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「それでも…それでも君は、
私に“生きろ”って言うの…?」
今まで見せなかった苦しみを
一気に吐き出す様に話した後、
菖蒲が縋るような瞳で、俺を見た
“苦しい、辛い、
もう許して、死なせて―”
まるで、そう訴えかけて来るような瞳
人は、いつ・どこで
産まれるかを選べない
でも、いつ・どうやって
死ぬかを選ぶ事は出来る
本当は、本人がここまで望んでいる事を
止める権利なんて、俺にはない
“死にたいなら、死ねば良い”
冷たい言葉だが、
そう切り捨てる人も居る
…それでも
「…俺は、菖蒲が何よりも“死”を望んでるって、分かってる。このまま死なせる事が、菖蒲にとって一番の幸せなのかもしれないって…
けど…俺は、君と出会って、君と一緒に過ごして、救われた部分が沢山あるんだ」
俺がどれだけ
菖蒲に救われたか…
菖蒲の事を大切に想っているか、
どうか…どうか伝わって欲しい
菖蒲の瞳を、真っ直ぐに見返す
「…大切な親友を失って、“もう傷付きたくないから”って人と関わるのを諦めて、自分の殻に閉じこもってた俺を…君は、救ってくれた その恩人を死なせたくないし、今更 菖蒲の存在を無かった事にして…忘れて、生きていく自信もない…失いたくない…っ…菖蒲を死なせたくないんだ…っ」
菖蒲が苦しそうに、眉を寄せる
「…ごめん、自分勝手で」
大切な人を傷付け、
こんな顔をさせた罪悪感に胸が詰まる
今の俺は、多分
今までで一番酷い顔をしてる
…やっぱダサいな、俺
こんな事しか言えなくて
その情けない顔を見せたくなくて
でも、俺の気持ちが
少しでも伝わって欲しくて
…菖蒲を離したくなくて
俺は彼女を抱き寄せた
「でも…もう、一人になりたくない」
「俺が傍に居る」
「…いつかは居なくなるでしょう?」
「居なくならない。菖蒲が“もう良い”って言うまで、傍に居る」
「…一生、だったら どうするの」
「菖蒲が望むなら、それでも良いよ」
「…っ…馬鹿だなぁ…君は」
菖蒲が俺の肩に顔を埋めて
強く抱き締め返す
体を微かに震わせて
俺の肩に染みを作りながら
小さく嗚咽を繰り返す
…俺は、何も言わずに
菖蒲が落ち着くまでずっと
彼女の頭を撫でていた
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