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決断、その前に・・・・
俺たちに内緒で、土の精霊王の巫女と会ったあとから、ヒカの様子がおかしい。やっと、ヒカが俺たちのことを意識し始めてくれたのに。確かにあの時は俺たちも内緒にされたことにショックを受けてヒカを責めてしまった。早い話が嫉妬したわけだ。あれ以来どこか上の空で、俺たちと視線が合わない。ヒカに愛想を尽かされたのか?俺たちが何をどう尋ねても「何もないよ」「気のせいじゃない?」としか言わない。何もないわけないんだ。俺たちが寝静まった夜中にベッドを抜け出して、ひとりで窓から外を見ているのを知らないとでも思っているのか。相談さえしてくれれば、一緒に考えることもできるのに。
「それで、僕に?」
「ああ。あの日、何を話していたのか教えてほしい。ヒカが、笑わなくなったんだ。いつもどこか上の空で・・・・」
不本意ながら、土の精霊王の巫女を頼ることにした。ヒカと同郷と言うだけでなく、友人である彼なら何か知っているのではないか。このままではヒカが壊れてしまいそうで藁にもすがる思いだ。ライはヒカについている。
「ハァ。それはさ、僕と話したことは無関係だよ」
「何故そうはっきりと言える?」
「僕もさ、ここに来た当初、同じようになったからね。ねぇ、ロルフ?」
土の精霊王は気まずそうに視線を逸らした。同じように?どう言うことだ?
「ですから、あれ以来考慮しているでしょう」
「じゃあ、どうして光梨と会ったとき着いてきたの?」
「それは!あなたたち二人の距離が近すぎるからで。ですが、ちゃんと離れていたでしょう?」
「土の精霊王、知っていることがあるなら教えてほしい」
マナーに反しているのは承知の上で、二人の会話に割って入った。ここで痴話喧嘩などされては目的が果たせない。
「私も身に覚えのあることですが。ついて回りすぎると言うか・・・・」
土の精霊王は言葉を濁した。ヒカは俺たちがくっついているのが嫌なのか?
「違うでしょ?」
土の精霊王の巫女がジト目を向けた。
「ハァ。あなたたち、光梨を閉じ込めてない?光梨の自由を奪ってない?」
「ぁ・・・・」
その言葉には心当たりがありすぎた。
「だが、それは!」
「うん。光梨は女性だからね。ひとりで外出させられないのはわかるよ。仕事もあるし。でもね、安全な神域で僕と会うことすら自由にできない。それを責められたら、どう思う?責めたんでしょ?・・・・些細な切っ掛けでこの世界の理不尽を思い知るんだよ。光梨はあちらの世界で制限されることなく自由に出掛けたり人と会ったりしてたんだ。知り合いや愛する家族のいるあちらが恋しくなっても仕方ないよね?・・・・やっと、自分の心に気づいたとこだったのに」
「え?わるい、最後聞こえなかったんだけど、なんて?」
土の精霊王の巫女はニッコリと笑うだけで、俺の問いには答えてくれなかった。
俺は・・・・何も言い返せなかった。こちらの世界の女性は限られたところにしか行かない。常に親兄弟、伴侶に守られている。それが難しい平民は、安全のために幼い頃に早々に神殿にやってくるのだ。この世界について話したとき、ヒカが言ってたじゃないか。この世界は女性にあまり優しくないようだと。だから、ヒカには無理しなくていい、外面を保てればいい等と言ったのだが、知らないうちに無理を、させていたのか?そうだとしたら・・・・。
「どうしたら・・・・」
俺たちはヒカのことを第一に考えるべきだ。手にしていたもの全てを取り上げられて、俺たちの元に来てくれたのだから。なにより、ヒカには笑顔でいてほしい。
苦悶する俺をよそに、再び二人が言い合いを始めた。
「ロルフも。あんまり束縛するなら、またひとりで旅に出るよ?」
「それは!」
「あっ!光梨も連れていこうかな?」
不穏な言葉が聞こえた。
「は?何だと」
「だ~か~ら!光梨を連れてこの世界を旅しようかな。閉じ込めておくと光梨が壊れそうだし、最近ロルフの監視も鬱陶しくなってきたし?」
「ダメに決まってる!」「だめです!」
「なら、ロルフは、もう少し僕を信用して」
「善処します」
「ん?」
「クッ・・分かりました。友人に会うときは家で待つことにします」
「うん。そうして。それから、光梨だけど、このままだと、逃げるかもね?」
「どう言うことだ?」
「例えば、お見合い相手から伴侶を選んで逃げ場にするとか、あなたたちに見つからない隠れ家を用意するとか、それこそひとりで旅に出ちゃうとかしかねない」
「なっ!」
「光梨はあなたたちが思っているよりも行動力あるからね?それから、これは光梨のためにも助言ね?あなたたち、光梨に何も告げずに伴侶申請したでしょ。そのせいで光梨は伴侶となった実感を持てずにいることに気づいてる?光梨の、ただ一緒に暮らしてる同居人っていう認識を変えたほうがいいよ」
なんてことだ。ヒカの存在を公にしたくなくてした行為が自分達の首を絞めていたなんて・・・・。
「光梨はさ、自分で刺繍したウェディングドレスに憧れてたから、それを利用したら?」
土の精霊王の巫女がヒカの世界の結婚式のことを教えてくれた。
「えっ?!ワタル、自分の時にはそんなこと何も言いませんでしたよね」
「だって、必要なかったし?」
「そんな・・・・。今からでも。ワタルのドレスは私が!」
「やだよ。着ないからね?!だから、言わなかったんだ」
言い合いを始めた二人をどうにか宥め、俺はその結婚式というもののことをさらに細かく聞き出した。ヒカも一緒に式の準備を進めることで、楽しんでくれるといい。
だが、その前に俺とライにはやることがある。俺は土の精霊王たちと別れた後、ライと話し合い、その日のうちに、聖騎士団の団長の元を訪れた。
「それで、僕に?」
「ああ。あの日、何を話していたのか教えてほしい。ヒカが、笑わなくなったんだ。いつもどこか上の空で・・・・」
不本意ながら、土の精霊王の巫女を頼ることにした。ヒカと同郷と言うだけでなく、友人である彼なら何か知っているのではないか。このままではヒカが壊れてしまいそうで藁にもすがる思いだ。ライはヒカについている。
「ハァ。それはさ、僕と話したことは無関係だよ」
「何故そうはっきりと言える?」
「僕もさ、ここに来た当初、同じようになったからね。ねぇ、ロルフ?」
土の精霊王は気まずそうに視線を逸らした。同じように?どう言うことだ?
「ですから、あれ以来考慮しているでしょう」
「じゃあ、どうして光梨と会ったとき着いてきたの?」
「それは!あなたたち二人の距離が近すぎるからで。ですが、ちゃんと離れていたでしょう?」
「土の精霊王、知っていることがあるなら教えてほしい」
マナーに反しているのは承知の上で、二人の会話に割って入った。ここで痴話喧嘩などされては目的が果たせない。
「私も身に覚えのあることですが。ついて回りすぎると言うか・・・・」
土の精霊王は言葉を濁した。ヒカは俺たちがくっついているのが嫌なのか?
「違うでしょ?」
土の精霊王の巫女がジト目を向けた。
「ハァ。あなたたち、光梨を閉じ込めてない?光梨の自由を奪ってない?」
「ぁ・・・・」
その言葉には心当たりがありすぎた。
「だが、それは!」
「うん。光梨は女性だからね。ひとりで外出させられないのはわかるよ。仕事もあるし。でもね、安全な神域で僕と会うことすら自由にできない。それを責められたら、どう思う?責めたんでしょ?・・・・些細な切っ掛けでこの世界の理不尽を思い知るんだよ。光梨はあちらの世界で制限されることなく自由に出掛けたり人と会ったりしてたんだ。知り合いや愛する家族のいるあちらが恋しくなっても仕方ないよね?・・・・やっと、自分の心に気づいたとこだったのに」
「え?わるい、最後聞こえなかったんだけど、なんて?」
土の精霊王の巫女はニッコリと笑うだけで、俺の問いには答えてくれなかった。
俺は・・・・何も言い返せなかった。こちらの世界の女性は限られたところにしか行かない。常に親兄弟、伴侶に守られている。それが難しい平民は、安全のために幼い頃に早々に神殿にやってくるのだ。この世界について話したとき、ヒカが言ってたじゃないか。この世界は女性にあまり優しくないようだと。だから、ヒカには無理しなくていい、外面を保てればいい等と言ったのだが、知らないうちに無理を、させていたのか?そうだとしたら・・・・。
「どうしたら・・・・」
俺たちはヒカのことを第一に考えるべきだ。手にしていたもの全てを取り上げられて、俺たちの元に来てくれたのだから。なにより、ヒカには笑顔でいてほしい。
苦悶する俺をよそに、再び二人が言い合いを始めた。
「ロルフも。あんまり束縛するなら、またひとりで旅に出るよ?」
「それは!」
「あっ!光梨も連れていこうかな?」
不穏な言葉が聞こえた。
「は?何だと」
「だ~か~ら!光梨を連れてこの世界を旅しようかな。閉じ込めておくと光梨が壊れそうだし、最近ロルフの監視も鬱陶しくなってきたし?」
「ダメに決まってる!」「だめです!」
「なら、ロルフは、もう少し僕を信用して」
「善処します」
「ん?」
「クッ・・分かりました。友人に会うときは家で待つことにします」
「うん。そうして。それから、光梨だけど、このままだと、逃げるかもね?」
「どう言うことだ?」
「例えば、お見合い相手から伴侶を選んで逃げ場にするとか、あなたたちに見つからない隠れ家を用意するとか、それこそひとりで旅に出ちゃうとかしかねない」
「なっ!」
「光梨はあなたたちが思っているよりも行動力あるからね?それから、これは光梨のためにも助言ね?あなたたち、光梨に何も告げずに伴侶申請したでしょ。そのせいで光梨は伴侶となった実感を持てずにいることに気づいてる?光梨の、ただ一緒に暮らしてる同居人っていう認識を変えたほうがいいよ」
なんてことだ。ヒカの存在を公にしたくなくてした行為が自分達の首を絞めていたなんて・・・・。
「光梨はさ、自分で刺繍したウェディングドレスに憧れてたから、それを利用したら?」
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「えっ?!ワタル、自分の時にはそんなこと何も言いませんでしたよね」
「だって、必要なかったし?」
「そんな・・・・。今からでも。ワタルのドレスは私が!」
「やだよ。着ないからね?!だから、言わなかったんだ」
言い合いを始めた二人をどうにか宥め、俺はその結婚式というもののことをさらに細かく聞き出した。ヒカも一緒に式の準備を進めることで、楽しんでくれるといい。
だが、その前に俺とライにはやることがある。俺は土の精霊王たちと別れた後、ライと話し合い、その日のうちに、聖騎士団の団長の元を訪れた。
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