上 下
24 / 25
最終日

第24話 最終日 朝食・ソフトクリーム

しおりを挟む
 目が覚めてしまった。外はもう明るい。朝か。
 今日で北海道旅行は終わる。
 食べたいものはまだまだたくさんあるのに、もう帰らなければいけない。

 最終日の朝食はホテルでとった。
 お刺身三種、トマトの浸し、玉地蒸し、湯葉豆腐、メヌキ塩麹焼き、いくらおろし、枝豆、だし巻き玉子、ポテトサラダ、焼き玉蜀黍、鴨の京風蒸し、いも餅味噌バター、天ぷら二点盛り、酢蓮根、漬物、𩸽《ほっけ》のひつまぶし、みそ汁、桃ゼリー
 と、朝から豪華すぎる食事だ。

 刺身は、イカ、ホタテ、カツオのたたき。
 北海道のホタテは何度食べても美味しさに悶える。朝からこんな美味いホタテを食っていいのか? 舌がおかしくなっちまうだろうが。

 うんめぇ朝食をいただいたあと、私と親友は荷造りをしてホテルを出た。
 本当は空港に向かう前にスープカレーを食べる予定だったのだが、贅沢盛の朝食のせいでおなかがパンパンになった私たちは泣く泣く空港へ直行した。 
 札幌に来てスープカレーを食べないなんて……一生の不覚。

 新千歳空港に到着した私たちに残された時間は、あと三時間。この限られた時間で、私たちは最後のあがきをする。

 まずは「きのとや」のソフトクリームを食べた。
 「きのとや」は洋菓子専門店で、バームクーヘンや焼きたてチーズタルトなどを販売しているのだが、ここのソフトクリームは、新千歳空港ソフトアイスクリーム総選挙で一位獲得三連覇を達成しているのだ。

 私はソフトクリームとチーズタルトを購入した。
 ソフトクリームを渡されたとき、目を疑った。

 くそでけぇ。
 ソフトクリームのぐるぐるが六巻きの最後にチョンだ。実物を見たらそのでかさに誰でもビビると思う。

 一口食べて、なぜこれが総選挙一位なのかを理解した。
 濃厚な味わいとねっとりとした粘度で舌に絡みつく。
 このソフトクリームのすごいところは、ある程度の時間が経ってもほとんど溶けないことだ。
 一般的なソフトクリームなら、しばらくしたらすぐに溶けて、溶けたソフトクリームを必死で舐めとり形を整えることが本業になってしまう。

 しかし、「きのとや」のソフトクリームはなかなか溶けない。六巻きぐるぐるなのにだぞ。意味が分からん。

 しかもだな、ソフトクリームを食べ進めていくと、中に空洞があるのだ。ソフトクリームの中を覗き込むと、バラのように美しいソフトクリームの巻き巻きの中を見られる感動たるや。
 この空洞が空いていることが、「きのとや」のソフトクリームの粘度をあらわしているのではないだろうか。

 とんでもないボリュームだった。
 今まで食べたことのないソフトクリームだった。出会えてよかった。

 その後、私はチーズタルトをいただいた。焼きたてなのでチーズの部分がしゅわしゅわしている。うまいしコンパクトなので一生食べ続けられる。

 「きのとや」の次は「プロント」に行った。新千歳空港の「プロント」には、岩瀬牧場ソフトクリームというものがあり、これも有名なのだそうだ。

 「きのとや」のソフトクリームを見たあとでは、「プロント」のソフトクリームが小さく見えた。実際は小さくなく、一般的なサイズだ。
 味はサラサラしていて大人の味だった。コーヒーによく合いそうだ。

 「きのとや」も「プロント」もおいしかった。本当はもっと他のソフトクリームも食べたかったのだが、残念ながらここまでだ。
しおりを挟む

処理中です...