山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する

紅子

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子にゃんこ、誠心誠意謝罪する

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それ後、師匠からの追及が凄かった。周りでは、呆れながらも爆笑する魔女たち。

「ハァ。で、どうするの?片翼かどうかも分からないんでしょう?」

「か、片翼って、どうしたら分かるの?」

もう、私は涙目だ。ザムに迷惑をかけてしまうと思うと消えてなくなりたい。

「人それぞれね。片翼になるかは、相手の同意も必要だから。ガルザムは同意したのよね?」

したことになるんだよね?

「“ああ、頼むよ”って。だって、ザムがあんまりにも不憫で、思わず言っちゃったのよぉ。認めたことになる?」

「なるわね・・・・」

うわーん。本当にごめんねえ、ザム。スルッと違和感なく出ちゃったから、片翼の契約なんてすっかり飛んでた。

「まあ、フィリアらしいっちゃらしいんじゃねーの?あとはそいつにちゃんと事情を説明して諦めてもらうことだな」

「そうね。フィリアはそのガルザムだっけ?嫌じゃないんでしょう?」

ザムかぁ。考えたことなかったなぁ。あの山賊顔も慣れれば不憫可愛く見えないこともない?それに、いい人だ。料理も美味しい!

「考えたことなかった。私、子ネコだし。うーん・・・・。ご飯美味しいし、お菓子も作ってくれるし、悪くないかも?」

「ねぇ、フィリア。食べ物以外にも大切なことはないの?」

アリー、食べ物は大事だよ。私、料理できないもん。それ以外に大切なものって何?

知らないうちに私の首が横に傾いていたようだ。

「あ、ないのね」

ミーシャ、残念な子を見る目をしないで!ミーシャのその顔は心に堪えるの。

「俺は、俺は認めねー!!!あんな凶悪面。フィリア、契約はなグッホ・・・・グゲ・・ゴッフ」

カイザー。確かにザムは凶悪面だけどね?余計なこと言うから、みんなに攻撃されるんだよ。

「カイザー、フィリアに教えたら、アルテのところで500年くらいお世話になるから!」

「!!!フィリア、あいつは凶悪面だが、たぶんいいやつだ!さっさと落とせ!」

ヒシッとアリーにしがみついたカイザーは、さっきと真逆のことを言い出した。

「さあ、話し合いはこれくらいね?じゃ、解散しましょうか。フィリアは、ガルザムのところに送るわ」

「うん。またね~」

私は師匠に転移でザムのところに送ってもらった。着いたところは、ザムのポケットの中だった。



「なんであの子、気づかないのかしら?」

「それはフィリアだからじゃん」

「でもよ、ファビアーノから聞いたけど、あいつ、その片翼から魔力貰ってるんだろ?今回も貰ったはずだぞ?」

「それでどうして分からないのよ?」

「だ~か~ら、フィリアだから、だろ?」

その場に溜め息が木霊する。

魔女は人の魔力を摂取出来ない。魔女の魔力は人のそれとは似て非なるものだから。唯一、その片翼だけが魔女に与えることができる。故に片翼とは、魔女にとって特列な存在なのだ。



「ただいま、ザム」

クルクルキュー。

ポケットからピョコンと顔を出すと、移動中なのかジェイを駆りながらザムがこちらをちらりと見た。

「おかえり。ポケットで飲食は禁止だ」

私のお腹の音が聞こえたのか、すかさず言い添えてきた。ならば、ジェイの頭の上でとも思ったけど、それも禁止された。ジェイの目に入ると危ないからだ。

「野営地までそう遠くない」

「・・・・分かった」

渋々と頷くと、ポケットに入ってふて寝することに決めた。頭上では機嫌がいいのかザムの忍び笑いが聞こえる。顔は、・・・・見ないのが懸命だろう。

あーあ、ザムになんて言おうかなぁ・・・・。気が重い。ザムは許してくれるかなぁ?というか、魔女わたしの片翼になってくれるだろうか?嫌がられたら・・・・。私が消えればいいかな?今、子ネコだし。そうしよう。よし!そうと決まれば、さっさと懺悔してしまおう!


その夜、野営テントで私はザムに静かに頭を下げた。

「ん?フィー、何してるんだ? 」

「申し訳ございません」

「何のことだ?また、ポケットの中をお菓子まみれにでもしたのか?」

「・・・・。いいえ、全く違いますぅ!」

ザムは私のことを何だと思っているのだろう。子ネコでも言いつけはちゃんと守る。

「なら、何をしたんだ?」

「驚かないでくださいね?」

「驚かないから、顔をあげて普通にしゃべってくれ」

ザムの懇願に私は顔をあげた。耳はへたったままだ。

「あのね。・・・・・・・・。うっかりザムを魔女の片翼にしてしまいました!申し訳ございません!!!」

勢いをつけて一気に捲し立て、その勢いに任せて、ガバッと頭を下げた。

「・・・・。魔女の片翼とは何だ?魔女の、ということは、フィーの、ということか?」

あら?そこからですか。魔女の片翼ってみんな知ってることじゃないの?
・・・・・・・・。
え?私が説明するの?

「えっと、ですね。魔女の片翼とは・・・・」

「片翼とは?」

「・・・・ノコトデス」

「ん?なんて言ったんだ?済まない。聞き取れなかった」

「ハンリョのことです・・・・」

「はんりょ?」

ザムは意味がわからない、とでも言うように、こてんと首を傾げるけど、怖いから!その顔、怖いから!

「はい」

「はんりょ?・・・・伴侶か?!」

その伴侶以外にどの伴侶があるのか?
大丈夫か、ザム。

「そう言ってるでしょ?」

「意味がわからん。順を追って説明してくれ」

「我が儘だなぁ。仕方ないから、ちゃんと聞いててよ?」

「え?我が儘なのか?・・・・俺が?」

混乱しているザムにさらに追い討ちをかけてしまった。このあたりの冗談はまだザムには早かったようだ。

「いいから、聞いてね?」

困惑するザムに無理矢理聞く態勢をとらせて、魔女の片翼となった経緯と片翼の意味を説明した。

「ごめんね。すっかり頭から飛んでて、口からスルッと出ちゃった。テヘ」

ザムは呆気にとられながらも事態を把握できたようだ。

「それだけの言葉で決まるのか?」

「うん。普通なら言わないでしょ?それに忘れないようにちゃんと師匠からしつこいくらいに言われるからね。他の魔女みんながどうやって片翼を見つけたのか分からないけど、私みたいなパターンはないと思うよ?」

よくあることなら、違う言葉になったと思う。

「だが、フィーはいいのか?その、俺みたいなのが、その片翼とやらで。フィーはまだ若いだろ?」

何言ってんだ?

「んと。私が若いかっていうのは、魔女だからね。この世界に存在するようになってから250年は経ってるけど、一番近いアーノは600年以上だから、若い?」

「そ、そうか」

「うん。ザムでいいのかっていうのは、よく分からない。ザムの何処がダメなの?」

「・・・・俺は、・・・・フィーの言葉を借りるなら山賊のようだろ?」

あら、まだ根に持ってらっしゃる?否定はしないけどね。

「外見ってことなら問題ないよ。魔女も片翼もね、この世界に存在する前にある程度容姿を選べるから」

人に恐怖を与えるような外見でも別に困ることはない。でも、人に溶け込もうと思ったら、馴染みやすかったり受け入れられやすい方がいいから、魔女は自分で外見をカスタマイズしてくる。片翼は魔女の意向を踏まえた上で変えることができるから外見は重要じゃない。

「そうなのか?凄いんだな」

「ザムは怒ってないの?」

「何を怒るんだ?」

「だって、今の人生を終えたら・・・・新しい人生が始まるのに・・・・片翼に縛られるんだよ?」

普通は騙された!って怒るよね?
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