女たちは言う。イケメン、美男子、美青年と。

でぃくし

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吸血鬼のため息

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「うっす!先輩、あたしこう見えても人狼なんで!意外と強いっすよー!」
「そうだありちゃん、君はとても強い」

ありちゃんの言葉にたかしは笑顔で答える。

人狼の女、ありちゃん。
西方の戦士の家系に生まれ、運動神経は文句がつけようが無い。その筋肉は弾丸を食い止め、鉄を引き裂くほど強靭で、さらに嗅覚や聴覚といった五感にも優れている。そして何より、彼女は元気いっぱいでとても可愛らしかった。

だが、たかしは思う。
それだけでは裂け目の怪物を狩ることはできないだろう。

なぜなら怪物は様々な特性を備えており、単純な物理攻撃が功を奏さない場合もあるからだ。

「だが油断しちゃいけない。ありちゃん、俺の側から離れるなよ」
「うっ!?う、うっす!せっ、先輩!ぜってぇ離れねえっす!」
「……任務の間だけだ」
「うっす!!」

「……はぁ」

あからさまにため息をつくあたけ。

「どうしたんだ?」
「……別に何でもない」
「大丈夫だ、お前も吸血鬼なら強くなれる。俺は一年で強くなれた」

「もうだいぶ経っちゃったよ……」

お決まりのやりとりをくり返すと、あたけは紫色に染めた髪の毛をいじりながらぼそりと呟いた。

「……お前は俺と違って本物の吸血鬼だから、きっと半吸血鬼の俺よりも強くなるさ」
「……そうかな」
「ああ、間違いない」
「……うん」

たかしが断言すると、あたけは照れくさそうに頬を掻く。

しかし、たかしはあたけについて心配していた。
友人であるということと同時に、もし彼を死なせでもすれば組織内での自分の評価が下がってしまうのではないか考えたからでもある。

だからこそたかしはありちゃんとあたけにコンビを組ませることにしたのだ。

人狼のありちゃんの強力な近接戦闘能力を吸血鬼のあたけが様々な能力でサポートしてやれば、二人の力は飛躍的に上昇するはずだ。それがたかしの考えたことだった。

(あたけは弱い……。だが、きっとすぐに強くなるはずだ。俺と同じように一年で……つっても結構時間経ったよな……)

あたけは驚くべきことにまったく強くなってはいなかった!

現実離れした怪物を狩ることができるのは、現実離れした力を持つ者だけだ。
一般的には吸血鬼や鬼、それから人狼、あるいはそれらの血を引く者、そして特殊な能力を持った人間などがそれに該当する。

だが、あたけに関してはただの人間に近かった。
逆に何ができるのかあたけ自身が知りたいくらいなのかもしれない。

たかしは以前、あたけの能力に関する報告書に目を通したことがあるが、そこには以下の一文が記されているだけだった。

『平均的な左フックを放つ』

……まあ、まだこれからだろう。髪の毛も変な紫色だし……。
そう思いつつ、たかしはあたけの肩に手を置いた。

「あたけ、ありちゃんと二人で連携して戦えばきっと大丈夫だ。いいか?」
「お、おう……」
「うっす!あたけ先輩!よろしくっす~!」

「よ、よろしく……」

ありちゃんに呼び掛けられ、あたけは耳まで真っ赤に染める。
そんな彼を見ながら、なんともわかりやすい奴だなとたかしは思った。

(あたけにはもっと強くなってもらう必要がある。俺のために、そしてありちゃんやあたけ自身のためにも……)

「では行くぞ」
「うっす!」
「う、うん……」

こうして、たかしたちは怪物の目撃情報があった場所へと出発したのだった。
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