巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?

紅子

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持つべきものは権力者?

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突然、ルクセンバルグ王国の執務室に現れた私たちを国王陛下は、苦笑しながら招き入れてくれた。ナハトムジー侍従長が、すぐさま動いて、王太子殿下を呼びに行くあたり、厄介事だと判断したらしい。間違っていない。ちなみに、ナハトムジーは、矍鑠とした優しいお爺ちゃん。ただし、アダベルトには鬼門のようだ。短期間に2度も使用人を総入れ替えした経緯から、ナハトムジーに長々とお説教をくらい、使用人を選ぶ上での注意事項とその他必要だとナハトムジーが判断したことを実践と共に叩き込まれたという経緯がある。半身のことはすべて自分でしたいというのだから、知っていて当然でしょうとにこやかに述べていたが、何故、自分ナハトムジーに相談しなかったのか?という当てつけも含まれていたと思う。この城を預かる身としては、アダベルトの行いは管理不行き届きに該当するらしい。

「して、急に現れた訳は?」


そのナハトムジーが王太子殿下と共に戻って、執務室の奥、機密性のある部屋に通されてすぐにそう切り出された。

「先ほど、襲撃に遭いました。暗殺者、数十名。重傷者十数名。全員、結界内に閉じ込めて、ヴィーグに監視を頼んであります。それらを移動させる場所を提供してほしい」

どういうことだ?と3人の表情が語っている。

「詳しく話せ」

アダベルトの簡潔すぎる説明ではダメだった。まあ、普通はその反応になるよね。自分の説明が端的すぎたと気付いたアダベルトが、ことの経緯を順を追って説明していくと、3人の顔は、疑問から驚き、そして、呆れへと最終的に変わっていった。国王陛下は、頭を抱えたのだが。

「あり得んだろう」

「やることがいちいち普通じゃないよね、君」

「早速、堅牢な場所を手配いたしましょう。魔獣と人は同じで構いませんか?」

ナハトムジーだけは、とてもにこやかな顔をしている。

「一定以上の攻撃を仕掛けなければ発動しないから、同じでいい。かち合ったやつは、運がなかったということだ」

「ならば、その中に入ったものは眠りにつくように出来ませんか?そうすれば、騎士たちの被害もなく、連れ出せるでしょう」

さすが、ナハトムジー。かゆいところに手が届く。配慮が完璧。アダベルトも見習うといいよ。感心して頷く私にナハトムジーも大きく1つ頷いた。以心伝心。その途端、アダベルトに抱き込まれたけどね。そのまま、べったりとアダベルトに張り付かれて、魔獣及び襲撃者の保管場所にやって来た。そこに、まず、私のテントと対になる転移の魔法陣と眠りの魔法陣を貼り付けた。魔力の充填は、やって来た魔獣や襲撃者から自動で補うようにしてある。眠りの魔法陣は、転移の魔法陣が起動したときのみ発動するようにした。じゃないと、回収に来た騎士たちも眠ることになってしまう。

「こんなもんでしょ。早速、暗殺者たちを送るね」

「ナハトムジー、後は頼む」

「お任せください。お気を付けて」

ナハトムジーの見送りを受けて、私たちは、離宮からヴィーグのもとに戻った。すると、ぐったりとした暗殺者たちが反射付きの結界の周りに転がっている。

「お待たせ、ヴィーグ」

『早かったな』

「さっさとこいつらをあっちに渡したいが、この有様じゃあな。どうする?」

彼らにもうこちらを攻撃するだけの力はないだろう。

「大丈夫。まず、こいつらを全員近くに纏めてほしい」

私の要望どおり、アダベルトとヴィーグは、すぐに暗殺者たちを一纏めにしてくれた。そこにギリギリの大きさで結界をつくる。

「ルト。これを力一杯この結界に向けて投げつけて」

私は、自分のテントを取り出して、地面に固定する魔法陣を取り外した後、アダベルトに渡した。テントと私の間で視線を彷徨わせたアダベルトに笑顔で促す。額に数秒手をあてたアダベルトだったが、覚悟を決めたのか、容赦なくテントを投げつけた。

「まさか本当に結界ごと転移して行くとは思わなかった。あの結界はどうするんだ?」

「ナハトムジーに解除の仕方を教えてあるから大丈夫。解除した後の結界の魔法陣は消滅するし」

「そうか」

『デタラメすぎるだろう』

なんとも複雑な顔をしたアダベルトとヴィーグだが、出来ちゃったものは仕方ないと思う。暗殺なんかなかったかのように、私たちはその後ものんびりと浜辺で採取に勤しんだ。暗殺者ごときにせっかくの楽しみを台無しにされたくはない。今の季節、美味しい牡蠣が取り放題なのだ。アダベルトとヴィーグも大好きな牡蠣を嬉々として採っている。すると、遠くから複数のガチャガチャという音と声が聞こえてきた。何事かと音のする方へ顔を向けると、仰々しくも複数の甲冑姿の騎士がこちらへ向かってきていた。

「無事か?!!!」

本当にあわてて駆けつけてきたのだろう。額から汗がしたたっている。ここは、騎士団の駐屯地から真逆の方向にあるからかなり遠い。

「あの、何事ですか?」

何かあったのだろうか?今ここは平穏そのもの。

「「「「「えっ!!!!」」」」」

アダベルトは、あちゃーと額に手を当てて上を向いている。

『暗殺者たちのことだろう。恐らく、遠目で誰かが目撃して、知らせたのだろうな』

なんてこと。わざわざ、ありがとう。

「ここで襲われている者がいると通報があったのだが」

「ああ。確かに襲われたな。が、全員返り討ちにした」

アダベルトが相手をするようだ。余計なことは言うなということか。

「そ、そうか。詳しくうかがいたいのだが、よろしいか」

襲撃者を撃退したアダベルトを高位ランクの魔法剣士ではないかと判断したようで、その騎士はちょっと下手に出た。いい判断だと思う。実際アダベルトは、高位ランクの魔法剣士だし、なんといっても、他国とはいえ王族なのだ。

「詳しくもなにも突然襲われて、反撃したら逃げていった。それ以上は、こちらが教えてもらいたいくらいだ」

「襲われる心当たりは?」

「は?そんなものあるわけない。こっちが知りたいよ」

「襲った相手の特徴などは?」

「さあな。黒ずくめの覆面集団だったからな」

「そちらのお嬢さんは?」

さっとアダベルトの後ろに隠れた。話したら絶対にボロが出る。

「・・・・・・」

「名前だけでも聞かせてもらえんか?」

「アダベルト・フォン・ルクセンバルグ」

「・・・・し、失礼致しました!!!私は、ルネサーンスと申します。キルギリス公爵家直属の騎士団にて団長を務めております。この度の襲撃につきまして、分かったことは直ちにお知らせいたします」

口調があからさまに変わった。

「魔法ギルドのギルド長に言づけてくれ」

「はっ!」

ルネサーンスは、引き連れてきた騎士たちに帰還を命じ、慌てて去って行った。王族相手に何かあってはキルギリス公爵家の落ち度になるから、慌てもするか。

「ハァァァァァ。キルギリス公爵家か。メダルは返したが、何かと面倒だな。あそこの娘は、たしか、王太子の婚約者じゃなかったか?アルキナッサとも仲がよかったと聞くぞ。今回の件、関わってないだろうな」

人はそれをフラグという・・・・。
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