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第一章『森の変異種』
ベリーの森 6
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「お前の相手は俺だっつーの!!!」
「ギィィィキキキキキキキ!!!」
「ぐ……うるせー!」
レオンがすぐさま僕の前に立ち塞がり、燃える大剣で魔物の頭を斬りつける。
魔物はイラついた様子でレオンに向かって声を上げ、攻撃を再開した。
「レオン!ありがとう、気を付けて!」
「おうよ!今の光の魔法か?効いてた……な!」
尻尾の強烈な殴打を上手く飛んで避けながらレオンは僕から魔物を引き離すように動く。
その隙にアイリスと合流し、弱点の共有と作戦を練り始めた。
「見てたわ。光ね」
「うん、次の一撃に全力を注ぐから、アイリスはレオンに光の元素の付与をお願い」
「了解!レオン!!!今からあたしが付与するから、その調子で注意を引いてて!シロの詠唱終わるまであたし達で時間稼ぐ!!!」
「分かった!!!」
少し説明しただけでレオンもアイリスもすぐに理解して連携を取ってくれる。
本当に、彼らは良くできる子達だと思う。
僕は泉の周囲、少し高台になっている所へ移動して詠唱を始めた。この一撃で決める。
「天からの視線
裁きは下る
聖なる八つの神槍」
アイリスが自身とレオンに光の元素を付与したのが見えた。
二人の方でも魔物の体力を削る為に、魔物の注意を交代しながら引き受けて、剣と矛で斬りつけてゆく。
あんなに硬かった鱗は光の元素によって傷つき、黒い血を噴き出し始めていた。
「地を這う邪悪を滅せよ
救いの御手よ
断罪の時よ
第八の光、汝即ち制裁の光」
再び魔物の頭上に白い光の紋様が描かれてゆく。
この紋様は『元素紋』と呼ばれ、元素の集中する場所に自然と描かれる幾何学模様だ。
魔術を唱えている張本人の僕から見ても、元素紋は不思議で美しいといつも思う。
詠唱は佳境に入った。あとは放つのみ。
ありったけの力を杖に込めると、それに応えるように杖先の装飾は一層強く輝き、元素紋もより明るく輝いた。
暗い森の闇を祓うような、白い光が泉の上に満ちてゆく。
元素の高まりを感じてレオンとアイリスが同時に後ろに飛び退き、魔物から距離を取った。今だ。
その瞬間、魔物が雄叫びを上げ、この空間の地面一帯に黒い紋様が浮かび上がった。
「あ」
「ヤバ」
「嘘」
僕達に何が起こったのかを理解した時には全てが遅かった。地面のあらゆる所からから噴き出した闇の棘が僕ら全員を容赦なく切り裂いた。
魔物は僕より先に元素魔術を放ったのだ。
ゴブリン・シャーマンと同じで、変異種である魔物は瘴気に成り代わった元素を自在に操り、元素魔術と似た現象を引き起こすことがある。
今までその片鱗すら見せていなかったから、完全に油断していた。
身体中が痛み、その場に倒れ込んだ。
目の前は暗く、口内に血の味が広がってゆく。
地面には僕の体から流れているであろう血が、じわじわと染みてゆく。
必死で顔を上げると、レオン達も離れたところで同じように倒れてゆくのが見えた。
二人とも僕と違って、闇の元素に対する抵抗力はある程度あるだろうから、恐らく生きてはいるだろう。そうであって欲しい。
魔物がこちらにゆっくりと近づいてくるのが見えた。トドメを刺すつもりだろうか。
「ギィィィキキキキキキキ!!!」
「ぐ……うるせー!」
レオンがすぐさま僕の前に立ち塞がり、燃える大剣で魔物の頭を斬りつける。
魔物はイラついた様子でレオンに向かって声を上げ、攻撃を再開した。
「レオン!ありがとう、気を付けて!」
「おうよ!今の光の魔法か?効いてた……な!」
尻尾の強烈な殴打を上手く飛んで避けながらレオンは僕から魔物を引き離すように動く。
その隙にアイリスと合流し、弱点の共有と作戦を練り始めた。
「見てたわ。光ね」
「うん、次の一撃に全力を注ぐから、アイリスはレオンに光の元素の付与をお願い」
「了解!レオン!!!今からあたしが付与するから、その調子で注意を引いてて!シロの詠唱終わるまであたし達で時間稼ぐ!!!」
「分かった!!!」
少し説明しただけでレオンもアイリスもすぐに理解して連携を取ってくれる。
本当に、彼らは良くできる子達だと思う。
僕は泉の周囲、少し高台になっている所へ移動して詠唱を始めた。この一撃で決める。
「天からの視線
裁きは下る
聖なる八つの神槍」
アイリスが自身とレオンに光の元素を付与したのが見えた。
二人の方でも魔物の体力を削る為に、魔物の注意を交代しながら引き受けて、剣と矛で斬りつけてゆく。
あんなに硬かった鱗は光の元素によって傷つき、黒い血を噴き出し始めていた。
「地を這う邪悪を滅せよ
救いの御手よ
断罪の時よ
第八の光、汝即ち制裁の光」
再び魔物の頭上に白い光の紋様が描かれてゆく。
この紋様は『元素紋』と呼ばれ、元素の集中する場所に自然と描かれる幾何学模様だ。
魔術を唱えている張本人の僕から見ても、元素紋は不思議で美しいといつも思う。
詠唱は佳境に入った。あとは放つのみ。
ありったけの力を杖に込めると、それに応えるように杖先の装飾は一層強く輝き、元素紋もより明るく輝いた。
暗い森の闇を祓うような、白い光が泉の上に満ちてゆく。
元素の高まりを感じてレオンとアイリスが同時に後ろに飛び退き、魔物から距離を取った。今だ。
その瞬間、魔物が雄叫びを上げ、この空間の地面一帯に黒い紋様が浮かび上がった。
「あ」
「ヤバ」
「嘘」
僕達に何が起こったのかを理解した時には全てが遅かった。地面のあらゆる所からから噴き出した闇の棘が僕ら全員を容赦なく切り裂いた。
魔物は僕より先に元素魔術を放ったのだ。
ゴブリン・シャーマンと同じで、変異種である魔物は瘴気に成り代わった元素を自在に操り、元素魔術と似た現象を引き起こすことがある。
今までその片鱗すら見せていなかったから、完全に油断していた。
身体中が痛み、その場に倒れ込んだ。
目の前は暗く、口内に血の味が広がってゆく。
地面には僕の体から流れているであろう血が、じわじわと染みてゆく。
必死で顔を上げると、レオン達も離れたところで同じように倒れてゆくのが見えた。
二人とも僕と違って、闇の元素に対する抵抗力はある程度あるだろうから、恐らく生きてはいるだろう。そうであって欲しい。
魔物がこちらにゆっくりと近づいてくるのが見えた。トドメを刺すつもりだろうか。
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