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間違いだらけのプロローグ1
しおりを挟む中学時代に出来た友人にとんでもねぇ金持ちがいて。
そのばあちゃんに超気に入られちまったおかげで、大好きなエロイゲームやラノベなんかが欲しいがまま!
そんな、あまりにも素敵な夢を見ちまったせいなのだろう。
朝から違和感かんじまくりだった。
メイドさん付きで高級ホテル並みの部屋で過ごしてたはずが、しょぼい相部屋になってたり。
夏だったはずなのに、春に逆戻りしてたり。
男子校に入学したはずが共学だったり。
等々。数え上げたらきりがない。
しかしながら、全てが夢落ちだったとしか思えないのも事実。
なぜなら高校進学と同時に学生寮のある学校に放り込まれちまったからである。
しかも簡単に帰る事が出来ないような遠い場所。
中学時代についたあだ名が『へたれ勇者』。
そんなヤツが自主的に周りとかかわろうとすると思うか?
するわきゃぁない。
記憶に間違いがなければ、風呂や食事の時間だって人の少ない時間を選んでたし。
ルームメイトになる予定だったヤツが、『学生寮なんてやだよぅ!』とか言ってごねてくれてるおかげで部屋は安住の地となっている。
まっ、ようするに可能な限り部屋にこもってたわけだ。
しかしながら登校しなければならない日は迫ってくるわけで。
そりゃ、夢の世界にでも逃げたくなるって。
だからこそ、こうして寮から出ることなんてほとんどなかったんだろうな。
おかげで見るもの全てが新鮮だった。
コンビにも見当たらなければ、自販機も少ない。
地味な住宅ばかりが建ち並ぶ退屈な通学路。
そんな景色を眺めながらも、
「なんつーか。こ~~~。もっとビルとかあった気がすんだけどなぁ……」
学校に行かなければならないから、しかたがなく通学路を歩んでいる。
ってのが、俺。相場《あいば》 勇気《ゆうき》のはずなんだが……
「む~~~~~?」
鏡に映った自分の顔を何度思い返しても、しっくりこない。
まぁ。あれだな。
自己防衛のために逃避を重ねたあげく、夢の中で夢を見てるって感じなんだろうな。
*
やたら古びた教室に入ると、すでに半分以上の生徒が席に着いていた。
机どころか、椅子まで木製とか、いったいどうなってやがるんだ?
そういや、部屋の家具も全部木製だったような……
そんな違和感しかないような状況にもかかわらず、仲良さ気に会話してる連中もけっこういる。
きっと地元のヤツラなのだろう。羨ましい限りだ。
こっちは完全にアウェーだってのにさ。
だからと言って、入り口付近で立ちつくしてるわけにもいかない。
そこで、どこに座るべきなのか確認しようと見渡せば……黒板に席順が書かれていた。
俺の名前が記された場所は――窓側の最後尾。
あまり他人と接したくない者からしたら悪くない場所かもしれないが、前に座ってるヤツがどうにも気になった。
大きな体のせいで黒板の文字が見え辛くなるかもしれないとかそう言うんじゃなくて。
不思議と親近感みたいなものを感じたのだ。
一見すると、優しそうな顔立ちをしているし。
なんとなく仲良くなれそうな気がしたからだろう。
彼の視線が気になってしまった。
視線の先は隣の女子。
ふむ……、確かに悪くない
細身で、なかなかの美人である。
いかにもクラス委員長とかやっていそうなタイプだった。
近付きながら観察していると女の方も男に視線を向ける。
視線が合わさると――二人同時に、視線を外す。
ラブコメの波動を感じずにはいられなかった。
はっきり言って、むかついた!
入学早々、相思相愛のカップル誕生とかふざけんな!
爆ぜろリア充!
そんな思いを込めながら、二人の間を前から引き裂くように、わざとゆっくり通過してから席に着いた。
すると、待っていましたとばかりに前に座っていたヤツが振り向いた。
俺の気持ちなんて、全く気にもとまらないような笑みである。
「よっ! 俺、佐藤《さとう》 幸平《こうへい》! 何事にも公平な目で見るように心がけてるんでジャッジに困ったら任せてくれ!」
あまりにも爽やか過ぎて拍子抜けもいいところだ。
「おっ…おう……。俺は、相場勇気……こっちこそ、よろしくな」
思わず、素で返しちまったじゃねぇか。
こっちは暑苦しいただの筋肉バカって落ちを期待してんだ。裏切るような行動は、ひかえろよな!
ふっふっふっ。
ならば、仕返しをしてやるしかあるまい。
「そっちの、長い黒髪が良く似合う美人さんもよろしくな!」
「「え……?」」
まるで長年連れ添った夫婦のように息ピッタリ。
二人して、同じ目で俺を見つめていた。
のも束の間……これまた全く同じタイミングで二人の視線が合わさると、気まずそうな雰囲気が始まる。
どうやら、佐藤にも精神的ダメージは与えられたようだ。
これで俺をからかうとどうなるか少しは分かっただろう。
って、ゆーか。黒髪が良く似合う美人さんとかって言葉に対して素直に反応するとか相当だよな。
いくら他に該当するヤツが居ないにしたって反応速度が速すぎる。
よっぽど、こちらの会話――正確には佐藤ってヤツに向けられるであろう言葉に対して意識を向けていた証拠だ。
実に、つまらん。
いくら好みじゃないとはいえ。意識が他の男に向きっぱなしってのは気に入らない。
「俺、相場勇気。よろしくな!」
先ず、受け入れてもらえないだろうと分かっていながら差し出した手は――
「私は、如月《きさらぎ》 瑞樹《みずき》。こうちゃ……コホンっ。佐藤君共々よろしくね」
なんとも微妙な空気の漂う挨拶と共に受け入れられていた。
少し冷ややかな手だったが、いきなり女の子と握手出来るとか幸先が良い。
しかも、照れた表情は思った以上に幼く。可愛らしかった。
ふ~ん、こんな顔もするんだ……
もっとも、佐藤とは昔なじみっぽいし。
俺の出る幕はなさそうだ。
「なぁ。さっちん。やっぱ、やめね?」
「ちょっ! いい加減、その呼び方やめてって言ってるでしょ!」
「って、いきなり夫婦喧嘩かよ」
「「まだ、夫婦じゃない!」」
予定あんのかよっ!
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