口なしに熱風

大田ネクロマンサー

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第22話 響き渡る轟音

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「陛下っ……!」


扉の開く音と同時に、私を呼ぶ声と、上枠をぶち抜く勢いの物音が響き渡る。ダグラスだ。


「あちらの部屋でなにが……!」


母の部屋の惨状を見て、侵入者を疑ったのだろう。今日は一段とすごい音を立てていたから、相当焦っていたに違いない。

私が体を起こそうとするとランダがガバッと起き上がり、腕で支えてくれる。それで跳ねた鼓動が、ダグラスの顔を見るなり止まりかけた。


「ランダ……貴様……!」

「ダグラス、違う。あの鏡は私が手を滑らせて……」

「ダグラス、二人とも裸だが交わってはいない」


三者三様、好き勝手に話す。ところがランダとダグラスの間には暗黙の了解といった安堵の空気が流れた。二人が分かち合う空気に置き去りにされた私は、いたたまれず、今言うべき必要もない昨日の礼を述べた。


「ダグラス、昨日はすまなかったな……運んでくれたこと、礼を言いそびれていた」


意識を失っていたからな。しかし昨日のことはどこからどこまでが本当なのか定かではない。


「陛下を王宮まで運んだのはランダです。陛下が目覚めたら、大魔道士様に報告するよう仰せつかっております。この部屋に大魔道士様をお呼びしてよろしいでしょうか?」


ランダが私をここまで運んだ?
ダグラスが割れた鏡を見て慌てて来たのなら、昨日のあの口づけは夢ではなかったのだろうか。


「傷の心配なら無用だ。後で私が大魔道士様の神殿に赴く」

「しかし……」


ダグラスは心配性が過ぎるきらいがある。この部屋に人を呼ぶことになんの憂いもないが、こうしてダグラスや大魔道士のじいやに気苦労や手間をかけることが心苦しい。そんな言い澱む私を差し置いてランダは勝手に提案をはじめた。


「俺が一緒についていく。それはそれでダグラスの気苦労が増えるか?」

「大魔道士様との約束を守れるなら、それで構わない。腕前のほどは昨日確認済みだしな」

「約束……?」

「昨日ランダが……」

「ダグラス、やめてくれ」


ピシャリとランダが言い放つと、なぜかダグラスは柔らかく笑って、そのまま部屋を後にした。


扉が閉まったと思った途端、天井、ランダの顔、と目まぐるしく風景が入れ替わり、私の唇に熱風が吹き荒れた。


「……っ、……ぁ……!」


舌が荒々しく私の口内を這い回る。何度も唇を離し、そこに露呈した私の舌を嬉しそうに吸うのだ。離れるたびに、この行為への疑問が膨らんで、思わず声を漏らしてしまう。


「ラン……ダ……?」

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