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婚約
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私たちは心ゆくまで魔力を馴染ませあった後、お母様たちにそのことを告げることにした。私たちふたりで魔力のやりとりをすれば、普通に暮らせる。健康な子と何ら変わらなくなるのだから、出来るだけハルクと一緒に居たい。というのは建前で、逆行の前、私が第2王子殿下の婚約者になってから、ずっとずっとお互いに蓋をして殺してきた想いが溢れてきてしまった。
「なんてこと!」
「家族でも無理だったのに。これも縁なのかしらねぇ」
お母様たちは、涙を流して喜んでくれた。それはすぐにお父様たちにも伝わった。お母様達とは違い、私たちの話を鵜呑みにはしてもらえず、症状が現れたときに検証することで話が纏まった。確証を得たい気持ちは分かる。それから13日後、ザカルヴィア家から先触れがあったすぐ後にハルクが真っ白な顔をして震えながら運ばれてきたが、私はその姿を見てはいない。熱に魘されてベッドで横たわっていたから。こちらが先触れを出そうとした矢先のことだった。
「パール。ハルクール殿が来たよ?分かるか?」
心配そうなお父様の声がぼんやりと聞こえる。
ハルク、来た?
ベッドが揺れて隣に何かが置かれたのが分かった。それはひんやりとして気持ちがいい。すぐにハルクだと気が付いた。もっと近くに寄りたくてもなかなか身体が言うことを聞かない。もどかしく思う私の手を誰かが取り、冷たい手と繋げてくれた。熱がスッと引いていく。漸く少しだけ動かせるようになった身体をコロンとハルクの方へと転がすとコツンと額が合わさった。繋いだ手とは反対の冷たい手が頬に触れる。私はその手に自分の手を重ねて、漸くほっと身体の力を抜いた。そんな私達の様子を見ていたお父様達がなんとも言えない複雑な表情を浮かべていたことを私は知らない。
「どうやら、本当だったな」
「ああ。だが、あれは・・・・」
「さすがに不味いな」
「嫁にはやらんぞ」
「仕方ないな。家には長男と3男がいるしな。婿に出すさ。生きていてくれればそれでいい」
「うむぅ・・・・」
「あいつも13歳だ。ふたりの身体のことを思えば、ハザンテール家に厄介になる方がいいと思うが?」
「・・・・仕方ないな早急に婚約を結ぶぞ」
そして、その日のうちに、私たちの婚約が結ばれた。ハルクは、ハザンテール公爵家の入り婿として迎えられることになり、将来のため公爵家で暮らすことになった。これで、私たちの未来は安泰だ、とそう思ったのだ。
ハルクとの婚約から幾日も経っていないある日、朝からお父様が王宮に呼び出された。現在、城に勤めていないお父様が呼び出されることなどないはずなのだ。しかも、呼び出した相手は王族だという。ソワソワと落ち着かない屋敷にお父様が帰ってきたのは昼過ぎ。それも、とても疲れた顔をして。
「どうしたの、あなた?王宮で何かあったの?」
「王妃様にも困ったものだ。パーレンヴィアの婚約のことを耳にされてな」
「陛下に聞いたのかしら?」
「ああ」
リビングに集まったお母様と私、それにハルクに歯切れ悪く言い淀むと難しい顔をみせた。
「病が良くなったのなら、第2王子殿下の婚約者にと・・・・」
「え?!第2王子殿下には既に婚約者がお有りでしょうに。第2王子派の筆頭ベルタッシュ侯爵家のご令嬢ソフィアーナ嬢でしたかしら」
「それを解消するから、とね」
「馬鹿げたことを」
お母様は「ハァ」と溜め息をつき、米神にほっそりとした指をあて首を横に振っている。お父様も頭が痛いと言わんばかりだ。私はハルクの手をぎゅっと握った。
「わたくしの病は治ってはいません、お父様」
「分かっているよ。王太子殿下も妃殿下も分かってくださっている。王妃様の意向は別として、第1王子殿下はとても優秀だ。無理に第2王子殿下を王太子とするつもりはないと伺った。国王陛下もふたりの婚約の理由を分かってくださっている」
それなら、前のように王命で無理矢理はなさそうだが、絶対ではない。
「ベルタッシュ侯爵令嬢は、第2王子殿下と同い年でしたよね?ならば、第2王子殿下はパールと同じ歳にご入学ですか?」
ハルクが私の手を握り返してくれながら、少し考えるようにお父様を見た。
「ああ、おそらくそうなるだろう」
「僕は3年入学を遅らせて、パールと同じ年から学園に通うことにします。体質のこともありますし、一緒に居た方が都合がいい」
そうか。本来ならハルクは来年から学園に入るんだった。前は第1王子殿下の学友兼側近候補として一緒に学園生活を送っていた。逆行した今は、お互いに学園に通えるかさえ怪しかったから忘れていた。
「そうだな。お互いに近くに居る方がいろいろと安心だろう」
「「はい」」
この国の学園は14歳~20歳までに3年間通えばいいから、家の方針など様々な理由で入学の年齢はバラバラだ。
「第1王子殿下も3年遅らせるそうだよ」
第1王子殿下が?何故?第1王子殿下の婚約者は同い年だったはず。他に遅らせる理由もない。と言うことは、第1王子殿下と第2王子殿下は同級生ということになる。
私はハルクと顔を見合わせた。
「理由を聞いても?」
私の問いに、お父様は片眉を上げた。
「『聖なる力を宿す者』が現れた。今は神殿で保護されている。どのような力なのかまだ分からないが、それを見極めるためにも第1王子殿下はその者と交流できるよう入学を遅らせることになった」
「聖なる力を宿す者・・・・」
何処かで聞いたことがある言葉だった。何処で?
「パール?どうしたの?何か気になることでもあった?」
ハルクが私の呟きを拾ってか、心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「ううん。聖なる力とは、どのようなものなのか、気になって。わたくしもハルクもまだ適性を知らないでしょう?だから」
それも嘘じゃない。私とハルクは、この体質のせいでまだ魔力検査を受けていなかった。
「そういえば、パーレンヴィアもハルクールも、検査を受けていなかったな。よし!ザカルヴィア家と相談して、近いうちに神殿に行こう」
時を戻したことで、ううん。私たちが払った対価の影響で未来が大きく変わったように感じる。逆行前の人生と今は似ているようできっと全く違う新しい人生なんだとこの時漸く受け入れることが出来た。そして、私とハルクは今度こそ幸せになろうと誓い合った。
「なんてこと!」
「家族でも無理だったのに。これも縁なのかしらねぇ」
お母様たちは、涙を流して喜んでくれた。それはすぐにお父様たちにも伝わった。お母様達とは違い、私たちの話を鵜呑みにはしてもらえず、症状が現れたときに検証することで話が纏まった。確証を得たい気持ちは分かる。それから13日後、ザカルヴィア家から先触れがあったすぐ後にハルクが真っ白な顔をして震えながら運ばれてきたが、私はその姿を見てはいない。熱に魘されてベッドで横たわっていたから。こちらが先触れを出そうとした矢先のことだった。
「パール。ハルクール殿が来たよ?分かるか?」
心配そうなお父様の声がぼんやりと聞こえる。
ハルク、来た?
ベッドが揺れて隣に何かが置かれたのが分かった。それはひんやりとして気持ちがいい。すぐにハルクだと気が付いた。もっと近くに寄りたくてもなかなか身体が言うことを聞かない。もどかしく思う私の手を誰かが取り、冷たい手と繋げてくれた。熱がスッと引いていく。漸く少しだけ動かせるようになった身体をコロンとハルクの方へと転がすとコツンと額が合わさった。繋いだ手とは反対の冷たい手が頬に触れる。私はその手に自分の手を重ねて、漸くほっと身体の力を抜いた。そんな私達の様子を見ていたお父様達がなんとも言えない複雑な表情を浮かべていたことを私は知らない。
「どうやら、本当だったな」
「ああ。だが、あれは・・・・」
「さすがに不味いな」
「嫁にはやらんぞ」
「仕方ないな。家には長男と3男がいるしな。婿に出すさ。生きていてくれればそれでいい」
「うむぅ・・・・」
「あいつも13歳だ。ふたりの身体のことを思えば、ハザンテール家に厄介になる方がいいと思うが?」
「・・・・仕方ないな早急に婚約を結ぶぞ」
そして、その日のうちに、私たちの婚約が結ばれた。ハルクは、ハザンテール公爵家の入り婿として迎えられることになり、将来のため公爵家で暮らすことになった。これで、私たちの未来は安泰だ、とそう思ったのだ。
ハルクとの婚約から幾日も経っていないある日、朝からお父様が王宮に呼び出された。現在、城に勤めていないお父様が呼び出されることなどないはずなのだ。しかも、呼び出した相手は王族だという。ソワソワと落ち着かない屋敷にお父様が帰ってきたのは昼過ぎ。それも、とても疲れた顔をして。
「どうしたの、あなた?王宮で何かあったの?」
「王妃様にも困ったものだ。パーレンヴィアの婚約のことを耳にされてな」
「陛下に聞いたのかしら?」
「ああ」
リビングに集まったお母様と私、それにハルクに歯切れ悪く言い淀むと難しい顔をみせた。
「病が良くなったのなら、第2王子殿下の婚約者にと・・・・」
「え?!第2王子殿下には既に婚約者がお有りでしょうに。第2王子派の筆頭ベルタッシュ侯爵家のご令嬢ソフィアーナ嬢でしたかしら」
「それを解消するから、とね」
「馬鹿げたことを」
お母様は「ハァ」と溜め息をつき、米神にほっそりとした指をあて首を横に振っている。お父様も頭が痛いと言わんばかりだ。私はハルクの手をぎゅっと握った。
「わたくしの病は治ってはいません、お父様」
「分かっているよ。王太子殿下も妃殿下も分かってくださっている。王妃様の意向は別として、第1王子殿下はとても優秀だ。無理に第2王子殿下を王太子とするつもりはないと伺った。国王陛下もふたりの婚約の理由を分かってくださっている」
それなら、前のように王命で無理矢理はなさそうだが、絶対ではない。
「ベルタッシュ侯爵令嬢は、第2王子殿下と同い年でしたよね?ならば、第2王子殿下はパールと同じ歳にご入学ですか?」
ハルクが私の手を握り返してくれながら、少し考えるようにお父様を見た。
「ああ、おそらくそうなるだろう」
「僕は3年入学を遅らせて、パールと同じ年から学園に通うことにします。体質のこともありますし、一緒に居た方が都合がいい」
そうか。本来ならハルクは来年から学園に入るんだった。前は第1王子殿下の学友兼側近候補として一緒に学園生活を送っていた。逆行した今は、お互いに学園に通えるかさえ怪しかったから忘れていた。
「そうだな。お互いに近くに居る方がいろいろと安心だろう」
「「はい」」
この国の学園は14歳~20歳までに3年間通えばいいから、家の方針など様々な理由で入学の年齢はバラバラだ。
「第1王子殿下も3年遅らせるそうだよ」
第1王子殿下が?何故?第1王子殿下の婚約者は同い年だったはず。他に遅らせる理由もない。と言うことは、第1王子殿下と第2王子殿下は同級生ということになる。
私はハルクと顔を見合わせた。
「理由を聞いても?」
私の問いに、お父様は片眉を上げた。
「『聖なる力を宿す者』が現れた。今は神殿で保護されている。どのような力なのかまだ分からないが、それを見極めるためにも第1王子殿下はその者と交流できるよう入学を遅らせることになった」
「聖なる力を宿す者・・・・」
何処かで聞いたことがある言葉だった。何処で?
「パール?どうしたの?何か気になることでもあった?」
ハルクが私の呟きを拾ってか、心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「ううん。聖なる力とは、どのようなものなのか、気になって。わたくしもハルクもまだ適性を知らないでしょう?だから」
それも嘘じゃない。私とハルクは、この体質のせいでまだ魔力検査を受けていなかった。
「そういえば、パーレンヴィアもハルクールも、検査を受けていなかったな。よし!ザカルヴィア家と相談して、近いうちに神殿に行こう」
時を戻したことで、ううん。私たちが払った対価の影響で未来が大きく変わったように感じる。逆行前の人生と今は似ているようできっと全く違う新しい人生なんだとこの時漸く受け入れることが出来た。そして、私とハルクは今度こそ幸せになろうと誓い合った。
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