の魔人が現れ、複数の巨大モンスターを放って姿を消したらしい。
この国の防衛力自体は高くないが蜃気楼の街の噂で強い冒険者の数が多く集まっており、国の兵士と冒険者達が全てのモンスターを討伐し都市の防衛を出来たらしい。
なんでも結婚前の王女殿下が先陣に立とうとして投獄されたとの事だ。
そして更に危うく脱獄を許しかけたと噂になっていたらしい。
あのお転婆姫はどうやら健在の様だ。
労働組合の受付けの女性がミカさんから伝言を頼まれており、砂漠で複数の巨大モンスターが出現したらしく討伐に向かったそうだ。
伝言では、労働組合で待つようにと伝えられていたが魔人ハスタが出現したらマズイとサクラが言い、私達はティオニムを人数分借りて砂漠へと歩を進めた。
応援ありがとうございます!
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