お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。

イコ

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第三章

面白いやつに会いに行こう

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 二日目の朝を迎えた。気持ちいい朝だ。青空が広がっていて、森の中は静かでいい。魔物の襲撃もなく穏やかな一日を迎えられた。

 お酒を常備するのを忘れたのが悔やまれる。

 だが、一週間、もしくはもっと早くに決着がつくかもしれないなら、その期間だけでも禁酒としよう。

 さて、人数は最も多くて、陣地も2倍に増えた。

 そして、落とし所は昨日の内に話し合った。

 このままゆるりと待っているだけでも良さそうに思えるが、それではつまらない。

「ゲームを運営だけが動かすなんて、つまらないことはしないよね。僕は遊びが好きで、適当にこの世界を謳歌すると決めたんだ」

 自分の死があるとしても、その時まで楽しく過ごして満足したい。

 運営側の説明が、クラウン・バトルロワイヤルの二日目に届いた。

『参加者各位、これより特別ルールを発動します。代表者戦を実施します。各チームの代表者を選出し、中央エリアにて戦闘を行ってください。勝者は敗北した代表者が属するチームのメンバーを配下として獲得されます」

 この発表により、中央エリアに進むための動きが活発化する。

「代表者戦か……面白いけど、参加する必要はないよね。バクザン、平民同盟の中から一人を選んで参加させてあげて」
「いいですか?」
「ああ、勝つ必要はないからね」
「わかりました!」

 ノクスが眉をひそめる。

「いいんですか? 俺が出ても」
「いいんだよ。ただの余興だからね。平民同盟の子に注目を集めさせてあげよう」

 ノクスの肩を叩いて今回は出番がないと伝える。

「僕たちが中央に向かって戦うなら、他のチームの注目を集めるだけだよ。みんなで殴り合いを始める間に、僕たちは別のことをする」
「別のこと?」

 そう言って私は地図を広げ、指で自由同盟の陣地を示した。

「自由同盟だな。フライの兄貴、いよいよ乗り込むのか? 初日は随分と暴れていたみたいだぜ」

 バクザンが嬉しそうに拳を鳴らす。

「そうだよ、バクザン。彼らのリーダー、フリーダム。彼には直接会って話をしたいんだ。それに……」

 私は地図を指しながら続けた。

「彼らってドラゴンに乗っているだろ。なんだか楽しそうだなって」
「はは、そんな理由で、フライの兄貴を相手にするあいつらが不運ですね」
「主人様が行くなら私も行きたいです!」

 ジュリアが尻尾を振りながらにっこり笑った。
 レンナも腕を組んで笑う。

「ふん、力比べなら私が一番適任だね」
「そうだね、二人とも私の護衛を頼むね」
「「はい!」」

 自由同盟の陣地は巨大な地面をかけるラドンが待ち構えている。

「やっぱり派手だねぇ。ああいう連中、僕は嫌いじゃないよ」

 私は微笑みながら、陣地を見上げる。

「フライの兄貴、正面突破かい?」

 バクザンが尋ねる。

「もちろん、せっかく面白い人たちに会いに行くんだから正面から行かないとね」
「よし、じゃあ僕たちはラドンに会いに行こう」
 
 私はそう指示を出しながら、残った仲間たちに目を向けた。

「なんだぁ? 誰だてめぇら!」

 陣取るフリーダムが、大声を張り上げてこちらを睨む。彼の背後には巨大なラドンが控え、威圧感を放っている。

「初めまして、ローズガーデンのフライ・エルトールだよ。今日は少し話をしたくてね」

 私は微笑みながら一歩踏み出す。

「話ぃ? てめぇみてぇな貴族と話すことなんざねぇよ!」

 フリーダムは挑発するように声を荒げるが、その表情はどこか戸惑いを含んでいた。

「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ。僕が言いたいのはシンプルだ。君たちの力を僕に貸してほしい」

 私の言葉に、フリーダムは一瞬だけ黙り込む。

「俺たちがてめぇの下につくって? バカにしてんのか!」

 そう叫ぶと同時に、ラドンが咆哮を上げる、巨体でこちらを威圧し始めた。

「フリーダム。君の強さと仲間たちの絆、僕はそれを認めてるよ。でもね、こうしてバラバラに戦っている間に、他のチームがどんどん力をつけていく。それがいいのかい?」

 私の言葉に、フリーダムは苦笑しながら拳を握った。

「ふん、言いたいことはわかった。だが、俺たちは力で決める主義だ。てめぇが俺を倒せるってんなら、話ぐらい聞いてやる!」

 フリーダムがラドンの上に乗って叫ぶ!

「なるほどね。うん。やっぱりシンプルでいいね。さぁ、来なよ、フリーダム。君がどれだけ強いか、僕も見せてもらいたい」

 私は剣を抜き、静かに構える。

「舐めんなよ、てめぇ!」

 フリーダムが豪快に突っ込んできた。ラドンの上から飛び降りて拳を振るう。

 なんのために乗ったのかわからないが、彼の剛腕をかわしながら、猛攻が連打される。

 全てを躱しながら、汗だくのフリーダムに笑いかける。

「どうだい、まだやるかい?」
 
 私は息を整えるフリーダムに問いかける。

「……クソが! テメェみてぇな貴族で好き勝手している奴は気に食わねぇ! 男なら自分の力で示すもんだろうが!?」

 フリーダムは拳を握りしめて、啖呵を切る。

「うん、いいね。君なら、そういうと思ったから僕自身が態々来たいんだよ。バクザン、他の奴らは任せるよ」
「へい。フライの兄貴」
「バクザン! 鬼人バクザンかよ! どうしてあんたみたいな人が!」
「バクザン知り合い?」
「いいや、まぁあっしも昔は悪さをしていたもんで」

 バクザンが恥ずかしそうに笑う。

「フリーダム、お前はフライの兄貴を認めたいと思うなら、胸を借りてみな」
「……へへ、面白いれぇじゃねぇか!? ラドン様! バクザンが認めた男に挑む勇気をよ! おい! エルトールって言ったな。お前に本気で挑む。ラドンと俺のチームに勝てるか?」
「もちろんいいよ。君たちは二人で一人でしょ?」
「へへ、粋じゃねぇか?!」

 ラドンの上に乗ったフリーダムが、巨大な槍を構える。

 これからが本気ってことだ。
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