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第一章『森の変異種』
白と赤と青 2
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アイリスは天真爛漫な女の子で、この冒険者ギルド『白き聖杖亭』の冒険者の一人だ。
まっすぐでサラサラの艶やかな黒髪は腰辺りまでのロングで、彼女の元気さを示す目はぱっちりと大きく、瞳は海の宝石みたいに青くて綺麗だ。
僕と同じぐらいか少し高いぐらいのモデルさん体型で、細いんだけれど実は意外と力が強い。種族は『プレイン』。つまり人間。
身軽な服装が好きみたいで、今日も動きやすそうなハーフパンツに長いブーツ、少しフリルのある半袖のブラウスに革の防具。あとはトレードマークの『危険物取り扱いゴーグル』を首から下げている。
歳は19歳。でも正確ではないから本当は20歳ぐらいかもと言っていた。
胸があんまり大きくないのがコンプレックスなんだって言ってたけど、黙ってたら男の人が寄ってくるぐらい美人だと思う。黙っていたらね。
若いのに面倒見が良くて優しく、でもパーソナルスペースをしっかり考えて接してくれるアイリスは一緒にいて気持ちが楽になれる、本当にいい友達だ。
ちょっとお金に目がない所と、錬金術が得意なんだけど、薬を作るのは上手いのに機械を作ったら大体が失敗作なのが玉に瑕かな。
「何か失礼なこと考えてない??」
「考えてないよ。考えてない」
「ふーん???」
訝しげな表情で視線を刺してくるけど、僕は目を逸らしてやり過ごした。
聞けば、彼女は今日は午後から制作依頼の納品に行くけれど午前は暇だから明日受ける依頼を探しに来たとのことだ。
「シロは明日空いてる?一緒に何か受けましょうよ儲かるやつ」
「うん、明日は特に予定ないよ」
「折角だから討伐とか調査依頼がいいわねー」
「そうだね、最近は平和なのか、採取とかちょっとしたお手伝いみたいな依頼ばかりだったから、少し体を動かしたいな」
そんなことをカウンターで話していると、頭上に大きな影がさした。
見上げると見知った男性が僕らを見下ろし、ニヤリと悪そうな笑みを浮かべて言った。
「よう、依頼なら俺も連れてけよ」
彼は『レオン』。
僕の友人の一人で、彼もここの冒険者だ。
185cm以上はありそうな長身で、だいたいが丈夫そうなカーゴパンツにコンバットブーツと、上はタンクトップか、袖なしの革ベストを素肌に羽織って惜しげもなくその鍛え抜かれた肉体美を晒している……といっても冒険者は大体が動きやすい格好をするので、別に変な訳ではない。
変わっているとすれば、彼は真冬でも服装が大して変わらないという所かも。
僕はカッコいいと思うけれど、他の人は彼のつり目がちな鋭い三白眼と、若草色の瞳に目立つ縦長の瞳孔、ギザギザの歯、高い鼻梁に一文字の傷跡、あと背の高さと筋肉が恐いと思うらしい。
精悍な顔立ちだと思うけれど、初対面の人は大体が彼に「凶悪な顔」という印象を抱く。でもたまに女の子に言い寄られている。
燃えるような赤毛を無造作にかき上げたウルフヘアが彼のワイルドさを示しているようで、よく似合っている。
レオンはほとんど人間の姿をしているけれど、種族的には『ハルス・ドラゴン』だそうだ。
要はドラゴンと人間のハーフということで、瞳孔や歯、そして人並外れた筋力や丈夫さが形質として表れている。
「レオン、おはよう」
「ああ、おはようシロ……」
言葉遣いは乱暴だけれど、彼はとても優しくていい人だと僕は知っている。今もこうして、優しい眼差しで僕と視線を合わせてくれているように。
何故だかわからないけれど、彼の視線や言葉、彼の傍に居ると陽だまりの暖かさのような、心地よさを感じる。
「朝からゲロ甘な顔してないでよ色男」
「あ!?なんだゲロ甘って!」
アイリスとレオンもお互い見ての通り、いつも茶化しあったり罵り合ったりと、とても仲良しで僕は嬉しい。
まっすぐでサラサラの艶やかな黒髪は腰辺りまでのロングで、彼女の元気さを示す目はぱっちりと大きく、瞳は海の宝石みたいに青くて綺麗だ。
僕と同じぐらいか少し高いぐらいのモデルさん体型で、細いんだけれど実は意外と力が強い。種族は『プレイン』。つまり人間。
身軽な服装が好きみたいで、今日も動きやすそうなハーフパンツに長いブーツ、少しフリルのある半袖のブラウスに革の防具。あとはトレードマークの『危険物取り扱いゴーグル』を首から下げている。
歳は19歳。でも正確ではないから本当は20歳ぐらいかもと言っていた。
胸があんまり大きくないのがコンプレックスなんだって言ってたけど、黙ってたら男の人が寄ってくるぐらい美人だと思う。黙っていたらね。
若いのに面倒見が良くて優しく、でもパーソナルスペースをしっかり考えて接してくれるアイリスは一緒にいて気持ちが楽になれる、本当にいい友達だ。
ちょっとお金に目がない所と、錬金術が得意なんだけど、薬を作るのは上手いのに機械を作ったら大体が失敗作なのが玉に瑕かな。
「何か失礼なこと考えてない??」
「考えてないよ。考えてない」
「ふーん???」
訝しげな表情で視線を刺してくるけど、僕は目を逸らしてやり過ごした。
聞けば、彼女は今日は午後から制作依頼の納品に行くけれど午前は暇だから明日受ける依頼を探しに来たとのことだ。
「シロは明日空いてる?一緒に何か受けましょうよ儲かるやつ」
「うん、明日は特に予定ないよ」
「折角だから討伐とか調査依頼がいいわねー」
「そうだね、最近は平和なのか、採取とかちょっとしたお手伝いみたいな依頼ばかりだったから、少し体を動かしたいな」
そんなことをカウンターで話していると、頭上に大きな影がさした。
見上げると見知った男性が僕らを見下ろし、ニヤリと悪そうな笑みを浮かべて言った。
「よう、依頼なら俺も連れてけよ」
彼は『レオン』。
僕の友人の一人で、彼もここの冒険者だ。
185cm以上はありそうな長身で、だいたいが丈夫そうなカーゴパンツにコンバットブーツと、上はタンクトップか、袖なしの革ベストを素肌に羽織って惜しげもなくその鍛え抜かれた肉体美を晒している……といっても冒険者は大体が動きやすい格好をするので、別に変な訳ではない。
変わっているとすれば、彼は真冬でも服装が大して変わらないという所かも。
僕はカッコいいと思うけれど、他の人は彼のつり目がちな鋭い三白眼と、若草色の瞳に目立つ縦長の瞳孔、ギザギザの歯、高い鼻梁に一文字の傷跡、あと背の高さと筋肉が恐いと思うらしい。
精悍な顔立ちだと思うけれど、初対面の人は大体が彼に「凶悪な顔」という印象を抱く。でもたまに女の子に言い寄られている。
燃えるような赤毛を無造作にかき上げたウルフヘアが彼のワイルドさを示しているようで、よく似合っている。
レオンはほとんど人間の姿をしているけれど、種族的には『ハルス・ドラゴン』だそうだ。
要はドラゴンと人間のハーフということで、瞳孔や歯、そして人並外れた筋力や丈夫さが形質として表れている。
「レオン、おはよう」
「ああ、おはようシロ……」
言葉遣いは乱暴だけれど、彼はとても優しくていい人だと僕は知っている。今もこうして、優しい眼差しで僕と視線を合わせてくれているように。
何故だかわからないけれど、彼の視線や言葉、彼の傍に居ると陽だまりの暖かさのような、心地よさを感じる。
「朝からゲロ甘な顔してないでよ色男」
「あ!?なんだゲロ甘って!」
アイリスとレオンもお互い見ての通り、いつも茶化しあったり罵り合ったりと、とても仲良しで僕は嬉しい。
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