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たかしとハダカ、そしてチワワのバスローブ
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「ありちゃん、それでその……」
「うっす!先輩とお泊まりできて超うれしーっす!ベッドは一つだけど一緒に寝れば解決っすね~♪」
「えっ……ああ」
ありちゃんはたかしの言葉を遮るように立ち上がる。
それからソファに転がっていたぬいぐるみたちを窓際のベッドに放り込むと、ぼふんと大きな音を立ててベッドの上に倒れ込んだ。
「ふかふかっす!」
ぶるんと跳ねる自分の胸を見ながら、ありちゃんは満足げに呟く。
(ありちゃんの中ではもう完全にお泊まりすることになっているのか……)
たかしは苦笑する。
少し気を持たせすぎたか?
いや、呪いのテレビとやらを俺にしか相談できなかったんだから仕方ない。
(……俺が側にいた方がありちゃんも安心できるだろうしな)
そもそもバスタオル一枚の彼女と同じベッドで寝るからといって浮気になるわけではあるまい。いや、仮に全裸だとしても、ぬいぐるみ達に埋もれて互いの姿も見えなくなるはずなので問題ないはずだ。
そもそもありちゃんとは任務中にテントで寝泊まりしたこともあるわけだし、行きずりの女と二人きりになるのとはわけが違う。
だから特に問題はないだろう。そうだ、特に問題は生じないはずだ。
「……ふっ」
何を一生懸命になっているんだ俺は。
たかしは鼻息を漏らし、わざとらしい笑みを張りつける。
「では俺もシャワーを浴びてお清めするよ」
「うっす!そんで一緒に呪いのテレビを見るっす!」
「テレビを見るって……その、本当に大丈夫か?」
「先輩がいたら怖いものなしっす!」
「そうか……」
たかしはそれだけ言うと脱衣所へと向かった。
このままではありちゃんとなし崩しに関係してしまうのではないか、という一瞬の不安を無理矢理押し込めて。
(……このマンションでは何があってもおかしくないのかもしれない)
たかしは自分に言い聞かせながらシャツのボタンに手を掛けると、神の化身とも言うべき美しい裸体を脱衣所の鏡の前に晒す。
鏡に絵画やダイヤを映そうと鏡そのものの価値が増すわけではない。
しかし、深い陰影により彩られたたかしの見事な肉体を映し出した鏡は、それだけで一幅の絵画にも勝る輝きを放っていた。その価値は十倍、いや億倍に高まっていてもおかしくはないだろう。
ともあれ今はそんなことはどうでもよい。
「気をしっかり持て……」
そう呟くとたかしは浴室に鍵を掛ける。
うっす!あたしが先輩のお背中流すっす~♪
なーにちょっとしたお礼っすよ~!
う、うっす!狭くておっぱいが先輩に当たっちゃうっす!
先輩ぃ、なにニヤニヤしてるんすかぁ~!
……そんな18禁な展開になるのを避けるためだ。
蛇口をひねり、シャワーヘッドから噴き出した熱い飛沫に肌を差し出しながらたかしは思う。
(俺も、叔父さんのように強くならなければな……)
肉体的な強さではとっくに叔父さんを飛び超えている。
それでもたかしは叔父さんに対し、どうしても超えられない壁のようなものを感じていた。
それは筋繊維の密度や皮膚の弾力性、吸血鬼としての戦闘術のことではない。
メンタルの差、経験の差といってもいいかもしれない。
自分がまだ母親の仇について知らされていないのも、叔父さんからすれば未熟な自分の前途を案じてのことだろう。
「まあいい……今は呪いだ」
シャワーの蛇口をひねり、たかしは冷たい水にその身を委ねる。
そしてお清めは秒で終わり、分で再びその美しさをスーツで覆い隠すと、たかしはさっそうと脱衣所を飛び出した。
「ありちゃん、お風呂ありがとう」
「うっす!先輩、パジャマは着ないんすね」
「うん?ああ……」
「そうだったっす!ここはあたしの部屋っすからね、バスローブ貸してあげるっすよ~!」
そう言うとありちゃんはクローゼットから白いチワワが描かれたピンク色のバスローブを取り出すとたかしに差し出した。
「えっ」
たかしはそれを手に取ると、まじまじと眺める。
若干引いた感じのたかしを見て不安になったのだろう、ありちゃんが慌てたように口を開いた。
「……ひょっとして嫌いな色だったっすか?」
「いやそういうわけじゃない。後で着替えるよ、ありがとう」
たかしは礼を言うとバスローブを脇に抱え、ソファに座り込む。
ありちゃんはベッドの上でぬいぐるみを抱き締めながら画面を凝視している。丸太のような腕を巻き付けられたくまさんは今にも頭が千切れそうだ。
「さーてと……呪いのテレビの謎を暴くとするかな」
あまりにもわざとらしいたかしの声。
もちろんありちゃんが不安にならないようにするためだ。
たかしはリモコンを手を取る。
ありちゃんの話では、呪いのテレビのとある映像を見ると心臓がバクバクして、死にそうに苦しくなってしまうらしい。
ごくりと唾を飲む込むありちゃん。
先ほどまでとは打って変わり、見たこともないような真剣な表情だ。
「ありちゃん」
たかしはそんな彼女に微笑みを浮かべ、優しく語りかける。
「なんすか先輩?」
「何があっても俺が守るよ」
「うー……うす……」
ありちゃんの恥ずかしそうな返事を背に、たかしはリモコンのボタンを押した。
「うっす!先輩とお泊まりできて超うれしーっす!ベッドは一つだけど一緒に寝れば解決っすね~♪」
「えっ……ああ」
ありちゃんはたかしの言葉を遮るように立ち上がる。
それからソファに転がっていたぬいぐるみたちを窓際のベッドに放り込むと、ぼふんと大きな音を立ててベッドの上に倒れ込んだ。
「ふかふかっす!」
ぶるんと跳ねる自分の胸を見ながら、ありちゃんは満足げに呟く。
(ありちゃんの中ではもう完全にお泊まりすることになっているのか……)
たかしは苦笑する。
少し気を持たせすぎたか?
いや、呪いのテレビとやらを俺にしか相談できなかったんだから仕方ない。
(……俺が側にいた方がありちゃんも安心できるだろうしな)
そもそもバスタオル一枚の彼女と同じベッドで寝るからといって浮気になるわけではあるまい。いや、仮に全裸だとしても、ぬいぐるみ達に埋もれて互いの姿も見えなくなるはずなので問題ないはずだ。
そもそもありちゃんとは任務中にテントで寝泊まりしたこともあるわけだし、行きずりの女と二人きりになるのとはわけが違う。
だから特に問題はないだろう。そうだ、特に問題は生じないはずだ。
「……ふっ」
何を一生懸命になっているんだ俺は。
たかしは鼻息を漏らし、わざとらしい笑みを張りつける。
「では俺もシャワーを浴びてお清めするよ」
「うっす!そんで一緒に呪いのテレビを見るっす!」
「テレビを見るって……その、本当に大丈夫か?」
「先輩がいたら怖いものなしっす!」
「そうか……」
たかしはそれだけ言うと脱衣所へと向かった。
このままではありちゃんとなし崩しに関係してしまうのではないか、という一瞬の不安を無理矢理押し込めて。
(……このマンションでは何があってもおかしくないのかもしれない)
たかしは自分に言い聞かせながらシャツのボタンに手を掛けると、神の化身とも言うべき美しい裸体を脱衣所の鏡の前に晒す。
鏡に絵画やダイヤを映そうと鏡そのものの価値が増すわけではない。
しかし、深い陰影により彩られたたかしの見事な肉体を映し出した鏡は、それだけで一幅の絵画にも勝る輝きを放っていた。その価値は十倍、いや億倍に高まっていてもおかしくはないだろう。
ともあれ今はそんなことはどうでもよい。
「気をしっかり持て……」
そう呟くとたかしは浴室に鍵を掛ける。
うっす!あたしが先輩のお背中流すっす~♪
なーにちょっとしたお礼っすよ~!
う、うっす!狭くておっぱいが先輩に当たっちゃうっす!
先輩ぃ、なにニヤニヤしてるんすかぁ~!
……そんな18禁な展開になるのを避けるためだ。
蛇口をひねり、シャワーヘッドから噴き出した熱い飛沫に肌を差し出しながらたかしは思う。
(俺も、叔父さんのように強くならなければな……)
肉体的な強さではとっくに叔父さんを飛び超えている。
それでもたかしは叔父さんに対し、どうしても超えられない壁のようなものを感じていた。
それは筋繊維の密度や皮膚の弾力性、吸血鬼としての戦闘術のことではない。
メンタルの差、経験の差といってもいいかもしれない。
自分がまだ母親の仇について知らされていないのも、叔父さんからすれば未熟な自分の前途を案じてのことだろう。
「まあいい……今は呪いだ」
シャワーの蛇口をひねり、たかしは冷たい水にその身を委ねる。
そしてお清めは秒で終わり、分で再びその美しさをスーツで覆い隠すと、たかしはさっそうと脱衣所を飛び出した。
「ありちゃん、お風呂ありがとう」
「うっす!先輩、パジャマは着ないんすね」
「うん?ああ……」
「そうだったっす!ここはあたしの部屋っすからね、バスローブ貸してあげるっすよ~!」
そう言うとありちゃんはクローゼットから白いチワワが描かれたピンク色のバスローブを取り出すとたかしに差し出した。
「えっ」
たかしはそれを手に取ると、まじまじと眺める。
若干引いた感じのたかしを見て不安になったのだろう、ありちゃんが慌てたように口を開いた。
「……ひょっとして嫌いな色だったっすか?」
「いやそういうわけじゃない。後で着替えるよ、ありがとう」
たかしは礼を言うとバスローブを脇に抱え、ソファに座り込む。
ありちゃんはベッドの上でぬいぐるみを抱き締めながら画面を凝視している。丸太のような腕を巻き付けられたくまさんは今にも頭が千切れそうだ。
「さーてと……呪いのテレビの謎を暴くとするかな」
あまりにもわざとらしいたかしの声。
もちろんありちゃんが不安にならないようにするためだ。
たかしはリモコンを手を取る。
ありちゃんの話では、呪いのテレビのとある映像を見ると心臓がバクバクして、死にそうに苦しくなってしまうらしい。
ごくりと唾を飲む込むありちゃん。
先ほどまでとは打って変わり、見たこともないような真剣な表情だ。
「ありちゃん」
たかしはそんな彼女に微笑みを浮かべ、優しく語りかける。
「なんすか先輩?」
「何があっても俺が守るよ」
「うー……うす……」
ありちゃんの恥ずかしそうな返事を背に、たかしはリモコンのボタンを押した。
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