お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。

イコ

文字の大きさ
56 / 153
第二話

たくさんの人がいると、整理はできないね。

しおりを挟む
 グランド・ユナイト・フェスティバル、通称「GUF(グフ)」がついに幕を開けた。

 初日は、学園都市全体がお祭り騒ぎの開会式だ。

 学園都市に通う生徒は、三学年あり、多種多様な種族に国が存在する。

 それはある意味で、誰でも学園都市に入ることができて、見学も許されている。

 こんなにも無警戒で大丈夫かと言いたくなるが、一応は学園都市側も、この時期に学園都市にやってくるする者には、マーキングという魔道具をつけてもらって、学園都市を出るまで外せないリングを装着してもらう決まりになっている。

 それはもちろん、学園都市で働く全ての大人も同様であり、以外は全てが監視されているというわけだ。

 ただ、それでも学園都市全体が祭りの喧騒に包まれ、各地から集まった貴族、王族、そして平民の学生たちは楽しそうにフェスティバルに参加する。

 街は華やかな色彩と活気に溢れている。この祭典の目的は「国や種族を超えた協力を表す、統合の象徴」として、互いを理解し合うための交流と競技ということになっている。

 だが、これは表向きの話だ。

「フライ様、準備はできましたか?」

 エリザベートとアイリーンさんが、今日も麗しい微笑みを浮かべながら私を見つめている。いや、いつも以上にニヤニヤとしている。

 今日は開始日のために、私も貴族として、身なりを整えて座席していた。

「まぁね。でも、どうしても気が進まないなぁ」

 ジュリアとレンナが私の横で護衛についている。ジュリアは元気いっぱいだが、レンナは未だ不満げに腕を組んでいた。

「貴族の祭典に何を緊張しているのですか?」
「いや、エリザベート。僕って社交界デビューもしてないんだよ。それにこれだけの人々が集まって、各国のお偉いさんも来ているんだ。これ、絶対裏で何か起きるだろ」
「フライ様が言われると現実になりそうで怖いです」

 表向きは種族間の協力や交流を祝う大イベントだが、各国や種族がひとつの場に集まるとなれば、当然、互いの思惑や対立がぶつかり合うことになる。

 そして、これを嫌う者、あるいは利用しようとする者が必ず現れる。

「でも、まずは競技の話からだな」

 色々な予測をしていると、魔道具で作られた巨大なモニターに司会を行う者の顔が映し出される。

 
 グランド・ユナイト・フェスティバルは一ヶ月近くの時間を使って、四つの競技が行われる。

 1、「グラディエーター・アリーナ」

 1対1の決闘。

 剣士、魔法使い、獣人、魔物使い、各々が自らの能力を駆使して、競い合う。各地で予選が行われて最初の一週間目最終日に決勝戦が、アリーナで行われる。
 
 だが、この競技の見どころは単なる力比べではなく、種族ごとの異なる「個性」をどう生かすかであり、またフェル爺さん曰く。これもギャンブルじゃよと教えてくれた。

 まぁボートレースよりも、学園都市が主導で行う合法格闘技大会だね。ロガン王子が好きそうだ。


 2、「エア・レース」

 空中に設置された浮遊リングをくぐり抜け、ゴールを目指す競技。飛行可能な種族や魔法を得意とする者が有利だが、魔法妨害や風の魔道具による妨害も認められている。

 これはボートレースの応用で、自分が飛べなくても、魔力で浮かせたアイテムで浮遊リングを潜れば問題ない。魔力の少ない者でも工夫すれば攻略ができる。

 ボートレースはそのための訓練と言っても良い。これも最終日に六人の選手が選ばれて、決勝戦が行われる。

 エドガーの得意競技で、ブライド皇子の命令で参加するかな?


 3、「クラウン・バトルロイヤル」

 各チームが陣地を守りつつ、相手のクラウン(王冠)を奪い合う団体戦。知略、指揮能力、そして戦力配分が問われる。

 一チーム20名の縛りで、フラッグ奪取に似たルールだ。参加する表明をして、陣地を与えれてクラウンを奪えば勝ち。フラッグ奪取と違うところを上げれば、クラウンが強ければ、敵を倒すことも許されている。

 アイス王子が参加しそうな競技だ。


 4、「トライアル・ラビリンス」

 最後の週に行われる競技は、魔力を帯びた迷宮を探検し、隠された宝物を見つけ出す競技。罠や幻術が仕掛けられた中で、魔法と知恵、そしてチームワークが試される。

 所謂宝探しで、学生たちが入り乱れて迷宮の探索を行う。普段は魔力によって魔物の流入を制限しているが、一部を除いて、魔物を迷宮に招き入れて、学生たちに討伐させながら、探索を行わせる。
 

「フライ様は、どの競技に参加されるのです」
「どれにも参加をしないよ」
「フライ様が本気で参加されれば、無敵だと思うのですが」
「エリザベート、僕はただの平凡な公爵家次男だよ。かいかぶり過ぎだよ」

 さて、どうなるのかな? フェル爺さんが言っていた「自由主義」を掲げる闇の組織「リベルタス・オルビス」。

 彼らは表向き「種族の自由と尊重」を唱えているが、その実、種族統合の流れを徹底的に妨害しようとしている。

 そして、表舞台では小説の主人公的な英雄「平民の英雄」が動く。

「エリザベート、アイリーンさん、ジュリア。想像してごらん」
「はい?」
「今回のイベントには、貴族や王族だけじゃなく、平民たちも参加してるよね。そして、その中には必ず“特別な才能”を持つ者が現れるはずだ」
「平民の英雄……ですか?」

 私はいつもながら適当な話題で、エリザベートやアイリーンさんとの会話を楽しむ。

「そう。例えば、剣と魔法に愛された少年。あるいは、獣人の血を引く隠れた戦士。彼らはこのイベントの中で何かを成し遂げ、英雄として名を馳せる。だが、それが誰かに利用されるとしたら?」

 ジュリアの耳がピクリと動く。

「ご主人様、何が言いたいの?」
「『貴族や王族が支配する世界ではなく、自由な生き方を』」
「えっ?」

 エリザベートが眉をひそめる。

「はは、まぁ想像だけどね」
「そんな……それでは混乱が起きますわ」
「そう。そこで僕は考える。どうすれば面白いかなってね」
「ふふ、フライ様はどんな状況でも楽しまれているのですね」

 エリザベートとジュリアは困惑していましたが、アイリーンさんは私の言葉で笑ってくれます。

「ああ、本当に最高だよね」

 本当にこの世界は面白い。各々の想いや思考が交錯する。
 
 それを観客として特等席で観れるのだから楽しいね。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

処理中です...