23 / 66
第22話 響き渡る轟音
しおりを挟む「陛下っ……!」
扉の開く音と同時に、私を呼ぶ声と、上枠をぶち抜く勢いの物音が響き渡る。ダグラスだ。
「あちらの部屋でなにが……!」
母の部屋の惨状を見て、侵入者を疑ったのだろう。今日は一段とすごい音を立てていたから、相当焦っていたに違いない。
私が体を起こそうとするとランダがガバッと起き上がり、腕で支えてくれる。それで跳ねた鼓動が、ダグラスの顔を見るなり止まりかけた。
「ランダ……貴様……!」
「ダグラス、違う。あの鏡は私が手を滑らせて……」
「ダグラス、二人とも裸だが交わってはいない」
三者三様、好き勝手に話す。ところがランダとダグラスの間には暗黙の了解といった安堵の空気が流れた。二人が分かち合う空気に置き去りにされた私は、いたたまれず、今言うべき必要もない昨日の礼を述べた。
「ダグラス、昨日はすまなかったな……運んでくれたこと、礼を言いそびれていた」
意識を失っていたからな。しかし昨日のことはどこからどこまでが本当なのか定かではない。
「陛下を王宮まで運んだのはランダです。陛下が目覚めたら、大魔道士様に報告するよう仰せつかっております。この部屋に大魔道士様をお呼びしてよろしいでしょうか?」
ランダが私をここまで運んだ?
ダグラスが割れた鏡を見て慌てて来たのなら、昨日のあの口づけは夢ではなかったのだろうか。
「傷の心配なら無用だ。後で私が大魔道士様の神殿に赴く」
「しかし……」
ダグラスは心配性が過ぎるきらいがある。この部屋に人を呼ぶことになんの憂いもないが、こうしてダグラスや大魔道士のじいやに気苦労や手間をかけることが心苦しい。そんな言い澱む私を差し置いてランダは勝手に提案をはじめた。
「俺が一緒についていく。それはそれでダグラスの気苦労が増えるか?」
「大魔道士様との約束を守れるなら、それで構わない。腕前のほどは昨日確認済みだしな」
「約束……?」
「昨日ランダが……」
「ダグラス、やめてくれ」
ピシャリとランダが言い放つと、なぜかダグラスは柔らかく笑って、そのまま部屋を後にした。
扉が閉まったと思った途端、天井、ランダの顔、と目まぐるしく風景が入れ替わり、私の唇に熱風が吹き荒れた。
「……っ、……ぁ……!」
舌が荒々しく私の口内を這い回る。何度も唇を離し、そこに露呈した私の舌を嬉しそうに吸うのだ。離れるたびに、この行為への疑問が膨らんで、思わず声を漏らしてしまう。
「ラン……ダ……?」
0
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
初めの祈り(Vector Design Supporters Ⅳ)
皆中透
BL
祈るのは、一つだけ。
どうかこの望みを叶えてほしい。
センチネル、ガイド、ミュートがその能力に縛られず、総合判断で評価される会社、VDS。
その社長である鍵崎翠(かぎさきすい)、副社長の果貫蒼(かぬきそう)、田崎竜胆(たさきりんどう)は、
今日もその力に振り回される若者達のために、指針を示すべく奮闘していた。
警察からの事件捜査協力も立て続いており、日々が慌ただしく過ぎている。
請け負っている案件の中に、ここ数日立て続いている路上の突然死に関する調査もあり、
翠と蒼、社員の真壁翔平(まかべしょうへい)・真壁鉄平(まかべてっぺい)ペアは、日々データの解析に追われていた。
その忙しい最中、ガイドである野本慎弥(のもとしんや)が、その育ての親である野本英子(のもとえいこ)の米寿を祝うために帰省。そこで行方不明になった孫の野本漱(すすぐ)を探して欲しいと言われる。その話を聞いていたブンジャガの店長でVDS社員でもあるミチ(中瀬倫明=なかせみちあき)が「野本姓のガイドならうちによく来るよ」と言う。呼び出してもらうと、それは「センチネルに触れずにケアができるという踊り子」として人気を博している野本祈里(のもといのり)だった。
祈里と漱、そして野本との関係性。そして、漱の「数百年に一人しか現れない」とされる特殊な能力。それが明らかになる時、複数の事件が繋がり、VDSは犯人へと辿り着く。そして、その犯人が誰であるかを知った時、肇が生まれて初めてのゾーンアウトを迎えてしまい……。
「ハジメとイノリ」の高月肇(たかつきはじめ)と野本祈里(のもといのり)、そして肇の同僚で祈里の幼馴染の相原哲(あいはらさとし)が参入し、新たな能力者が現れるセンチネルバースミステリー。VDSシリーズの第四弾です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる